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誰が月の齢を予言するか 〜ムーンプランナーメソッド講座へ行ってきました。

Posted on 16 3月 2016 by

西はまだちょっと寒いです嬉しいですせらです。
行く冬を惜しみまくっています。ハッシュタグは #惜冬 で。

えー。映画の話から始めます。
『エレニの帰郷』というテオ アンゲロプロス監督の作品があります。
エレニというギリシャ人女性が、シベリアの収容所に入れられ、子供を産み、子供と引き離され、再会し、…という、二次大戦から現在までの一代記なんですが。
カメラワークが流れるようで、天使の三枚目の翼とか、ほんとーに美しい画面でして。
そして、これを見た時、すごく思ったのが『時間の流れ』でした。
イレーヌ ジャコブという女優さんが、主人公エレニが若いころから、孫ができるような年齢までひとりで演じています。
メイクや、白髪が少し目立つようにしたりして、年齢を重ねているように見せているんですが、えー、そのひとのひとつの人生なのだから、ひとりが演じるのは当然と言えば当然なのですが、まず、それがひとつめの『流れ』。
そして、作中、時間が行ったり来たりします。若い頃のエレニから、ぽん と時間が飛んで年を取ったり、また戻ったりします。でも、それが全然不自然ではなく、水が流れるような、自然な営為に見てとれました。これがふたつめ。
例えば、デジタルの時計が かしかし と音を立てて数字を切り替えるのでは【なく】、影の位置がさっきまではそこにあったのに、ずいぶん遠くに移動したとか、そういった、昔から現在まで、ひと続きの流れ、のような時間の感覚が感じられて、すごく新鮮! と思った覚えがあります。
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「サーハビーに上がるエレベーターのボタンはいくつあるか知ってますか」(ホームズ原作の「階段が何段あるか知ってるかい」的な質問として)

Posted on 06 3月 2016 by

日、ガルシア=マルケスの『族長の秋』を読みまして。

子供たちの猩紅熱(しょうこうねつ)を治すために、太陽と星の光を赤く染めさせた。

もうもう、この一文に左眼を撃ち抜かれました。わたしにどうしろというんだガルシア=マルケス。
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五年目〜玉手箱に入っているもの

Posted on 24 1月 2016 by

2016年1月22日で、Notebookers.jp 5年目でした。
特に、こう、何かイベントや管理人さんからのコメントがあるワケでは【ない】ところが、Notebookers.jp 淡々としていて、いいなあ。
5年目もまた、たくさん得て、失って、孤独の輪郭を研ぎ澄ませて、それを綺麗だなあと見とれるような、そういう1年でありますように。

■ □ ■ □

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旅に出て かえるみちを忘れてしまったとき

Posted on 25 12月 2015 by

リスマスの荒技的な想い出とゆーと、某川河川敷でのクリスマスファイアかなあ。
「集まるよ」と友達から連絡が入り、(たしか)金曜日の夜に某川河川敷で集合しました。
ちょっと火を焚いて(事前に消防署に連絡して許可もらい済)、下準備してきてくれた豚汁を温め、持ち寄りのケーキのお皿がないため、豚汁用のお椀に入れ、飲物は、コーヒーか、お湯割りウィスキーの二択。
仕事帰りのひとが多かったため、女性用に着替えのための小さいテントがあり(寒いからジャージその他着替え持参の指定あり)。
集まった割には、プレゼント交換や、何かゲームや催し物などは【なく】 ただ話をして、ちょっと食べて飲んで、聖歌隊出身者がいたので歌ってもらって(そして、その数人、カトリックとプロテスタントと両方いたので、賛美歌の歌詞が微妙に違っていてオモシロかったです)えー、寒風吹きすさぶ中、湧かしたお湯の湯気がやたらと暖かく見えたのを憶えています。
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Happy Holiday! Notebookers! アドベント4週目☆☆多様性ばんざい☆サンタアシモフからの贈り物☆

Posted on 20 12月 2015 by

ニメデ、という木星の衛星があります。wikiから引用。

ガニメデ (Jupiter III Ganymede) は、木星の第3衛星。太陽系に存在する衛星の中では最も大きく、惑星である水星よりも大きい。比較的明るい衛星で、双眼鏡でも観察できる。

そして。

ガニメデは、1610年にガリレオ・ガリレイによって発見されており、そのためイオ、エウロパ、カリストとあわせてガリレオ衛星と呼ばれている。

ガリレオ先生の発見です。
そして、衛星をたくさん持ち、上記にもあるように、イオ、エウロパ、カリスト、ガニメデ、とあるこの名前なんですが。
星占いでは、木星は、ゼウス、ジュピターが司る星だそうで、そのためか、おそば近くにいる、この衛星の名前が、えー、歴代のゼウスのカノジョたちの名前だったりします。

イオ:ゼウスのカノジョのひとり。ゼウスの妻ヘラにいじめられて、エジプトまで逃げる。そして女神イシスとなる。
エウロパ:ゼウスのカノジョのひとり。ゼウスが牡牛に化けてエウロパに近づき、エウロパがその背中に乗るとギリシアその周辺を走りまくって、クレタ島へ連れていった。その走りまくったエリアをエウロパ(ヨーロッパ)と呼ぶようになったそうで。クレタ島、これで牛と縁があるのかなあ。この時、ゼウスが化けた白い牛が天にのぼり、牡牛座になったそうです。そしてエウロパは、ミノタウロスの(義理の)おばあさん。
カリスト:ゼウスのカノジョのひとり。やっぱりヘラ(アルテミス?)の怒りを買って、熊に変えられてしまう。そんでゼウスの子供を産み、すったもんだのあげく(雑な説明)、大熊、小熊として天にあげられ、おおぐま座、こぐま座となる。
ガニメデ:ゼウスに仕えていた酒杯係。水瓶座の水瓶を持っていたとも言われているそうで。トロイ王家出身の美少年。
(まったく本編とは関係ないのですが、わたしがギリシャ神話好きなので書いてみました)

■ □ ■ □ ■ □ ■ □

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アドベント第三週☆☆☆サンタさん、ぼくたちわたしたちNotebookers、今年も一年イイコでした!

Posted on 15 12月 2015 by

今、わたし、ベケットを読んでいるのですが。
もう、すばらし過ぎて何度も電車の中で(通勤読書なのです)、涙ぐんでおります。
そのたびに、ポケットにあったレシートなどを千切ってはさんでいるのですが。
わたしの本を見たことがある方はご存知なのですが、そういうレシートやストローの袋を千切ったものをふせん代わりにしています。なので、落としたりすると、ふせんじゃないので粘着部がないので、ちょっと悲しいことになります。

ところであなたの人生の話をしてくれませんか、それからなんとか考えましょうや。

これも『考えるのは後』なんだ。わははー。 Continue Reading

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アドベント第二週☆☆Date with a Notebookers Christmas book(半分Vr.)(WEB版)クリスマスの思い出

Posted on 07 12月 2015 by

で読んだのか、忘れたのですが、モノを考える時『枕の上、馬上、お手洗いの中』というような言葉があり(たぶん)。
枕の上というのは、いわゆるベッドの中。寝る前とか、起きてから、すぐにベッドから出ないで、うだうだしている時間のことだと思われます。お手洗いの中、は、言わずもがな。
そんで馬上、馬に乗ってゆられている時。これは、たぶん、今で言うと『歩いている時』ではないかなあ。
この、歩いている時の、考えが浮かぶ、思いつく、その力は、どこから来るのだろうなあと思います。
(そして今回も、この前フリは記事にまったく関係がない)
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Happy holiday! Notebookers! アドベント第一週☆Date with a Notebookers Christmas book(半分Vr.)(WEB版)オーギー・レンのクリスマスストーリー

Posted on 30 11月 2015 by

日の記事、初めてモレスキンを書いたときのことを憶えていますか。この記事での、最初に書いてみるリストのひとつ、タイの首都、バンコクの正式名称ですが。
wikiより

กรุงเทพมหานคร อมรรัตนโกสินทร์ มหินทรายุธยา มหาดิลกภพ นพรัตน์ราชธานีบุรีรมย์ อุดมราชนิเวศน์มหาสถาน อมรพิมานอวตารสถิต สักกะทัตติยวิษณุกรรมประสิทธิ์
クルンテープマハナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラアユッタヤー・マハーディロッカポップ・ノッパラッタラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーンアワターンサティット・サッカタットティヤウィサヌカムプラスィット

長すぎて国民も覚えられない。なので、最初の部分をとり、国民は『クルンテープ』と言っている。 タイ語は後置修飾が基本であるので、意味は後ろの節から訳し、以下のようになる。
イン神(インドラ、帝釈天)がウィッサヌカム神(ヴィシュヌカルマ神)に命じてお作りになった、神が権化としてお住みになる、多くの大宮殿を持ち、九宝のように楽しい王の都、最高・偉大な地、イン神の戦争のない平和な、イン神の不滅の宝石のような、偉大な天使の都。

だそうです。いいなあ、こういうのダイスキー!
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初めてモレスキンを書いたときのことを憶えていますか。

Posted on 28 11月 2015 by

えー。
関西も寒くなり、本格的に冬っぽいです。嬉しい。
今回のタイトルは、バートン版『チャーリーとチョコレート工場』で、チャーリーがウォンカさんに訊ねる台詞
「初めてチョコレートを食べたときのことを憶えていますか」
から。
わたしは、この原作を、えー、読むのがだいぶ遅く。多分、二十歳より少し以前、くらいに読んだ覚えがあります。
初ダールが、15、16歳くらいで、何を読んだかとゆーと『あなたに似た人』でした。
かの、クウェンティンタランティーノ監督のゆかいな楽しい『フォールームス』の中の一話の原作、名作『南から来た男』などが収録された、えー、ありていにゆーとバクチ小説を含むミステリ系短篇集でして。ホントに楽しい。面白かったです。はい。
もちろん、今回の記事とはあまり関係のない前振りです。
えー、でも、ダールは、ホントにバクチ、ギャンブル小説、楽しいです(せらイキイキ)。
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何ゆえにこうした神秘に惹きつけられるのか、彼にはついにわからなかった。『大英博物館展〜100のモノが語る世界の歴史』を見てきました。

Posted on 16 11月 2015 by

近、チャトウィンの作品を二作、読みまして。
なんというか、『百年の孤独』感の漂う作品でした。
例えば、マコンドを出て行ったブエンディア家のひとの望郷と、マコンドに留まったひとの積み重ねた生活が書かれているような。
そのまったく正反対の人生の有りようと、あと、やっぱり共通するのが『過剰と欠落』かなあ。
何でも手に入る富を持ちながら、本当に欲しいものは手に入らない、欲しいと思えるものがない。
『ウイダーの副王』と『黒ヶ丘の上で』という二作です。
(やー、これはただの前フリで、記事はこのレビューではないです)

神戸市立博物館の『大英博物館展』に行ってきまして。
この『100のモノが語る世界の歴史』を見てきました。

大英博物館展

象の下にあるのがルヌラですー!ルヌラですーー!!

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ないものがある手帳がほしい。手帳総選挙@神戸NAGASAWA煉瓦倉庫へ行ってきましたぷちぷちレポート

Posted on 04 11月 2015 by

日、ツイッターで回ってきたのですが。
江戸時代、芝居小屋で「観客が喜ぶから」というだけで加藤清正が舞台を横切る演出があったそうです。
(舞台のその演目にはまったく関係がないようです)
それを表して
「さしたる用はなけれども、まかりいでたる加藤清正」
というんだそうです。
なんてすばらしいんだ。と、コレをまず前振りとして。

えー。
Notebookers.jpで一、二を争う『ノートブックや文具について記事を《書かない》ライター』せら、わたくしが書く手帳総選挙レポートです。
レポートというか、行ってみて気がついたこと、わかったことなどをちょろりと書いてみようかと。

煉瓦倉庫店前の港
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迷子になっているノートブック〜黒いカイエを知りませんか

Posted on 01 11月 2015 by

えー、先日、迷子になったノートブックという記事を書きました。
そちらは、手許に戻ってきたのですが。
戻っていないノートブック《も》あります。
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「わたしの答えに抵抗があるならば、抵抗を続けてください」蔡國強展『帰去来』で狼たちに遭ってきました。

Posted on 07 10月 2015 by

です。Notebookersの皆様、いかがお過ごしでしょうか。
去年の今頃はどんなことをしていましたか。

去年の今頃、わたしは『百年の孤独』を読み終わり、どうにも手放しがたく、しばらく持ち歩いて、ちら読みし、ノートブックに書きつけて、と、していました。

そんで。
横浜トリエンナーレで、メルヴィン モティのインスタレーション ”No Show” を見て、爆泣きしたのも同じ頃でした。
そして今年もまた。
見てきました。蔡國強展『帰去来』

。蔡國強展『帰去来』

蔡國強展『帰去来』

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「お茶でもいかがとコニーの誘い。まあ結構よ、毒入りなのね、とメリキャット」〜物語の中のお茶

Posted on 06 9月 2015 by

「お茶でもいかがとコニーの誘い。まあ結構よ、毒入りなのね、とメリキャット」

関西は、まだ、日中が暑いです。いかがおスゴシでしょうか。
先日、ハングアウトのやりとりで「物語の中のお茶」について記事を書く〜云々、という話をしていまして。
(それで、最初に思い出したのが、今回のこのタイトルというのも物騒な話ですが)
コレは、シャーリィジャクソンの『ずっとお城で暮らしてる』から。
作中、殺人の容疑をかけられたコニーへの囃し歌です。
今回は、こういう、物語の中でのお茶の時間、お茶を淹れること、などを書こうと思います。
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世界の果てでも、多分わたしはお茶をしながら本を読んでノートブックを書いている番外編@座り心地は悪くても、それでもやっぱり、ソレは恩寵なのだ

Posted on 02 8月 2015 by

月です。お暑うございます。
映画見て、本を読んでノートブックをごりごり書いて、Notebookersな夏をエンジョイ… というか、この記事のタイトル通り、世界の涯でなくても、かつ、季節も問わず、ワタシがすることって同じなんだなあ、とシミジミしております。
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ポストカード交換&封筒作りの会 しました。

Posted on 10 6月 2015 by

5月23日(土)、封筒作り&ポストカード交換会をしました。

読書会やクラフト会などで、ちょっとお出かけされた方が、お土産に、と、ポストカードを下さることがあり。
そのやりとりの時に「持っているポストカードの交換とか、じまんとか、そういう集まりって楽しそうですよねー」と話が出て。
「じゃあ、やりましょう」と、えー、開きました。
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5月〜神戸@ナガサワ文具センター(ひとり)祭り

Posted on 27 5月 2015 by

月17日(日)、ナガサワ文具センター神戸煉瓦倉庫店でペンクリニックへ行ってきました。
そこから続く、ナガサワ文具センターひとり祭りレポートです。
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「問い」からはじまる学びの場 に参加してきました。

Posted on 14 5月 2015 by

月5日(日)なんですが。
「問い」からはじまる学びの場 に参加してきました。

ゲストは、東京、荻窪でブックカフェ『6次元』を運営されているナカムラクニオさん。
Notebookers.jpでも、文具女子の彩織さんが何度か記事にされています。
コチラとか、コチラとか。

今回のこのイベントは
『問い』からはじまる学びの場
でして。この『問い』がなんとも魅力的に感じられ。
参加を決めました。
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『夜は来て愛を語り』見ました。満を持して。

Posted on 01 4月 2015 by

イプリルフールネタがネット上では舞い踊っていますが。
ソレとは関係なく、マイペースに。
先日見てきた映画のレビューです。
『夜は来て愛を語り』です。
2001年 英仏合同で制作。
監督 アニエスカ ホランド
主演
デヴィッド シューリス
ジュード ロウ
マリオン コティヤールの三人主演です。
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Notebookers読書会レポート(たぶん)第4回!

Posted on 02 3月 2015 by

「物語はそれぞれの歩調で話すのがいちばんよかろうと思ってるだけさね。むかしは、みんな、いつも時間をかけて物語を紡いだが、いまではなにもかもが、さっさと済ませねばならなくなって」
(『黄昏の眠る秋』より)

もう、というより、まだ4回目なのかーと思います。
(というか、2日やっても1回のカウントなので、日数にすると10日くらいやってるんじゃないかと)
えー、そのNotebookers読書会レポートです。
この読書会は、課題本を決めて、それを読んできて「ココがこうだった」「ああだった」と話すのではなく、好きな本を一冊持って来て頂いて、それについて1時間話す、というそういう読書会です。
今回も、参加者さんにお好きな本を持って来てもらいました。
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世界の果てでも、多分わたしはお茶をしながら本を読んでノートブックを書いている8@胸に押し当てたいほど愛しい物語(の、ある書斎)

Posted on 01 3月 2015 by

く冬を惜しんでおります、ブックレビュー8冊目。
毎回、タイトルだけが無駄に長いですが、えー、読んで頂けたら嬉しいです。

先日、Notebookers.jp 管理人タカヤさんのお題ツイートがありまして。

このお題、あんまり主旨に即していない記事になるかも知れませんが。

以前、Notebookersの本棚をテーマに、いくつかの記事があがりまして。
そのひとつ、タカヤさんの記事で『海底二万里』のネモ船長の書斎について書かれていました。
文学や芸術、技術の本、そして標本があり、政治と経済の本がない書斎、いいなあ、アコガレの書斎のひとつです。
以下引用『海底二万里』訳:江口清 集英社文庫版

そこは図書室だった。銅をはめこんだ黒檀の高い家具の、その広い棚には、同じように製本した本が、ぎっしり並んでいた。(中略)
「一万二〇〇〇冊ですよ、アロナックスさん。これがわたしを地上に結びつけている唯一の絆です。わたしのノーチラス号がはじめて海に沈んだ日に、世界はわたしにとって終わったのでした。その日、わたしは、最後の本、最後の雑誌、最後の新聞を買ったのです。そのとき以来、人類はもはや考えようともせず、書こうともしなくなったと、私は信じたいのです」(略)
わたしはネモ船長に礼を言って、書物の棚に近寄った。そこにはあらゆる国語によって書かれた、科学や道徳や文学の本が、たくさんあった。しかし、経済学の本は、一冊もなかった。それは、船内から厳重に追放されているらしかった。(略)
これらの本の中で、古今の大家の傑作が、まずわたしの目を引いた。つまり、人類が歴史の中でつくりだしたもっとも美しいもの、詩だとか、科学などで、ホメロスからヴィクトルユゴーまで、クセノフォンからミシュレまで、ラブレーからサンド夫人にまで及んでいた。しかし、特に科学が、この図書室の呼びものだった。機械学、弾道学、水路学、気象学、地理学、地質学等の書物が、博物学の書物に劣らず主要な場所を占めており、これで、これらが船長の主な研究の対象であることがわかった。

『海底二万里』どのシーンもそうなのですが、この図書室にしても、標本と美術品を置いている広間にしても、ほんっとーーにひとつひとつ克明に書かれていて、初めて読んだ時、「…見てきたの?」と思うほどで。
ネモ船長の書斎、もうひとつ、大きなポイントとしては、ここはもちろんノーチラス号の中です。
なので。
海の中、海底を動き回る、世界とは切り離された場所、に、ある書斎。

この世界から切り離されたネモ船長の書斎について読んだりすると、思い出す書斎、とゆーか、場所があります。
レイブラッドベリ『さよなら、コンスタンンス』から。登場人物のひとり、クラレンス ラティガンのコテージです。
今回は、この物語とラティガンのコテージについて書こうと思います。

Amazonより。内容紹介です。

内容(「BOOK」データベースより)
死者の名を刻む手帳。失踪した女優。連続する謎の死。隠棲する新聞蒐集家。闇に閉ざされた映画館の小部屋。嘆く神父。雨に沈む納骨堂。街の地下を吹きぬける雨の匂い。さまよう探偵小説作家。夜の抒情と都市の憂愁をこめて巨匠が贈る最新長篇小説。

内容(「MARC」データベースより)
死者と死すべき者の名が記された手帳を残して消えた女優コンスタンスを追って、探偵小説家「私」がロサンジェルスをさまよう幻想的探偵小説。ブラッドベリの最新長篇。探偵小説3部作の完結篇。

主人公が名無しの「私」、優しい、泣き虫の作家で、若い頃のブラッドベリがモデルだと言われています。
彼と、相方の刑事クラムリーが、失踪した女優コンスタンスを探すんですが、彼女の周りの人間が次々と不審な死をとげます。そのナゾを解く、んですが、えー、もう本当にブラッドベリ節の効いた、全編歌うような、流れるような文章で綴られています。

そのヒロイン、コンスタンスの最初の夫、クラレンス ラティガン。
ハリウッドのマウントロウという小山のコテージに住んでいる、元トロリーの運転手です。
彼が住むコテージには、四十年分とも五十年分とも推定される新聞が置かれていまして。

足を踏み入れたのは新聞の迷宮だった。ーーいや、地下墓所(カタコンベ)と言おうか。うずたかく積まれた古新聞の山のあいだをせまい通路がめぐっている。《ニューヨークタイムズ》《シカゴトリビューン》《シアトルニューズ》《デトロイトフリープレス》。左は五フィート、右は六フィートの高さにそびえ立ち、すり抜けようとするものなら雪崩におしつぶされそうだ。

「だれ?」私は呼びかけた。「どこにいるんですか」
「たいした迷路だろう!」ミイラの声がうれしそうに響いた。「俺が作ったんだ! 朝の号外から夜の最終版、競馬特報に日曜版のまんが、なんでもある。四十年分だぞ! 公刊に値しないニュースの博物館だ。そのまま進め! 左へまわりこんで。おれはこっちにいる!」

コテージいっぱいに積み上げられた新聞のすきまにあるベッドにいるのが、この迷宮のあるじ、ラティガンです。
彼が、あることをキッカケに新聞を集めるようになったのですが。

そのキッカケというのがコレです。

「あるとき、朝刊を捨て忘れたのがはじまりだった。じきに一週間分がたまり、そのうち《トリビューン》や《タイムズ》や《デイリーニューズ》がどんどんたまっていったよ。あんたの右側は一九三九年、左は一九四〇年だ。ひとつ後ろの山は四一年。みごとだろう?」

そして、

「日付を言ってみろ」
「一九三七年四月九日」口をついて出た。
「ジーン ハーロウ、享年二十六。死因は尿毒症。葬儀は翌日。フォレストローン墓地。葬儀ではネルソンエディとジャネットマクドナルドがデュエット」
「驚いたな!」私は叫んだ。
「ふん、なかなかのものだろう。もっと訊いてくれ」
「一九四二年五月三日」
「キャロルロンバード、飛行機事故で死去。夫クラークゲーブル悲嘆に暮れる」

ラティガンは(ネモ船長と同じく、潤沢な資金を背景に、自分から世界を切り離し)山頂のコテージで、積まれたその一紙一紙を、覚えるほど繰り返し読んで暮らしているのです。
(そして、世捨て人でありながら、多分、誰よりも世界の動きを知っていて、覚えている)

ですが。
ネモ船長の書斎とは正反対で、ラティガンのコテージには、いわゆる『本』は一冊もなく、芸術性、文学性はありません。
ただ、即時性、時事性、リアルタイムこそ命! の新聞が四十年分です。
主人公『私』の相方、刑事のクラムリーは、こう言っています。

「ばかばかしい! 印刷されたそばから死んでいく新聞記事なんかと心をかよわせようってのか」

印刷されて、すぐに紙くずになる新聞には未来がありません。
ラティガンの迷宮は、その『過去』の集積所です。
(ネモ船長の書斎も『終わってしまった世界の書斎』なので、このへんは似ているかも)

『過去のーー』というのが、この物語のナゾを解く重要なポイント、鍵になるのですが。
その歴史、積み上げられた重さと貴重さを『私』は、感じ取り、また、ラティガンとコンスタンスのために泣くのです(泣き虫だから)。

話の展開として、とあるコトが起こり、ラティガンのコテージが崩れ落ちます。
それをニュースで聞いた『私』とクラムリーは、コテージに向かうのですが…

山頂に着くと廃墟はなく、大量の新聞紙のピラミッドが、字が読めないにちがいない男の操作するブルドーザーで掻きまわされていた。自分が一九二九年の新聞王ハーストの叫びや三二年の《シカゴトリビューン》発行者マコーミックの爆発を刈り取っているとは気づきもしない。ルーズヴェルト、ヒトラー、ベイビーローズマリー、マリードレスラー、エイミーセンプルマクファーソン。ここで土に埋めてしまえば二度と帰らないのに。

「落ち着け!」
クラムリーは言った。
「でも、あれほど貴重なものなのに、あいつがしてることといったら!」
私は前のめりになって、二、三枚の紙面をつかんだ。
ある紙面ではルーズヴェルトが当選し、二枚目では死亡し、三枚目では再選を果たしている。(中略)
「まったく」私は愛しい紙面を胸に押しあてた。

初めてコレを読んだ時、ラティガンの言う『公刊に値しないニュース』という言葉がすごく印象的でして。
本とは違って、繰り返し読まれることのない新聞、そこに書かれたニュースを集めた場所。
公刊に値しない、トコロが(役に立たないと言われることの多い)ブンガクに似ているような気がしたのを覚えています。

例えば。
作者ブラッドベリは、ポーやヴェルヌ、ボーム、スティーブンソンなどの大ファンでして。
(ワタシも、この作家さんたちはとても好きなのですが)それでも、これらの本がおいてある書斎だったら、これほど印象に残るだろうか、と。
何て表現したらいいのかわからない情熱で新聞を蒐集しているラティガン、そして、その出来事を、それを記録したもの、新聞を愛しく思う『私』(≒ブラッドベリ)を、ワタシは好きなんだなあ。

それで。
この『さよなら、コンスタンス』読んだのはもう何年も前で、今回改めて読んだのですが。
ラティガンのコテージが崩れる場面なんですが、ワタシが(最初に)読んだのと違うような気が。
確か、崩れるところを『私』が万感の思いを込めて見つめているシーンがあった《 は ず 》なんですが。
どこを探しても、何度、ラティガンという文字を拾っても見つからないのです。

本を読んでいると、たまーに、こういうコトがありまして。
最初に読んだ時、忘れられないと思い、ココロに刻まれた《 は ず 》のシーンが、次に読んだ時、なかったりする。
(同じ作者の本を読んで、きっと、それで記憶がごちゃごちゃになっているんだろうなあ、とは思うのですが)

それで思いました。
ワタシの『理想の書斎』について。
広さはこのくらいで、大きな天窓があって、云々〜 というのは、あまりこだわらなくていいから。
こういった、ワタシが読んだ《 は ず 》なのに、失われたシーンがある本が置いている書斎がいい。
子供の頃に読んだ『リア王』、エドマンドが叫んだ、大人版をいくら読んでも見つからないあの台詞とか、この『さよなら、コンスタンス』で、『私』が見ていた迷宮の崩壊のシーンとか、同じくブラッドベリ作品で、いくら探しても、泣きたくなるほど見つからない、あのシーンとか。
ワタシの記憶の中にしかない、本がある、そういう書斎がいい。
そんで、その本棚の隅っこには、クローブを差したちょっとしなびたようなオレンジが置いてあったらいいな(それで(何とか)お題に即する)。

■おまけ〜ブラッドベリからのウィンク

「火の気を立てるなよ!」男は怒鳴った。
私の目の前で、五十年の歳月が大型ごみ容器にほうりこまれた。
「乾いた草と新聞紙、たちまち燃えあがるもの」私はふと考えた。「大変だ、どうしよう、もしもそんなことになったらーー」
「どんなことになるんだ」
「いつの日か、新聞や本が火を起こすのに使われるのでは?」(中略)
「うちの親父はストーブの石炭の下に新聞紙を突っこんで、マッチをすってたぞ」
「なるほど。では本はどうでしょう」
「本で火を起こす間抜けはいないだろう。待てよ、まさか百トン級の百科事典でも書くつもりか」
「いや、灯油のにおいがするヒーローの物語なら書くでしょうけど」

おまけ2■

あんたは永遠に生きるよ

「あんたは永遠に生きるよ」

■おまけ3

「ただでいい、持っていきなさい。この本を読んだ最後の人間は、恐らく、盲人イサーキウス二世だろう。いったいどうするつもりかね?」

(これまた、すばらしー本屋さんの台詞から)

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ワタシのものにならない物語を留めたいと思う〜デイリーダイアリー1冊書き終わりました。

Posted on 14 2月 2015 by

き終わったモレスキン デイリーダイアリーがあります。

2014年1月8日から9月13日まで(というか、最後の日付が書いてあるのが9月13日。ワタシはあんまり日付を正確には書き入れていないのです)8か月少しの間、使いました。
えー、2013年のデイリーダイアリーで、なので、1日1ページの仕様なので、ふつーのモレスキンラージより、たっぷり書ける、と思い、ふつーの雑記用ノートブックとして日付関係なく、書いていまして。

コレが。
なんとも、忘れられない一冊のノートブックになりました。
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HERE AND NOW 〜『旅ノートコレクションvol.2』と迷子になったノートブック

Posted on 09 2月 2015 by

2015年1月10日から25日まで、東京 中野の『旅とひと』をコンセプトにした文具屋さん、旅屋さん『旅ノートコレクションvol.2』が開かれまして。
ワタシも旅ノートを一冊、出展させて頂きました。
1月18日に、この展示を見に行ったのです、が。
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4年目〜 N is for Notebookers

Posted on 22 1月 2015 by

Notebookers.jp、はや四年目を迎えまして。
四年、というと、ワールドカップが1回回ってくる時間なんだなあ。
や、次の一年、また、なにを得てなにを失い、それぞれの向かうところ、流れ着くところ、楽しみですね。
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Notebookers 手芸部は小学5年生の頃のマスコット人形作りのわくわく感を思い出して、あの。

Posted on 07 1月 2015 by

Notebookers手芸部レポートです。
2014年11月22日(土)、手芸会 じゃなく、手芸部を開催しました。
レポート遅くなりまして、大変失礼しております寒いので絶好調ですせらです。

コトの起こりは、読書会だか何かで集まった際に、「手芸のワークショップか何かしませんか」という話になり、そんで、縫い子 @Nuiko_ さんが「誰かがリーダーになって「コレを作りますよー」というんじゃなくて、自分が好きなものを持ち寄るような手芸部をしたい」とおっしゃられ。
「じゃあ、Notebookers手芸部はそんなカンジで!」という流れでした。
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Christmas Dictionary 2014

Posted on 06 11月 2014 by

リモレ、クリスマスモレスキンをご存知でしょうか。
Notebookers.jpにも記事があります。
コチラ>>クリスマス・モレスキン検索結果

「皆で、1冊の旅をするモレスキンのノートで、クリスマスブックを作る」がコンセプトで、このサイトの管理人タカヤさんが2011年から始めた企画です。
カフェや文具屋さんにモレスキンを置いて頂き、お客さんがそれを読んだり、書き込んだりして。
日本国内のみならず、イタリアのミラノ本社まで足を伸ばした、本当に『旅をするモレスキン』なのです。
これに、ちょこっとオマケのようにくっついているノートブックがあります。
Christmas Dictionaryと文字を切り貼りした表紙で、中身は文字通り、クリスマスに関するもの、ケーキ、サンタクロースのこと、プレゼントのこと、文学、映画などをABC順に書き込んでいます。
これは、2012年のモレコラ展で、クリスマスのことを調べてノートブックにあれこれ書き込んでいて、その時に「せっかくだから」と、ツイッターでフォロワーさんたちに「クリスマスと言えば、どんなことを思い出しますか」とお聞きして、その意見、ケーキから映画、小説までいろんなことを教えて頂き。
それをまとめたものです。

その2014年版を作ろうと思います。
ノートブックは、モレスキンのダイアリーのおまけ?薄いアドレス帳を使って、それに書いて行きたいと思います。
今回は音源を仕掛けてー、ポップアップ、飛び出すページも作り込んでー、と。より遊び色を強く。
皆様、えー、

『クリスマスと言えば、どんなことを思い出しますか』

子供のときの思い出、ケーキやクリスマスのごちそう、忘れられないプレゼント、デート、コイビトはサンタクロース? 雪、文学、映画、絵画、漫画、その他なんでも、教えて頂ければ、と思います。
ツイッターのアカウントをお持ちの方は、ハッシュタグ #xmas_Dictionary で呟いて頂ければ。
よろしくお願いします♪

Christmas Dictionary 2014

これから作りながら貼り足し貼り足す。Christmas Dictionary 2014

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生き残ろうぜ!映画に学ぼうPart4@吸血鬼のいる世界

Posted on 15 10月 2014 by

日、友達が「『トワイライトシリーズ』を読んでるのー」と話してくれまして。
トワイライトシリーズ、「吸血鬼の設定が細かい」「世界観が〜」と話が広がり。
その流れから、えー、つい、うっかり、
「ギリシャにもいるんですってー」
「ギリシャの吸血鬼は『歌がヘタ』なんですってー。
そんで、それがバレて『お前、歌下手だな! さては吸血鬼だな!』と退治されたっていう昔話があるんですー」
という、何とも(ワタシが話すと、吸血鬼伝説でさえ)ソレとなく牧歌的になってしまったとか、ありまして。
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横浜トリエンナーレに行ってきました〜No Showを踏まえて〜

Posted on 11 10月 2014 by

トリエンナーレ2014に行ってきました。

ツイッターで回ってきたRTで、トリエンナーレ2014、テーマが『華氏451度』だと知りまして。
これは行かなきゃー、ということで見に行きました。

ヨコハマトリエンナーレ2014 看板

右、鏡文字。


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世界の果てでも、多分わたしはお茶をしながら本を読んでノートブックを書いている7@きんぬき鶏の話をしようか

Posted on 28 9月 2014 by

「きんぬき鶏の話をしようか」

久しぶりの読んだ本レビューです。
その前に、ちょこっと。
iTunesのPodcastで『未来授業』というコンテンツがありまして。
その2013年10月31日分が柴田元幸氏の講義でして。
それで聞いた言葉として、こういうものがあります。
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知のイルカと制する錨

Posted on 02 8月 2014 by

『検索』
この言葉、ココ数年で、すっかり市民権を得ました。
『今週の検索ワード』など、その週、もっとも検索された言葉などがポータルサイトのトピックにあがり、ツイッターなどでも『トレンド』として、流行を知るのにとても便利になりまして。

Google、Yahoo!など、検索窓に単語を入れてエンターキーを押せば、明日の天気から、今夜の晩ご飯のレシピのヒント、政治経済から、よその国のニュースまで、ほぼ一瞬で知ることができます。
また、今日明日のこと、20○○年に××が開通します、建設されます、など、未来のこと、のみならず、ローマに製鉄技術が伝わったのはいつ? とか、中国で青銅技術が確立したのは? とか、そういった過去のことも、それが何千年前のことでも、調べることができます。
今回の記事は、そんな便利さとは全く逆の方向からの『オモシロさ』を書いてみよう、と。
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