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New! 【ノートブックがない旅なんてVol.61】私とパイロットコーポレーション

Posted on 20 8月 2019 by

この記事の目次

  1. パイロットコーポレーションとは
  2. 私がいま愛用しているパイロット筆記具3選
  3. いったん休憩中のパイロット筆記具2選
  4. 若き日を共に過ごしたパイロット筆記具2選
  5. 「 書く、って楽しい」の原点となったパイロット筆記具
  6. 未来を切り開くパイロット筆記具2本
  7. 終わりに

1. パイロットコーポレーションとは

2. 私がいま愛用しているパイロット筆記具3選

(左の2本)ゲルインキボールペン ジュースアップ03と04
写真掲載記事:【ノートブックがない旅なんてVol.59】トラベラーズノートと旅した文房具/2019上半期|Notebookers.jp

ゲルインキボールペン ジュース アップ 03

手帳に予定やメモを書き込むのに最適な激細ボールペン。先月までは04(超極細)ブラックも併用していたが、荷物を少なくしたくなって03のみに絞り込んだ。うっかりなくしたらその時なりの風が吹くだろう。大丈夫、なんとかなる。

フリクションボールノック 0.5mm

ライターとか編集者とかいった職業柄、原稿の校正で頻繁に使う。書いた赤入れを消せるって、革命。仕事がはかどる筆記具に恵まれた時代に生きていてほんとうによかった。

アクロ ドライブ

これまた職業柄ありがたい系筆記具。回転繰り出し式でペン先を出し入れできることが最大の推しポイント。キャップ式にない筆記初速を手に入れるとともに、ノック式で発せられてしまうカチッと音を制御できるので、場の空気を邪魔せずに粛々と文字を書き出せる。

安物すぎず、かといってお高くとまってもいないボディデザイン&カラーもまた良し。茶系ボディのボールペンって探すとあまりないので、そういった点でも特別感を味わえる。ジャケット着用でもお気軽Tシャツでも難なくキリッと馴染んでくれるので、オールTPO対応型筆記具ともいえよう。

3. いったん休憩中のパイロット筆記具2選

カクノ(ペン種F)

カクノ(ペン種M)

2選と言いながら両方カクノ。まずKobe INK物語No.28インク欲しさを言い訳にして、ノンカラー軸発売から少し時が経った頃にペン種Fを購入。続いて明るくも奥深い色彩と物語を凝縮したNo.25インクをきちんと使ってみたくなってペン種Mを購入した。

いま文章を書く手が思いっきりKobe INK物語のインク紹介モードになっていて驚いた。今回の記事テーマはパイロットコーポレーションなので、Kobe INK物語を語る展開はまたおいおい。本題に戻る。

4. 若き日を共に過ごしたパイロット筆記具2選

(左から5本目)ハイテックCコレト ルミオ
写真掲載記事:仕事愛用筆記具十選|Notebookers.jp

ハイテックCコレト ルミオ

  • 発売年:2010年
  • ボディカラー:シャンパンゴールド(だと思う)
  • 主な使用レフィル:◎ブルーブラック0.3mm、◎チェリーピンク0.3mm、◯アップルグリーン0.3mm、◯バイオレット0.3mm、◯クリアブルー0.3mm、◯シャープユニット0.5mm、◯消しゴムユニット
  • 現在の製品名は:ハイテックCコレト 1000・500
  • リンク:https://www.pilot.co.jp/products/pen/ballpen/multi_func/hitecc_coleto_1000_500/

先述のジュースアップ以前の手帳相棒筆記具。2011年には既に使っていたと記憶している。そこから今年6月までか。ボディカラー違いのコレト1000数本も含めて、長い付き合いだったなぁ。お疲れさま、しばらくゆっくり休んでおくれ。

ドクターグリップ(シャープペンシル)

  • 発売年:1991年(のはず)
  • ボディカラー:使用当時何色を使ってたかって?記憶にございません。
  • シンの太さ:たぶん0.5mmシャープだったと思います。
  • 方式:フレフレ&ノック式……でしょうか、当時も。
  • グリップ:シリコンラバーだと思う!
  • リンク:https://www.pilot.co.jp/products/pen/sharp_pen/sharp_pen/drgrip/

人間工学に基づいて開発された画期的な筆記具!学生時代の学習全般を支えてくれたシャープペンとして、私を静かに支えてくれた。勉強がはかどらなくてフレフレ気分転換した数分間も、使い込みすぎて汚れたシリコンラバーを残念がった日々も、今となっては懐かしい思い出……とかなんとか言ってちょいと感傷に浸ってみたり。さてこの記事は後半へ。

5. 「 書く、って楽しい」の原点となったパイロット筆記具

ハイテックC(03)

元祖極細ボールペン。学生時代の学習全般ならびに暇つぶしで書く4コママンガ制作、つまらない授業を楽しくするメモや手紙の交換などなど、当時思いつく限りのあらゆる「書く」環境で多彩にお世話になった筆記具である。

ハイテックCを初めて手にした当時の私は小学6年生。通っていた珠算塾の年末恒例行事「珠算大会」の上位入賞者に贈られる賞品として、ハイテックC(たしか03)の5色セットを獲得した。いま記憶を辿る限りでは、人生で初めて自分の実力でモノを獲得した手応えを得た出来事であった。

鉛筆やロケット鉛筆が主要筆記具であった小学校文化にすっかり染まっていた自分にとって、激細ボールペンの存在そのものがまぁまぁ衝撃的であった。実際に手にとって文字を書いてみると、これがなかなか書きやすい。細かい字だってラクラク書ける。当時やたらに授業中ノートに文字や図を書きまくっていた当時の自分にとって、ハイテックCはあっという間に心強い友となった。

月日は流れて高校時代。一生かかっても使い切れない勢いで何本も何本も購入しては使ったり飽きたりしていたある日の出来事だった。次の授業がある教室に移動する際、どこかにペンケースをまるごと置き忘れた。そのペンケースは見つからなかったし、絶対に見つけ出そうとする気合も湧いてこなかった。手持ちの全ハイテックCの半数以上を紛失したあの日は、私にとって「ハイテックC時代終幕の始まり」の象徴として今も残像に在る。具体的な日にちも学期も季節でさえも思い出せないのだけど。

6. 未来を切り開くパイロット筆記具2本

2020(フレフレ)

PILOT 2020 is 最高で最強!ドクターグリップ世代の私が行き着くシャープペン is 2020(フレフレ)ですね!文具店で見つけてブラック即決買い!

数ヶ月前から始めている「その日の終わりに3行前後のライフログ」記入用のメイン筆記具として只今絶賛活躍中。日中ボールペンメイン派の身にとって、0.5mmシャープペンの2020(フレフレ)は重要な気分転換ツールでもある。

コクーン(万年筆)

今使っている手帳&メモ帳と一緒に持ち歩く万年筆として購入。えぇと買ったの何日前?わりと最近。2020より新しい。

コクーンもカクノと同様、「このインクを使ってみたい」を起点にして購入に至った。万年筆インク〔ランドスケープ〕は、ボトルの佇まいがまずいい感じ。加えて色味と景色の奥深さがまた何とも言えなくてですね……、とか語るとまたしても記事テーマから逸脱するからいったん区切りをつけましょうか。そういえば肝心のコクーン情報一切書いてなかったので、詳細気になる人は上記リンクをクリックして確認してみてくださいね。

7. 終わりに

本記事を目次から順に読み進めてくださった方も、途中すっ飛ばしてここまで辿り着いた方も、いきなりココから読み始めている方も、全員まとめて「読んでいただきありがとうございます!」この記事が、みなさまにとってちょっとした暇つぶし程度であっても何らかのお役に立ちましたら幸いです。

記事を書き進めれば書き進めるほど、パイロットコーポレーションの凄まじさを実感しました。今年5月に移転した本社の方角を向いて、ひたすら「いつもありがとうございます!」と御礼申し上げるのみです。まだまだいろいろお世話になりそうなので、今後ともよろしくお願いいたします。

なお、本記事に記載した各種情報は、主にパイロットコーポレーションのホームページを参考にして掲載しています。できるだけ正確な情報収集に努めましたが、私の見間違いや見落としがゼロとは言い切れません。あらかじめご了承ください。そして読者のみなさまが各々のやり方で知りたい情報を確認していただければと思います。

8. Bonus Paragraph

「フリクション」は、アメリカのリアリティーショー形式のファッションデザイナーズバトル番組「project RUNWAY 16」のオフィシャルペンです。

  • 「project RUNWAY 16」は、日本でもWOWOWで放送されていた。数千人もの応募者から審査を経て選ばれた出場デザイナーは16人。バトル最下位になれば即脱落するシビアな展開を乗り越えて見事優勝を決めるデザイナーは誰?
  • 「人気リアリティ・ショー」×「こすると消えるボールペン」ブランディングのケーススタディ

「project RUNWAY 16」出場者のKentaro Kameyamaがフリクションを語っている。その内容はmarie claireに掲載されている。

最終決戦の舞台はニューヨークファッションウィーク。ここまで勝ち残ったKentaroを含む4人のデザイナーがコレクションを披露する。

ランウェイを歩くモデルがさまざまである理由は、シーズン16の特徴的なルールにある。そのルールとは、デザイナーが毎回サイズ2から22までのモデルとランダムに組むことである。

以上の情報を踏まえたうえで、次の動画を再生しよう。Kentaroがファイナル・ランウェイに送り込んだコレクションは、音も含めて訴えかける作品だと思う。観客のリアクションも込みで楽しんで。

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【ノートブックがない旅なんてVol.60】デジタルとアナログを融合させて日々いい感じに過ごす方法/2019夏

Posted on 20 7月 2019 by

このお話は、ダイヤモンド社のビジネス情報サイト「ダイヤモンド・オンライン」で『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』刊行記念として寄稿した記事「デジタルとアナログを融合させてスケジュールを上手に管理する方法」の続きのようなそうでないような……、です。

上記記事をさらっとでもご覧になってから戻ってきてくださると、今回のコラム記事はもっと楽しいんじゃないかな。そうだといいな。

2019/04/10時点のマイ・バレットジャーナル構成

寄稿記事が世に公開されてから3ヶ月少々が過ぎた。日々の変化を程よく受け入れ程よく流して過ごすうちに、マイ・バレットジャーナル構成も変わった。これを私は進化と呼びたい。

今回のコラムでは、2019年7月20日時点のマイ・バレットジャーナル構成を紹介する。このコラムが、前回コラムで紹介したTwitterアンケート第3位に投票してくださった皆様、ならびにダイヤモンド・オンライン読者の超超超超超ニッチ層であろう「あの話の続きを知りたい」と思う方々に対するちょっとしたアンサーになったら嬉しいな。想定読者層めっちゃ狭いけど、まぁどうでもいいですかね。

それはさておき、本題へ。

2019年夏のマイ・バレットジャーナル構成

2019/07/20時点のマイ・バレットジャーナル構成

デジタルツール 素早く、抜け漏れなくスケジュールを調整する

  • Googleカレンダー:予定管理
  • Todoist:ToDo管理

アナログツール 書き出して、整理する

アナログツールの詳細

A5サイズノートブック(PAPIER TIGRE)

A5サイズノートブック(PAPIER TIGRE)
今年の冬か春かに購入し、5月から本格的に使い始めている。通算2冊目。

彩り豊かで独創性抜群な表紙がとてもステキなメイド・イン・フランスのノートブック。半年ごとに新柄が発売される。日本の店舗で十数種類の表紙が並ぶ中から、直感でこのノートブック「CITÉ」を手にとって購入した。

3,4ヶ月前まではメイン自由帳として大活躍していたのだけど、最近あまり使えていない。そうはいっても表紙がとてもステキなので、デスクの片隅に置いている。いずれまたノートブックとして使う日が来るまでは、なんとなくそのままにしておきそう。

トラベラーズノート リフィル 2019週間バーチカル 後半

トラベラーズノート リフィル 2019週間バーチカル 後半
TRAVELER’S FACTORY NAKAMEGUROにて購入

うちの茶トラ大改革!トラベラーズノートユーザーになって初めて、ダイアリーリフィルを購入した。

週間バーチカルタイプの手帳は2001年からメーカー変えつつなんだかんだで毎年使い続けているので、早くも「馴染む」手応えアリ。トラベラーズノートの週間バーチカルを1ヶ月近く使って実感した良いところをざっと書き出しておくので、手帳比較検討のご参考にぜひ。

  • 1冊あたりの週間ページは、1年分ではなく6ヶ月分
  • 月曜から日曜まで均等なスペース
  • 7時から23時までの時間軸
  • オリジナルの筆記用紙(MD用紙)の書き心地がよい
  • 週間ページ右端で、前月・当月・翌4ヶ月を俯瞰できる

トラベラーズノートリフィル 2019週間バーチカル 後半
背表紙の裏もカスタマイズ範囲

トラベラーズノートの楽しみはカスタマイズにあり、ですよね!

私は背表紙の裏に、今春に携わった仕事を通して知ったSDGs(SustainableDevelopment Goals:持続可能な開発のための2030アジェンダ)をざっくり咀嚼するための紙を貼っている……と見せかけて、先月書いたコラムで紹介したフォトアルバム用ビニールコーナーに挟み込んでいるのはココだけの話。次の手帳への引き継ぎもラク。

あとココフセンも貼っている。一時期やたらにココフセンを買い込んでいたので、手帳以外にも本とかノートとかいろんなところに貼って活用機会を増やすようにしている。

トラベラーズノート リフィル 無地

トラベラーズノート リフィル 無地
旅記録目的で使っていた頃。今後は日常でも使うつもり

いまさらNotebookers.jpで説明する必要……ない、ですよね?ですよね!(そろそろ記事書く手を休めたいので説明割愛)

ミニ TO DO リスト / モノトーン(A FLOATING LIFE)

ミニ TO DO リスト / モノトーン(A FLOATING LIFE)
レギュラーサイズのジッパーケースにすっきり収まるA6変形サイズ

旅記録目的でトラベラーズノートを使っていた頃は「持ち物リスト」「1日で行きたい場所リスト」「1日でやりたいことリスト」……などなど、旅におけるさまざまな情報の整理整頓に役立った。詳細は前回コラム参照。

3,4ヶ月前にも使っていたのだけど、当時はなぜか面白くも難しい仕事が謎に集中していた時期だったので「何とかしてこの困難を乗り越えねば」と焦っていたのだろう。この時期は、直近2週間で特に実現したいことを凝縮して書き出す用途で使っていた。今振り返ると、だいぶ神経を尖らせて日々なんとかして乗り越えていたのだと思う。

今後はどう使っていくのだろう。とりあえずトラベラーズノートレギュラーサイズのジッパーケースに入れといて、いつでもどこでも使えるようにはしている。

いかがでしたか?

2019前半の過ごし方をざっと振り返ったうえで2019後半の過ごし方を改善する第一歩として、手持ちのノートブックと手帳の使い方の見直しは案外有効です。夏休みにやることリストの1項目に「ノートブックと手帳の使い方を見直す」を含めてみるのもよいでしょう。

また、夏のうちにノートブックと手帳の使い方を見直すことは、来たる手帳2020一斉発売1stシーズン(9月くらいだと思っているけど、もしやもっと早い??)におけるノートブックや手帳の衝動買い予防にも有効です。Notebookers.jp愛読者の方々は日々十分に予防しているかとは思いますが、自戒を込めて念のため書いておきますね。

ノートブックと手帳を購入する際には、それなりに計画を練ったうえで程よく直感で決める感じが良いのではないでしょうか。個人的見解で。

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【ノートブックがない旅なんてVol.59】トラベラーズノートと旅した文房具/2019上半期

Posted on 20 6月 2019 by

2019年5月30日から6月1日まで、人生初のTwitterアンケートを開催していた。

Notebookers.jp記事テーマはこれまですべて、私ひとりのノリと勢いと思いつきで決めてきた。でもその方法もさすがに飽きてきたので「いっそのこと、読者さんのお力を借りてテーマを決めてはどうだろう?」と閃いた次第。

で。
アンケートの内容と回答結果がこちら。回答にご協力いただいた40名の皆さん、ありがとうございます!

「カバンの中に入れてるアイテムのお気に入りTOP5」「トラベラーズノートの使い方(最新版)」の2強であった。回答者40名のうち30名ちょいの方々は、上位2テーマのいずれかに投票してくださった計算になる。

さて。
この結果を反映して、私は今回「トラベラーズノートと旅した文房具/2019上半期」をテーマに記事を書く。

誰ですか?「そんなテーマ、アンケート回答項目にありませんよ」なんぞ石頭お問い合わせ。Tweetで最初から言ってます『「多いからそのテーマを書く」ってワケではないけれど』って。

むしろ2強テーマをミックスした新しいテーマって超オトク展開ではありませんこと!?少なくとも、わたしはとてもラッキーだと思っているんですけどね。では本題へ。

トラベラーズノートと旅した文房具を入れていたケース

傷跡が眩しいうちの茶トラです。11年目もよろしくお願いします。

この写真では全く見えないのだが、トラベラーズノートと旅する文房具を入れていたケースは「TF トラベラーズノート ペーパークロスジッパー オリーブ」である。薄いコットン生地に特殊なのりで加工したペーパークロス素材でつくられている。

レギュラーサイズのジッパーケースの表紙側には「ファスナー付きケース」、裏側の内側には「3段ポケット」、裏側の外側には「エンベロップ型のケース」が付いている。公式サイトの使用例と表裏逆の使い方をしているようではあるが、気にしないキニシナイ……

ファスナー付きケースに入れていた文房具

それでは、ジッパーケースを開いて文房具たちを取り出してみよう。まずは表紙側「ファスナー付きケース」から。

  • ジュース アップ 04 (超極細)ブラック
    「三者鼎立」、「憂喜和精神」、「難関突破」、「一日一進」、「至誠真剣」の5つの行動基準を社是として掲げるパイロットコーポレーションが2016年に発売した水性顔料ゲルインキボールペン。1本200円(税抜)なので、うっかりなくしても心理的ダメージが少なくて済む。

    インキ10色展開ではあるが、旅先では結局ブラックがいちばん使える。ノートブックへの記録だけでなく、とっさになにかの書類に書く場面にも余裕で対応OK(出入国カードとか代表例ですよね)

  • ジュース アップ 03 (激細)ブラック
    04より細い筆跡を書けるボールペン。04は超極細で、03は激細。もはやどっちが細いかわからない超精密展開……。

    04、03ともに、ワンノックですぐ書き出せるスタートダッシュ力と、商品名やメーカー名を仰々しく主張しないボディデザインと、筆記中常になめらかに走るインクが気に入っている。

    同じインキ色の04と03両方を持っていると、下手な絵を書かなくても文字だけで見栄えのするページを作れる。見出し行を04で、本文を03で書き分けるとか。同じシリーズで同じインキ色のボールペンを2本持っているので、うっかりなくしても心理的ダメージは少なくて済む。

  • ぺんてるサインペン グレー
    1963年に発売されて以来、世界中で愛されているロングセラー筆記具。チェックリスト消し込みとか、ボールペンの書き心地やインキ黒々しさに飽きた場合に備えた気分転換ツールである。色は黒でなくグレーがいい。

    ところで、ぺんてるWebサイトを見たら、サインペンのグレーが見当たらなかったのだけど、まさか無くなってたりしないよね……(筆touchサインペンのグレーはある)

  • PENCO Brush Writer イエロー
    海外ブランドの筆記具っぽい見た目をしておいて、実は国内の老舗筆メーカーと作り上げたブラシライター。色味はマイルドライナー(ゼブラ)のマイルドゴールドに近い。

    もうちょい具体的なイメージは、オンラインストアでご確認を。いっそ1本買って試していただく方が早いかと思いますが(1本270円(税込))

  • フォトアルバム用ビニールコーナー
    紙が厚いショップカードをノートブックに貼るのに、スティックのりでは若干心もとない。マステ活用もナイス選択肢だが、長さに限りがあるので慎重に使いたい。

    こうした些細な悩みをあっさり解決してくれるツールが、コクヨのフォトアルバム用ビニールコーナーである。400片入りって量も十分。ケースに入れてもかさばらない薄さで、メーカー希望小売価格240円(税抜)

    使うか使わないかはさておき、トラベラーズノートを携える旅人なら次の旅にひとつ備えておいていいツールだと思う。

  • XS コンパクトハサミ 白
    トラベラーズノートと旅する筆記具以外の文房具に求められる最大要件は「小ささ」である。ジッパーケースに入るサイズは必須だし、できることなら小さく薄く。そして見た目の存在感も小さくあってほしい。

    これらの要件を満たすハサミを模索した結果、2019年上半期時点ではデザインフィルのXS コンパクトハサミ 白がマイベスト。片手スライドで刃を出し入れできるのが特徴。すぐさま切る所作を始められるし、使い終わったらきちんと仕舞えばうっかり刃が飛び出す心配なし。

    あえて使用上の注意を述べるなら、飛行機に乗るときは必ず手荷物に預けること。うっかり手荷物検査に引っかかって厄介な展開になったら、旅のはじまり(または終わり)が若干残念になってしまう。

3段ポケットに入れていた文房具

  • 選抜マステ巻き巻きカード
    名刺サイズの無地カード(エトランジェ ディ コスタリカ)に、この旅で使いたいマステをぐるぐる巻いただけ。15mmマステなら5種類巻ける。今回巻いたマステは全てヨハク

    撮影時は旅の終盤だったため、かなりマステを消費している。空白地帯はその証。途中ファスナーケースに入れていたスティックのりを使い切ってしまうハプニングもあり、とても素敵な柄のマステなのにまるで両面テープのごとくくるり一巻きして紙の裏面に貼っていた。次回の旅ではスティックのりの残量をよく確認し、マステをきもち多めに巻いておこうと思う。

  • ほぼ日のひとことふせん サーカス(レッド)
    1日1ページ手帳といえばのほぼ日手帳さんと、イラストレータユニットのBob Foundationさんとのコラボふせん。最新ページをすぐ開けるようにインデックスとして貼り付けたり、ちょっとしたメモを関連ページに加えるために使ったり。旅ノートのおともとして汎用性が非常に高いアイテムだった。
「ほぼ日のひとことふせん サーカス(レッド)」なかみ

エンベロップ型のケースに入れていた文房具

  • ミニ TO DO リスト モノトーン(A FLOATING LIFE)
    もともとは、直近2週間で特に注力すべきことを書き出すために使っていたアイテムだった。

    しかしこのフォーマット、トラベラーズノートレギュラーサイズとの相性抜群!旅の出発前にはジャンル別持ち物リスト&チェック表として、旅の道中では明日の行きたい場所リスト&優先度確認表として、とっさに何かを書きたくなったら取り急ぎのメモ帳として、とにもかくにも縦横無尽の大活躍っぷり!モノトーンかつ最小限の機能に、ほんの少しだけブランドのおしゃれさを漂わせてくるこのフォーマットが、私にとっては最高なことこのうえなかった。トラベラーズノート使用歴11年目でも、まだまだ新しい発見はある。
ミニ TO DO リスト モノトーンを使って、旅のおとも文房具をチェック
  • CARDRIDGE dünn イエロー(ロンド工房)
    かろやかに暮らしを彩るレザークラフトの超薄型名刺入れ。「カードリッジ デュン」と読む。今回の旅で名刺交換をする場面はないと思っていたけれど、念のためCARDRIDGE dünnに名刺を数枚入れていた。

    結局1枚も名刺を渡さずに旅は終わったのだが、話の流れの都合上、うっかり1枚名刺をいただいた。その方、ニュージーランド出身とか言ってたかな。小学生レベル英語7割と相手にわかりやすく伝わりそうな簡単日本語3割、時折少々のジェスチャー程度の割合で、なんやかんやな話をした。私が文房具好きだと言ったら「私は北星鉛筆を使って絵を描いてますよ(in English)」って返しがきてびっくりした。「鉛筆」ではなく「北星鉛筆」……メーカー指定かーい!ほいで絵がまぁ緻密すぎ!!!

  • 型染柄ぽち袋 ふくら雀(榛原)
    もしものときのお金を入れていた。三つ折りお札がちょうどよく入る。見た目にめでたいデザインだし、CARDRIDGE dünn イエローとの色相性もよい。

2019年上半期を旅したトラベラーズノート写真を振り返ると、陸海空をざっくり攻略していたようす。下半期もよい旅ができるよう、日々淡々とがんばろう。

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かわりつづけるからかわらない

Posted on 16 6月 2019 by

かわらないものはなにもない から かわるものはなにもない
かたときもかわらないでいる もの はどこにもありはしない
とめどもなくかわりつづける もの にはかわり目などはない

脳は諦めない

ちがっているもの どうし をくらべることは
もとよりできない かわり つづけることには
慣れることさえも 不可能 であるはずなのだ

報告可能性

かわりつづけるのなら かわりたいものに
かわろうとするべきだ かわりたいものに
かわりつづけることで かわっていく世界

意識の経験

かわりたくない むかし にもどりたい
などと祈るのは どだい むだなあがき
なにしろなにも かわる ものなどない

2019年5月のマンスリー絵日記
2019年5月のマンスリー絵日記

かわることをおそれず かわらないことをみとめ
過去と今とを比べずに 逃れようのない今の形を
満喫していく全肯定が 唯一の真実だと信じてる

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Notebookers Meeting 〜オフ・オフ・Notebookers 開きます

Posted on 31 5月 2019 by

Notebookers Meeting として、オフ・オフ・Notebookers 開きますー。
7月14日(日)大阪梅田近辺にて。12時頃〜18時頃まで。
途中参加、離脱歓迎。
ノートブックが好きなひと、まだあんまり使ってないけど、どんな風に使っているか見てみたいひと、まったく使ったことないけど興味あるひと、お越しお待ちしております。

以前にも2度ほど開催しております。こんなカンジ。

白地図に「ウクライナはここだ」と参加者さんに類推してもらった1回目

積んだトラベラーズノートがまるで宗教施設のようだと開始から怪しかった2回目

1回目、2回目と開催して。Travelers Notebook Meetingという他でもある名前なので、何か別の名前をつけようと思いまして。
そんで。
和田誠さんの『オフ・オフ・マザーグース』を思い出しました。
和田誠さん(あの平野レミさんのご主人でもあり)、イラストレーターであり、翻訳家でもあります。
谷川俊太郎さんのマザーグースの本では挿絵を描かれていたり。
その和田誠さんが翻訳したマザーグースです。このタイトルは、オフ・オフ・ブロードウェイからとったそうで。
オフ・ブロードウェイというのが、やや小さめの劇場での興行で、オフ・オフ・ブロードウェイは更に小さい劇場での上演になるんだそうです。
和田誠さんは、もう定番になっている谷川氏のマザーグースとは、別の、メインストリームではないけれどもありますよ、という意味で『オフ・オフ』とつけたそうです。

わたし、おそらく、ノートブックについて書いて【いない】ことにかけては、1、2を争うライター(ちなみに、1、2を争っている(争ってないけど)相手は管理人のモレカウ氏だ)なので、ノートブックや文具について、詳しくないし、珍しい文具をたくさん持っているわけではないです。
【そういう】ライターが開催しますので、コアな文具トークなどはできませんが(むしろ、映画や本の話、旅のうっかり話の方が多いかもしれない)、みなさまのご参加、お待ちしております。

お問い合わせなど、どうぞお気軽にー。
ツイッターはこちらになります。>> せら@Treasure_Table

ツイプラを立てています。参加ご希望のかたはこちらからお願いします。

せらの『何度も水を被った雑トラベラーズノート』他のノートブックたちとお待ちしております。

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【ノートブックがない旅なんてVol.58】時代越えをトランジションに利用する

Posted on 20 5月 2019 by

浅草/令和元年五月一日

元号が令和になってから、もうすぐ三週間が経とうとしています。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。元気で楽しく暮らしていますか。
わたしは相変わらず、ノートブックを武器にあちこち駆け回り取っ散らかっております。

本日のコラムタイトルにある「トランジション(transition)」という言葉。
ご存知の方は、心の中で挙手。
わたしはこの言葉、つい数ヶ月前に知ったばかり。

取り急ぎtransitionを調べると「遷移」「変化」「変わり目」あたりの翻訳が出てくる。
しかし私が見聞きしたところでいう「トランジション」は以下の通りだ。

  • トランジションとは、一連の擬死再生プロセスである
  • 外的/内的要因を問わず、何かが終わるところから始まる
  • 終わりからしばらくは、喪失・無力・失望・諦め・苦悶の日々が続く
  • 底辺中の底辺まで沈みきったある日ある時あるタイミングで、風向きがいい感じに上向く
  • うまいこと風に乗っかってしまえば、終わりを終わりきって新しい始まりを迎えられる

プチ・トランジション(ex. 会社員からフリーランスへの転身)経験者は思う。
トランジションって、わりとタフ。
気力体力、時の運。知識や知恵も必要かしら。
あらゆる要素を総動員しなければ、終わりを終わりきれないし、吹いてる風にも乗っかれない。

生きるうえで何度かはトランジっておく必要はあると感じる一方で、
テキトーなノリと勢いだけでトランジりきるなんて限りなく不可能だとも推察する。

そんな超小心者の私でも、わりと簡単にトランジれるタイミングがやってきた。
そう、それが「時代越え」

平成から令和へと元号が変わる。
日本特有の時代変化を言い訳にして
平成の残課題を終わらせるとともに、令和を新しい始まりにするための布石を打ってしまおう。

渋谷/令和元年五月三日

平成末期から令和の始まりにかけて、わたしはプチ・トランジションで忙しかったというのに!
なんならまだまだ現在進行形だというのに!
日本を代表するロックユニットB’zさんは、とんでもなく豪快にあっさりやってのける!!!
(しかも稲葉さん、5月1日(推察)に渋谷自撮りしてるしwww)

いやぁぁ〜B’zほんとかっこいい。平成時代にはLIVE-GYM参戦できなかったので、令和のできるだけ早いタイミングでLIVE-GYM行きたい。ちなみにわたしが好きなB’zの曲は『孤独のRunaway』『ギリギリchop』『ねがい』『Real Thing Shakes』『HOME』『RUN』『ultra soul』『……あっもういいですか、すみませんすみません。

飯能/平成三十一年三月三十日

ムーミンバレーパークも、令和のできるだけ早いタイミングで行きたい場所である。
朝から晩まで、一日の移ろいをのんびり感じられる超ざっくり計画を立てて行きたい。
(無計画ではなく、あくまで超ざっくり計画)

【補足】
飯能郵便局の小型印「ムーミンバレーパーク開業記念」
使用期間は2019年3月16日(土)〜2019年6月16日(日)


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おかげさまで10周年

Posted on 09 5月 2019 by

2019年5月9日、よる。
Notebookersライターのsaoriです、こんばんは。

うちの茶トラこと「トラベラーズノート レギュラーサイズ 茶」
本日無事に、10周年を迎えることができまし……

って投稿するつもりだったのに、
きょう撮影のために1冊目のノートを開いたら、使用開始日2009年5月2日じゃないですか!!

こんな信じがたい展開、アリ?
あるんですよーそれが今!

ほんとにほんとに、我ながら心底びっくりしました。
人の記憶は時として豪快に曖昧なのだと、自らの体験をもって痛感しました。

「わたし今年の5月9日にTN愛用10周年迎えるのー♪」とかなんとか、
浮かれた話を聞いてくださった方々、ごめんなさいあれ嘘でした!!

2009年5月2日に1冊目のリフィル(003 無罫)を使い始めて以来、
なんだかんだの紆余曲折はあったものの、
いつの間にやらトラベラーズノートは、時代を越えた旅の連れ?友達?ただの必須文具?
うーんなんだろう。とりあえず生活におけるなんかいい感じのポジションになりました。

出張ついでも含む旅で使ったリフィルは、40冊くらい。
20冊目あたり表紙ナンバリングが面倒になって書いてなかったり、
数冊どっかになくしたりしたせいで、正確な冊数が分からないのです。

10年間、その時にあうペースでトラベラーズノートユーザーを続けていると、
トラベラーズノートとの向き合い方とか、選ぶ基準とか、
ほんの些細なことでも変化していることを実感します。

多くの人たちになにかしらを発信する職業を生業の一つとする身でありながら、
誰よりも、私自身が私の発信に新鮮さを感じられるのかもしれません。

トラベラーズノートユーザーになったことがきっかけで
さまざまな出合いや機会に恵まれたことにも、改めて感謝します。
使い始めた当初にはこの展開、全然考えもしていませんでした。トラベラーズノートすごい。

トラベラーズノートユーザー、10年続けて良かったです。
良かったなぁと、思います。

11年目からは、旅以外でもトラベラーズノートを使ってみようと画策中。
もうすこし、生活に根付かせた使い方をしてみたくなっています。
用途を絞ってときどき使うだけでは、もったいないノートなのではないかと。

筆記具や表現手法などに制限を設けず、
少なくとも使用歴11年目に入った令和元年のうちは、茶トラを使い倒してみます。
(飽きて使わなくなったらごめんね)

今後とも、うちの茶トラをよろしくお願いいたします。

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未来はノートの外にある

Posted on 07 5月 2019 by

未来はノートの外にしかない。
ノートがなければ未来はない

覚えておきたい本文は書き抜いておく

本か手紙かのいずれかを処分せよ、といわれても動じない。
必要な、本は抜書きしてあるし手紙はスクラップしてある。

資料を書き抜き、思いつきをメモする

過去を現在にもってくるのがノートだと思う。
現在を未来へと解き放つためにノートがある。

書いている途中に挿入される無関係なことがら

メモからノートへ、一切を遮断して記す作業もあれば、
さまざまな音や景色の中に埋没しつつ記すこともある。

捕まえたモノは決して離さない

どこかで何かがつながる。時間をもたない様々な事物。
しかし、それらを解読し展開する時空は限られている。

次元の異なる雑多なものを結ぶ

見開きという限定された容器の中に醸成される織物。
脆くとも見苦しくとも、害悪であったとしてもよい。

展開する左頁をアンカーする右頁

抜書きは解体され、思いつきと衝突事故を引き起こす。
思いつきは分解され、抜書きの行間に溶け込んでいく。

言葉だけでは足りなくなる未来の形

今の少し過去までの膨大な功績がもつれるノートの中。
お陰で少しだけ風通しのよくなった今の少し先の未来。

ノートは未来の外にあるから、
未来はノートの外にしかない。

おまけ 4月マンスリー絵日記

世界バクの日ありましたからバク週間があります。

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東の果ての霧の町の灯台

Posted on 03 5月 2019 by

 
此処から東へ東へ、東の最果ての断崖に、明治のはじめに造られた白亜の灯台が立っている。碕の高さと塔の高さを合わせると51mにもなるその灯台の灯は、海から見るときっと、星のように見えるのだろう。

灯台は ”フォグホーン” を備え、周囲を霧で閉ざされた時にはそれを鳴らしたという。過去の記念に残されたサイレン、今はもう、その音が海に放たれることはない。

キャラメル

朝、駅までの途中のコンビニでキャラメルを買って、ポケットに入れた。

キャラメルは、旅の支度の最後、仕上げに持つ旅行には欠かせない携行品の一つ。
長い旅であれ短い旅であれ、旅行は刺激と緊張の連続だ。ちょっと疲れた時、ちょっと気分を変えたい時のための、キャラメルは旅の友。人混みの騒々しい音や匂いとか、自分にとって好ましくない刺激で息苦しく感じた時に、空気と時間を自分に戻すおまじないのキャンディでもある。
 

夜の匂いから朝の匂い

6:00、いつもの通勤とは逆方向の電車に乗る。休日なのでそれなりに空いてはいるけれど、乗客の半分くらいは朝まで都心で遊んでいたらしいぐったりした人達で、車内は夜の電車の匂いをひき摺っている。

駅に着くたび、ふらふらと一組降り、二組降り、途中、何本かの線が混じる駅でほとんどの “夜組” が降り、代わって乗ってきた人々で車内は平日の通勤電車を薄めたような朝の匂いに変わった。
 

ターミナル駅

6:50、千葉駅着。次の総武本線の乗換えまで20分と少し。

持参の魔法瓶のお湯でコーヒーを飲めないかと駅構内のコンビニに入ってみたのだけど、紙コップも紙コップ入りのインスタントコーヒーも見つけることができなかった。そうか、コンビニといっても駅のキオスクの派生種だ、売ってるものもそういうことかと、自分なりに納得して店を出る。
 

窓からの景色

これから乗る総武本線のホームに降りると電車はもう着いていて、ぽつんぽつんと疎らに乗客が座っていた。

車両の座席は通勤電車と同じロングシート。ちょっと残念に思いながら何処に座ろうかとゆっくりホームを進んで行くと、先頭車両でボックスシートを見つけた。いそいそと乗り込む。ボックスシートだけじゃなくて、特急列車のような大きな窓もある。通勤電車と観光列車(?)を合わせたようなおもしろい車両。大きな窓に面したボックスは少ししかなくて、そのうちのひとつに座る。

こんな大きな窓がついているのだから、景色も良いに違いないとスマホの地図(以下『地図』)で線路をたどってみる。……海が見えるわけでもなく、千葉から成田の南を通って銚子まで進む、どう考えてもただの千葉(失礼💦)だけど、いやいやこんな大きな窓がついているのだから、何か見るべきものがあるはずなんだと、どんな景色が見えるのかソワソワしながら発車時刻を待つ。
 

車窓 ─ 藤と白鷺

7:15。モノレールの線路を見上げながら、千葉市のよくある地方都市っぽい景色で出発した列車。ここから2時間、各駅停車でトコトコと進む。

市街部を抜けてしばらくすると、景色は千葉の郊外らしいものになってきた。いや、といっても、わたしは関東の生まれじゃないし、昔、外房の方に何度か行ったことがあるのとあとは成田空港しか行ったことがないくらい千葉には縁がないので、これが本当に “千葉らしい” のかどうか、本当のところは分からないのだけど、何となくわたしの中で千葉の内陸の地形はこんな感じと思っている景色、“想像上の千葉” の景色が車窓から見えはじめた。そうだ、南総里見八犬伝はこんな感じじゃ…!と思ったところで、南総はもっとずっと南ではないかと気付く(お、おぅ💦)

平坦な広い土地に、水の入った水田が連なる。今はちょうど田植えの季節のようで、小さな稲苗の明るい黄緑が、たぷたぷした黒い田んぼの水からちらちらと連なって見える。畦道の途中にはところどころ大きなこんもりした木があって、こういう木の下で、畑仕事のお昼にお弁当を食べたりするのかなと想像する。

田園風景を囲んで、山と言っていいのか森といっていいのかよくわからない鬱蒼とした緑の台地。山、というほど盛り上がりはなくて、延々と平たく高さが続いている。電車はその森の中を抜ける。あちこちに、柔らかな紫の、大きな野生の藤が見える。森の切れ間に、水田をそろそろと歩く大きな白鷺も。

白鷺はこの先もずっと、大きいのから小さいのまで、銚子の手前あたりまでけっこう見た。何だろう、千葉って白鷺の土地なんだろうかと思ってちょっとググってみたら、県のサイトでサギ被害(詐欺被害ではな(ry)のページを見つけた。
▶︎千葉県:サギ類についてhttps://www.pref.chiba.lg.jp/shizen/soudan/sagi.html
 

総武本線の単線区間

ふと、窓に迫る緑を感じて「あれ?」と思う。「線路脇の木、近過ぎじゃない???」

東京から千葉までの線を「総武線」という。千葉から先、銚子までの線は「総武本線」。総武線は首都圏有数のぎゅうぎゅう詰め通勤線でもちろん複線(詳しくは、上り下りそれぞれに複数の線を持つ『複々線』というらしい)なんだけど、その総武線の続きの総武本線なんだからこれも当然複線だろうと思ったら、総武本線は途中から単線になっていた。後で調べたところによると、佐倉から銚子までが単線区間と……ほとんどが単線じゃん(;`ω´)

総武本線の単線区間は、ローカル線のような雰囲気がある。何となくまだ都会の電車の気分をひきずっていると、時々「え?」と思うくらい、森の中にぽつんと出来たように見える小さな駅が出てきて驚く。

単線の幅しかないので周囲の樹々は電車に迫っている。「何かよくわからないけど千葉の方の電車に乗ると木が近くてびゅんびゅんする」と思っていた原因はこれかーと気付く。
 

朝8時、成東駅

東金線で外房方面に行く人が降りたのか、電車はガラガラになった。そして10分程度の停車。電車のモーターも切られて、周囲の音がよく聞こえる。鳥の声と、水の入った水田にいるカエルだろうか、リーリーリー、コロコロコロ、という柔らかい鳴き声。開け放ったままのドアから、朝の湿った植物の匂いがする。少し肌寒い。
 

霧の町

8:53の飯岡を過ぎたあたり、地図で見ると九十九里の弓の上端、海がくいっと食い込んで総武本線が一番海に近付いたあたりで、景色に霧がかかってきた。

今回の目的地である犬吠埼灯台では、10年くらい前まで、霧信号所が稼働していた。霧で視界が悪くなった時に、灯台の光の代わりに霧笛を鳴らして音で船に灯台の位置を知らせる設備。そうか、霧信号所があるということは霧の出やすい地域ってことなのかもと、車窓の霧で白っぽく霞んだ景色を見ながら思う。(霧信号とはすべての灯台に備えられていたものというのでもなければだけど)

わたしは霧がとても好きだ。霧を見ると、クリームのような重い霧が身体にまといつく様子が浮かぶ。すぅ、と温みのない重く湿った水の匂いも感じられるようなのに、それが現実の記憶なのか、夢なのか、想像で作った景色なのかはよくわからない。

小さな頃の車での旅行中、山道を走ってるうちに車の鼻先が見えないほどの濃い霧に包まれてしまった時のこととか、旅先での宿を発つ時のまだ夜明け前の朝霧のかかった感じとか、海と川も近い実家で早朝に時々町が靄っていたこととか、キャンプの朝の湿った匂いとか、水に入れたドライアイスのもったりと重くて冷たい煙の感触とか、何年か前にメゾンエルメスで体験した「グリーンランド」の霧のインスタレーションとか、たぶんそういう幾つかの記憶と人から聞いた話を合わせて出来た自分の中の霧の景色があって、それが霧を見るたび浮かんでは、また新しい霧が加えられて、ますます深く重たい霧の景色が作られ続けているような気がする。

何となく霞んだ白っぽい町の景色を眺めながら、9:10、銚子駅に到着。元々予定していた時間よりも1時間程度遅い。こんなに霧の降りるところなんだったら、のろのろ布団に埋もれてないで、やっぱりもっと早く出ていればよかったと思う。早く着いていればもっと霧深い景色を見られたかも、と思う。
 

銚子電鉄

ホームに降りて「そういえば、JRと銚子電鉄ってどう繋がってるんだろう?JR駅から遠いんだろか??」と、乗り換えの案内板か、もしかして銚子電鉄の駅舎でも見えないかとぐるり周囲を見まわしてみ……あった。いま自分が降りた電車の後ろ(というか電車の進行方向の先、車止めの先)に、何やら栗みたいな屋根の小さい建物があって、その奥から水色のかわいい電車がちらっとこっちを覗いている…

何がどうなってるのかよくわからないまま、人もそのあたりにわらわらいるので近づいてみると、やはりそこが銚子電鉄の乗り換え口(?)だった。ICカード用ターミナルが立っているのでそこでピッとタッチして、そのまま、先のホームの銚子電鉄の電車に乗り込む。座って出発を待っていると、車掌さんが回ってきて切符が云々…言われていることの意味がわからなくて「そこでSuicaでピッとしてきたんですけど(※東京近郊の電車の乗り換え口は一般にICカードタッチ1回で退場精算と入場記録ができる)、どうすれば???」と訊くと、ICカードは使えないんです、今ここで行先を言って(買って)くださいとのこと。おお、想像もしなかった切符の買い方である。
 

荒波

9:30 銚子電鉄「犬吠」駅着。

有名な犬吠埼灯台なんだから行くまでの道標が出てるだろうと思って駅を出たら、ない。地図を出して方向を定め、少し歩くと、犬吠埼灯台傍のホテルの看板が出ていたので安心してそれに従い進む。ひどい方向音痴のわたしでも迷わない程度の、それほど難しい道ではないようだ。

駅から灯台までたいした距離じゃない筈なのに、何故か歩いてる人はいない。車通りも少なくて、地図を見ながら慎重に歩く。地図上で道々の要所の標にしていた海岸へ降りる脇道あたりに正しくそれらしい道があって安心する。「この先は海かー」と思いながらその道の先を見下ろしてみる。……目を疑うような景色。道の先の正面、黒い大岩があって、そこに真っ白な波がぶちあたってザッパーンと砕けている。

「え?あれ、もしかして海?????」←波が荒れることを知らない瀬戸内の民

さっきのは本当に海だったんだろうかと首を傾げながら、本来の灯台への道をもう少し進むと、下の方を見下ろせる小さな展望台があった。

犬吠の今宵の朧待つとせん

高浜虚子の句碑と、白亜紀浅海堆積物という周囲の地層に関する説明板がある。そして眼下には、轟音と、荒々しい海。

う゛…、本当に海だ(怖)
 

オヤジの海ですかこれは…

犬吠埼灯台に登る

映画の始まりに出てくる三角形のロゴの背景みたいな海にドキドキしながら歩いていると(※あのロゴの背景の海は本当に犬吠埼の海なのだそうだ)、いつのまにか灯台のそばに着いていた。空が白いので白い灯台に気がつかず「わー、灯台が見えた✨」という感動がないまま、灯台に着いていた。

四角く囲まれた灯台の敷地の入口で、入場料200円を払って中へ。

灯台と、灯台の台座部分にある資料室。別棟の資料館。納屋だかあずま屋だかのような口の開いた建物にはベンチが並んでいる。霧笛舎。あとは灯台の本来の仕事用らしき立ち入り禁止の建物とレーダーのタワー。とりあえず敷地内の建物の数を確認して、先ずは灯台に登ってみることにした。

塔内の狭いらせん階段をくるくる回りながら99段登りきると、灯台の灯の下のベランダのように張り出した外周路に出るドアが開いていた。暗くて狭いところから、明るい外へ。わー、白い、わー、高……わー~~~!!!!!!!?

一気に登った階段で脚の筋肉ががくがくしていることとか、高いところでスマホを持ってる時にいつも感じる緊張とか、霧っぽく霞んで視界が悪く足元は見えるけど遠くの水平線は見えないこととか、見えるところまで目を遠くにするとめらめらのたうち荒れる海が見えてその轟音がゴーゴーと聞こえてるとか、強い風に煽られてるうち自分が風に飛ばされてしまうイメージが浮かんできて、さらに手摺ごと、もっとさらに灯台ごと、このままこの強い風にもっていかれるんじゃないかと想像が一気にどんどん膨らんで混じり合って、外に出て数歩進んだところで突然凄まじい恐怖に襲われる。手摺を持つ手に力を込める、と、手摺が外れて落ちてゆくイメージが浮かび、慌てて灯台の壁の方に手をあてる、と、灯台がふにゃふにゃと頼りなく柔らかく揺れてるように感じ、そのままガラガラと崩れて落ちてしまうイメージが浮かぶ。その場にしゃがみこみたくなるのを必死で堪えて、すっかり足がすくんで、数歩先のドアまでガクガク震えながら戻った。
 

自分の中ではまさに「命からがら」という感じ。予想してもなかったところでいきなりぴよっと飛び出してきた恐怖。今までの人生で一番の高所恐怖体験になってしまった。
(ちなみに過去の最高ランクは吊り橋と観覧車とロープウェイ、あ、そういえば石廊崎灯台の断崖絶壁もかなりキタのを思い出した。灯台のあるような場所はだいたい怖いのかもしれない…気をつけよう…)

外周路の内側のちいさな踊り場に入ってしばらく息を整える。風の当たらない内側に入ると大分安心するけど、時々ふっとこの小室の外はさっきの風か吹きつける空中なんだという事実が浮かび上がってまた恐怖が襲ってくる。

捕らわれてしまった怖さから気を逸らすために、階段を登ってくる人たちに注目する。階段をひょいひょい登ってきた人の視線につられて上を向くと、レンズ室への上り口の細い階段が続いていた。が、当然といえば当然か、立ち入り禁止のプレート。怖くなってここで休まなかったら、この上り口には気づかなかったなーと思いながら、気も逸れてきたのでそろそろと降り始める。少し混んできた様子で、どんどん人が登ってくる。

灯台から降りてもさっきの動揺でまだ少し震えていたので、灯台に登る前に見ていた納屋のような休憩用と思われる建物に入ってしばらく休む。

人が増えてきたとはいえまだ10時で、それほど混雑はしていない。このベンチがある建物にもわたし以外は誰も居ないし、出入り口の四角い枠から見える白い灯台の壁と入口がとても美しい。綺麗だなあと思っているうちに、恐怖のイメージも薄らいできた。
 

白い空の霧信号所

この犬吠埼灯台で、本当は、一番楽しみにしていたのは霧信号所の建物だ。何で霧信号所を見たかったのか、理由は自分でもわからないような、とてもよくわかるような。
 

先に書いた自分の中にある霧の景色、そこに、断崖絶壁の白い霧の、空(くう)に向かって鳴る霧笛舎の姿を映したい。それとも、現実の霧笛舎の鳴らないラッパに、空想の、クリームのようにねっとり重たく冷たい霧の中で稼働している霧信号所の姿と音を重ねたい。

犬吠埼灯台の周囲には、崖の植物を観察したりするための遊歩道がある。その遊歩道から霧笛舎のラッパを見上げ、ラッパの向いている海の果てを眺めた。
 

見上げる灯台、波はホクサイ

遊歩道の途中から下に続く階段を見て、海まで降りてみようと思いつく。このひどく荒れているように見える海(外房の波は高いと聞いたことがあるけど、もしかしてこのくらいの波はこの辺りでは普通だったりするんだろうか?)を間近で見てみたいという怖いもの見たさもある。

ゆるい階段をてくてく降りるとあっという間に海で、上から見下ろした感じよりもずいぶん近く、また、波も案外怖さを感じない。ちょっと拍子抜けしながら灯台を見上げる。四角い崖の上に立つ白い灯台と、緑灰色の草と岩の景色が、どこか最果ての、日本の景色ではないように見えてくる。

立ち入り禁止の看板のあたりまで海に近づいてみる。この角度からだとやってくる波がよく見えて、葛飾北斎の絵の波の形をしていることに驚く。←波は高くても山型しか知らない瀬戸内の民
 

灯台と照射塔

11:30。そろそろ、もう一つの目的であるお午から開く日帰り温泉に移動し始めてもよい時間。

9時頃には霧っぽく白く霞んでいた空も、昼近くなって晴れてきた。ずいぶん遠くまで、水平線もぼんやり見え始める。眺めているうちにも霧が解けて、遠くの景色が濃くなってゆく。
 

灯台の高台から浅い湾を超えて南、朝来た時には見えなかった東に向かって伸びる平たい岬と、その先の岩がちな小島が幾つも見えた。よく目を凝らすとその平たい岬にすっくと立つまっすぐな塔。あそこにも灯台があるのかな?と調べてみたら、長崎鼻一ノ島照射灯という、灯台ではなく照射灯といわれるものだった。暗礁等の危険な場所(この場合は一ノ島?)を照らすものらしい。

近くまで行ってみたい気もするし、ここから眺める限り距離的にもそう遠くなく行けそうな気はするんだけど、自分の距離感覚と方向感覚の無さにはちょっとした自信があるので無理はしないことにして、温泉に向かう。
 

犬吠埼観光ホテル

家で地図を見ていた時には灯台のある岬から遠く離れているように思えた犬吠崎観光ホテル。現地を歩いてみると、駅からホテルと駅から灯台までの距離はさほど変わらない(そして駅から灯台までも大した距離じゃない)ようなので、温泉はここに行ってみることにした。海沿いの高台を走る道路から浜の方に降りたところにある海辺の観光ホテルだ。

12:00過ぎ、喉が渇いて水を買うために犬吠駅に寄り道したりしながらとろとろ歩いてきたので、ちょうど狙った通りの時間に着いた。玄関を入ってロビーに進むと、すぐに案内の人が「日帰り温泉ですか?」と声をかけてくれる。案内に従って切符を買い、切符を渡すとふかふかのタオルを貸してもらえる。

お風呂場はそう広くなかったのだけど、昼も早い時間で、泊まりの人たちもチェックアウトした後の空白の時らしく他のお客さんはほとんどいない。遠慮なく手足をダラーっと伸ばしてのんびりお湯に入ることができた。

そして、ここに来た一番の理由、海を臨む露天風呂。蒸々して暑い浴室から、露天風呂のテラスに出る。と、海からの風がふわっと身体にあたり、潮の香りがする。お湯は少し塩っぱくて、海の岩場から湧き出る温泉を連想する。正面には波が打ち寄せる太平洋、下は砂浜、そして左手には犬吠埼と灯台。

たっぷりのお湯でぷかぷかしながら、朝は恐々眺めていた海と波と灯台を眺める。灯台には薄く陽があたり、薄曇りの空のところどころに青空が透ける。もうそんなに怖くない程度に海も青くなり始めている。

昼間なので黒い崖の上に立つ白い灯台が見える。夜になったら崖と灯台は見えず、灯台の投げる灯りが見えるんだろうと思う。なんて贅沢なんだろう。
 

犬吠か外川か、駅までの距離

13:00。お風呂にも入ってじゅうぶん満足したので帰途につく。

地図で現在地を見ると、来た時に降りた犬吠駅よりも終着駅の外川駅の方が “直線距離だと” 近いようなので、そちらから帰ってみることにした。道路をたどると少し犬吠駅の方が近いようにも見えるけど、今日のところ、だいたいこの辺りの距離感は「思ったより近い」ので、遠かったところで大して差もないだろうと。

何の問題もなく駅に着いたので先にここで結果を書いておく。観光ホテルから外川駅と犬吠駅、「大して変わらない」だった。(但、わたしのアテにならない感覚値による)

ちなみに、家に帰ってスマホの歩数計で1日の歩いた距離を見てみると、かなりうろうろ無駄に歩いたにもかかわらず全部で7km程度。犬吠あたりは健康な人なら歩いて散策できるエリアだと思う。
 

海抜19.9mから

犬吠埼から長崎鼻の方に向かう道路は海面から少し高いところを走っている。外川駅方面に向かうためにその道路から逸れるところ、ちょうど長崎鼻の上にあたるところに海抜19.9mというレベル表示があった。何となくイメージしている高さの数字よりも低い。こんなに低いものなんだろうか?いやでもわたしの距離感覚ヒドイからな…と、低くなってゆく道の先を眺めていたら、正面に白い筒…あ、あれはもしかして…さっき行ってみたいと思ってた長崎鼻一ノ島照射灯?見に行かなくても見えた!しかもこんなところから!と何だかうれしくなってすっかり満足する。

ふかふかの電車と素晴らしい魔法瓶

外川から乗った銚子電鉄は少し混んでいた。それで少し、帰りの電車は人気(ひとけ)を避けたくなって、銚子駅にいた特急しおさいに乗ることに。行きはずっと普通列車で、終わりの方にはお尻と背中が痛くなってイゴイゴしていたので、特急のふかふかのシートにふかふか!!と感動する。

切符を買い、何だか時間が無いような気がして(ほら、わたし時間感覚もアレなんで…)飲み物も食べ物も買わずに乗り込んでしまった。車内販売はないかと期待するも、この特急しおさいも既に車内販売が廃止されていた。旅の友キャラメルも、行きの電車と灯台の後で食べきってしまっていた。ああ、と、思い出す。ああ、魔法瓶にお湯があるよ!!

愛用のタイガーステンレスボトルは、注ぎ口が広くて直接口をつけられるマグタイプなんだけど、保温性能がすごく高くて、朝沸かして入れたお湯がお昼を過ぎてもまったく冷めず、難なくお茶を淹れられるくらいの熱湯を保つので、とてもじゃないけど直接口をつけて飲むことは出来ない。(可能であることと適していることは違うのである)そのために朝、紙コップか紙コップ入りのコーヒーを買いたかったのだけど買えなかったし、移して冷ますものがないので仕方なく、蓋をあけ放しにして普通のマグカップのように持って、時々鼻に湯気をあてて温かいものを飲んでるような気分を味わったり、時々飲むのにチャレンジしてやっぱり舌を火傷しかけたりしつつ、ふかふかの電車で揺られて銚子から東京に帰った。
 

旅装を解く、雨

駅に着いたら雨が降っていた。しばらくはフードを被って歩いていたのだけど、どんどん雨足が強くなってきて、とうとう折り畳み傘を出した。ここのところ雨続きで、予報でも雨が降りそうな感じだったのでバックパックに入れて一日中持ち歩いているだけだった傘を、最後の最後にひらいた。
 
 

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ソフィ・カル展〜限局性激痛 見てきました

Posted on 30 4月 2019 by

3月13日、原美術館のソフィ・カル展へ行ってきました。
本当は1月に行く予定だったのですが、へ、へっへっへ、う、紆余曲折があり、3月になりました。

ソフィ・カル、フランス人アーティストです。>> wiki

写真と文章を組み合わせて作品を作ることが多く、また、ひとにインタビューして、その記録を作品にする、という傾向が多いです。
このソフィ・カルという人物、わたしが初めて知ったのは、美術館の作品の展示ではなく、なんとポールオースターのエッセイでした。
『トゥルーストーリーズ』というオースターのエッセイで、『ゴサムハンドブック NYの暮らし方について』があります。これがソフィ・カルのために書かれた、というもの。
その他にも、オースターの小説『リヴァイアサン』では、ソフィ・カルをモデルにしたマリア・ターナーというアーティストが登場します。
自分は人一倍好奇心が強く、他人のプライバシーを覗くのが大好き、と話しているそうで、そういうひとが作品を作ります。すると。
鑑賞者は自動的に共犯者となるーー というような記録も読んだことがあります。まずは、そういう覚悟で見てきました。


限局性激痛 これは医学用語で身体部位を襲う限局性(狭い範囲)の鋭い痛みや苦しみを意味するそうです。
では、ソフィ・カルのどんな痛み、何の痛みか、というと。

第一室。
1984年 ソフィ・カルは日本に三か月滞在できる奨学金を得ました。が、ちょうどこの頃、長い片思いがようやく実って、これから蜜月ー! という時期で。ソフィカルは、その恋人を置いて、日本へ行くことになります。
なるべく移動して、気を紛らわせたいので直行便で日本へ来るのではなく、フランス、ロシア、中国を経由するというルートを取りーー
その移動と滞在で92日間、帰国までのカウントダウン、1日1枚の写真に、スタンプを押して展示していました。
スタンプは XX DAYS TO UNHAPPINESS と文字があって、このXXに数字が入ります。
わたし、面白がって、その写真全部、ひとことずつ記録とったんですが、これが結果としてすごく良かったです。
(なぜならソフィ・カル展、図録がなかったからです。売り切れ、在庫切れではなく「作っていない」んだそうです)

92から始まります。ずっと見ていくと、83くらいからものすごく淋しくて、このあたり、中国の景色でした。革命歌の流れる小さい駅や、車掌から見た景色、ホテルの便箋らしき用紙に書かれた中国の格言、何敬恒という人の住所らしき文字が書かれたメモなど。
すべてモノクロの写真で、赤で押されたスタンプがものすごく印象的でした。

誰かのパスポートの写真? このように赤いスタンプが押されます。

79 ソフィ・カルの後姿?
おそらく、一枚だけ見たら「あー、中国だなー、万里の長城っぽい?」くらいの感想かと思いますが、一連の流れ、何枚かの連続で、この79を見た時、あ、このさびしいのが激痛って意味なのかな、と思いました。
身が引きちぎられるようでした。

70くらいから、すごく楽しげな印象になってきました。
90→70くらいまでは、写真はモノクロでしたが、69日目くらいからカラーになったので、それもあるかもしれません。
69の写真は、和食の朝ごはんを撮ったものでした。ソフィ・カル、楽しんでる?
67 寝る前のおふとんの写真
66 おそらく起きた時のおふとんの写真
64 銀行の通帳
あと、意外なのか、どうなのか、寺社仏閣の写真が多かったです。
お地蔵様や、台形の石に布を巻いた像に、花が供えられているショットとか、おみじくもひいてたなあ。
(凶でした)

2枚一組で、残り54日。
植込みにうずくまる黒猫 残り36日。

すごく面白かった 46−44、ソフィ・カル、手相を見てもらっています。
1回目 街の手相見に見てもらう。通訳がいないためわからない。
2回目 通訳を連れて行く。見てもらう。
3回目 通訳を連れて、予約が必要な本格的占い師に見てもらう。
行動力、すごいなあ。

残り9日 若いカップルを尾行した、時間をつぶせるから〜 と書かれていました。
(どんな写真だったかは覚えていない)
あと10日くらいで帰れるけど、やっぱりまださびしい? と、思ってしまいました。
楽しそうな日本滞在の写真が何枚も続いた後でした。

尾行というと言葉が強烈ですが。
ソフィ・カルは、こういうことをふつーにします。
ある日、最初に会ったひとを尾行して、その活動を撮影するとか、拾ったアドレス帳に記されたひとを順番に訪問して、持ち主について聞く、とか。それらを記録して、作品として作り上げています。

温泉?露天風呂? 残り28日。

そして最後の一枚。ようやく、やっと、最後の一枚へ来て、ソフィカルは失恋します。
この最後の一枚が、二部への始まりとなります。

第二室
あらためて、局限性激痛がこれ? と思いました。
第二室の展示もまた、写真と文章なのですが……
ソフィ・カルは、フランスへ帰国し、その失恋、痛みと向き合うために、その苦しみ、つらさをひとに話し、また聞き手にも、人生で最も苦しい経験を話してもらい、その話を作品に仕立てます。
(聞き手、というのは、まったくの通りすがり、行きずりのひと、という…)
展示としては、上に写真が一枚、その下にソフィカルの話が白糸で刺繍された灰色の布地が配置され、その隣には同じく、上に写真が一枚、その下に聞き手の話が黒糸で刺繍されたで白い布地がありました。
ソフィ・カルの話、聞き手の話が交互に展示されていました。

ソフィ・カルの話は、最初の3−4枚くらいまでは、殆ど同じで、ひたすら
・インペリアルホテル261号室
・赤い電話
・カーペット
・肉にくいこんだ爪
この4つをキーワードとした失恋の経緯と、ソフィカルの苦悩が綴られています。
そして、聞き取った相手の『激痛』、これもまた身がねじ斬られるような痛みで。
失恋だったり、家族や恋人を亡くしたり、取り返しのつかない嘆きだったりーー
その痛みを何年も抱えたひともいれば、最近、そのつらさを経験したひともいて、2019年の今、彼、彼女たちは、どうしているんだろうなあと思ったり。

そのうち、ソフィ・カルの話の文末が変わってきます。文章自体も長々とつづっていたのが、徐々に短くなり。
ついには「それだけのこと」「これがわたしの物語だ」と言えるようになります。
灰色の布に縫われていた白い糸も、徐々に布地と同じ色合いに変わっていく、という……
そして43回目の聞き取りの時、ようやく「ばかばかしいと思えた」と書かれていて、ちょっとホッとしました。

が。

他者の痛み、それも『激痛』を媒体として、自分の痛みを癒やす、というのは、とか
あなたはそれですっきりしたかも知れないけど、聞き手はーー? とか
聞き取りをした、その後はーー とか、思わなくもない。

ただ。
ソフィ・カル、この”物語”が、どこまで本当なのか。
前述したオースターの小説『リヴァイアサン』に登場するマリア・ターナーというアーティストの話ですが。
ソフィ・カルはこれを面白がって、後年、マリア・ターナーを演じて『ダブルゲーム』という作品を作っています。
ソフィ・カル → Mターナー(フィクション) → ソフィ・カルが演じるMターナー という、ナニこの実在と虚構のマトリョーシカ。それともメビウスの輪?
失恋したのはホントかも知れない。ただ、作品にあるような『激痛』ではなくて「別れよう」「そうねー」くらいの軽いものかも知れない。
ソフィ・カルから別れを切り出したのかも知れない。もっというと、恋人の存在自体、本当じゃないかも知れない。第二部、ソフィ・カルが失恋の激痛を話し、また聞き取った相手も実在しないかも知れない。

と、このあたりまでノートブックに書いたところ、そう言えば、ソフィ・カルの講演記録のPDFがあったっけと思い、引っぱり出してきました。

ソフィ・カルの作品の特徴は、写真あるいは物的な証拠を交えながら、まことしやかにきわどく刺激的なストーリーが綴られることろにある。作品の鑑賞者は、感情移入するため、あるいはスリリングであるために、いつの間にかそこで語られるストーリーをすべて真実だと信じようとする。しかし、ソフィ・カル自身、時として観者ののぞき趣味的な欲望を見透かし、はぐらかすかのように、今まで語ってきたことが虚構であったかもしれない可能性をほのめかす。

ソフィ・カル講演記録の読み方ーーあるいは、ソフィ・カル作品における写真(近藤幸夫)

わたしは、アレだ、ソフィ・カルの手の平で共犯者になりたくないから、こう考えたいのかも知れない。あの聞き取りをしたひとたち、あの激痛、嘆きが本物で、今でもまだ痛みを抱えているのだと思いたくないから、丸ごと否定したいのかも知れない。

でも、この一枚、これだけは、ほんとうに身がよじられるように切なかったです。

おまけ1 旅ノートより

1月の旅ノート 原美術館へ行く気みちみちていました。。。
月曜日が祝日の場合、翌日火曜日が休館になるそうです。
その節は、ネットの皆様、教えて下さってありがとうございました。

おまけ2

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そう、だからNotebookers!

Posted on 17 4月 2019 by

先日、友達の車の助手席に乗り込み、

  • 人ナビ
  • Google Mapナビの補助
  • 記録係

として、活躍してきました。

新しい仕事場に、どのルートで行き、どれくらい時間がかかるのか、一緒に確認しながら、気づいたことを伝える、というミッションでした。

「じゃあ、何時にここを出発、って記録していけばいいんだね!」と私が言うと、彼女は「そうだ」と答えます。

「あー、それなら測量野帳があったらよかったかも」

ハードカバーでちまちま記録を取るのにぴったりで、小さいのになかなかのボリュームがあり、測量だけではなく発掘現場でも使われている!と、測量野帳のことを知らない友達に熱く語りました。

私はまだ一度も使ったことがないんですけどね。

それを聞いた友達は「うーん、それって『測量野帳が好き』というより『ノートが好き』ってことよね」と言いました。

そう!そうなんです!

あれこれ言いますよ、来年の手帳はほぼ日手帳にしようか、桜のモレスキンはかわいい、トモエリバーを使用した入手がラクでお値段もお手頃なノートはないものか。

好みはあるものの、ノートというものが好きなのです。

彼女の言葉を聞いて「そう、だから私はNotebookersなのっ!」と心の中で叫びました。

実際に叫ばなかったのは、あまりに好きなものについて語ると暑苦しくなっちゃうかな、と思ったからです。

でも、とても嬉しくて、心がほくほくする言葉でした。

おしまい

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瑣末な抹消の書式に関する煩瑣な事項

Posted on 17 4月 2019 by

線は一本? 二本? ヘアピン型? 稲妻型? ぐるぐる型?
塗りつぶす派? 楕円形に? 四角形に? 何往復もさせて?
目玉つけて虫にしたりする抹消キャラ的なものがありますか?
修正ペンなら液体派? テープ派? マステでデコるタイプ?
訂正箇所は続けて? 罫線の上?下? 上から強引になぞる?
誤記訂正の痕跡は残すべき? それとも最初からしきり直す?
×印を使用する人のことを忘れてるぞ って思ってましたか?
訂正する場合に筆記具を 赤とか蛍光ペンとかに替えますか?
面倒なのでそのまま突っ走っていくのもありだと思いますか?
ノートに訂正が入るのが嫌な場合は鉛筆で下書きをしますか?
下書きの文を忠実になぞって書くことが苦手は人はいますか?
はい。私は苦手です。そして誤字もものすごく多いのですが、
勢いを押し留めることができないので訂正はとても乱暴です。
訂正が多いノートはそのノートの価値を貶めると思いますか?
訂正が多かろうが少なかろうが書かれた事自体が重要ですか?
なぜそんな誤記をしたのかについて自分で説明ができますか?
誤記には理由があるという考え方についてはどう思いますか?
誤記は抹消加筆によって なかったことになると思いますか?
誤記を見つけて訂正するときあなたは誤記を憎んでいますか?
誤記を消す際 誤記に敬意を表するというのはどうでしょう?
あなたの意図せぬモノの手触りを誤記から感じはしませんか?
その誤記にこそあなたのリアルが潜んでいたりはしませんか?
あなたの誤記への姿勢は他の何に対する姿勢に似ていますか?
この瑣末な抹消の書式に関する煩雑な事項をどう思いますか?

三月のマンスリー絵日記

2019年3月分


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【ダイヤモンド・オンライン寄稿】デジタルとアナログを融合させてスケジュールを上手に管理する方法

Posted on 11 4月 2019 by

上手かどうかはさておいて、概ねタイトルの通りです。
ダイヤモンド社のビジネス情報サイト「ダイヤモンド・オンライン」に寄稿しました。読んでね!

【記事はこちら】
デジタルとアナログを融合させてスケジュールを上手に管理する方法

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April 10, 2019 My schedule management technique & THE BULLET JOURNAL METHOD / Ryder Carroll ⇒ https://diamond.jp/articles/-/198057 * ダイヤモンド社が提供するビジネス情報サイト「ダイヤモンド・オンライン」に寄稿した。自らのバレットジャーナル実践法と、自分と正しく向き合うためのスケジュール管理術を紹介している。 * ところでNotebookerのみなさま。ダイヤモンド社さんといえば『モレスキン 人生を入れる61の使い方』(通称:モレ本2)でおなじみの出版社さんですよね!あの本、2011年9月に発売されたんですって。ひゃー懐かしい。 * モレ本2発売時は会社員兼ブロガー兼ノート好きだったそのへんの文房具女子が、まさか平成末期にダイヤモンド・オンラインでノートの話を寄稿できるだなんて……!誰よりも、自分自身がいちばんびっくりしています!!!素晴らしい機会をくださったダイヤモンド社さん、本当にありがとうございました! * 『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』 ライダー・キャロル 著/ 栗木さつき 訳 出版社: ダイヤモンド社 言語: 日本語 発売日: 2019/4/18 単行本(ソフトカバー): 408ページ https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4478102678/booksonlinea-22/ * #bulletjournal #bujo #bulletjournals #thebulletjournalmethod #thebulletjournalmethodbookclub #bulletjournaljapan #stationery #japanesestationery #japanstationery #notebook #notebookers #notebookaddict #notebookaddicts #hinge #hingea4 #zebra #mackee #mildliner #mildgold #diamondonline #手帳会議 #手帳会議2019 #手帳好朋友 #20190410

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記事内唯一の図版を引きで撮る

4月18日に発売される日本初の公式ガイド『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』刊行記念の寄稿記事なので、書籍に書かれた要素もちょいちょい盛り込んだ記事になっています。

そんなわけで、寄稿にあたり一足早く本書を読んだ。

読後のひとこと感想は「類書との比較自体がナンセンス」。ノートノウハウ教えてあげます系とか憧れのきらきらバレジャ集とか、そういう雰囲気の本ではない。文具系ノート系の本やムックをそれなりに網羅した方にとっても、新しい発見がある一冊なのではないかと、個人的には思っております。あとふつうに、いちNotebookerとして早く書籍の現物がほしい。

『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』
ライダー・キャロル 著/ 栗木さつき 訳
発売日: 2019/4/18
単行本(ソフトカバー): 408ページ

寄稿記事では、私自身のバレットジャーナル実践法と、自分と正しく向き合うためのスケジュール管理術を紹介しています。2019年春のマイリアルノートブックシステムが、どこかのだれかのお役に立てたら嬉しいです。


Instagramでは「書店でぜひ」とか言うとりますけど、いちおうAmazonのリンクも貼っておきますね。

『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』(ライダー・キャロル 著/ 栗木さつき 訳)

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【ノートブックがない旅なんてVol.57】出張先のToday’s TRAVELER’S notebook/2019冬・ 福岡編

Posted on 20 3月 2019 by

ちょっくら旅して…ではなく、出張に行ってきた。
翔んで福岡。とあるITサービスの導入事例取材&執筆案件。
※ 文房具以外の記事も書いてるんですよ!いちおう10年以上前はシステムエンジニアでした。

https://www.instagram.com/p/BuH9Q91ATah/?utm_source=ig_web_copy_link

福岡市は、内閣府地方創生事務局が指定する国家戦略特区のうち「グローバル創業・雇用創出特区」として創業の支援と雇用の創出に取り組んでいる場所である。
そんな理由もあってか「コワーキングスペース」があちこちに点在していた。特に天神、あと博多。
「地理的に天神≠博多」という学びは、今回の出張で得られた収穫のひとつ。えっ常識!?

取材は無事終了。そのまま福岡観光したい気持ちは山々であったが、この時期はいろいろ抱えており、とても軽やかに動ける状態ではなかった。原稿の締切とか、さまざまなスケジュール調整とか、原稿の締切とか校正とか、あと原稿の(以下略)

いやいや、こんなところで負けてはならぬ。
仕事で遠くに行く機会をいかにしておもしろい旅にするか、ここらで企ててみようではないか。

そしたら福岡、いい街ですね!あの辺りって、コワーキングスペースめっちゃ充実してるじゃないですか!!だから、いいかんじのコワーキングスペースさえ探せれば旅気分満喫できる気がするし、仕事するにも環境変えてリフレッシュって大事だと思うんです!!!なのでわたし、コワーキングスペースに引きこもりますね。多少の周辺散策は許容範囲で、何卒。

海を目の前にして執筆がはかどる(と見せかけて、実際は寒すぎて終日室内で仕事をした)

今回お世話になったコワーキングスペースは、福岡市西区の海沿いに建つSALTさん。「目の前すぐ海!」って立地が既に100点超え。内装やスタッフさんも素敵だし、ココまで行くのに乗車したJR九州の車両もまた素敵。

立地の強み一点張りじゃなくて、総じていい感じにゆるくてちゃんとした空気感。新鮮な環境で仕事をしっかり進めたい身としては本当に最高な場所だった。


仕事の合間に砂浜散策リフレッシュ(とても寒かったので短時間で終了)

もちろん寄り道は必須。多少どころかまぁまぁ周辺散策した。

SALTの最寄駅はJR筑肥線の今宿駅(福岡市西区今宿駅前一丁目1-1)
ヒッポー製パン所(SALTから徒歩約1分)

ノートに記録する手段は、書くことだけではない。
「出張先のToday’s TRAVELER’S notebook」の撮影だって、立派な記録方法なのである。

旅目的100%でもなく、仕事目的100%でもない。
旅のついでに仕事するとか、仕事のついでに旅をするとか。
ひとつの時間にあれこれ雑多に織り込んだ結果、とても充実した出張になった。



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1=0.5=2=∞=1

Posted on 16 3月 2019 by

どんなに頑張っても半分までしか分からない
だからその半分が全部だと思ってしまうけど
全部の半分を隠している幕に映る半分のこと
半分を隠さないと何にも分からないのが人間

隠れた半分に映る自分以外はみんな自分以外
自分と自分以外でこの世の半分ができている
あとの半分は自分以外の自分の半分があって
そこでは他人と他人以外の他人が映っている

半分と半分を足して一つになる計算だけれど
一つと一つを足せば二つになる計算だけれど
半分と半分を足して二つになる世界があって
一つと一つを足して一つになる世界があって

自分がいて自分以外の全てがいる世界があり
他人がいて他人以外の全てがいる世界があり
自分と他人がお互いを認めあえる世界があり
他人と自分との区別がなくなる瞬間があって

隠れた半分とそこに映る半分とが明滅しあい
明滅する半分のそれぞれに接する半分があり
その一つ一つの半分ずつとが響きあう刹那に
全ての半分が一つになり無限の一つが現れる

(存在)

おまけ マンスリー絵日記

2019年1月分
2019年2月分

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【ノートブックがない旅なんてVol.56】うぐいすぱんと7曲のトラックリスト

Posted on 20 2月 2019 by

2019年初登校……じゃなくて、初投稿。
Notebookersライターのsaoriです。ココの開設初期からライターを始めて、今年で7年目に入りました。

2019年も手帳はジブン手帳Biz。ウィークリー月初のページにチラットINDEXを貼っている。

自分自身でさえもすっかり忘れていたから世の中規模で見たらなかった出来事になっているとは思うのだけど、Notebookersライターを始めてから4年半くらい、月イチペースでコラム的な何かしらを書いていた。

Notebookers.jp開設当時といったら、改めていま思い返しても(とてもいい意味で)人生で最もノートブックに翻弄されていた時代。モレスキンユーザーの集いにトラベラーズノートをまぁまぁ大量に携えて挑んだおかげで冗談抜きで世界がパキッと開けた頃だった。それからさらにノートブックが好きな人(「文具好き」と言っていないところは地味に重要)が集まるサイトができると聞いたらライターとして参加しないわけにはいかないわけですよ。せっかくだから定期的に書ける仕組みを自分でつくろうと考えた策が「月イチコラム」という展開で、当時はひとり旅でトラベラーズノートをフル活用するのにドハマリしていたからコラムタイトルは「ノートブックがない旅なんて」で即決だった。いまこの記事を読んでくださっている方でコラムタイトルを思い出していただいた方がもし万が一にも居たとしたら、わたしは全力で感謝の意を伝えたいと思っています。

月イチコラムを始めてから3年目くらいかな……、なんだかいろいろばたばたしていて良い記事を書ける気がぜんぜん起きなくなったのは。コトバを満足に扱えない状態ではステキで気の利いた写真など撮れるはずもなく、無味乾燥な心身から話題を編み出して記事を作るのはどうにもこうにも難しく、だんだん適当ペースの更新になって、それからコラムもぱたりとやめた。

最近のトラベラーズノートは、もっぱら被写体扱い。インスタ映えするページは簡単に作れない。

Notebookers.jpという場所がいいなと思うのは、自分から記事なりなんなりを発信できない状態でも、他のだれかがこの場所に、各々のペースでなんとなく薪をくべているところ。個人でブログやnoteを運営していると自分の発信が止まることは致命傷にもなるから無理矢理にでもへんてこな記事を世に晒さなければならないリスクがあるのだけれど、そういったことがココにはないからほんとうに気楽である。だからきっと「前回の記事から2年以上経ってることはさておき、今回のテーマは〜」ってノリでゆるふわにコラムを再開したって無問題。

……長い前振りになってしまった。ここからvol.56のコラム本題。
コラムを毎月書いてた数年前と今とを比べると、旅を目的に遠くに行く機会はすっかり減った。その代わり今は、仕事で遠くに行く機会をいかにしておもしろい旅にするかを想像して実行するといった一連のプロセスがおもしろい。

およそ600gのコンパクトサイズBluetoothスピーカー Beoplay A1は、「遠くに行く」に対する捉え方の変化を象徴するアイテムである。全10色展開のなかから選んだ色は、グリーン。そろそろユーザー歴10年を迎えるレギュラー茶革トラベラーズノートをはじめとする秋色アイテムと好相性だ。グリーンのBeoplay A1は、私の脳内会話では常に「うぐいすぱん」と呼ばれている。

先日はじめて出張先にうぐいすぱんを持って行ったのだけど、これがすこぶる良かった。知らない土地でも耳馴染みの良い音楽があれば、その場を少しは自分のテリトリーに寄せられる。知らない土地だし適当な検索でヒットした知らない音楽を聞いてもそれはそれで、遠くに行っている実感を聴覚で愉しめる。

上の写真ではうぐいすぱんがハンガーフックに吊るされているが、もちろん机上にうぐいすぱんを直置きしてもかまわない。なおうぐいすぱんは、USB-Cケーブル接続なので、macbook電源アダプタでも充電可。

劇場版シティーハンター<新宿プライベート・アイズ>を観に行ってきた話。観るならぜひとも、新宿で。

四半世紀くらい前にテレビで見ていた光景が、まさか2019年の新宿を舞台に繰り広げられられるだなんて!小学校低学年を夕方5時台のアニメで過ごした世代としては、エンタテイメントとしてめっちゃ楽しめた。当面の間は、Get Wildが脳内BGM占有率ナンバー1になりそうである。

本日最後にお届けするのは、いまうぐいすぱんで聴きたいマイベストトラック7。
それではみなさま、ごきげんよう。おやすみなさい。

TRACK1: Get Wild
TRACK2: 孤独のRunaway
TRACK3: RALLY
TRACK4: リライト
TRACK5: travelling
TRACK6: GRAPEFRUITS
TRACK7: 月凪

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毛糸のジッパーケース、スタンダードエディション(パステル)販売日時と価格変更のお知らせ

Posted on 07 2月 2019 by


先日、こちらで製作中と言っていましたトラベラーズノート用の毛糸のジッパーケースができあがりました。販売準備も整いましたのでお知らせです。

販売日時は、2019年2月13日 水曜日 21時からの予定です。

上記日時に、Notebookers Marketに専用ページが出現しますので、ご興味ある方は、どうぞよろしくお願いいたします。

毛糸の色は、上の画像の右上から時計回りにベージュ、グレー、ネイビーです。過去に二度販売したことがあるこの3色は、トラベラーズノートの革カバーに標準的に合うなーと思っているので、「スタンダードエディション」と名付けました。

今回のジッパーの色は、グレーの毛糸にはレモンイエローを、ネイビーの毛糸にはスカイブルーを、ベージュの毛糸にはマスカットグリーンを合わせ、北欧調の内布との調和を楽しんでいただけると思います。

また、前回記事で述べましたように、ジッパーの隠れたところに芯材を縫い付け、片手での開閉がしやすいように改良しております。よって、価格についても次の通り見直しさせていただきましたのでお知らせいたします。

レギュラーサイズ 変更前4200円 → 変更後4800円(いずれも送料込み)

パスポートサイズ 変更前3100円 → 変更後3700円(いずれも送料込み)

なお、スタンダードエディションは、これからも作り続けていきたいシリーズですが、これまで通り、ジッパーや内布は変えていく予定ですので、同じ組み合わせのものは他にない、一点ものとなります。気に入っていただけましたら、その時にお買い求めくださることをおすすめいたします。

トラベラーズノートカバーにセットしたイメージも撮ってみましたので、チラ見せします。下の画像は、グレーのレギュラーとパスポートです。どちらも革カバーはブラックです。

開いて左側の編み地には、ピンバッヂやピアスなど刺してお気にいりを保管できます。
画像のようにメモを刺してもおもしろいです。ご使用者の方から教えていただきました。

では、毛糸のジッパーケース、スタンダードエディション(パステル)の発表をお待ちくださると幸いです。

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毛糸のジッパーケース(トラベラーズノート用)を製作中であることと改良点と。

Posted on 28 1月 2019 by

次回販売予定の毛糸のジッパーケース(トラベラーズノート用)の一部

鋭意製作中

現在、次回販売予定の毛糸のジッパーケース(トラベラーズノート用)を製作中です。ですが、その手をちょっと休めまして、宣伝を兼ねて改良点についてお知らせしておきたいなと書いています。

今回の毛糸の色は、数年前、最初に出品したものと同じで、グレー、ベージュ、ネイビーの3色です。(以前はネイビーでなく紺色って呼んでました。ネイビーという呼び方を思いつかなかったからです。他の2つがカタカナなのだからネイビーじゃんね)

そしてジッパーの色を、北欧調の内布に合わせてパステルカラーにしてみました。グレーの毛糸にはレモンイエローのジッパーを、ベージュの毛糸にはマスカットグリーンのものを、ネイビーにはスカイブルーを合わせています。枯葉の地面に明るく息づく草花のような凜とした雰囲気が気に入っています。

2月上旬に販売開始予定です。詳細が決まり次第、またこちらでお知らせいたしますので、お待ちくださると嬉しいです。

改良点(ジッパーに芯材)

今回から、ジッパーの両サイドに、上の画像のように、芯材を縫い付けました。なぜかと言いますと、これまでに毛糸のジッパーケースをお使いの方々にアンケートをとらせていただいた結果、「ジッパーケース本体が柔らかいため、ジッパーを片手で開閉し難い」、というようなご意見をいただいたため(詳細は前回記事『「毛糸のジッパーケース」アンケートへのご回答をいただいて』)、なんとか改良できないか考え検証した結果、これが今できる最良かなと思い、施しております。

検証した内容

「バッグ・帽子用ポリ芯<0.5mm・白>」というものを約5mm幅に細くカットし使用しています。

芯材あり(左)と芯材なし(右)を洗濯バサミではさんで立ててみました。これくらいちょっとしっかりしてくれます。

さらに使い心地を検証するため、自分用にツインジッパーケースを作ってみました。

自分用に作ったツインジッパーケース(バスポートサイズ)

グレーの編み地に、ちょっとわかりにくいですが、画面左がピンク色、右が白のジッパーを付けています。

トラベラーズノートのカバーにセットし、左手でノートを掴み、それぞれ開けて下にあるスライダーを、右手で上にスライドし、閉めてみます。

芯材なしなので、グニャッと本体ごと上がってきてしまい、閉め辛いです。

芯ありのほうは、ジッパーがまっすぐであろうとしてくれてるのが分かりますでしょうか。スッと難なくスライダーが上がってくれました。

検証結果より

以上のことから、見た目も変わらず、重さもほぼ変わらず、片手で開閉しやすくなったと判断し、この「ジッパーに芯材縫付方」を採用した次第です。今後の私の毛糸のジッパーケース(「の」多い)にはこの作り方でいこうと、まあ今のところそう思っております。

これを使われた方には、また使い心地をお聞かせ願えればなあ、と思いながら一針一針、鋭意製作中です。

以上、次回の毛糸のジッパーケース(トラベラーズノート用)の宣伝と改良点でした。

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嘘つき

Posted on 27 1月 2019 by

嘘を書こう 分厚いモレスキンに
嘘を書こう 四角い紳士なノート
嘘を書こう 嘘が教えてくれる物
嘘を書こう 婚姻届の立会人欄に
嘘を書こう システム手帳聖書判
嘘を書こう 測量野帳のレベル罫
嘘を書こう リツイートの言葉で
嘘を書こう 鳩居堂の便箋一杯に
嘘を書こう 資金調達PRとして
嘘を書こう 美術館の絵葉書裏に
嘘を書こう 自伝エッセーの中に
嘘を書こう リフィルの見返しに
嘘を書こう ノートブッカーズに
嘘を書こう 確定申告の記載欄に
嘘を書こう 仲直りの手紙の全文
嘘を書こう 思いつく限りの嘘を
嘘を書こう 企業の内部告発文章
嘘を書こう ヌラリフィル滲ませ
嘘を書こう 十年日記帳を埋めて
嘘を書こう 美しいガラスペンで
嘘を書こう 目撃証言覚書として
嘘を書こう ペリカンM800で
嘘を書こう マークシート試験に
嘘を書こう クーピーのお尻側で
嘘を書こう 読書感想文の丸ごと
嘘を書こう スケッチブック一杯
嘘を書こう 七夕の短冊の全てに
嘘を書こう 離婚届の理由記載の
嘘を書こう 毎朝の抜書帳として
嘘を書こう 嘘専用ノート以外に
嘘を書こう 興信所の調査報告書
嘘を書こう ムーンプランナーに
嘘を書こう 国勢調査アンケート
嘘を書こう ほぼ日MEGAのメモ
嘘を書こう 取調べの供述調書に
嘘を書こう 薄墨のご芳名記載時
嘘を書こう 日めくり付箋に短く
嘘を書こう 消費者金融の借用書
嘘を書こう サンタさんへの手紙
嘘を書こう 実録怪談へ投稿作品
嘘を書こう 別の名前で書く手帳
嘘を書こう 初診の際の問診票へ
嘘を書こう ツバメノート立太罫
嘘を書こう 遺産配分の遺言書に
嘘を書こう 古典インクを用いて
嘘を書こう 出生届けの名前欄に
嘘を書こう 通信簿の行動記録へ
嘘を書こう 分数テストの答案に
嘘を書こう 無印良品メモパッド
嘘を書こう 老老介護の家族の話
嘘を書こう 毎朝書いてる夢日記
嘘を書こう 本当に少し混ぜた嘘
嘘を書こう 嘘を書いた事は事実

(虚実)

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欠片製造者&おまけ

Posted on 21 12月 2018 by

眉を動かすだけで世界は砕ける
探求は砕く方向にしか進まない
収集した破片を不器用に固める
自分がいない世界を知るために

砕ける以前の世界なんて無いし
そこが完全世界だなんて幻想だ
対称性の破れ、余りものの破片
この世はもともと砕かれている

砕かれたものを知るために砕く
砕いたことを恐れて繋ぎ合わす
そうやってマレーバクは生まれ
大脳辺縁系は爆発的に進化した

見失われた欠片を補う想像力は
砕かれる以前の世界を捏造した
砕けた欠片の砕かれた世界の中
ないものを信じる力に囚われた

絶対に舐めて溶かすな噛み砕け
前歯で割って奥歯ですり潰して
浜の砂より片栗粉より石灰より
微細な粉塵にして吹き飛ばして

さざれ石の磐となりて苔の生す
そんな輪廻を乗り越えるために
渦撒く思念までも吹き散らして
全ての全てが一にまとまるまで

(贈与)

おまけ

文具俳句(コンパス・消しゴム・筆箱・絵具)

コンパスの一肢がおどり冬雲刺す             小暮洗葦
コンパスが描きちらしたる曼珠沙華            三嶋隆英
燈台をコンパスとして海涼し               下村梅子

消しゴムを借りしかの人かの時間             上野草魚子
消しゴムは投げ捨ててゆく初潮の日            畑井貴晶
消しゴムの消屑をわが掃納め               鷹羽狩行
山笑う消しゴムでその山を消す              清水冬視
真四角な消しゴムをのせ受験票              森田公司
ささくれ立つ消しゴムの夜で死にゆく鳥          赤尾兜子
紙に掬ふ消しゴムの屑啄木忌               奥谷亞津子
春愁や消しゴムの屑手にあつめ              足立 とみ
消しゴムがもう少し痩せた頃に夏             櫂未知子
消しゴムを買いためている桜桃忌             たまきまき
私を消す消しゴムがない晩秋               栗林千津
消しゴムや麓の川を川蒸気                攝津幸彦
消しゴムと鉛筆の机蓬餅                 瀧井孝作

筆箱の中の宇宙の鬼やんま                正岡 豊
げんげ道筆箱が鳴るランドセル              吉原文音

色のない絵の具で熊手塗りにけり             猪原丸申
そり返る絵の具のチューブ夏旺ん             平吹史子
白き皿に絵の具を溶けば春浅し              夏目漱石
かはせみや絵の具を流すおのが影             馬光
絵の具箱明日は林間学校へ                西村和子
落ち葉道描くとき絵の具ねむらせる            栗林千津
初冬や石油で洗ふ絵の具筆                栗林千津
蓮池の水もて絵の具溶きにけり              辻桃子
菊さけり蝶来て遊べ絵の具皿               服部嵐雪
新緑やこつてリ絵の具つけて描く             高田風人子
幾春の絵の具や兀し涅槃像                松岡青蘿

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「毛糸のジッパーケース」アンケートへのご回答をいただいて

Posted on 16 12月 2018 by

今年の秋にお願いしていました前回記事、【「毛糸のジッパーケース」アンケートのお願い】につきまして、貴重なご回答を多数いただきましたので紹介させていただきます。
ご協力くださった皆さま、本当にありがとうございました。
読んでくださった方もありがとうございます。

全てのご回答を紹介すると長文になってしまうので、要点をまとめて発表できたらと思っていたのですが、多数のご回答の要点をまとめるなんて難しいことを私ができるはずなどなく、うんうん考えている間に数ヶ月が過ぎてしまいました。アンケートなんてお手数がかかることをお願いしておいて、本当に申し訳ございません。

よって、全てのご回答を順に並べ、その下に私の見解をちょこっと書いていく、という形にしました。ちょっと長いですが、様々なご意見ご感想を楽しんでいただけたらと思います。

読まれる際は、次のポイントに注目して読まれるとより楽しいと思います。
・毛糸のジッパーケースをどのようにご使用されているか
・毛糸のジッパーケースの改善して欲しいところ
・毛糸のジッパーケースについてご提案くださること
・アンケートのご回答を受けて私が考えること
・トラベラーズノートご使用の素敵画像を観賞しよう(全体に散りばめました)

では、どうぞ。

aisennさんpic.

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生き残ろうぜ!映画に学ぼ☆アクションサスペンス編

Posted on 30 11月 2018 by

日、ポールオースターの『インヴィジブル』を読みまして。
オースター読むのって年単位ぶりくらいかもしれない。
このタイトル、『不可視』見えないもの、見ることができないもの、の通り、ものすごく物語じたいがつかめず、頼りなく、寄る辺なく。ひとつの出来事は、あるひとにとっては「あったこと」で、また別のひとにとっては「なかったこと」
そこで、オースターのいつものフレーズ「ヴァージョンAとヴァージョンB、どちらもが本当の物語なのだ」と。
良かったです。はー、次は何を読もう。
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世界の果て(の淵)に、小さな船で訪れようとする話

Posted on 18 11月 2018 by

目次:
1. 世界の果て
2. 世界の果てからの通信手段
3. 世界の果てへの移動手段
3-1. 小さな船の免許
3-2. 筆記試験の講習
3-3. 操船実技の講習
おまけ1: 海で使う文具の話
おまけ2: 地文航法・天文航法という本の話
おまけ3: 六分儀を手に入れる
おまけ4: 大きな船の無線機を操作する話

1.世界の果て
Notebookersには「世界の果て」というタグが存在する。タグを辿ると各々の「世界の果て」が記されている。ある人は文字通り、自身からはるか遠方の「世界の果て」を記し、ある人はノートブックの中にある「世界の果て」を記している。世界の果てについて「ペンギン・ハイウェイ」という小説に出てくる主人公の父親は、

「世界の果ては折りたたまれて 、世界の内側にもぐりこんでいる 」

と表現している。
私はこの一文が好きだ。仮に内側にもぐりこんだ点がそれぞれのノートブックにあるとすれば、その内側に沈み込んだ点からこちら側を眺める時、私たちがいる今、この場所が、同時に世界の果てになるのだろう。そのような視点から部屋を見渡すと、それとなく、ここも世界の果てに見えてくる。

一方で、私にとっての「世界の果て」という言葉は、物理的に隔絶された、誰の助けを受けることもできない、文字通り一人ぽっちでたどり着く場所という印象で「では、そこにたどり着くにはどうしたらよいのだろう」としばらく考えていた。そして、いくつかの現実的な問題と照らし併せ、私にとって一人で到達可能な「世界の果て(の淵)」は、

「海上」

ではないだろうかという仮説に達し、小さな船(小型船舶)の免許を取得しようと決心した。こうして文字として記すと全く馬鹿げているのだけれど、私にとっての世界の果て(の淵)にたどり着く合理的な手段であるように、その時点では思えた。

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手帳のパズル。粘土のノート。

Posted on 09 11月 2018 by

捨ててもいいタスクなんてない
忘れてしまえる思いなんてない
サインをもらえばタスクは完了
カタチにできれば思い出になる
次々とタスクは投げかけられて
どんどんと思いは募っていって
限られた居場所を圧迫していく
片付けはあまり得意じゃなくて
捨ててしまうのも好きじゃない
角と角をそろえて隙間を埋めて
試行錯誤をして思いをカタチに
手帳のパズル。粘土のノート。
限られた居場所に二種類の時空
タスクをはめこむ緻密なパズル
思う存分に思いをこねる粘土板
首に鈴をつけて放牧するタスク
地層の深部から声を上げる思い
きちんとできるものならば簡単
四角いものならぴったりはまる
きちんとしてないものには驚嘆
丸ごと抱えて徹底的に交わって
今までの今のそしてこれからの
全てがこの手帳とノートにある

(双系)

おまけ 10月のマンスリー絵日記

 

 

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Note of the note p.9 正岡子規「仰臥漫録」―ライフログの壮絶

Posted on 27 10月 2018 by

はじめに

Note of the note -ノートの調べ」 と題した不定期シリーズ。
このシリーズでは、著名人のノート、手稿、手帳、日記などを紹介し、そこに込められた作法と思いを検証していく。
第9回目は、正岡子規さんのライフログ、『仰臥漫録』に向き合ってみる。

出典

図版00
仰臥漫録 岩波文庫

『仰臥漫録』の状況

まず、このライフログがどのような状況下で綴られたのかを、同書巻末の阿部昭さんの解説から引用する。

『仰臥漫録』の筆を起した明治三十四年(1901年)、子規は三十五歳、すでにその肺は左右ともに大半空洞となっていて、医師の目にも生存自体が奇蹟とされていたという。翌三十五年、病勢はいよいよ募り、春以降は麻痺剤を用い、九月初旬足の甲に水腫を見、同月十九日未明遂に絶命する。「仰臥」とは、俯すことが出来ぬので文字通り仰むけのまま、半紙を綴じたものに毛筆で記したのである。(p.191)

私がこれを、ライフログと呼ぶのは、動かせぬ体と激痛の最中、病床六尺を一歩も出ることなく、ある種の貪欲さをもってこれを書き継ぐ「文章人」の気魄に飲み込まれぬためである。
写生俳句、写生文を提唱し、文明開化後のあらゆる「文」の改革を自らの使命とした正岡子規さんが、自らをも、写生し尽くそうとする態度を、憐憫や英雄視などで歪めぬためである。
それにはただ、向き合うしかない。その命までをも写生する唯一無二なるライフログとして。

健啖と後悔と

淡々と献立を記すというのは、円谷幸吉さんの遺書にとどめを刺すが、『仰臥漫録』においても、日々の克明なる献立の記述と、食いすぎた後の煩悶。また食えなかった時の苛立ちが腹に染みる。

図版25(下記引用とは別頁)

朝 粥四椀、はぜの佃煮、梅干し(砂糖つけ)
昼 粥四椀、鰹のさしみ一人前、南瓜一皿、佃煮
夕 奈良茶飯四椀、なまり節(煮て少し生にても)、茄子一皿
この頃食ひ過ぎて食後いつも吐きかへす
二時過牛乳一合ココア交て
煎餅菓子パンなど十個ばかり
昼飯後梨二つ
夕飯後梨一つ
服薬はクレオソート昼飯晩飯後各三粒(二号カフセル)
水薬 健胃剤
今日夕方大食のためにや例の左下腹痛くてたまらず、暫くにして屁出で筋ゆるむ (pp.11-12)

何たる食欲。門下生夏目漱石さんも、ジャムなど食べ過ぎて胃をいぢめいたが、子規さんにも驚かされる。そしてこの健啖ぶりは、衰えることがない。
食らうのは体である。病とは体の病である。「私」とは徹頭徹尾「体」であった。そんな体に囚われながら、子規さんは「六尺では広すぎる(『病床六尺』より)」と言い、句作を続ける。

病床の景色

とにかく、動くことができない。仰向けに寝ているだけ。聞こえるもの、来客、家族との会話、お土産もの、そして庭から映る様々のこと。

図版31

病床所見
臥して見る秋海棠の木末かな
秋海棠朝顔の花は飽き易き
秋海棠に向ける病の寝床かな(p.30)

動けないから、句が読めない、などとはいわない。しかも写生俳句である。
以前私は『異邦人』の主人公ムルソーが、第二章において牢獄にとらわれている間にすっかり凡人となり下がることが残念で、「彼は写生俳句を作るべきであった」と思った。それはブーメランのように、自分に跳ね返ってくる。

図版87
病室前の糸瓜棚 臥して見る所(p.87)

図版34

此蛙の置物は前日安民のくれたるものにて安民自ら鋳たる也
無花果に手足生えたと御覧(ごろう)ぜよ
蛙鳴蝉噪彼も一時と蚯蚓鳴く (p.34)

俳句の俳諧性。これは世の中に滑稽さを感ずることだと思う。端的にいえば、己を去って、面白がる姿勢だ。ここに「皮肉や、冷笑」などは一欠けらもない。それは俳句を、いや文を、そして自らを濁らせるものだ。
お土産の蛙を手にとり、ためつすがめつするところは、夏目漱石さんの『門』で、宗助が起き上がり小法師で遊んでいる場面を髣髴させる。

則天去私から則私則天。そして則私去私へ

図版99

前日来痛かりし腸骨下の痛みいよいよ烈しく堪られず、この日繃帯とりかへのとき号泣多時、いふ腐敗したる部分の皮がガーゼに附着したるなりと
背の下の穴も痛みあり 体をどちらへ向けても痛くてたまらず
この日風雨 夕顔一、干瓢二落つ(pp.98-99)

この状態で、なお風物を気に留め、描きうる胆力に言葉もない。だが、こうして文や、俳句にしようとするとき、現実の惨状は、対象となり句材となる。そのとき、「私」は「天」の方へ少し離れる。このわずかの距離に文人は最大の愉悦を覚える。

図版107

(前略)さあ静かになった この家には余人一人となったのである。余は左向きに寝たまま前の硯箱を見ると四、五本の禿筆一本の験温器の外に二寸ばかりの鈍い小刀と二寸ばかりの千枚通しの錐とはしかも筆の上にあらはれている さなくとも時々起らうとする自殺熱はむらむらと起こって来た(後略)(p.105)

この時は、恐ろしさ(死ぬことよりも苦しむこと。死損なうこと、刃物そのものの)に煩悶し、しゃくりあげて泣き出していると、母が帰宅して、実行にいたらない。そして、小刀と千枚通しの絵を描き残すのである。

作品と私生活とに距離のない時代だった。私小説とは、作家の生活そのものとして発表された。そんな中で、「写生文」は、「心境描写」を徹底的に排除することにより、私と作家との間に空隙を確保した。その空隙に「天(普遍)」が入る余地をもたらした。

「日記」ではない。「写生日記」である。ライフーログとは、まさに事実をそのまま記録する姿勢である。記録者であることはつまり、自らを自らという観測器の技師の地位におくことに他ならない。

われらなくなり候とも葬式の広告など無用に候 家も町も狭き故二、三十人もつめかけ候はば柩の動きもとれまじく候
何派の葬式をなすとも柩の前にて弔辞伝記の類読み上候事無用に候
戒名といふもの用ゐ候事無用に候 かつて古人の年表など作り候時狭き紙面にいろいろ書き並べ候にあたり 戒名といふもの長たらしくて書込に困り申候 戒名などはなくもがなと存候
自然石の石碑はいやな事に候
柩の前にて通夜すること無用に候 通夜するとも代りあひて可致候
柩の前にて空涙は無用に候 談笑平生の如くあるべく候(pp.113-114)

「私」と「天」との間には、不透明で重たい「体」が存在する。「体」を離れて「私」はなく、「体」に囚われていては「天」には至らない。「私」は「体」に癒着し「体」を抜け出ようとする抵抗の中にのみ「天」を感じることができる。写生論が唯物主義であるのは決して、「体」を無視することができないからである。ライフログとは、「体」の記録でなければならない。

さいごに

『病床六尺』の最後の回の載った翌九月十八日、覚悟の子規は妹律らにたすけられて辛うじて筆を持ち、画板に貼った唐紙に辞世の句を書付けた。「糸瓜咲て痰のつまりし仏かな」。痰を切り、ひと息いれて、「痰一斗糸瓜の水も間にあはず」。また一休みして、「をとゝいのへちまの水もとらざりき」。そこで、筆を投げた。穂先がシーツをわずかに汚した。そしてその日のうちに昏睡におちいった子規は、越えて十九日の午前一時に、息を引き取る。三十六歳。いまふうに数えて、三十五歳になる直前であった。
(『病床六尺』解説 上田三四二 p.193 岩波文庫)

図版7
明治三十四年九月二日 雨 蒸暑し

銘記すべきノートである。

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読書感想文は苦手だ

Posted on 07 10月 2018 by

お久しぶりのkonamaです。

今日は読書ノートのお話をちょびっと。

本を読むってことは昔から大好きなことですが、「読書感想文」というのはあまりいい思い出がありません。

実をいえば小さい頃は可愛げのないガキだったので、いかにもな感想文を書いて先生に褒められる、みたいなことをしていました(今考えるに大した文章でもないくせにね)。だから「苦手」という意識はなかったのですが、なんとなく好きじゃないなあと。なにせ普段読んでる本ではなくて、感想文用に本を探して、ある意味解剖するようにその本を読んで書いているのですから、私にとって「読書感想文」は「読書」から完全に切り離されたものだったのです。感想文の素になる読書だって、楽しいは楽しいのですが、「この本ホント良かった是非読んで~、おススメのポイントはね…」というような勢いがあるようなものじゃない。毎年書かされた感想文はキライだったし、本を読む習慣を…っていう意味だったらむしろ嫌だよねえこれは…と思うのデス。ちなみにプロの方のかく書評や本にちなんだエッセイは大好きで、自分でもブログで本の紹介をしていたくらいですから、嫌なのは本にちなんだ文を書くという部分ではないはずなのです。ではなんでこんなに嫌なんでしょう。

【私の中にあるなにやら青臭いもの】

上の写真はニコルソン・ベイカーの新作の「U&I」の中の一節なのですが、左側の部分とその続きを読んだときに、ちょっとあーそういうことなのかもと思ったのです。

それにいずれにせよ、その時々に読む本は、多種多様な理由を混ぜ合わせて得られた結果で選びたかったし、追悼記事を書くためにあらましを知らねばならないという程度のことで選ぶのはいやだった。つまり、ぼくがバーセルミを再読したいのは、ほんとうにバーセルミを再読したいときだけであり、彼の死によって突然迫られたときではないのだ。

結局のところ、本を読むっていうのはこう、自然の発露みたいな感じで身のうちからぽろっと出てきたようなものであってほしい、というような(これだけでもないのでうまく言えませんけど)よくわからない憧憬というか、不可侵性というか、そんな青臭いものが自分の中にあるのかもなと。

そんなわけで自分と読書傾向が明らかに違う方らの、絶対面白いから読んで、みたいなものは申し訳ないけどなかなか読まない(自分はお節介することがあるくせにね)。自分の中の読みたいが来ないと、後回し。家族は私が本が好きだというのは知っているけれど、めったにプレゼントしてくれたことはありません(感想を聞かれてもいつも生返事なので諦めたのだと思う)。

読書感想文も「感想文」のために読む、あるいは読み返すということになるから、なんかその辺がちょっと嫌なのかもしれません。

【ためになる読書】

この青臭いものの延長線上にあるのだと思うのだけど、「ためになる読書」というのにも少々抵抗があります。読書で何かを身につけるってことに重きをおいていないというか、本を読んでそれが楽しいで、その後中身をすっかり忘れたってそれでいいじゃないと思っている節があります。それはもちろん仕事上、自分が今読みたいというわけではない本を読むことなど年中あるわけですが、その読書も「何かを得なければ」という思想があんまりない。だから昨今巷でよくみかける「そんな読み方では頭になにも残らない」とか「ノートに書きながら読むことで身につける読書」とかいう本の広告や煽り文句には、そんなの楽しくないのに…と思ってしまうのです。もちろん、読書ノートを付けてらっしゃる方、感想をブログに載せている方、楽しみに読ませていただいて、それが「あ、この本読みたい」につながることも多いので、それに対しては感謝こそあれ、嫌な気持ちは全くありません。

じゃあ、本を読んでいて何か書きたいと思ったことはないのか…といわれると。あ、なんてキラキラとした言葉なんだろうとか、むふふこの表現はちょっとイカン、あ~いかにも彼がいいそうなセリフとかそう思ったその瞬間を書き留めたいなあと思うことがあります。上の写真はキラキラ言葉系ですかね。そんなわけで、無理に感想を書いたりせずにグッときた文章を抜書きするという習慣ができました。前にもこの話やこのノートは登場しているかと思いますが、万年筆(とインク)をなるべく使いたいという自分の事情もかさなって、モレスキンダイアリーのXS(残念ながらここ数年発売されておりませんが)に短い文章を抜書きしています。抜き書きが多い本は、読書ノートをつかっています。みずず書房のフェアでいただいたみすずノート(下の写真)。

こちらには、本の情報と抜書き長めのものをまとめています。このノートの好きなところは、装幀について書く欄があるところ。感想とかはかかずに、ページ数と気に入った文章だけ。おそらく、その時(その年齢)の感想が書かれているのは、後で読み返してとても面白いだろうとは思うのです。ただ、「感想文」と考えただけでイヤーな感じがある私には「抜書き」ぐらいの方が抵抗なく気楽にできるなと書き留めています。

【読まない理由・読めない理由】

青臭いものを吐き出したついでにもう一つ。これもどこかで書いたかもしれないのですが、読んでる本の分野についてとやかく言われるのは苦手。「ためになる読書」と同じにおいがするからではないかと思うのだけれど、ある作家の文章が苦手というと「それは理解が足りないから(というか頭が悪いから)」、いわゆる名作でない娯楽大作を大好きだというと「そんなくだらないものは読まない」なんておっしゃる方がたまにいらっしゃるのですが、何を読んだっていいじゃないですか。本を読むことって本当に個人的な体験だと思う(その人の人生によって出てくることも、感じることも違うでしょう?)。だからこそ、他の人が語る好きな本の話って、たとえその本を読んであんまりなーと思った本でも面白かったりする。

そう考えると、え、じゃあ「読書感想文」でもいいじゃないと思うかもしれないけど、この「この本ホント良かった是非読んで~、おススメのポイントはね…」の部分を学校で先生に一方的に文書で報告したいか?といわれると、いやいやそうじゃないんだよ。同じ理由で、ビブリオバトル系もそんなには好きじゃないんだ。

こういう、なんかよくわからない本にまつわる奇妙なねじれた想いも(これは根拠がないのだけれど)「読書感想文の呪い」の一つなんじゃないかなあと思ったりするわけです。

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「この女は多くを愛したから、その多くの罪はゆるされているのである」〜マグダラのマリア 十作品

Posted on 30 9月 2018 by

月に東京へ行ってきました。
旅のテーマは、美術館の常設展に行く、企画展へ行く、本屋さんで泊まる、ひとに会う、などなどあったんですが。
美術館の企画展も見てきました。
こちらです>> 国立新美術館『ビュールレ展』
リンク先にある少女の肖像『可愛いイレーヌ』が、チラシなどのメインに使われていて、えー、キャッチコピーが「最強の美少女(美少女にセンターとルビがふっている)』でした。
センターという言葉に賛否あったようですが、わたしはそれより「最強」の方が気になっていました。

最強の美少女。

なんだろう、イレーヌ、彼女は銀行家のお嬢さんだそうで、なので誘拐などの対策として、幼い頃から格闘技を仕込まれ、この絵が描かれた八歳の頃には、もういっぱしの格闘家として(以下略)。
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Perspective 後編

Posted on 27 9月 2018 by

◀︎ Perspective 前編(サンライズ出雲〜三原港)

6. 因島

3年前、その時もちょっとした思いつきで、短い船旅をした。三原から隣市の尾道まで、海路でいったん海に出て、船を乗り継いで行った。(『断片』)
その時にも経由した因島。いんのしまと読む。以前は因島市だったのだけど、いつのまにか尾道市になっていた。元は独立した市だったくらいだから、「島」ときいてなんとなくイメージする島よりはずいぶん大きい。船着場はいくつもあるし(いくつあるんだろう?わたしが知ってるだけで4つはある)、山もある。ついでにいうと村上水軍の拠点でもあって、城跡も多くある。

3年前のルートは、1本目の船で三原港から因島の重井(西)港へ、そこから歩いて同じく因島の重井東港、重井東港から2本目の船で尾道港に向かうというもの。同じ「重井」の西港から東港なんだから隣にあるんだろうと思ったらとんでもない……はじめのうちは民家の意匠を見て「おー、すぐ近くなのに本州側とは違う。これは因島村上氏の海賊風なんだろうか」とかなんとか考えながら写真も撮ったりして楽しくてくてく歩いてたんだけど、てくてくてくてく歩いても次の港らしきものは見えないしそれどころか道なりに進むだけで丘を越えるような地形になってくるし、てくてくてくてく歩きながら大層心細くなってきて真夏の道路は容赦無く熱いし、てくてくてくてくてくてくてくてく歩き続けて30分、半べそでたどりついた港では港湾ビルも切符売り場も見あたらず桟橋がぴよっと出てて、……って、あ、話が逸れた。とにかく、安易に「島」というイメージで想像してるとひどい目にあうような大きさの島なのだ。

そして今回。
三原港を出た船はまず因島に向かう。因島では寄港地が3つあり、島の北側にある重井港→中ほどにある因島モール→南側の土生港と、同じ島の3つの船着場を海路で渡ってゆく。
(本当は因島までの途中で佐木島に寄り、因島の後で生名島に行く航路なのだけど、わたしが乗った便は佐木島に寄らず、生名島の前で下船したのでそのへんはまぁその)

防風ガラスにあたる波飛沫と白い航跡を眺めざぶざぶと揺れながら、3年前と同じルートの同じ景色というのもあってか、いつのまにかぼうっと考えごとをしていた。重井港から因島モールまではこの船で10分強、因島モールから土生港が5分弱。因島モールというのは最近新設された桟橋のようだけど、モールというからにはモールなんだろう。きっと大きなショッピングセンターがあって、あのピーピー鳴るカードを渡されるフードコートなんかもあって、、、あ、もしかして、島の人たちはバスの代わりに船に乗って買い物に行ったりすることもあるんだろうか?船にちょうどいい時間帯だったら「今日は船で帰ろー」とか……

……と、つらつら考えてるうち船は因島の北側、1つめの重井港を過ぎていた。このあたりまで船で来たのは、記憶に残ってるなかでは初めて。見憶えのない景色に焦点が戻る。

重井港から先は、(三原港から重井港までの間もそれは瀬戸内海らしい景色ではあるのだけど、それをずっと上回るほどに)信じられないほど美しく可憐な瀬戸内海の景観が続いていた。ふくふくと起伏のある小さく立体的な秘密基地みたいな島々が、空から落ちてきたみたいに艶やかで平たんな碧い海に溢れている。どうやったら行けるだろう?と想像して楽しくなるような、島側からだと隠れて見つからなそうな小さな砂浜や入り江もあるし、今は夏の緑一色だけど、季節になれば蜜柑や八朔やレモンの橙色や黄色の果物のなる木があちこちに見られるはず。
もしかしてこれは絶景というのじゃないだろうか。絶景というとなんとなく、字面からして何処か遠くの険しい地形をあらわす言葉のような気がしてたけど、こういう「信じられないくらいかわいい」も絶景に含まれるんじゃないかと、この景色を見て思う。とてもきれいな玩具のような、空想の世界をそのまま地形に写したような、現実感のない景色だった。

船は土生港に着く。次にのる今治行きの船までは1時間と少し。陽は強いけど日陰にいれば涼しい風が吹いて心地よいので、港でのんびりすることにした。

普段は縁のない港の切符売り場を興味津々で眺める。美術館のチケット売り場のような仕切りガラスのある窓口、ガラス越しでやりとりをするための穴の開いた窓口が並ぶ。以前は係の人が居たのだろうけど、いまは誰もいない。ガラスには何年前から貼ってあるのかわからないような灼けたテープのついた張り紙やポスターがみっしりと貼ってあって、その隙間から、奥にぼんやり見える暗い無人の事務所を覗いてみたりする。

切符売り場の其処此処に貼られた張り紙を見ているうちに、「……は、道路を出て左200m先のコンビニで…」という一文を見つけ、散歩がてらコンビニまで行ってみることにした。
コンビニはどの町に行っても同じコンビニなんだけど、何となく、少し、その土地独特の雰囲気がある。何がそうなのかと言われてもうまく答えられないけれど。いつも行ってるコンビニのいつも買ってるソフトクリームを、いつもの町から500マイル離れた島のいつもと少し違うコンビニで買い、眩しく澄んだ陽射しの町をを少し歩き、うす暗い港湾ビルに戻る。シャッターの下りた売店の前の風除けのガラスで囲われた待合室の出口に座って、海の風に吹かれながら、ソフトクリームをかじりながら、次の船に乗るためにそろそろとやってくる島の人たちの会話を聞くともなしに聞いている。島には住んだことがないけど同じ瀬戸内海地方だし、同じ言葉だし、たぶん他の旅人よりはずっと景色や音や空気の匂いを自分の内にあるものと同じに自然に受けとっているだろうとは思うのだけど、それでも、何処か知らない異国にいるような気分になる。

「海難、密航、密輸、不審船
(海の事件・事故)
直ちに通報118番」

海では110番じゃなくて118番、なんていう今までの人生では想像したこともなかった常識をその辺にかけてある看板で知るのも、また異国めいた体験か。

次の船が来るまであと10分。着いた時には桟橋からまっすぐ入ったので見ていなかった建物の南側を覗くと、小さなお社があった。海はきらきらして明るくとても良い天気なので、出港の前に挨拶をしてゆくことにする。

7. 芸予諸島

瀬戸内海には全体で3千もの島があるらしい。3千もの、と書いたけどそんなに大きな数、実は自分でもぴんときていない。とにかく、中国地方と近畿と四国と九州で囲まれた小さな海に、たくさんの島がある。ただ、とはいっても、ヒトのスケールからすれば瀬戸内海も広い。島の多い海域と、島は少なめで開けた海域がある。今回の船旅は、芸予諸島という数百の島が密集した、瀬戸内海屈指の多島美といわれるところを通っている。

芸予諸島のほぼ真ん中の本州側、竹原の祖父母の家から車で帰る時に、「本線がいい?呉線がいい?」ときかれたら必ず「呉線!」と答えていた。本線というのは、昔は山陽道・西国街道といわれた大阪から門司を結ぶ国道2号線のこと。呉線というのは、電車の呉線と並んで走る国道185号線のことで、瀬戸内海を臨む海沿いの道だ。

呉線から見える瀬戸内海。なめらかできらきらしていて、グリーンがかったたぷたぷした海の上に、大きいの、小さいの、たくさんの島が浮かぶ。その間をフェリーや小さなボートが行き交い、遠くにはタンカーが見える。よく晴れた日には「四国」といわれるうす青く長い陸影も見えるらしいけど、子供の頃の自分の目には、遠くの空と海の境にある青い影が、大きな島なのか四国なのかの区別はつかなかった。海沿いを走る車窓の下はすぐに海で、満潮で海が満ちている時にはスナメリクジラが泳いでるのが見えるんじゃないかと目を凝らした(けど、それらしい白い影が見つかったことはない)。漁港ではない港町(漁港のにおいがしない)、海沿いの小さな町には見合わないほど大きな造船会社のビルの間を抜け、赤と白のゴライアスクレーンを過ぎると、小さな砂浜のあるお気に入りの無人島が見える。
遅くなって夜になった時には、島々の灯りと船の灯りがゆらゆらして、時々、灯台の回る光がちか、ちかと、光の棒を空(くう)に投げる。左手にはカーブを描いて今から帰ろうしている街の光が連なり、右手は海と島の世界のあかりが灯る。

「船で四国に行く」というのは、その、近くて遠い島々の世界を、眺めるのでなく入ってゆくこと。島の世界は思っていたよりずっと”島の世界”で、土生港で感じた異国めいた気分は、気のせいではなくて本当に異国なのだろうと気付く。

四国行の2本目の航路は、因島の土生港を出て、生名島、弓削島、佐島、岩城島、伯方島、大島、そして最終港の今治まで、幾つもの島に寄りながら行く。港を出た船は、すい、と進んで次の港、すい、と止まってまた次の港へと、町中の電車がとまるくらいのリズムで軽やかに進んでゆく。
「はい今日はぁ」着いた港からゆるく挨拶をして乗ってくる次の島の人達が、前の島から乗っている人達と合流して楽しそうにお喋りをしている。ここに住む人たちは、隣島が隣町くらいの感覚/間隔で暮らしているのかなと思う。町工場のようにあちこちにあるドック。あちこちに泊まっている船。海は水路のようで、海の水路をゆく船は、電車やバスのような気軽な乗りもののように見える。

穏やかなこの海域、きっと歴史にも残ってないような昔から人が住んでいて、しまなみ海道や瀬戸大橋はもちろん、乗合の定期渡船もなかったずっとずっと昔には、泳いで渡ったり個人の持つ小さな手漕ぎ舟で渡ったり送っていったりが普通に行われていたんだろうなと、またぼんやり想像する。この海域を制していた水軍の武士たち、海を自由に行き来した逞しい人と、もし浅瀬なら歩いて渡れるほど近くにある島にすら渡る術がなくて溜息をつく人も居たかもしれないと、退屈そうな細い指と紅い木の花を想像する。

8. 今治港は想像していたよりもずっとモダンな港で、振り返って見上げた建物は船のような形をしていた

朝になって計画を立て、時間もあまりなく出てきたので、今治港に着いたものの電車の駅が分からず一瞬途方にくれた。すぐに気を取り直してスマホの地図で調べてみるが、JR今治駅……、駅と港はすぐ近くだろうと思ったら意外と遠い。
それでも、タクシーに乗るほどの距離ではなさそうだし、迷うほど複雑な道路でもなさそうだし、からっとしてそれほど暑くもなさそうなので、歩いて今治駅に向かうことにした。

ずっと続いていた暑さに比べればずいぶん涼しい日とはいえ、9月になったばかりの真夏のような日差しの下、外を歩く人はほとんどいなかった。港の建物の日陰を選って歩いていたら、地元の人らしい、子供のような瞳をしたおばあさんにじっと見つめられ、すれ違う。「こんにちは」と会釈すると、にっこりと破顔する。

20分ちょっとかかって今治駅に着く。駅にいたバリィさんに挨拶して、まっすぐみどりの窓口へ。
「松山まで一番早く着く列車(の切符)をください」
特急しおかぜで松山に向かう。

9. 松山は想像していたよりもずっと都会で、街には路面電車が走っていた

目的地の道後温泉は、道後温泉行き電車の終着駅なので特に迷う心配もない。Suicaは使えないので小銭の両替に少し戸惑ったけど、目の前の両替機で両替をする人がいて、安心してそれに続く。発車。キーキー、ガタガタ、チンチン、キーキー、プシューーーーーー、ガタガタ、キーキー……と、古い車両のようでわりとやかましい路面電車だった。特にカーブの時のがんばってる感がすごい。
路面電車の走る道路は、ちょっと不思議な感じに見える。道路の上に張ってある電車の電線がうすくかかった蜘蛛の巣か屋根のようで、街全体が、電線の糸でできたアーケードのような気がしてくる。その下を、キーキー騒がしい音をたてながら電車が走る。まるで街自体が何か大きな生きものの巣のように感じる。

10. 道後温泉

道後温泉には、「道後温泉本館」という大きな木造の建物がある。ここが道後温泉の中の「道後温泉」の本体。白鷺が見つけた温泉なのだそうで、その伝説にちなみ、建物の天辺に白鷺の像が居た。

道後温泉本館は、宿ではなくてお風呂のみのいわゆる外湯という共同浴場で、お風呂は「神の湯」と「霊(たま)の湯」、2種類の浴室がある。大広間と個室の休憩室もあり、
神の湯に入れて大広間での休憩(お茶とお煎餅付き!)とか、
霊の湯と神の湯に入れて個室での休憩(お茶と坊っちゃん団子付き!!)とか、
1時間程度の休憩の付いた入浴コースを選べる、スパ施設の日本伝統版みたいな温泉施設だ。

2つの船で瀬戸内海を渡り、さらに2つの電車を乗り継いで、遥々、お風呂に入りにやって来た。ホテルにチェックインし、早速……まずは腹ごしらえをしてから ── (* ¯ ω¯)<鯛めしうま!── 道後温泉本館に向かう。ホテルで外湯用の湯かごを貸してくれるとのことだったのだけど、戻るのも面倒だし、そのまま偵察がてら玉の湯+大広間のコースで入ってみることにした。

外の札場で入浴券を買って、白鷺のシンボルが掘られた石灯籠の間の大きな玄関から建物の中に入る。改札で入浴券を見せると、廊下を進んで突き当たり、階段をのぼって二階の大広間の休憩室に上がるよう言われる。広間の休憩室を覗くと案内の人がすぐに来て、席に通してもらえる。席には浴衣が用意してあって、説明を一通りきいてから、浴衣を持って階下のお風呂へ。

「温泉」といえば「温泉」で、温泉といえば温泉らしいある一定のイメージがある。だけど、道後温泉本館・神の湯の浴室は、温泉というよりは銭湯に近い印象のお風呂だった。優雅にお湯に…みたいなしっとりゆったりな感じはなく、ザッパーンと体を洗ってザブーンとお湯につかってパーッと上がるみたいな、何となくそういう豪快な生活感がある。松山・道後温泉といえば「坊ちゃん」だけど、あの坊ちゃんのリズムで温泉に浸かると、正しく道後温泉になる気がする。銭湯というには重厚で古めかしく、芸術的とも思うんだけど、温泉というよりは風呂とか共同浴場という飾りっ気のない言葉で表現する方が何となくしっくりくる。国も時代も違うし行ったこともないけど、何故だかローマの共同浴場が思い浮かんだ。

この日は平日。近隣随一の温泉とはいっても長期休暇シーズンでもない平日は空いていて、お風呂上がりの休憩でお茶をいただいてる間に他のお客さんはお風呂に入りにいったりで、ほとんど居なくなってしまった。
窓はすべて開け放されて、簾と縁側の手摺の間から明るく青い夜の空が見える。畳の上にごろんと横になって夜風を感じながらうとうとすればずいぶん気持ちいいだろうなあとは思ったのだけど、誰もいないとはいえ一応広間だし、せめてもの気分でお湯で温まってほかほかした裸足の足を縁側に投げ出した。柱にもたれて夜空を眺めながら、甘いお煎餅を食べ、温かいお茶を飲む。

11. 帰路

本当は、道後2日目の午前中はもういちど道後温泉本館に行って、今度は個室で思う存分ごろごろしようと思っていた。が、少し疲れが出てお風呂に入るにはしんどいような気分だったので、個室はまたいつか行くときの楽しみにして、そのまま帰ることにした。後悔しない程度に少しだけ仕残しがあるのも、未来の楽しみでいいんじゃないかなと。

午後も早めに着いた松山空港ではずっと地形と飛行機を見ていた。
滑走路の見える展望デッキから、滑走路を超えて遠くを眺める。左の方は地続きのようで、ずっと先まで半島のように伸びた陸があり、消えてゆく先の正面はよく見えない。右の方は海らしい。島のような三角の山と、タンカーのような大きな船が見える。
自分はいま何を見ているんだろうと思い、スマホの地図と滑走路の方向を合わせてみる。
方向からすると、見えない正面にあるのは遥か遠く九州の大分。だったら、左に見えている陸は佐田岬なんじゃないかなとか、それより手前にある何処かなのかしらとか、ただただそんなことを考えながら、何時間も過ごした。

🚢おふねで瀬戸内海を渡る参考
土生商船(三原-鷺-重井-因島モール-土生) http://habushosen.com/timetable/timetable02
芸予汽船(土生-生名-弓削-佐島-岩城-木浦-友浦-今治) http://www.ehimekisen.server-shared.com/geiyo1.html

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Perspective 前編

Posted on 24 9月 2018 by

1. どこへ行こう

今年は5月頃からずっと夏のように暑かった。カレンダー上の夏に入ったあたりからは35℃オーバーもあたりまえで、ちょっとでも涼しい、涼しいイメージのところへ行きたかった。
それから、数年前の同じ頃、おんせん県の大分で入った温泉、一日中汗をだらだらかきながら歩きまわって夕方たっぷりのお湯にさぶんと入ったこと、夜風に吹かれながら身体を温めた夏の露天温泉の心地よさを思い出して、どうしても温泉に行きたかった。

だから、初めに計画を立てていたのは富山の宇奈月温泉。
帰省の寄り道旅なので、実家のある山陽地方から東京までの間でなんとなく ”涼しい” イメージの土地を求めて、地図を眺めながら線路をたどり、たどりながら景色を想像し、♨️マークを探して、宇奈月温泉に決めた。

広島から富山まではとても遠い。新幹線やら特急やら地方鉄道やら何やら、長距離列車を何本も乗り継ぐ。朝8時に出ても着くのは夕方の手前。旅に出てもそもそもがあまり観光をしない方なので、行った先のことはほとんど下調べもしないんだけど、“ボンヤリしてると日中に着かない” ともなれば、最低限、移動の時刻表は作っておかないとならない。時刻表の数字だけを見ていてもピンとこないので、少しでも土地鑑を得るために地図を描いて、そこにルートや時間を書き込んだ。

2. サンライズ出雲

「温かいコーヒーが飲みたい」と思ったのは出発時刻の15分前。サンライズ瀬戸/出雲号が出発する東京駅9番ホームは新幹線乗換口のすぐそばにあって、その乗換口のすぐそばにはコーヒースタンドがある。何度か使ったことのある店だし10分もあれば行って帰れる自信はあったのだけど、途中で迷子になって出発時刻までに帰ってこれない自信もあったので、あらかじめ買っていた冷たい水のボトルと冷たいお弁当をベッドサイドの小さなテーブルに並べておとなしく出発を待った。次に乗るときには必ず、熱いお湯の入った魔法瓶とコーヒーとカップめんを持ち込もうと考えていて、ふと、子供の頃の家族旅行を思い出す。──車に毛布と魔法瓶とインスタント味噌汁を積んで何故だかいつも夜に出発していた。夜まで待てずに眠ってしまったのにいつのまにか車で出発していて、目が覚めて動く車の窓から見上げた天の川── を思い出した。ああいう旅をまたいつかすることができるのだろうか、できるといいなと思いながら。

22:00。寝台特急のサンライズ号は、まだスーツを着た人々で賑やかな東京駅をそろりと出発する。車内改札が終わるまでは油断せず、きちんと服を着て、ベッドに腰掛けて、粛々とお弁当を食べる。食事も終わり、改札も終われば、あとはのんびり。室内灯を消してシェードを全開にする。

23:23の熱海あたりからは駅にも町の景色にも人影はほとんどなくなって、空っぽの明るいプラットホームや、室内灯を消した暗いビロードの座席にホームの明かりが落ちる無人の列車が見えるようになる。夢のような景色が次々と車窓に現われる。灯りのついた外廊下の大きな団地、誰もいない、と思ったら、舞台のようにたったひとり明るい外廊下を歩く人が浮かび上がる。景色の切れ間からちらちらと見え隠れし始める真っ黒な海。大きな弧を描く、小さな灯りの粒をその弧に載せた相模湾。枝を拡げた樹木のような白い木の柱が並ぶ、月明かりの夜の木陰のような美しい沼津駅を過ぎ、信号だけがひっそり動いている無人の交差点を過ぎる。青い灯と赤い灯、何となく、シグナルとシグナレスを思い出す。見上げると曇り空の一点に薄明るい透けたようなところがあって、じっと見ていると雲が開いて月が顔を出した。

目が覚めたのは赤穂のあたりで、田んぼと、瀬戸内地方らしい小さな丸こい山と、その裾に纏いつく朝霧の景色だった。サンライズを下車する岡山までは約1時間。身支度を整え、寝台の上で脚を伸ばしてしばらくぼんやりする。

3. 山陽本線

距離的にみれば岡山はほとんど地元といっていい土地なんだけど、県が違ってるのもあって地理も路線もそんなによくは知らない。次に乗る予定の三原行きと同じ方向の電車が来て、乗ろうとしたんだけど何となく様子がおかしいのでよくよく確認してみたら伯備線だった。あやうく山陰に行ってしまうところ。

朝の山陽本線。日曜日なので普段の通勤通学の人もいなくてそれなりにのんびり。海が見える側の、進行方向の西に向かって左側の席に座ったけど、こちら側でもどちら側でも海はほとんど見えない。
東尾道を過ぎて少し行ったあたり、しまなみ海道の大きな橋の下で向島造船を過ぎる。それから、たぶん他所の地方の人からすると川のように見える尾道水道。いわゆる”尾道”の景色の一端。
尾道を過ぎたら糸崎の手前あたり、一瞬、視界が開けて瀬戸内海がふわっと見える。
おうちまであと少し。

4. そうだ、おふねにのろう

帰省3日目。台風で交通の状況が難しい。
列車を乗り継ぎ何時間もかけて旅行するのは、交通機関の遅延が発生しないのが前提だ。残念だけど富山は見送ろう、今回は無理をせずそのまま東京に帰った方がいいかも…と思いかけて、もう寝ようかという夜も遅くになって四国のことを思いついたのは、その前の日にちらっと松山空港の話をしたからなんだと思う。
うちのあたりからすると四国は一番近い旅先で、家族旅行で行ったり、小学生の時の修学旅行先だったりとなかなか馴染みのある土地ではあるのだけど、そういえばおとなになってからは行ったことがなかったような気がするし、子供のときに行ってふわふわきらきらとした印象だけが残っている夜の道後温泉にも、もう一度行ってみたいと思っていた。

とりあえずざっとルートを考えて、スマホで松山空港から東京へ帰るLCCの便があることを確認。何にしても次の日は朝早く起きる予定だったので、あとの続きは朝起きてからにして眠った。

5. 瀬戸内海を渡る

朝起きてすぐに船のルートを調べる。昔、港で見かけたような気がしていた四国のどこかの港への航路(※電車と同じように定期航路も船に行き先が書いてある。フェリーなんかだとデカデカと書いてあるので、ふだん船を使ってなくても港の近くを通ってればだいたい何処行きがあるのかは把握する)は無くなっていたので、2本の航路を乗り継ぎしなければならないみたい。

船会社のサイトから乗る時間帯の時刻表をざっと書き写したノートをスマホで撮影して、朝ごはんを食べて、三原港へ。
台風一過。すっかり晴れて、涼しい風が吹いて、とても心地よい朝。

しまなみ海道ができてから、車の人達は橋を渡って四国に渡るようになったのだと思う。いつのまにかカーフェリーの航路は減って、人を乗せる小さな高速艇がメインになったように感じる。
三原港から乗った船は最大とう載100人弱のボートで、後ろの方はオープンスペースになっていた。自分一人だったらなんとなく不安で室内に入ったかもしれないんだけど、先に乗船した年配の女性が一人、後部オープンスペースのベンチに座ったので、心強くなってわたしもその反対側に座った。平日の午前中の船は空いていて、この後ろのスペースはその人とわたしの二人きり。とても贅沢。

港を出港した船は、ぐんぐんスピードを上げて沖に向かう。台風が抜けた翌日のせいか、それともいつもこのくらいなのかは知らないけれど、小さい船は波をうけて、ざぶんざぶん揺れたかと思うと波飛沫がばさっと降りかかってきた。
(こんなにいい天気だというのに乗ってきた人たち皆んな室内に入っていったのはこのせいか!)
ちょっとしたスプラッシュ系ローラーコースター。一瞬、先の女性と目が合い、笑いながら、バックパックを抱えて防風ガラスがあって飛沫がかからない席にあわてて移動する。何かひとこと言葉を交わしたのだけど、何と話したか覚えていない。ひどく揺れる船のベンチと、船のエンジン音と、波飛沫が船に当たるバサバサいう音と、扉の向こうに見える操舵室と、左舷の女性と、右舷のわたしと、瀬戸内の青い空と、流れてゆく島の景色。

▶︎ Perspective 後編(因島〜松山空港) に続きます

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「毛糸のジッパーケース」アンケートのお願い

Posted on 22 9月 2018 by

来年の手帳や文具が店頭に並びはじめ、ノートブックの秋、手帳の秋となりましたね。

さて、2016年3月よりトラベラーズノート用の「毛糸のジッパーケース」をこちらで販売してきましたが、ここで一度、お買い上げくださった方々を中心にアンケートを実施したく、告知させていただきます。
ご購入者の方々には、すでにメールにてアンケートを送信いたしました。
それぞれの宛先は、お買い上げの際にご入力いただいたメールアドレスです。
もし、該当の方で届いていない方がいらっしゃいましたら、私までご連絡ください。
(迷惑メールフォルダに入ってしまっている場合があるようです)

また、まだ「毛糸のジッパーケース」をご購入いただいていない方でも、
もしお聞かせ願えるのならば、下の質問事項をコピー&ペーストし(答えたいものだけでもOKです)、プロフィールに載せているアドレス宛てに送信いただけると幸いです。
『「毛糸のジッパーケース」、ここがこうだったら購入検討するのになー』等、匿名で構いませんのでお聞かせ願えませんか。
その通りに作るかは(技術的な面で)お答え(またはお応え)できかねますことご了承くださいね。

ご返送いただいたご回答は、真摯に拝読し、こちらでまとめ記事として公表したいと考えています。
それによって「毛糸のジッパーケース」のなにかが変わるかもしれません。
ご意見により改善していけたら、と思っております。
ぜひ自由で率直なご意見をお聞かせ願いたいです。

先ほども述べました通り、アンケートはこちらでまとめ記事として公表する予定ですので、回答期限を設けさせていただきます。

ご協力いただける方は、2018年10月8日(月・体育の日)までにご返送くださいますようお願いいたします。

下記よりメール本文です。
(未購入でご協力いただける方は、その旨をご入力の上、持っていたらこうだろうというようなことで構いません。なんか、わかるように書いていただけたら結構です。)

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