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New! アンバーブロンズの、毛糸のジッパーケースができました(トラベラーズノート用)

Posted on 15 9月 2019 by

今年春からとりかかっていましたものが出来上がりました。
(詳しくはこちらこちらをご覧ください)

ジッパーケース内

クラシカルな内布の雰囲気のまま、トラベラーズの革カバーに会うものができたのではと、自負しております。

Notebookers Marketにて販売予定のため、名前も「アンバーブロンズの、毛糸のジッパーケース」に変更いたしました。

琥珀色がかったブロンズのような光沢の編み地です。

今回もおまけは、毛糸製の一本の栞にしました。
いずれも本体に使った毛糸を使用しています。

チャームそれぞれ付け外しが可能です。
左から、タッセル、果実の香袋、羽根チャーム、スワロビーズ。
右二つは、内布の柄と色に合わせてみました。

セット例

右の丸いのは、丸い果実をモチーフにしてまして、実は香袋です。
といっても香りがついているわけではなく、中に綿が入ってまして、それを取り出し、お気に入りの香りをシュッとひと吹き。
また戻して、お気に入りの香りも持ち歩けるというものです。

トラベラーズノート茶色カバーにセットすると、こんな感じです。

保存袋も作りました。

マルタックには、本体に使用した布や毛糸と同じものを使い、統一感が出るように。

販売は、10月上旬を予定しております。
詳細が決まりましたら、またこちらでお知らせいたしますので、楽しみにお待ちくださると幸いです。

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赤ずきん三姉妹の、毛糸のジッパーケース(トラベラーズノート用)完成しましたので、販売日時のお知らせ

Posted on 31 8月 2019 by

「むかしむかしあるところに、3色の赤いずきんをかぶった三姉妹がおりました。
それぞれの赤いずきんはおばあさんからの贈り物です。
ある日、三姉妹は、体を壊したおばあさんのお見舞いへといつもの森に入りますが、いつしか見たこともない植物に囲まれていることに気づきます。
どことなくオリエンタルな雰囲気の森に迷いこんだ3人の赤ずきん。
どんな誘惑が待っているのでしょうか。
それぞれの誘惑はどんな色なのでしょうか。」

もし赤ずきんが三姉妹だったら、と想像して、それをテーマに3色の赤い毛糸のジッパーケースを、春から製作しておりました。
三女、次女、長女のイメージで、「ローズ」「ルビー」「スカーレット」と呼んでいます。
(前回の記事はこちら

今回から、編み地の一重の方にポケットを付けてみました。
チケットなどを挟んでも良いですし、反対側にピンバッヂやピアスなどを通した時も、キャッチをポケットの中で付けることにより、そのでっぱりをカバーできるかな(ポケットの範囲だけですが)と考えました。

スカーレットをトラベラーズノートカバーに挟んでみたところ。
上のパスポートサイズがブルーエディション、下のレギュラーサイズがブラウンです。

販売開始は、2019年9月4日 水曜日 21:00からの予定です。

上記日時に、Notebookers Market(トップ画面の右側)に、専用ページができます。

では、もう少し、詳細をお見せします。

三女ローズのジッパーケース内

ジッパーケースの内布は、大柄の生地なので、中心となる大きな花が中で咲いてるよう裁断しました。

人の唇が皮膚ではなく、内側のひだが外にめくれているように、内布の色からとったジッパーの色とともに、広げて楽しんでいただきたいです。

次女のルビー
長女のスカーレット

栞とチャームがおまけです

おまけは栞です。
くさり編み一本の毛糸製の栞。
タッセル、チェコビーズ、カゴのチャームが付いています。
3つのチャームは取り外し可能なので、栞の両端はもちろん、ジッパーのスライダーにつけても良いですし、トラベラーズノートカバーのゴムに付けても。

縦横約2cmくらいのカゴチャーム

カゴチャームには、ワインとぶどうが入っています。
赤ずきんたちがカゴにお見舞いの品を入れて森へ入っていく、物語の始まりを意味するモチーフとして選びました。

赤ずきんは、ミステリアスでエロティックで、ときにホラーな物語だと思っています。
お話によって、猟師が出てこず赤ずきんが助からなかったり、実は赤ずきんと狼は最初からできていて、邪魔なおばあさんを殺害するために仕組んだことだった…?なんて創作する方もいて、楽しいです。

だれかのトラベラーズカバーに挟んでもらって、その方なりの赤ずきんの物語を紡いでいっていただけたら、と願っております。

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【ノートブックがない旅なんてVol.59】トラベラーズノートと旅した文房具/2019上半期

Posted on 20 6月 2019 by

2019年5月30日から6月1日まで、人生初のTwitterアンケートを開催していた。

Notebookers.jp記事テーマはこれまですべて、私ひとりのノリと勢いと思いつきで決めてきた。でもその方法もさすがに飽きてきたので「いっそのこと、読者さんのお力を借りてテーマを決めてはどうだろう?」と閃いた次第。

で。
アンケートの内容と回答結果がこちら。回答にご協力いただいた40名の皆さん、ありがとうございます!

「カバンの中に入れてるアイテムのお気に入りTOP5」「トラベラーズノートの使い方(最新版)」の2強であった。回答者40名のうち30名ちょいの方々は、上位2テーマのいずれかに投票してくださった計算になる。

さて。
この結果を反映して、私は今回「トラベラーズノートと旅した文房具/2019上半期」をテーマに記事を書く。

誰ですか?「そんなテーマ、アンケート回答項目にありませんよ」なんぞ石頭お問い合わせ。Tweetで最初から言ってます『「多いからそのテーマを書く」ってワケではないけれど』って。

むしろ2強テーマをミックスした新しいテーマって超オトク展開ではありませんこと!?少なくとも、わたしはとてもラッキーだと思っているんですけどね。では本題へ。

トラベラーズノートと旅した文房具を入れていたケース

傷跡が眩しいうちの茶トラ11年目と旅する文房具を入れていたケースは「TF トラベラーズノート ペーパークロスジッパー オリーブ」である。薄いコットン生地に特殊なのりで加工したペーパークロス素材でつくられている。

レギュラーサイズのジッパーケースの表紙側には「ファスナー付きケース」、裏側の内側には「3段ポケット」、裏側の外側には「エンベロップ型のケース」が付いている。公式サイトの使用例と表裏逆の使い方をしているようではあるが、気にしないキニシナイ……

ファスナー付きケースに入れていた文房具

それでは、ジッパーケースを開いて文房具たちを取り出してみよう。まずは表紙側「ファスナー付きケース」から。

  • ジュース アップ 04 (超極細)ブラック
    「三者鼎立」、「憂喜和精神」、「難関突破」、「一日一進」、「至誠真剣」の5つの行動基準を社是として掲げるパイロットコーポレーションが2016年に発売した水性顔料ゲルインキボールペン。1本200円(税抜)なので、うっかりなくしても心理的ダメージが少なくて済む。

    インキ10色展開ではあるが、旅先では結局ブラックがいちばん使える。ノートブックへの記録だけでなく、とっさになにかの書類に書く場面にも余裕で対応OK(出入国カードとか代表例ですよね)

  • ジュース アップ 03 (激細)ブラック
    04より細い筆跡を書けるボールペン。04は超極細で、03は激細。もはやどっちが細いかわからない超精密展開……。

    04、03ともに、ワンノックですぐ書き出せるスタートダッシュ力と、商品名やメーカー名を仰々しく主張しないボディデザインと、筆記中常になめらかに走るインクが気に入っている。

    同じインキ色の04と03両方を持っていると、下手な絵を書かなくても文字だけで見栄えのするページを作れる。見出し行を04で、本文を03で書き分けるとか。同じシリーズで同じインキ色のボールペンを2本持っているので、うっかりなくしても心理的ダメージは少なくて済む。

  • ぺんてるサインペン グレー
    1963年に発売されて以来、世界中で愛されているロングセラー筆記具。チェックリスト消し込みとか、ボールペンの書き心地やインキ黒々しさに飽きた場合に備えた気分転換ツールである。色は黒でなくグレーがいい。

    ところで、ぺんてるWebサイトを見たら、サインペンのグレーが見当たらなかったのだけど、まさか無くなってたりしないよね……(筆touchサインペンのグレーはある)

  • PENCO Brush Writer イエロー
    海外ブランドの筆記具っぽい見た目をしておいて、実は国内の老舗筆メーカーと作り上げたブラシライター。色味はマイルドライナー(ゼブラ)のマイルドゴールドに近い。

    もうちょい具体的なイメージは、オンラインストアでご確認を。いっそ1本買って試していただく方が早いかと思いますが(1本270円(税込))

  • フォトアルバム用ビニールコーナー
    紙が厚いショップカードをノートブックに貼るのに、スティックのりでは若干心もとない。マステ活用もナイス選択肢だが、長さに限りがあるので慎重に使いたい。

    こうした些細な悩みをあっさり解決してくれるツールが、コクヨのフォトアルバム用ビニールコーナーである。400片入りって量も十分。ケースに入れてもかさばらない薄さで、メーカー希望小売価格240円(税抜)

    使うか使わないかはさておき、トラベラーズノートを携える旅人なら次の旅にひとつ備えておいていいツールだと思う。

  • XS コンパクトハサミ 白
    トラベラーズノートと旅する筆記具以外の文房具に求められる最大要件は「小ささ」である。ジッパーケースに入るサイズは必須だし、できることなら小さく薄く。そして見た目の存在感も小さくあってほしい。

    これらの要件を満たすハサミを模索した結果、2019年上半期時点ではデザインフィルのXS コンパクトハサミ 白がマイベスト。片手スライドで刃を出し入れできるのが特徴。すぐさま切る所作を始められるし、使い終わったらきちんと仕舞えばうっかり刃が飛び出す心配なし。

    あえて使用上の注意を述べるなら、飛行機に乗るときは必ず手荷物に預けること。うっかり手荷物検査に引っかかって厄介な展開になったら、旅のはじまり(または終わり)が若干残念になってしまう。

3段ポケットに入れていた文房具

  • 選抜マステ巻き巻きカード
    名刺サイズの無地カード(エトランジェ ディ コスタリカ)に、この旅で使いたいマステをぐるぐる巻いただけ。15mmマステなら5種類巻ける。今回巻いたマステは全てヨハク

    撮影時は旅の終盤だったため、かなりマステを消費している。空白地帯はその証。途中ファスナーケースに入れていたスティックのりを使い切ってしまうハプニングもあり、とても素敵な柄のマステなのにまるで両面テープのごとくくるり一巻きして紙の裏面に貼っていた。次回の旅ではスティックのりの残量をよく確認し、マステをきもち多めに巻いておこうと思う。

  • ほぼ日のひとことふせん サーカス(レッド)
    1日1ページ手帳といえばのほぼ日手帳さんと、イラストレータユニットのBob Foundationさんとのコラボふせん。最新ページをすぐ開けるようにインデックスとして貼り付けたり、ちょっとしたメモを関連ページに加えるために使ったり。旅ノートのおともとして汎用性が非常に高いアイテムだった。
「ほぼ日のひとことふせん サーカス(レッド)」なかみ

エンベロップ型のケースに入れていた文房具

  • ミニ TO DO リスト モノトーン(A FLOATING LIFE)
    もともとは、直近2週間で特に注力すべきことを書き出すために使っていたアイテムだった。

    しかしこのフォーマット、トラベラーズノートレギュラーサイズとの相性抜群!旅の出発前にはジャンル別持ち物リスト&チェック表として、旅の道中では明日の行きたい場所リスト&優先度確認表として、とっさに何かを書きたくなったら取り急ぎのメモ帳として、とにもかくにも縦横無尽の大活躍っぷり!モノトーンかつ最小限の機能に、ほんの少しだけブランドのおしゃれさを漂わせてくるこのフォーマットが、私にとっては最高なことこのうえなかった。トラベラーズノート使用歴11年目でも、まだまだ新しい発見はある。
  • CARDRIDGE dünn イエロー(ロンド工房)
    かろやかに暮らしを彩るレザークラフトの超薄型名刺入れ。「カードリッジ デュン」と読む。今回の旅で名刺交換をする場面はないと思っていたけれど、念のためCARDRIDGE dünnに名刺を数枚入れていた。

    結局1枚も名刺を渡さずに旅は終わったのだが、話の流れの都合上、うっかり1枚名刺をいただいた。その方、ニュージーランド出身とか言ってたかな。小学生レベル英語7割と相手にわかりやすく伝わりそうな簡単日本語3割、時折少々のジェスチャー程度の割合で、なんやかんやな話をした。私が文房具好きだと言ったら「私は北星鉛筆を使って絵を描いてますよ(in English)」って返しがきてびっくりした。「鉛筆」ではなく「北星鉛筆」……メーカー指定かーい!ほいで絵がまぁ緻密すぎ!!!

  • 型染柄ぽち袋 ふくら雀(榛原)
    もしものときのお金を入れていた。三つ折りお札がちょうどよく入る。見た目にめでたいデザインだし、CARDRIDGE dünn イエローとの色相性もよい。

2019年下半期もよい旅ができるよう、日々淡々とがんばろう。

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【ノートブックがない旅なんてVol.58】時代越えをトランジションに利用する

Posted on 20 5月 2019 by

浅草/令和元年五月一日

元号が令和になってから、もうすぐ三週間が経とうとしています。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。元気で楽しく暮らしていますか。
わたしは相変わらず、ノートブックを武器にあちこち駆け回り取っ散らかっております。

本日のコラムタイトルにある「トランジション(transition)」という言葉。
ご存知の方は、心の中で挙手。
わたしはこの言葉、つい数ヶ月前に知ったばかり。

取り急ぎtransitionを調べると「遷移」「変化」「変わり目」あたりの翻訳が出てくる。
しかし私が見聞きしたところでいう「トランジション」は以下の通りだ。

  • トランジションとは、一連の擬死再生プロセスである
  • 外的/内的要因を問わず、何かが終わるところから始まる
  • 終わりからしばらくは、喪失・無力・失望・諦め・苦悶の日々が続く
  • 底辺中の底辺まで沈みきったある日ある時あるタイミングで、風向きがいい感じに上向く
  • うまいこと風に乗っかってしまえば、終わりを終わりきって新しい始まりを迎えられる

プチ・トランジション(ex. 会社員からフリーランスへの転身)経験者は思う。
トランジションって、わりとタフ。
気力体力、時の運。知識や知恵も必要かしら。
あらゆる要素を総動員しなければ、終わりを終わりきれないし、吹いてる風にも乗っかれない。

生きるうえで何度かはトランジっておく必要はあると感じる一方で、
テキトーなノリと勢いだけでトランジりきるなんて限りなく不可能だとも推察する。

そんな超小心者の私でも、わりと簡単にトランジれるタイミングがやってきた。
そう、それが「時代越え」

平成から令和へと元号が変わる。
日本特有の時代変化を言い訳にして
平成の残課題を終わらせるとともに、令和を新しい始まりにするための布石を打ってしまおう。

平成末期から令和の始まりにかけて、わたしはプチ・トランジションで忙しかったというのに!
なんならまだまだ現在進行形だというのに!
日本を代表するロックユニットB’zさんは、とんでもなく豪快にあっさりやってのける!!!
(しかも稲葉さん、5月1日(推察)に渋谷自撮りしてるしwww)

いやぁぁ〜B’zほんとかっこいい。平成時代にはLIVE-GYM参戦できなかったので、令和のできるだけ早いタイミングでLIVE-GYM行きたい。ちなみにわたしが好きなB’zの曲は『孤独のRunaway』『ギリギリchop』『ねがい』『Real Thing Shakes』『HOME』『RUN』『ultra soul』『……あっもういいですか、すみませんすみません。

飯能/平成三十一年三月三十日

ムーミンバレーパークも、令和のできるだけ早いタイミングで行きたい場所である。
朝から晩まで、一日の移ろいをのんびり感じられる超ざっくり計画を立てて行きたい。
(無計画ではなく、あくまで超ざっくり計画)

【補足】
飯能郵便局の小型印「ムーミンバレーパーク開業記念」
使用期間は2019年3月16日(土)〜2019年6月16日(日)


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おかげさまで10周年

Posted on 09 5月 2019 by

2019年5月9日、よる。
Notebookersライターのsaoriです、こんばんは。

うちの茶トラこと「トラベラーズノート レギュラーサイズ 茶」
本日無事に、10周年を迎えることができまし……

って投稿するつもりだったのに、
きょう撮影のために1冊目のノートを開いたら、使用開始日2009年5月2日じゃないですか!!

こんな信じがたい展開、アリ?
あるんですよーそれが今!

ほんとにほんとに、我ながら心底びっくりしました。
人の記憶は時として豪快に曖昧なのだと、自らの体験をもって痛感しました。

「わたし今年の5月9日にTN愛用10周年迎えるのー♪」とかなんとか、
浮かれた話を聞いてくださった方々、ごめんなさいあれ嘘でした!!

2009年5月2日に1冊目のリフィル(003 無罫)を使い始めて以来、
なんだかんだの紆余曲折はあったものの、
いつの間にやらトラベラーズノートは、時代を越えた旅の連れ?友達?ただの必須文具?
うーんなんだろう。とりあえず生活におけるなんかいい感じのポジションになりました。

出張ついでも含む旅で使ったリフィルは、40冊くらい。
20冊目あたり表紙ナンバリングが面倒になって書いてなかったり、
数冊どっかになくしたりしたせいで、正確な冊数が分からないのです。

10年間、その時にあうペースでトラベラーズノートユーザーを続けていると、
トラベラーズノートとの向き合い方とか、選ぶ基準とか、
ほんの些細なことでも変化していることを実感します。

多くの人たちになにかしらを発信する職業を生業の一つとする身でありながら、
誰よりも、私自身が私の発信に新鮮さを感じられるのかもしれません。

トラベラーズノートユーザーになったことがきっかけで
さまざまな出合いや機会に恵まれたことにも、改めて感謝します。
使い始めた当初にはこの展開、全然考えもしていませんでした。トラベラーズノートすごい。

トラベラーズノートユーザー、10年続けて良かったです。
良かったなぁと、思います。

11年目からは、旅以外でもトラベラーズノートを使ってみようと画策中。
もうすこし、生活に根付かせた使い方をしてみたくなっています。
用途を絞ってときどき使うだけでは、もったいないノートなのではないかと。

筆記具や表現手法などに制限を設けず、
少なくとも使用歴11年目に入った令和元年のうちは、茶トラを使い倒してみます。
(飽きて使わなくなったらごめんね)

今後とも、うちの茶トラをよろしくお願いいたします。

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東の果ての霧の町の灯台

Posted on 03 5月 2019 by

 
此処から東へ東へ、東の最果ての断崖に、明治のはじめに造られた白亜の灯台が立っている。碕の高さと塔の高さを合わせると51mにもなるその灯台の灯は、海から見るときっと、星のように見えるのだろう。

灯台は ”フォグホーン” を備え、周囲を霧で閉ざされた時にはそれを鳴らしたという。過去の記念に残されたサイレン、今はもう、その音が海に放たれることはない。

キャラメル

朝、駅までの途中のコンビニでキャラメルを買って、ポケットに入れた。

キャラメルは、旅の支度の最後、仕上げに持つ旅行には欠かせない携行品の一つ。
長い旅であれ短い旅であれ、旅行は刺激と緊張の連続だ。ちょっと疲れた時、ちょっと気分を変えたい時のための、キャラメルは旅の友。人混みの騒々しい音や匂いとか、自分にとって好ましくない刺激で息苦しく感じた時に、空気と時間を自分に戻すおまじないのキャンディでもある。
 

夜の匂いから朝の匂い

6:00、いつもの通勤とは逆方向の電車に乗る。休日なのでそれなりに空いてはいるけれど、乗客の半分くらいは朝まで都心で遊んでいたらしいぐったりした人達で、車内は夜の電車の匂いをひき摺っている。

駅に着くたび、ふらふらと一組降り、二組降り、途中、何本かの線が混じる駅でほとんどの “夜組” が降り、代わって乗ってきた人々で車内は平日の通勤電車を薄めたような朝の匂いに変わった。
 

ターミナル駅

6:50、千葉駅着。次の総武本線の乗換えまで20分と少し。

持参の魔法瓶のお湯でコーヒーを飲めないかと駅構内のコンビニに入ってみたのだけど、紙コップも紙コップ入りのインスタントコーヒーも見つけることができなかった。そうか、コンビニといっても駅のキオスクの派生種だ、売ってるものもそういうことかと、自分なりに納得して店を出る。
 

窓からの景色

これから乗る総武本線のホームに降りると電車はもう着いていて、ぽつんぽつんと疎らに乗客が座っていた。

車両の座席は通勤電車と同じロングシート。ちょっと残念に思いながら何処に座ろうかとゆっくりホームを進んで行くと、先頭車両でボックスシートを見つけた。いそいそと乗り込む。ボックスシートだけじゃなくて、特急列車のような大きな窓もある。通勤電車と観光列車(?)を合わせたようなおもしろい車両。大きな窓に面したボックスは少ししかなくて、そのうちのひとつに座る。

こんな大きな窓がついているのだから、景色も良いに違いないとスマホの地図(以下『地図』)で線路をたどってみる。……海が見えるわけでもなく、千葉から成田の南を通って銚子まで進む、どう考えてもただの千葉(失礼💦)だけど、いやいやこんな大きな窓がついているのだから、何か見るべきものがあるはずなんだと、どんな景色が見えるのかソワソワしながら発車時刻を待つ。
 

車窓 ─ 藤と白鷺

7:15。モノレールの線路を見上げながら、千葉市のよくある地方都市っぽい景色で出発した列車。ここから2時間、各駅停車でトコトコと進む。

市街部を抜けてしばらくすると、景色は千葉の郊外らしいものになってきた。いや、といっても、わたしは関東の生まれじゃないし、昔、外房の方に何度か行ったことがあるのとあとは成田空港しか行ったことがないくらい千葉には縁がないので、これが本当に “千葉らしい” のかどうか、本当のところは分からないのだけど、何となくわたしの中で千葉の内陸の地形はこんな感じと思っている景色、“想像上の千葉” の景色が車窓から見えはじめた。そうだ、南総里見八犬伝はこんな感じじゃ…!と思ったところで、南総はもっとずっと南ではないかと気付く(お、おぅ💦)

平坦な広い土地に、水の入った水田が連なる。今はちょうど田植えの季節のようで、小さな稲苗の明るい黄緑が、たぷたぷした黒い田んぼの水からちらちらと連なって見える。畦道の途中にはところどころ大きなこんもりした木があって、こういう木の下で、畑仕事のお昼にお弁当を食べたりするのかなと想像する。

田園風景を囲んで、山と言っていいのか森といっていいのかよくわからない鬱蒼とした緑の台地。山、というほど盛り上がりはなくて、延々と平たく高さが続いている。電車はその森の中を抜ける。あちこちに、柔らかな紫の、大きな野生の藤が見える。森の切れ間に、水田をそろそろと歩く大きな白鷺も。

白鷺はこの先もずっと、大きいのから小さいのまで、銚子の手前あたりまでけっこう見た。何だろう、千葉って白鷺の土地なんだろうかと思ってちょっとググってみたら、県のサイトでサギ被害(詐欺被害ではな(ry)のページを見つけた。
▶︎千葉県:サギ類についてhttps://www.pref.chiba.lg.jp/shizen/soudan/sagi.html
 

総武本線の単線区間

ふと、窓に迫る緑を感じて「あれ?」と思う。「線路脇の木、近過ぎじゃない???」

東京から千葉までの線を「総武線」という。千葉から先、銚子までの線は「総武本線」。総武線は首都圏有数のぎゅうぎゅう詰め通勤線でもちろん複線(詳しくは、上り下りそれぞれに複数の線を持つ『複々線』というらしい)なんだけど、その総武線の続きの総武本線なんだからこれも当然複線だろうと思ったら、総武本線は途中から単線になっていた。後で調べたところによると、佐倉から銚子までが単線区間と……ほとんどが単線じゃん(;`ω´)

総武本線の単線区間は、ローカル線のような雰囲気がある。何となくまだ都会の電車の気分をひきずっていると、時々「え?」と思うくらい、森の中にぽつんと出来たように見える小さな駅が出てきて驚く。

単線の幅しかないので周囲の樹々は電車に迫っている。「何かよくわからないけど千葉の方の電車に乗ると木が近くてびゅんびゅんする」と思っていた原因はこれかーと気付く。
 

朝8時、成東駅

東金線で外房方面に行く人が降りたのか、電車はガラガラになった。そして10分程度の停車。電車のモーターも切られて、周囲の音がよく聞こえる。鳥の声と、水の入った水田にいるカエルだろうか、リーリーリー、コロコロコロ、という柔らかい鳴き声。開け放ったままのドアから、朝の湿った植物の匂いがする。少し肌寒い。
 

霧の町

8:53の飯岡を過ぎたあたり、地図で見ると九十九里の弓の上端、海がくいっと食い込んで総武本線が一番海に近付いたあたりで、景色に霧がかかってきた。

今回の目的地である犬吠埼灯台では、10年くらい前まで、霧信号所が稼働していた。霧で視界が悪くなった時に、灯台の光の代わりに霧笛を鳴らして音で船に灯台の位置を知らせる設備。そうか、霧信号所があるということは霧の出やすい地域ってことなのかもと、車窓の霧で白っぽく霞んだ景色を見ながら思う。(霧信号とはすべての灯台に備えられていたものというのでもなければだけど)

わたしは霧がとても好きだ。霧を見ると、クリームのような重い霧が身体にまといつく様子が浮かぶ。すぅ、と温みのない重く湿った水の匂いも感じられるようなのに、それが現実の記憶なのか、夢なのか、想像で作った景色なのかはよくわからない。

小さな頃の車での旅行中、山道を走ってるうちに車の鼻先が見えないほどの濃い霧に包まれてしまった時のこととか、旅先での宿を発つ時のまだ夜明け前の朝霧のかかった感じとか、海と川も近い実家で早朝に時々町が靄っていたこととか、キャンプの朝の湿った匂いとか、水に入れたドライアイスのもったりと重くて冷たい煙の感触とか、何年か前にメゾンエルメスで体験した「グリーンランド」の霧のインスタレーションとか、たぶんそういう幾つかの記憶と人から聞いた話を合わせて出来た自分の中の霧の景色があって、それが霧を見るたび浮かんでは、また新しい霧が加えられて、ますます深く重たい霧の景色が作られ続けているような気がする。

何となく霞んだ白っぽい町の景色を眺めながら、9:10、銚子駅に到着。元々予定していた時間よりも1時間程度遅い。こんなに霧の降りるところなんだったら、のろのろ布団に埋もれてないで、やっぱりもっと早く出ていればよかったと思う。早く着いていればもっと霧深い景色を見られたかも、と思う。
 

銚子電鉄

ホームに降りて「そういえば、JRと銚子電鉄ってどう繋がってるんだろう?JR駅から遠いんだろか??」と、乗り換えの案内板か、もしかして銚子電鉄の駅舎でも見えないかとぐるり周囲を見まわしてみ……あった。いま自分が降りた電車の後ろ(というか電車の進行方向の先、車止めの先)に、何やら栗みたいな屋根の小さい建物があって、その奥から水色のかわいい電車がちらっとこっちを覗いている…

何がどうなってるのかよくわからないまま、人もそのあたりにわらわらいるので近づいてみると、やはりそこが銚子電鉄の乗り換え口(?)だった。ICカード用ターミナルが立っているのでそこでピッとタッチして、そのまま、先のホームの銚子電鉄の電車に乗り込む。座って出発を待っていると、車掌さんが回ってきて切符が云々…言われていることの意味がわからなくて「そこでSuicaでピッとしてきたんですけど(※東京近郊の電車の乗り換え口は一般にICカードタッチ1回で退場精算と入場記録ができる)、どうすれば???」と訊くと、ICカードは使えないんです、今ここで行先を言って(買って)くださいとのこと。おお、想像もしなかった切符の買い方である。
 

荒波

9:30 銚子電鉄「犬吠」駅着。

有名な犬吠埼灯台なんだから行くまでの道標が出てるだろうと思って駅を出たら、ない。地図を出して方向を定め、少し歩くと、犬吠埼灯台傍のホテルの看板が出ていたので安心してそれに従い進む。ひどい方向音痴のわたしでも迷わない程度の、それほど難しい道ではないようだ。

駅から灯台までたいした距離じゃない筈なのに、何故か歩いてる人はいない。車通りも少なくて、地図を見ながら慎重に歩く。地図上で道々の要所の標にしていた海岸へ降りる脇道あたりに正しくそれらしい道があって安心する。「この先は海かー」と思いながらその道の先を見下ろしてみる。……目を疑うような景色。道の先の正面、黒い大岩があって、そこに真っ白な波がぶちあたってザッパーンと砕けている。

「え?あれ、もしかして海?????」←波が荒れることを知らない瀬戸内の民

さっきのは本当に海だったんだろうかと首を傾げながら、本来の灯台への道をもう少し進むと、下の方を見下ろせる小さな展望台があった。

犬吠の今宵の朧待つとせん

高浜虚子の句碑と、白亜紀浅海堆積物という周囲の地層に関する説明板がある。そして眼下には、轟音と、荒々しい海。

う゛…、本当に海だ(怖)
 

オヤジの海ですかこれは…

犬吠埼灯台に登る

映画の始まりに出てくる三角形のロゴの背景みたいな海にドキドキしながら歩いていると(※あのロゴの背景の海は本当に犬吠埼の海なのだそうだ)、いつのまにか灯台のそばに着いていた。空が白いので白い灯台に気がつかず「わー、灯台が見えた✨」という感動がないまま、灯台に着いていた。

四角く囲まれた灯台の敷地の入口で、入場料200円を払って中へ。

灯台と、灯台の台座部分にある資料室。別棟の資料館。納屋だかあずま屋だかのような口の開いた建物にはベンチが並んでいる。霧笛舎。あとは灯台の本来の仕事用らしき立ち入り禁止の建物とレーダーのタワー。とりあえず敷地内の建物の数を確認して、先ずは灯台に登ってみることにした。

塔内の狭いらせん階段をくるくる回りながら99段登りきると、灯台の灯の下のベランダのように張り出した外周路に出るドアが開いていた。暗くて狭いところから、明るい外へ。わー、白い、わー、高……わー~~~!!!!!!!?

一気に登った階段で脚の筋肉ががくがくしていることとか、高いところでスマホを持ってる時にいつも感じる緊張とか、霧っぽく霞んで視界が悪く足元は見えるけど遠くの水平線は見えないこととか、見えるところまで目を遠くにするとめらめらのたうち荒れる海が見えてその轟音がゴーゴーと聞こえてるとか、強い風に煽られてるうち自分が風に飛ばされてしまうイメージが浮かんできて、さらに手摺ごと、もっとさらに灯台ごと、このままこの強い風にもっていかれるんじゃないかと想像が一気にどんどん膨らんで混じり合って、外に出て数歩進んだところで突然凄まじい恐怖に襲われる。手摺を持つ手に力を込める、と、手摺が外れて落ちてゆくイメージが浮かび、慌てて灯台の壁の方に手をあてる、と、灯台がふにゃふにゃと頼りなく柔らかく揺れてるように感じ、そのままガラガラと崩れて落ちてしまうイメージが浮かぶ。その場にしゃがみこみたくなるのを必死で堪えて、すっかり足がすくんで、数歩先のドアまでガクガク震えながら戻った。
 

自分の中ではまさに「命からがら」という感じ。予想してもなかったところでいきなりぴよっと飛び出してきた恐怖。今までの人生で一番の高所恐怖体験になってしまった。
(ちなみに過去の最高ランクは吊り橋と観覧車とロープウェイ、あ、そういえば石廊崎灯台の断崖絶壁もかなりキタのを思い出した。灯台のあるような場所はだいたい怖いのかもしれない…気をつけよう…)

外周路の内側のちいさな踊り場に入ってしばらく息を整える。風の当たらない内側に入ると大分安心するけど、時々ふっとこの小室の外はさっきの風か吹きつける空中なんだという事実が浮かび上がってまた恐怖が襲ってくる。

捕らわれてしまった怖さから気を逸らすために、階段を登ってくる人たちに注目する。階段をひょいひょい登ってきた人の視線につられて上を向くと、レンズ室への上り口の細い階段が続いていた。が、当然といえば当然か、立ち入り禁止のプレート。怖くなってここで休まなかったら、この上り口には気づかなかったなーと思いながら、気も逸れてきたのでそろそろと降り始める。少し混んできた様子で、どんどん人が登ってくる。

灯台から降りてもさっきの動揺でまだ少し震えていたので、灯台に登る前に見ていた納屋のような休憩用と思われる建物に入ってしばらく休む。

人が増えてきたとはいえまだ10時で、それほど混雑はしていない。このベンチがある建物にもわたし以外は誰も居ないし、出入り口の四角い枠から見える白い灯台の壁と入口がとても美しい。綺麗だなあと思っているうちに、恐怖のイメージも薄らいできた。
 

白い空の霧信号所

この犬吠埼灯台で、本当は、一番楽しみにしていたのは霧信号所の建物だ。何で霧信号所を見たかったのか、理由は自分でもわからないような、とてもよくわかるような。
 

先に書いた自分の中にある霧の景色、そこに、断崖絶壁の白い霧の、空(くう)に向かって鳴る霧笛舎の姿を映したい。それとも、現実の霧笛舎の鳴らないラッパに、空想の、クリームのようにねっとり重たく冷たい霧の中で稼働している霧信号所の姿と音を重ねたい。

犬吠埼灯台の周囲には、崖の植物を観察したりするための遊歩道がある。その遊歩道から霧笛舎のラッパを見上げ、ラッパの向いている海の果てを眺めた。
 

見上げる灯台、波はホクサイ

遊歩道の途中から下に続く階段を見て、海まで降りてみようと思いつく。このひどく荒れているように見える海(外房の波は高いと聞いたことがあるけど、もしかしてこのくらいの波はこの辺りでは普通だったりするんだろうか?)を間近で見てみたいという怖いもの見たさもある。

ゆるい階段をてくてく降りるとあっという間に海で、上から見下ろした感じよりもずいぶん近く、また、波も案外怖さを感じない。ちょっと拍子抜けしながら灯台を見上げる。四角い崖の上に立つ白い灯台と、緑灰色の草と岩の景色が、どこか最果ての、日本の景色ではないように見えてくる。

立ち入り禁止の看板のあたりまで海に近づいてみる。この角度からだとやってくる波がよく見えて、葛飾北斎の絵の波の形をしていることに驚く。←波は高くても山型しか知らない瀬戸内の民
 

灯台と照射塔

11:30。そろそろ、もう一つの目的であるお午から開く日帰り温泉に移動し始めてもよい時間。

9時頃には霧っぽく白く霞んでいた空も、昼近くなって晴れてきた。ずいぶん遠くまで、水平線もぼんやり見え始める。眺めているうちにも霧が解けて、遠くの景色が濃くなってゆく。
 

灯台の高台から浅い湾を超えて南、朝来た時には見えなかった東に向かって伸びる平たい岬と、その先の岩がちな小島が幾つも見えた。よく目を凝らすとその平たい岬にすっくと立つまっすぐな塔。あそこにも灯台があるのかな?と調べてみたら、長崎鼻一ノ島照射灯という、灯台ではなく照射灯といわれるものだった。暗礁等の危険な場所(この場合は一ノ島?)を照らすものらしい。

近くまで行ってみたい気もするし、ここから眺める限り距離的にもそう遠くなく行けそうな気はするんだけど、自分の距離感覚と方向感覚の無さにはちょっとした自信があるので無理はしないことにして、温泉に向かう。
 

犬吠埼観光ホテル

家で地図を見ていた時には灯台のある岬から遠く離れているように思えた犬吠崎観光ホテル。現地を歩いてみると、駅からホテルと駅から灯台までの距離はさほど変わらない(そして駅から灯台までも大した距離じゃない)ようなので、温泉はここに行ってみることにした。海沿いの高台を走る道路から浜の方に降りたところにある海辺の観光ホテルだ。

12:00過ぎ、喉が渇いて水を買うために犬吠駅に寄り道したりしながらとろとろ歩いてきたので、ちょうど狙った通りの時間に着いた。玄関を入ってロビーに進むと、すぐに案内の人が「日帰り温泉ですか?」と声をかけてくれる。案内に従って切符を買い、切符を渡すとふかふかのタオルを貸してもらえる。

お風呂場はそう広くなかったのだけど、昼も早い時間で、泊まりの人たちもチェックアウトした後の空白の時らしく他のお客さんはほとんどいない。遠慮なく手足をダラーっと伸ばしてのんびりお湯に入ることができた。

そして、ここに来た一番の理由、海を臨む露天風呂。蒸々して暑い浴室から、露天風呂のテラスに出る。と、海からの風がふわっと身体にあたり、潮の香りがする。お湯は少し塩っぱくて、海の岩場から湧き出る温泉を連想する。正面には波が打ち寄せる太平洋、下は砂浜、そして左手には犬吠埼と灯台。

たっぷりのお湯でぷかぷかしながら、朝は恐々眺めていた海と波と灯台を眺める。灯台には薄く陽があたり、薄曇りの空のところどころに青空が透ける。もうそんなに怖くない程度に海も青くなり始めている。

昼間なので黒い崖の上に立つ白い灯台が見える。夜になったら崖と灯台は見えず、灯台の投げる灯りが見えるんだろうと思う。なんて贅沢なんだろう。
 

犬吠か外川か、駅までの距離

13:00。お風呂にも入ってじゅうぶん満足したので帰途につく。

地図で現在地を見ると、来た時に降りた犬吠駅よりも終着駅の外川駅の方が “直線距離だと” 近いようなので、そちらから帰ってみることにした。道路をたどると少し犬吠駅の方が近いようにも見えるけど、今日のところ、だいたいこの辺りの距離感は「思ったより近い」ので、遠かったところで大して差もないだろうと。

何の問題もなく駅に着いたので先にここで結果を書いておく。観光ホテルから外川駅と犬吠駅、「大して変わらない」だった。(但、わたしのアテにならない感覚値による)

ちなみに、家に帰ってスマホの歩数計で1日の歩いた距離を見てみると、かなりうろうろ無駄に歩いたにもかかわらず全部で7km程度。犬吠あたりは健康な人なら歩いて散策できるエリアだと思う。
 

海抜19.9mから

犬吠埼から長崎鼻の方に向かう道路は海面から少し高いところを走っている。外川駅方面に向かうためにその道路から逸れるところ、ちょうど長崎鼻の上にあたるところに海抜19.9mというレベル表示があった。何となくイメージしている高さの数字よりも低い。こんなに低いものなんだろうか?いやでもわたしの距離感覚ヒドイからな…と、低くなってゆく道の先を眺めていたら、正面に白い筒…あ、あれはもしかして…さっき行ってみたいと思ってた長崎鼻一ノ島照射灯?見に行かなくても見えた!しかもこんなところから!と何だかうれしくなってすっかり満足する。

ふかふかの電車と素晴らしい魔法瓶

外川から乗った銚子電鉄は少し混んでいた。それで少し、帰りの電車は人気(ひとけ)を避けたくなって、銚子駅にいた特急しおさいに乗ることに。行きはずっと普通列車で、終わりの方にはお尻と背中が痛くなってイゴイゴしていたので、特急のふかふかのシートにふかふか!!と感動する。

切符を買い、何だか時間が無いような気がして(ほら、わたし時間感覚もアレなんで…)飲み物も食べ物も買わずに乗り込んでしまった。車内販売はないかと期待するも、この特急しおさいも既に車内販売が廃止されていた。旅の友キャラメルも、行きの電車と灯台の後で食べきってしまっていた。ああ、と、思い出す。ああ、魔法瓶にお湯があるよ!!

愛用のタイガーステンレスボトルは、注ぎ口が広くて直接口をつけられるマグタイプなんだけど、保温性能がすごく高くて、朝沸かして入れたお湯がお昼を過ぎてもまったく冷めず、難なくお茶を淹れられるくらいの熱湯を保つので、とてもじゃないけど直接口をつけて飲むことは出来ない。(可能であることと適していることは違うのである)そのために朝、紙コップか紙コップ入りのコーヒーを買いたかったのだけど買えなかったし、移して冷ますものがないので仕方なく、蓋をあけ放しにして普通のマグカップのように持って、時々鼻に湯気をあてて温かいものを飲んでるような気分を味わったり、時々飲むのにチャレンジしてやっぱり舌を火傷しかけたりしつつ、ふかふかの電車で揺られて銚子から東京に帰った。
 

旅装を解く、雨

駅に着いたら雨が降っていた。しばらくはフードを被って歩いていたのだけど、どんどん雨足が強くなってきて、とうとう折り畳み傘を出した。ここのところ雨続きで、予報でも雨が降りそうな感じだったのでバックパックに入れて一日中持ち歩いているだけだった傘を、最後の最後にひらいた。
 
 

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赤ずきん三姉妹の、毛糸のジッパーケース作ってます。

Posted on 18 4月 2019 by

「むかしむかしあるところに、3色の赤いずきんをかぶった三姉妹がおりました。それぞれの赤いずきんはおばあさんからの贈り物です。
ある日、三姉妹は、体を壊したおばあさんのお見舞いへといつもの森に入りますが、いつしか見たこともない植物に囲まれていることに気づきます。どことなくオリエンタルな雰囲気の森に迷いこんだ3人の赤ずきん。
どんな誘惑が待っているのでしょうか。
それぞれの誘惑はどんな色なのでしょうか。」

もし赤ずきんが三姉妹だったら、と想像して、それをテーマに3色の赤い毛糸のジッパーケースを作っています。三女、次女、長女のイメージで、「ローズ」「ルビー」「スカーレット」と呼んでいます。

参考文献

「本当にあった?グリム童話『お菓子の家』発掘ーメルヒェン考古学『ヘンゼルとグレーテルの真相』」ハンス・トラクスラー著
「グリム童話研究」日本児童文学学会/編
「The Path」Tale of Tales(ベルギーのホラーゲーム)


赤と濃いピンクの毛糸、三女ローズ。


臙脂色と赤の2色、次女ルビー。



長女のスカーレットは赤と朱色。

それぞれ2種類の毛糸を合わせて編んでいるので、見る角度によっていろんな表情が出てきます。どんな毛糸を使ってるかが分かりやすいかなと、糸始末前に撮りました。


と、ここまでは「ぬい工房」にすでに上げていたのですが、その後、内布やジッパーも合わせてみたのでこちらで公開します。

ローズには妖艶なパープルを合わせました。

ルビーには、深いオレンジ。

スカーレットには、明るいオレンジ。

いずれもトワルドジュイのオリエンタルな植物柄が、すこし不気味なこの世界にぴったりなんじゃないかと選びました。

また、編み地とジッパーの色の組み合わせなど、赤に紫とかオレンジとか、ちょっと市販のものではなかなか見かけないなと思い、あえて選びました。トラベラーズノートカバーに挟んだ時にチラッと見える小口の赤と一見ミスマッチなジッパーの色。普通に売っていないけど素敵なものが、私は作りたいのです。

まだ組み合わせてみただけですが、なんて素敵なものを作ってしまうのだろう、なんて、自分でどきどきしています。できあがったら、もちろんこちらのMARKETにて販売しようと予定していますが、もし売れなくっても構わない、私のコレクションに加えるのだ、そんな意気込みです。

でももし買っていただけるならそりゃあいちばんうれしいですが。

進展しましたらまたこちらで報告いたします。楽しみにお待ちいただけるとうれしいです。

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【ノートブックがない旅なんてVol.57】出張先のToday’s TRAVELER’S notebook/2019冬・ 福岡編

Posted on 20 3月 2019 by

ちょっくら旅して…ではなく、出張に行ってきた。
翔んで福岡。とあるITサービスの導入事例取材&執筆案件。

福岡市は、内閣府地方創生事務局が指定する国家戦略特区のうち「グローバル創業・雇用創出特区」として創業の支援と雇用の創出に取り組んでいる場所である。
そんな理由もあってか「コワーキングスペース」があちこちに点在していた。特に天神、あと博多。
「地理的に天神≠博多」という学びは、今回の出張で得られた収穫のひとつ。えっ常識!?

取材は無事終了。そのまま福岡観光したい気持ちは山々であったが、この時期はいろいろ抱えており、とても軽やかに動ける状態ではなかった。原稿の締切とか、さまざまなスケジュール調整とか、原稿の締切とか校正とか、あと原稿の(以下略)

いやいや、こんなところで負けてはならぬ。
仕事で遠くに行く機会をいかにしておもしろい旅にするか、ここらで企ててみようではないか。

そしたら福岡、いい街ですね!あの辺りって、コワーキングスペースめっちゃ充実してるじゃないですか!!だから、いいかんじのコワーキングスペースさえ探せれば旅気分満喫できる気がするし、仕事するにも環境変えてリフレッシュって大事だと思うんです!!!なのでわたし、コワーキングスペースに引きこもりますね。多少の周辺散策は許容範囲で、何卒。

仕事の合間に砂浜散策リフレッシュ(とても寒かったので短時間で終了)

今回お世話になったコワーキングスペースは、福岡市西区の海沿いに建つSALTさん。「目の前すぐ海!」って立地が既に100点超え。内装やスタッフさんも素敵だし、ココまで行くのに乗車したJR九州の車両もまた素敵。

立地の強み一点張りじゃなくて、総じていい感じにゆるくてちゃんとした空気感。新鮮な環境で仕事をしっかり進めたい身としては本当に最高な場所だった。

もちろん寄り道は必須。多少どころかまぁまぁ周辺散策した。

SALTの最寄駅はJR筑肥線の今宿駅(福岡市西区今宿駅前一丁目1-1)
ヒッポー製パン所(SALTから徒歩約1分)

ノートに記録する手段は、書くことだけではない。
「出張先のToday’s TRAVELER’S notebook」の撮影だって、立派な記録方法なのである。

旅目的100%でもなく、仕事目的100%でもない。
旅のついでに仕事するとか、仕事のついでに旅をするとか。
ひとつの時間にあれこれ雑多に織り込んだ結果、とても充実した出張になった。



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【ノートブックがない旅なんてVol.56】うぐいすぱんと7曲のトラックリスト

Posted on 20 2月 2019 by

2019年初登校……じゃなくて、初投稿。
Notebookersライターのsaoriです。ココの開設初期からライターを始めて、今年で7年目に入りました。

自分自身でさえもすっかり忘れていたから世の中規模で見たらなかった出来事になっているとは思うのだけど、Notebookersライターを始めてから4年半くらい、月イチペースでコラム的な何かしらを書いていた。

Notebookers.jp開設当時といったら、改めていま思い返しても(とてもいい意味で)人生で最もノートブックに翻弄されていた時代。モレスキンユーザーの集いにトラベラーズノートをまぁまぁ大量に携えて挑んだおかげで冗談抜きで世界がパキッと開けた頃だった。それからさらにノートブックが好きな人(「文具好き」と言っていないところは地味に重要)が集まるサイトができると聞いたらライターとして参加しないわけにはいかないわけですよ。せっかくだから定期的に書ける仕組みを自分でつくろうと考えた策が「月イチコラム」という展開で、当時はひとり旅でトラベラーズノートをフル活用するのにドハマリしていたからコラムタイトルは「ノートブックがない旅なんて」で即決だった。いまこの記事を読んでくださっている方でコラムタイトルを思い出していただいた方がもし万が一にも居たとしたら、わたしは全力で感謝の意を伝えたいと思っています。

月イチコラムを始めてから3年目くらいかな……、なんだかいろいろばたばたしていて良い記事を書ける気がぜんぜん起きなくなったのは。コトバを満足に扱えない状態ではステキで気の利いた写真など撮れるはずもなく、無味乾燥な心身から話題を編み出して記事を作るのはどうにもこうにも難しく、だんだん適当ペースの更新になって、それからコラムもぱたりとやめた。

Notebookers.jpという場所がいいなと思うのは、自分から記事なりなんなりを発信できない状態でも、他のだれかがこの場所に、各々のペースでなんとなく薪をくべているところ。個人でブログやnoteを運営していると自分の発信が止まることは致命傷にもなるから無理矢理にでもへんてこな記事を世に晒さなければならないリスクがあるのだけれど、そういったことがココにはないからほんとうに気楽である。だからきっと「前回の記事から2年以上経ってることはさておき、今回のテーマは〜」ってノリでゆるふわにコラムを再開したって無問題。

……長い前振りになってしまった。ここからvol.56のコラム本題。
コラムを毎月書いてた数年前と今とを比べると、旅を目的に遠くに行く機会はすっかり減った。その代わり今は、仕事で遠くに行く機会をいかにしておもしろい旅にするかを想像して実行するといった一連のプロセスがおもしろい。

およそ600gのコンパクトサイズBluetoothスピーカーは、「遠くに行く」に対する捉え方の変化を象徴するアイテムである。そろそろユーザー歴10年を迎えるレギュラー茶革トラベラーズノートをはじめとする秋色アイテムと好相性だ。私の脳内会話では常に「うぐいすぱん」と呼ばれている。

先日はじめて出張先にうぐいすぱんを持って行ったのだけど、これがすこぶる良かった。知らない土地でも耳馴染みの良い音楽があれば、その場を少しは自分のテリトリーに寄せられる。知らない土地だし適当な検索でヒットした知らない音楽を聞いてもそれはそれで、遠くに行っている実感を聴覚で愉しめる。

劇場版シティーハンター<新宿プライベート・アイズ>を観に行ってきた話。観るならぜひとも、新宿で。

四半世紀くらい前にテレビで見ていた光景が、まさか2019年の新宿を舞台に繰り広げられられるだなんて!エンタテイメントとしてめっちゃ楽しめた。当面の間は、Get Wildが脳内BGM占有率ナンバー1になりそう。もちろん本日のマイベストトラック7入り。

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毛糸のジッパーケース、スタンダードエディション(パステル)販売日時と価格変更のお知らせ

Posted on 07 2月 2019 by


先日、こちらで製作中と言っていましたトラベラーズノート用の毛糸のジッパーケースができあがりました。販売準備も整いましたのでお知らせです。

販売日時は、2019年2月13日 水曜日 21時からの予定です。

上記日時に、Notebookers Marketに専用ページが出現しますので、ご興味ある方は、どうぞよろしくお願いいたします。

毛糸の色は、上の画像の右上から時計回りにベージュ、グレー、ネイビーです。過去に二度販売したことがあるこの3色は、トラベラーズノートの革カバーに標準的に合うなーと思っているので、「スタンダードエディション」と名付けました。

今回のジッパーの色は、グレーの毛糸にはレモンイエローを、ネイビーの毛糸にはスカイブルーを、ベージュの毛糸にはマスカットグリーンを合わせ、北欧調の内布との調和を楽しんでいただけると思います。

また、前回記事で述べましたように、ジッパーの隠れたところに芯材を縫い付け、片手での開閉がしやすいように改良しております。よって、価格についても次の通り見直しさせていただきましたのでお知らせいたします。

レギュラーサイズ 変更前4200円 → 変更後4800円(いずれも送料込み)

パスポートサイズ 変更前3100円 → 変更後3700円(いずれも送料込み)

なお、スタンダードエディションは、これからも作り続けていきたいシリーズですが、これまで通り、ジッパーや内布は変えていく予定ですので、同じ組み合わせのものは他にない、一点ものとなります。気に入っていただけましたら、その時にお買い求めくださることをおすすめいたします。

トラベラーズノートカバーにセットしたイメージも撮ってみましたので、チラ見せします。下の画像は、グレーのレギュラーとパスポートです。どちらも革カバーはブラックです。

開いて左側の編み地には、ピンバッヂやピアスなど刺してお気にいりを保管できます。
画像のようにメモを刺してもおもしろいです。ご使用者の方から教えていただきました。

では、毛糸のジッパーケース、スタンダードエディション(パステル)の発表をお待ちくださると幸いです。

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毛糸のジッパーケース(トラベラーズノート用)を製作中であることと改良点と。

Posted on 28 1月 2019 by

次回販売予定の毛糸のジッパーケース(トラベラーズノート用)の一部

鋭意製作中

現在、次回販売予定の毛糸のジッパーケース(トラベラーズノート用)を製作中です。ですが、その手をちょっと休めまして、宣伝を兼ねて改良点についてお知らせしておきたいなと書いています。

今回の毛糸の色は、数年前、最初に出品したものと同じで、グレー、ベージュ、ネイビーの3色です。(以前はネイビーでなく紺色って呼んでました。ネイビーという呼び方を思いつかなかったからです。他の2つがカタカナなのだからネイビーじゃんね)

そしてジッパーの色を、北欧調の内布に合わせてパステルカラーにしてみました。グレーの毛糸にはレモンイエローのジッパーを、ベージュの毛糸にはマスカットグリーンのものを、ネイビーにはスカイブルーを合わせています。枯葉の地面に明るく息づく草花のような凜とした雰囲気が気に入っています。

2月上旬に販売開始予定です。詳細が決まり次第、またこちらでお知らせいたしますので、お待ちくださると嬉しいです。

改良点(ジッパーに芯材)

今回から、ジッパーの両サイドに、上の画像のように、芯材を縫い付けました。なぜかと言いますと、これまでに毛糸のジッパーケースをお使いの方々にアンケートをとらせていただいた結果、「ジッパーケース本体が柔らかいため、ジッパーを片手で開閉し難い」、というようなご意見をいただいたため(詳細は前回記事『「毛糸のジッパーケース」アンケートへのご回答をいただいて』)、なんとか改良できないか考え検証した結果、これが今できる最良かなと思い、施しております。

検証した内容

「バッグ・帽子用ポリ芯<0.5mm・白>」というものを約5mm幅に細くカットし使用しています。

芯材あり(左)と芯材なし(右)を洗濯バサミではさんで立ててみました。これくらいちょっとしっかりしてくれます。

さらに使い心地を検証するため、自分用にツインジッパーケースを作ってみました。

自分用に作ったツインジッパーケース(バスポートサイズ)

グレーの編み地に、ちょっとわかりにくいですが、画面左がピンク色、右が白のジッパーを付けています。

トラベラーズノートのカバーにセットし、左手でノートを掴み、それぞれ開けて下にあるスライダーを、右手で上にスライドし、閉めてみます。

芯材なしなので、グニャッと本体ごと上がってきてしまい、閉め辛いです。

芯ありのほうは、ジッパーがまっすぐであろうとしてくれてるのが分かりますでしょうか。スッと難なくスライダーが上がってくれました。

検証結果より

以上のことから、見た目も変わらず、重さもほぼ変わらず、片手で開閉しやすくなったと判断し、この「ジッパーに芯材縫付方」を採用した次第です。今後の私の毛糸のジッパーケース(「の」多い)にはこの作り方でいこうと、まあ今のところそう思っております。

これを使われた方には、また使い心地をお聞かせ願えればなあ、と思いながら一針一針、鋭意製作中です。

以上、次回の毛糸のジッパーケース(トラベラーズノート用)の宣伝と改良点でした。

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旅モレ

Posted on 23 11月 2018 by

 

布張りのかわいらしい桜モレスキンを見た時、大事に大事に使おうと思った。

が、すぐにその考えを変えた。

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日曜日のホテル、曇天の朝

Posted on 04 11月 2018 by

部屋の片付けをしていたら、以前、出張が多かった頃につけていたホテルの間取りメモが出てきた。
そういえばずっと前に書きかけていたホテルの話があったなと、ちょうど季節も冬っぽくなってきたし、ちょうど日曜日だし、日曜日のホテルの話を、日曜日の夕方に仕上げる。


 
ふと思いついて、日曜日の夜のホテルをとってみた。何処か遠くじゃない、いつもの通勤の途中の、時々寄り道をして買い物をしたりする定期券だけで行ける街のホテルを、出かけるついでに思いつきでとってみた。
いつもの通勤バッグに月曜日の着替えをぎゅうぎゅう詰めて、日曜の昼間の電車に乗った。

── 柳通りのホテル ──

石の小さな玄関をくぐると、ホテルのロビーは、キャリーケースの鈍い光と旅行鞄とウールのコートと、声を抑えた複数の喋り声がたてるさわさわした小々波のような音で満ちていた。
チェックインを済ませてカードキーをもらう。奥にあるエレベーターホールはしんと静かで、フロントの人の気配もざわめきも届かない。エレベーターの箱の位置を示す機械仕掛けのインジケーターの、ピン、カチ、カチ、という音がホールに小さく響く。
自分で荷物を持って部屋に行くような、特に高級でもなく気取ってるわけでもない庶民的なホテルなんだけど、ちょっと外国のような雰囲気と立地のせいか、ゲストは何となくよそ行きの顔をしている。わたしも何となく背筋を伸ばす。エレベーターで乗り合わせた紳士が、いちど日本語で喋ったことを、一瞬おいて英語で言い直したりする。(イヤワタシサッキニホンゴデヘンジシタヨネ)

部屋は、街中のホテルらしい小ぢんまりしてシックなインテリアだった。窓からは向かいの建物に絡む植物の緑が見える。今日は部屋が空いてるからということで少し広い部屋にアップグレードしてもらったのだけど、それでもずいぶん小さな部屋。ベッドはシングルサイズだし、部屋のなかで大きいものといえば、ゆったり足を伸ばして入れるバスタブと、向日葵みたいなやたら大きいシャワーヘッドだけ。ベッドでも部屋でも、わたしはだいたいが狭いより広々とした方が好きなんだけど、この部屋はこの小ささがなんとも心地よかった。

── 日本語の聞こえない街 ──

少しホテルで休んでから、出先に向かうためまた駅に向かう。歩いてる間も四方からいろんな国の言葉が聞こえてくる。この街はいつもこんな感じで、時によっては日本語がまったく聞こえないこともある。聞いたことのない音の言葉を聞いていると、気持ちがどんどん楽に、肩の力が抜けてくる。自分の知っている「常識」が通じないんじゃないかなと思うとほっとする。身体のまわりに廻らされている壁が消えて、気楽で自由な気分になる。

いつもは素通りするだけの通りを、今日は旅人の気分で、路面に出されたレストランのメニューを眺めたりしながらゆっくりと通り過ぎる。いつも通りかかるたび気になって、でもいつも満席っぽいので通り過ぎるだけのカフェを、今日もまた気になりながら通り過ぎる。次は何の用事もない時にホテルをとって、夜まで旅行者らしく街を歩きまわってみようかなと思いながら、そうしたらその時こそこのカフェに入ってみようと、店の窓にかかった美味しそうなモンブランの大きな写真を眺めたりしながら通り過ぎる。

── ホーム ──

戻ってきたのは夜の11時。夕飯もまだなので何処かで食事をしたいのだけど、日曜日の夜は早い。もうほとんどの店がラストオーダーの時間を過ぎていて、駅の売店でどうにか駅弁だけ買うことができた。

いつもの ”帰りの電車” には乗らないで、いつもは遊びに行くだけの街に帰る。にぎやかだった通りはすっかりひと気が少なくなっていて、夜遅くお腹を空かせてとぼとぼ歩いてると、帰るところがなくなってしまったようで心細くなる。帰るところのない旅に居るような感覚は、不思議と、知らない土地では感じることがない。知らない土地ではそんなことを感じている暇なんてないからかもしれないし、日常の景色の中に非日常の時間が混じった時にこそ、感じることのような気もする。

それでも、柔らかい灯りが漏れるホテルの小さな玄関を抜け、こんなに遅い時間だというのに変わらず旅人達でにぎわってるロビーを抜け、微かな機械音のする滑らかなエレベーターであたたかい部屋に戻って、買ってきたお弁当を食べてお腹が膨らんだら、すぐに、ああ、ここがホームだ、ただいま、みたいな気持ちになる。お湯を沸かしてお茶を飲む、何かを食べる、お風呂に入る、ベッドでひと眠りする。日常の儀式をするたびに、ホテルの部屋がホームになってゆく。

── 朝、月曜日 ──

普段より遅い時間に起きて、ゆっくり身支度をした。夢の続きのようなふわふわした気分でチェックアウトを済ませ、朝の人通りの少ない繁華街を、駅に向かう。平日は始まってるんだけど、自分の中の時間はまだ旅の続き。
旅行者の気分のまま乗り込んだ満員電車を降り、職場の駅の、いつもの、通勤の人達の暗い色のコートと黒い鞄の波の中に混じる。
前を歩く黒づくめのサラリーマンの鞄の裏地がチラッと見えて、黒の中から一瞬、眩しいくらいの鮮やかな空色が現れた時、何となく自分の今の心の内側を映してるような、ささやかで重大な秘密をみたような気がして、ちょっと愉快な気分になった。


 
冒頭の写真のノートは、この話のホテルとはまったく関係なく、雰囲気もまったく違うホテルの間取り。たぶん出張中のホテルは旅先のホームだから、その頃に思ったことと繋がって連想したのかなと思う。
 

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Perspective 後編

Posted on 27 9月 2018 by

◀︎ Perspective 前編(サンライズ出雲〜三原港)

6. 因島

3年前、その時もちょっとした思いつきで、短い船旅をした。三原から隣市の尾道まで、海路でいったん海に出て、船を乗り継いで行った。(『断片』)
その時にも経由した因島。いんのしまと読む。以前は因島市だったのだけど、いつのまにか尾道市になっていた。元は独立した市だったくらいだから、「島」ときいてなんとなくイメージする島よりはずいぶん大きい。船着場はいくつもあるし(いくつあるんだろう?わたしが知ってるだけで4つはある)、山もある。ついでにいうと村上水軍の拠点でもあって、城跡も多くある。

3年前のルートは、1本目の船で三原港から因島の重井(西)港へ、そこから歩いて同じく因島の重井東港、重井東港から2本目の船で尾道港に向かうというもの。同じ「重井」の西港から東港なんだから隣にあるんだろうと思ったらとんでもない……はじめのうちは民家の意匠を見て「おー、すぐ近くなのに本州側とは違う。これは因島村上氏の海賊風なんだろうか」とかなんとか考えながら写真も撮ったりして楽しくてくてく歩いてたんだけど、てくてくてくてく歩いても次の港らしきものは見えないしそれどころか道なりに進むだけで丘を越えるような地形になってくるし、てくてくてくてく歩きながら大層心細くなってきて真夏の道路は容赦無く熱いし、てくてくてくてくてくてくてくてく歩き続けて30分、半べそでたどりついた港では港湾ビルも切符売り場も見あたらず桟橋がぴよっと出てて、……って、あ、話が逸れた。とにかく、安易に「島」というイメージで想像してるとひどい目にあうような大きさの島なのだ。

そして今回。
三原港を出た船はまず因島に向かう。因島では寄港地が3つあり、島の北側にある重井港→中ほどにある因島モール→南側の土生港と、同じ島の3つの船着場を海路で渡ってゆく。
(本当は因島までの途中で佐木島に寄り、因島の後で生名島に行く航路なのだけど、わたしが乗った便は佐木島に寄らず、生名島の前で下船したのでそのへんはまぁその)

防風ガラスにあたる波飛沫と白い航跡を眺めざぶざぶと揺れながら、3年前と同じルートの同じ景色というのもあってか、いつのまにかぼうっと考えごとをしていた。重井港から因島モールまではこの船で10分強、因島モールから土生港が5分弱。因島モールというのは最近新設された桟橋のようだけど、モールというからにはモールなんだろう。きっと大きなショッピングセンターがあって、あのピーピー鳴るカードを渡されるフードコートなんかもあって、、、あ、もしかして、島の人たちはバスの代わりに船に乗って買い物に行ったりすることもあるんだろうか?船にちょうどいい時間帯だったら「今日は船で帰ろー」とか……

……と、つらつら考えてるうち船は因島の北側、1つめの重井港を過ぎていた。このあたりまで船で来たのは、記憶に残ってるなかでは初めて。見憶えのない景色に焦点が戻る。

重井港から先は、(三原港から重井港までの間もそれは瀬戸内海らしい景色ではあるのだけど、それをずっと上回るほどに)信じられないほど美しく可憐な瀬戸内海の景観が続いていた。ふくふくと起伏のある小さく立体的な秘密基地みたいな島々が、空から落ちてきたみたいに艶やかで平たんな碧い海に溢れている。どうやったら行けるだろう?と想像して楽しくなるような、島側からだと隠れて見つからなそうな小さな砂浜や入り江もあるし、今は夏の緑一色だけど、季節になれば蜜柑や八朔やレモンの橙色や黄色の果物のなる木があちこちに見られるはず。
もしかしてこれは絶景というのじゃないだろうか。絶景というとなんとなく、字面からして何処か遠くの険しい地形をあらわす言葉のような気がしてたけど、こういう「信じられないくらいかわいい」も絶景に含まれるんじゃないかと、この景色を見て思う。とてもきれいな玩具のような、空想の世界をそのまま地形に写したような、現実感のない景色だった。

船は土生港に着く。次にのる今治行きの船までは1時間と少し。陽は強いけど日陰にいれば涼しい風が吹いて心地よいので、港でのんびりすることにした。

普段は縁のない港の切符売り場を興味津々で眺める。美術館のチケット売り場のような仕切りガラスのある窓口、ガラス越しでやりとりをするための穴の開いた窓口が並ぶ。以前は係の人が居たのだろうけど、いまは誰もいない。ガラスには何年前から貼ってあるのかわからないような灼けたテープのついた張り紙やポスターがみっしりと貼ってあって、その隙間から、奥にぼんやり見える暗い無人の事務所を覗いてみたりする。

切符売り場の其処此処に貼られた張り紙を見ているうちに、「……は、道路を出て左200m先のコンビニで…」という一文を見つけ、散歩がてらコンビニまで行ってみることにした。
コンビニはどの町に行っても同じコンビニなんだけど、何となく、少し、その土地独特の雰囲気がある。何がそうなのかと言われてもうまく答えられないけれど。いつも行ってるコンビニのいつも買ってるソフトクリームを、いつもの町から500マイル離れた島のいつもと少し違うコンビニで買い、眩しく澄んだ陽射しの町をを少し歩き、うす暗い港湾ビルに戻る。シャッターの下りた売店の前の風除けのガラスで囲われた待合室の出口に座って、海の風に吹かれながら、ソフトクリームをかじりながら、次の船に乗るためにそろそろとやってくる島の人たちの会話を聞くともなしに聞いている。島には住んだことがないけど同じ瀬戸内海地方だし、同じ言葉だし、たぶん他の旅人よりはずっと景色や音や空気の匂いを自分の内にあるものと同じに自然に受けとっているだろうとは思うのだけど、それでも、何処か知らない異国にいるような気分になる。

「海難、密航、密輸、不審船
(海の事件・事故)
直ちに通報118番」

海では110番じゃなくて118番、なんていう今までの人生では想像したこともなかった常識をその辺にかけてある看板で知るのも、また異国めいた体験か。

次の船が来るまであと10分。着いた時には桟橋からまっすぐ入ったので見ていなかった建物の南側を覗くと、小さなお社があった。海はきらきらして明るくとても良い天気なので、出港の前に挨拶をしてゆくことにする。

7. 芸予諸島

瀬戸内海には全体で3千もの島があるらしい。3千もの、と書いたけどそんなに大きな数、実は自分でもぴんときていない。とにかく、中国地方と近畿と四国と九州で囲まれた小さな海に、たくさんの島がある。ただ、とはいっても、ヒトのスケールからすれば瀬戸内海も広い。島の多い海域と、島は少なめで開けた海域がある。今回の船旅は、芸予諸島という数百の島が密集した、瀬戸内海屈指の多島美といわれるところを通っている。

芸予諸島のほぼ真ん中の本州側、竹原の祖父母の家から車で帰る時に、「本線がいい?呉線がいい?」ときかれたら必ず「呉線!」と答えていた。本線というのは、昔は山陽道・西国街道といわれた大阪から門司を結ぶ国道2号線のこと。呉線というのは、電車の呉線と並んで走る国道185号線のことで、瀬戸内海を臨む海沿いの道だ。

呉線から見える瀬戸内海。なめらかできらきらしていて、グリーンがかったたぷたぷした海の上に、大きいの、小さいの、たくさんの島が浮かぶ。その間をフェリーや小さなボートが行き交い、遠くにはタンカーが見える。よく晴れた日には「四国」といわれるうす青く長い陸影も見えるらしいけど、子供の頃の自分の目には、遠くの空と海の境にある青い影が、大きな島なのか四国なのかの区別はつかなかった。海沿いを走る車窓の下はすぐに海で、満潮で海が満ちている時にはスナメリクジラが泳いでるのが見えるんじゃないかと目を凝らした(けど、それらしい白い影が見つかったことはない)。漁港ではない港町(漁港のにおいがしない)、海沿いの小さな町には見合わないほど大きな造船会社のビルの間を抜け、赤と白のゴライアスクレーンを過ぎると、小さな砂浜のあるお気に入りの無人島が見える。
遅くなって夜になった時には、島々の灯りと船の灯りがゆらゆらして、時々、灯台の回る光がちか、ちかと、光の棒を空(くう)に投げる。左手にはカーブを描いて今から帰ろうしている街の光が連なり、右手は海と島の世界のあかりが灯る。

「船で四国に行く」というのは、その、近くて遠い島々の世界を、眺めるのでなく入ってゆくこと。島の世界は思っていたよりずっと”島の世界”で、土生港で感じた異国めいた気分は、気のせいではなくて本当に異国なのだろうと気付く。

四国行の2本目の航路は、因島の土生港を出て、生名島、弓削島、佐島、岩城島、伯方島、大島、そして最終港の今治まで、幾つもの島に寄りながら行く。港を出た船は、すい、と進んで次の港、すい、と止まってまた次の港へと、町中の電車がとまるくらいのリズムで軽やかに進んでゆく。
「はい今日はぁ」着いた港からゆるく挨拶をして乗ってくる次の島の人達が、前の島から乗っている人達と合流して楽しそうにお喋りをしている。ここに住む人たちは、隣島が隣町くらいの感覚/間隔で暮らしているのかなと思う。町工場のようにあちこちにあるドック。あちこちに泊まっている船。海は水路のようで、海の水路をゆく船は、電車やバスのような気軽な乗りもののように見える。

穏やかなこの海域、きっと歴史にも残ってないような昔から人が住んでいて、しまなみ海道や瀬戸大橋はもちろん、乗合の定期渡船もなかったずっとずっと昔には、泳いで渡ったり個人の持つ小さな手漕ぎ舟で渡ったり送っていったりが普通に行われていたんだろうなと、またぼんやり想像する。この海域を制していた水軍の武士たち、海を自由に行き来した逞しい人と、もし浅瀬なら歩いて渡れるほど近くにある島にすら渡る術がなくて溜息をつく人も居たかもしれないと、退屈そうな細い指と紅い木の花を想像する。

8. 今治港は想像していたよりもずっとモダンな港で、振り返って見上げた建物は船のような形をしていた

朝になって計画を立て、時間もあまりなく出てきたので、今治港に着いたものの電車の駅が分からず一瞬途方にくれた。すぐに気を取り直してスマホの地図で調べてみるが、JR今治駅……、駅と港はすぐ近くだろうと思ったら意外と遠い。
それでも、タクシーに乗るほどの距離ではなさそうだし、迷うほど複雑な道路でもなさそうだし、からっとしてそれほど暑くもなさそうなので、歩いて今治駅に向かうことにした。

ずっと続いていた暑さに比べればずいぶん涼しい日とはいえ、9月になったばかりの真夏のような日差しの下、外を歩く人はほとんどいなかった。港の建物の日陰を選って歩いていたら、地元の人らしい、子供のような瞳をしたおばあさんにじっと見つめられ、すれ違う。「こんにちは」と会釈すると、にっこりと破顔する。

20分ちょっとかかって今治駅に着く。駅にいたバリィさんに挨拶して、まっすぐみどりの窓口へ。
「松山まで一番早く着く列車(の切符)をください」
特急しおかぜで松山に向かう。

9. 松山は想像していたよりもずっと都会で、街には路面電車が走っていた

目的地の道後温泉は、道後温泉行き電車の終着駅なので特に迷う心配もない。Suicaは使えないので小銭の両替に少し戸惑ったけど、目の前の両替機で両替をする人がいて、安心してそれに続く。発車。キーキー、ガタガタ、チンチン、キーキー、プシューーーーーー、ガタガタ、キーキー……と、古い車両のようでわりとやかましい路面電車だった。特にカーブの時のがんばってる感がすごい。
路面電車の走る道路は、ちょっと不思議な感じに見える。道路の上に張ってある電車の電線がうすくかかった蜘蛛の巣か屋根のようで、街全体が、電線の糸でできたアーケードのような気がしてくる。その下を、キーキー騒がしい音をたてながら電車が走る。まるで街自体が何か大きな生きものの巣のように感じる。

10. 道後温泉

道後温泉には、「道後温泉本館」という大きな木造の建物がある。ここが道後温泉の中の「道後温泉」の本体。白鷺が見つけた温泉なのだそうで、その伝説にちなみ、建物の天辺に白鷺の像が居た。

道後温泉本館は、宿ではなくてお風呂のみのいわゆる外湯という共同浴場で、お風呂は「神の湯」と「霊(たま)の湯」、2種類の浴室がある。大広間と個室の休憩室もあり、
神の湯に入れて大広間での休憩(お茶とお煎餅付き!)とか、
霊の湯と神の湯に入れて個室での休憩(お茶と坊っちゃん団子付き!!)とか、
1時間程度の休憩の付いた入浴コースを選べる、スパ施設の日本伝統版みたいな温泉施設だ。

2つの船で瀬戸内海を渡り、さらに2つの電車を乗り継いで、遥々、お風呂に入りにやって来た。ホテルにチェックインし、早速……まずは腹ごしらえをしてから ── (* ¯ ω¯)<鯛めしうま!── 道後温泉本館に向かう。ホテルで外湯用の湯かごを貸してくれるとのことだったのだけど、戻るのも面倒だし、そのまま偵察がてら玉の湯+大広間のコースで入ってみることにした。

外の札場で入浴券を買って、白鷺のシンボルが掘られた石灯籠の間の大きな玄関から建物の中に入る。改札で入浴券を見せると、廊下を進んで突き当たり、階段をのぼって二階の大広間の休憩室に上がるよう言われる。広間の休憩室を覗くと案内の人がすぐに来て、席に通してもらえる。席には浴衣が用意してあって、説明を一通りきいてから、浴衣を持って階下のお風呂へ。

「温泉」といえば「温泉」で、温泉といえば温泉らしいある一定のイメージがある。だけど、道後温泉本館・神の湯の浴室は、温泉というよりは銭湯に近い印象のお風呂だった。優雅にお湯に…みたいなしっとりゆったりな感じはなく、ザッパーンと体を洗ってザブーンとお湯につかってパーッと上がるみたいな、何となくそういう豪快な生活感がある。松山・道後温泉といえば「坊ちゃん」だけど、あの坊ちゃんのリズムで温泉に浸かると、正しく道後温泉になる気がする。銭湯というには重厚で古めかしく、芸術的とも思うんだけど、温泉というよりは風呂とか共同浴場という飾りっ気のない言葉で表現する方が何となくしっくりくる。国も時代も違うし行ったこともないけど、何故だかローマの共同浴場が思い浮かんだ。

この日は平日。近隣随一の温泉とはいっても長期休暇シーズンでもない平日は空いていて、お風呂上がりの休憩でお茶をいただいてる間に他のお客さんはお風呂に入りにいったりで、ほとんど居なくなってしまった。
窓はすべて開け放されて、簾と縁側の手摺の間から明るく青い夜の空が見える。畳の上にごろんと横になって夜風を感じながらうとうとすればずいぶん気持ちいいだろうなあとは思ったのだけど、誰もいないとはいえ一応広間だし、せめてもの気分でお湯で温まってほかほかした裸足の足を縁側に投げ出した。柱にもたれて夜空を眺めながら、甘いお煎餅を食べ、温かいお茶を飲む。

11. 帰路

本当は、道後2日目の午前中はもういちど道後温泉本館に行って、今度は個室で思う存分ごろごろしようと思っていた。が、少し疲れが出てお風呂に入るにはしんどいような気分だったので、個室はまたいつか行くときの楽しみにして、そのまま帰ることにした。後悔しない程度に少しだけ仕残しがあるのも、未来の楽しみでいいんじゃないかなと。

午後も早めに着いた松山空港ではずっと地形と飛行機を見ていた。
滑走路の見える展望デッキから、滑走路を超えて遠くを眺める。左の方は地続きのようで、ずっと先まで半島のように伸びた陸があり、消えてゆく先の正面はよく見えない。右の方は海らしい。島のような三角の山と、タンカーのような大きな船が見える。
自分はいま何を見ているんだろうと思い、スマホの地図と滑走路の方向を合わせてみる。
方向からすると、見えない正面にあるのは遥か遠く九州の大分。だったら、左に見えている陸は佐田岬なんじゃないかなとか、それより手前にある何処かなのかしらとか、ただただそんなことを考えながら、何時間も過ごした。

🚢おふねで瀬戸内海を渡る参考
土生商船(三原-鷺-重井-因島モール-土生) http://habushosen.com/timetable/timetable02
芸予汽船(土生-生名-弓削-佐島-岩城-木浦-友浦-今治) http://www.ehimekisen.server-shared.com/geiyo1.html

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Perspective 前編

Posted on 24 9月 2018 by

1. どこへ行こう

今年は5月頃からずっと夏のように暑かった。カレンダー上の夏に入ったあたりからは35℃オーバーもあたりまえで、ちょっとでも涼しい、涼しいイメージのところへ行きたかった。
それから、数年前の同じ頃、おんせん県の大分で入った温泉、一日中汗をだらだらかきながら歩きまわって夕方たっぷりのお湯にさぶんと入ったこと、夜風に吹かれながら身体を温めた夏の露天温泉の心地よさを思い出して、どうしても温泉に行きたかった。

だから、初めに計画を立てていたのは富山の宇奈月温泉。
帰省の寄り道旅なので、実家のある山陽地方から東京までの間でなんとなく ”涼しい” イメージの土地を求めて、地図を眺めながら線路をたどり、たどりながら景色を想像し、♨️マークを探して、宇奈月温泉に決めた。

広島から富山まではとても遠い。新幹線やら特急やら地方鉄道やら何やら、長距離列車を何本も乗り継ぐ。朝8時に出ても着くのは夕方の手前。旅に出てもそもそもがあまり観光をしない方なので、行った先のことはほとんど下調べもしないんだけど、“ボンヤリしてると日中に着かない” ともなれば、最低限、移動の時刻表は作っておかないとならない。時刻表の数字だけを見ていてもピンとこないので、少しでも土地鑑を得るために地図を描いて、そこにルートや時間を書き込んだ。

2. サンライズ出雲

「温かいコーヒーが飲みたい」と思ったのは出発時刻の15分前。サンライズ瀬戸/出雲号が出発する東京駅9番ホームは新幹線乗換口のすぐそばにあって、その乗換口のすぐそばにはコーヒースタンドがある。何度か使ったことのある店だし10分もあれば行って帰れる自信はあったのだけど、途中で迷子になって出発時刻までに帰ってこれない自信もあったので、あらかじめ買っていた冷たい水のボトルと冷たいお弁当をベッドサイドの小さなテーブルに並べておとなしく出発を待った。次に乗るときには必ず、熱いお湯の入った魔法瓶とコーヒーとカップめんを持ち込もうと考えていて、ふと、子供の頃の家族旅行を思い出す。──車に毛布と魔法瓶とインスタント味噌汁を積んで何故だかいつも夜に出発していた。夜まで待てずに眠ってしまったのにいつのまにか車で出発していて、目が覚めて動く車の窓から見上げた天の川── を思い出した。ああいう旅をまたいつかすることができるのだろうか、できるといいなと思いながら。

22:00。寝台特急のサンライズ号は、まだスーツを着た人々で賑やかな東京駅をそろりと出発する。車内改札が終わるまでは油断せず、きちんと服を着て、ベッドに腰掛けて、粛々とお弁当を食べる。食事も終わり、改札も終われば、あとはのんびり。室内灯を消してシェードを全開にする。

23:23の熱海あたりからは駅にも町の景色にも人影はほとんどなくなって、空っぽの明るいプラットホームや、室内灯を消した暗いビロードの座席にホームの明かりが落ちる無人の列車が見えるようになる。夢のような景色が次々と車窓に現われる。灯りのついた外廊下の大きな団地、誰もいない、と思ったら、舞台のようにたったひとり明るい外廊下を歩く人が浮かび上がる。景色の切れ間からちらちらと見え隠れし始める真っ黒な海。大きな弧を描く、小さな灯りの粒をその弧に載せた相模湾。枝を拡げた樹木のような白い木の柱が並ぶ、月明かりの夜の木陰のような美しい沼津駅を過ぎ、信号だけがひっそり動いている無人の交差点を過ぎる。青い灯と赤い灯、何となく、シグナルとシグナレスを思い出す。見上げると曇り空の一点に薄明るい透けたようなところがあって、じっと見ていると雲が開いて月が顔を出した。

目が覚めたのは赤穂のあたりで、田んぼと、瀬戸内地方らしい小さな丸こい山と、その裾に纏いつく朝霧の景色だった。サンライズを下車する岡山までは約1時間。身支度を整え、寝台の上で脚を伸ばしてしばらくぼんやりする。

3. 山陽本線

距離的にみれば岡山はほとんど地元といっていい土地なんだけど、県が違ってるのもあって地理も路線もそんなによくは知らない。次に乗る予定の三原行きと同じ方向の電車が来て、乗ろうとしたんだけど何となく様子がおかしいのでよくよく確認してみたら伯備線だった。あやうく山陰に行ってしまうところ。

朝の山陽本線。日曜日なので普段の通勤通学の人もいなくてそれなりにのんびり。海が見える側の、進行方向の西に向かって左側の席に座ったけど、こちら側でもどちら側でも海はほとんど見えない。
東尾道を過ぎて少し行ったあたり、しまなみ海道の大きな橋の下で向島造船を過ぎる。それから、たぶん他所の地方の人からすると川のように見える尾道水道。いわゆる”尾道”の景色の一端。
尾道を過ぎたら糸崎の手前あたり、一瞬、視界が開けて瀬戸内海がふわっと見える。
おうちまであと少し。

4. そうだ、おふねにのろう

帰省3日目。台風で交通の状況が難しい。
列車を乗り継ぎ何時間もかけて旅行するのは、交通機関の遅延が発生しないのが前提だ。残念だけど富山は見送ろう、今回は無理をせずそのまま東京に帰った方がいいかも…と思いかけて、もう寝ようかという夜も遅くになって四国のことを思いついたのは、その前の日にちらっと松山空港の話をしたからなんだと思う。
うちのあたりからすると四国は一番近い旅先で、家族旅行で行ったり、小学生の時の修学旅行先だったりとなかなか馴染みのある土地ではあるのだけど、そういえばおとなになってからは行ったことがなかったような気がするし、子供のときに行ってふわふわきらきらとした印象だけが残っている夜の道後温泉にも、もう一度行ってみたいと思っていた。

とりあえずざっとルートを考えて、スマホで松山空港から東京へ帰るLCCの便があることを確認。何にしても次の日は朝早く起きる予定だったので、あとの続きは朝起きてからにして眠った。

5. 瀬戸内海を渡る

朝起きてすぐに船のルートを調べる。昔、港で見かけたような気がしていた四国のどこかの港への航路(※電車と同じように定期航路も船に行き先が書いてある。フェリーなんかだとデカデカと書いてあるので、ふだん船を使ってなくても港の近くを通ってればだいたい何処行きがあるのかは把握する)は無くなっていたので、2本の航路を乗り継ぎしなければならないみたい。

船会社のサイトから乗る時間帯の時刻表をざっと書き写したノートをスマホで撮影して、朝ごはんを食べて、三原港へ。
台風一過。すっかり晴れて、涼しい風が吹いて、とても心地よい朝。

しまなみ海道ができてから、車の人達は橋を渡って四国に渡るようになったのだと思う。いつのまにかカーフェリーの航路は減って、人を乗せる小さな高速艇がメインになったように感じる。
三原港から乗った船は最大とう載100人弱のボートで、後ろの方はオープンスペースになっていた。自分一人だったらなんとなく不安で室内に入ったかもしれないんだけど、先に乗船した年配の女性が一人、後部オープンスペースのベンチに座ったので、心強くなってわたしもその反対側に座った。平日の午前中の船は空いていて、この後ろのスペースはその人とわたしの二人きり。とても贅沢。

港を出港した船は、ぐんぐんスピードを上げて沖に向かう。台風が抜けた翌日のせいか、それともいつもこのくらいなのかは知らないけれど、小さい船は波をうけて、ざぶんざぶん揺れたかと思うと波飛沫がばさっと降りかかってきた。
(こんなにいい天気だというのに乗ってきた人たち皆んな室内に入っていったのはこのせいか!)
ちょっとしたスプラッシュ系ローラーコースター。一瞬、先の女性と目が合い、笑いながら、バックパックを抱えて防風ガラスがあって飛沫がかからない席にあわてて移動する。何かひとこと言葉を交わしたのだけど、何と話したか覚えていない。ひどく揺れる船のベンチと、船のエンジン音と、波飛沫が船に当たるバサバサいう音と、扉の向こうに見える操舵室と、左舷の女性と、右舷のわたしと、瀬戸内の青い空と、流れてゆく島の景色。

▶︎ Perspective 後編(因島〜松山空港) に続きます

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「なつかしさ」とはなんなのか

Posted on 08 7月 2018 by

 

「なつかしさ」,についてここひとつきほど考えている.

そりゃあもしかしたら「僕はかれこれもう30年もなつかしさについて考えているよ」という人があるかもしれない.

でも僕だって「なつかしさ」について考えてみたっていいじゃないか,とすねてみる.

 

さて,「なつかしさ」.なぜそんなみょうちくりんなことを考えているかというと,それは僕がジオラマ作家でもある南條亮(なんじょうあきら)さんの「人形が語る懐かしの昭和」と副題された展示会に,たまたま出くわしたからにほかならない.なによりも入場無料だから,ちょっと入ってみようという感じになったわけである.

 

入場無料!人形が語る懐かしの昭和-大阪「ジオラマ記念館」 | 大阪府 | トラベルジェイピー 旅行ガイド : https://www.travel.co.jp/guide/article/30304/

南條 ジオラマ – Google 検索 : https://goo.gl/oPxQDd

 

上の記事を見ていただいたらわかるけれど,戦後復興から,昭和までを時系列に歩く構成のジオラマである.

見ている人はやはり昭和生まれの人が多いような気がした.僕がぎりぎり昭和生まれだから(昭和60年代),それから考えるとやっぱり来るのは昭和な人たちなのだ.中には白髪のご老人もいる.

 

ジオラマは感心するほどリアルな感じがする.特に戦後復興.例えば,空爆で赤子を無くしたショックからか,かわりに犬をおんぶしている女性,あるいは派手な化粧でドレスを着て,米軍の将校に話しかけている女の人,戦争で片腕を無くしたのか,「更生のために」と書かれた看板を立てて,片手でハーモニカを吹く元軍人,喧嘩っぱやい男たち.

そして,そんな雰囲気を見ていると,つくづく「あぁこんな時代に生まれなくてよかったな」と思わされる.YouTubeもNotebookersもLINEもノートパソコンもない時代を経験してきたけど(それはほんの少し前のような気がする),それが煩わしいと思いながらも,やはりあったらあったほうがいいと感じるのは人の性か.

その後,やっと懐かしの昭和がやってくる.板張りでネズミの出る家や,ロバに群がる子ども,子どもたちがめんこやこまで遊ぶ姿,などなど.

 

さて,ここで気になるのはこの「なつかしい感じ」はどこから来ているのだろう,ということ.私はめんこで遊んだことはあったかもしれないけど,ロバに群がったことはないし,家でネズミをみたこともない.これを懐かしいと感じるのはなにかおかしい.なによりも,その資格がないような気すらする.

あるいは,私の感度が低いのだろうか.僕は,なつかしさをしんみりと感じるべきだったし,あるいは,ちょっと涙ぐむことがあってもよかったのだろうか?などと,少し自分を責めたりして.

 

「なつかしさ」とは何だろう.懐かしいとは,どういう感情なのだろう.

経験したことないことでも,なつかしさを感じるべきなのだろうか.

 

展示会のポストカード200円の懐旧

neokix

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少し遠回りした週末の帰宅

Posted on 19 5月 2018 by

“The boarding will be start at 11:45 on 4th floor, she said.”

“boarding”という単語がとっさに口から出て「この単語は元々は空港ではなく、旅客港で使われていたんだよな。今まさに語源通りに使っているのか。」などと少し感動しながら、私は目の前の男性と、困って慌てている券売担当の女性の会話に割って入った。男性はこちらを振り向きに”Thank you”と軽い会釈をした。僕も適当に”No hey problema.”と返す。徳島のフェリーターミナルで交わした彼との最初の言葉だった。

彼と出会う前日、私は帰宅途中に神田にあるお好み焼カープで同僚と一緒に食事をし、そのまま駅中の神田鐵道倶楽部で飲みながら店内のディスプレイをぼんやりと眺めていた。ふと、自分が十分に疲弊し限界に近づいていることに気づいた。それは、何かのきっかけて音を立てて切れてしまうような切迫したものだった。私は会計を済ませた後、東京駅で閉店間近のみどりの窓口に滑り込み、寝台特急のチケットを買い求め、同僚に「良い週末を」と交わし寝台列車へ乗車した。この場所から少しでも早く離れる必要があると感じたのだ。翌朝に高松に到着すると、駅構内にあった連絡線うどんでうどんを食べ、そのまま特急で徳島まで向かい、寄り道をせずに市内フェリーターミナルに移動した。時間軸を正確に記すとこうなる。

Leg 1: 東京: (金) 2200 🚆 高松: (土) 0727 寝台特急 サンライズ瀬戸
Leg 2: 高松: (土) 0823 🚆 徳島: (土) 0936 特急 うずしお5号
Leg 3: 徳島: (土) 1200 🚢 東京: (日) 0730 オーシャン東九フェリー びざん

今回は「少し遠回りした週末の帰宅」の際、フェリーで出会った彼について書こうと思う。

私がこのフェリーに乗船するのは今回が二回目で、以前は東京から北九州の逆航路だった。この会社のフェリーは新造から間も無く、綺麗で、そして船内で販売される酒類がコンビニと殆ど変わらない価格だった。つまり、乗船中は天候に関わらず酔いどれていられるのだ。今回も船が岸壁を離れる前から船内の自販機でビールを何缶か買い、関空から飛び立ったであろう幾機もの旅客機が曳く雲を眺めながら、甲板でそれを煽った。

船内は大型連休後の週末らしく閑散としていて、彼を見つけるのは難しいことではなかった。もっとも、甲板でビールを飲み続けていた僕に彼から声をかけてきた。彼の喋る英語はとても紳士的な英語で、時々イタリア語の響きに近い訛りが出るのが年齢も相まって可愛らしかった。彼は世界に点在するいくつかの巡礼路を歩いている最中だった。今回の来日は四国の巡礼路が目的で、三月から歩き始め今日徳島にたどり着いたとのことだった。確かに、彼は十分に日焼けをし、笠を被り白い巡礼服を纏っていた。

彼とは乗船後の東京での乗継路線や、船内の自販機の利用方法などの話はしたけれど、不思議とそれ以上の話をしなかった。彼は基本的に私に個人的な質問をしなかった。私も彼に多くを投げかけなかった。甲板で沈む夕日を眺めたり、それから約束をしたわけでもないのに、早朝から朝日を見るために甲板に上がろうとしているところを偶然に出会い、各々に房総半島を上る朝日を眺めた。

彼は満ち足りているようにみえた。彼の動作一つ一つが、私が殆ど失ってしまった何かを感じさせた。lonly planetを開き何かを調べ、ノートブックに文字を記し、そしてゆっくりと外の風景を眺める。彼は、彼の人生を完全に楽しんでいた。私はどうであろうか。私は、過剰なコミュニケーションに疲弊していた。昼夜を問わず通知が届き、携帯の微かな振動音で目が覚める。そんな生活に心底嫌気がさしていた。

りんかい線の大井町で彼と別れ、私は帰宅した。カレンダーには翌週の予定がいくつか届いていた。私は日曜の昼間、ごく当然のことのようにいくつかのSNSアカウントを閉じ、携帯電話の連絡先を整理した。それから、冷蔵庫に冷やしてあったビールをグラスに注ぎ飲むと、少し幸せな気持ちになれた。簡単な答えにたどり着くまで、帰宅以上に遠回りをしてしていたようだった。

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旧市街に流れ着くタイル「アズレージョ」から学ぶボードゲーム的思考

Posted on 09 3月 2018 by

遊びの仕組みにものすごく興味がある。

遊びの中で、数学的なルールがあったりすると頭の中で延々と計算を繰り返し、なぜこれを楽しいと感じるんだろう?ということを考えていることが多い。

ドイツのボードゲームの本を読んでいて、有名なゲームデザイナーの方のインタビューが掲載されていた。あなたにとってボードゲームの魅力は何でしょうか?という質問に対して、その人は即座に「それは簡単だよ、ボードゲームには人々の営みが表現されていて、遊ぶ人は何かを探して発見して学ぶことができる。それが魅力だよ」と答えていたのが印象に残った。「何かを発見し学ぶことができる」というのは、文学や映画とも共通している項目だと思った。
そういえば、その昔アンディ・ウォーホルのインタビューで、彼の映画について尋ねた内容が掲載されていて似たようなことが書いてあった。「僕の初期の映画は、人がどう振る舞い、他人に対してどう反応するのかを示してくれる。観客がこれは応用できるものだと思えば、それは立派なお手本の役目を果たしたことになる。どこかの誰かの役立つものなわけだし、今までひそかに抱いていたそれらの疑問を解決してくれる」エンパイアー・ステート・ビルを延々と撮影した映画をどのように応用するかは置いておいて、人々の営みや喜怒哀楽をただ写した実験的な映像からは何かを発見し学べると思う。

ノートブックを使って、自分が楽しいと感じることは何だろう?なぜこれは面白いんだろう?と考えている時間は楽しい。その遊びが、人間の営みである限り、僕らは学ぶことができるし発見できるわけだ。

ボードゲームでは様々な世界観を楽しむことができる。それは世界の果ての異国の街であったり、象の背中のような架空の世界であったり、物理法則の少し違う隣の宇宙だったりする。だいたいどの箱を開いても12匹の伝説の猿がきっちりと姿勢良く収まって飛び出すのをじっと待っているような濃厚な物語がコンパクトな箱にぎゅっと詰まっている。年間で毎年1000タイトル以上のアナログゲームがリリースされるにも関わらず、憧れの監督が作り上げた新作の映画の封切りと同時に映画館に一斉に押し寄せるように楽しまれている。


「ラバト、カサブランカを通り過ぎてエッサウィラまで来た。
旧市街の北のビーチにはタイルの破片がたくさん流れ着く」

最近インスタで世界中を旅していた女の子の写真を眺めていたんだけど、この投稿が深く心に残っていて、心の片隅に海岸に流れ着く色とりどりのタイルのことをずっと考えていた。旧市街という響きにとてもエキゾチックなものを感じる。常に異国のことを妄想するという病「Exophrenia」を患っているので、モロッコ北部の港の市場に集まってくるペリカンの鳴き声まで想像してしまう。深い青の夜空に月を背にして、恋人を抱擁しユリとケシの花束の上空を飛ぶシャガールの絵も確か旧市街の物語だったなと思い出す。旅の中では、僕らは多くを学び発見することができる。旅の中では常に細部を観察しているし、少しでもその場の空気を吸い込もうとして、毛穴のひとつひとつを開いて味わっている。

モロッコ北側の海岸に流れ着くタイルのことを考えていたところ、先日こんなゲームがリリースされた。ドイツのミヒャエル・キースリング氏のデザインで「アズール(AZUL)」というゲーム。
ストーリーはこうだ。「アズレージョとは、ムーア人によってもたらされた美しい装飾タイルです(元々は、白と青の陶製のタイル)。ポルトガル国王マヌエルⅠ世は、スペイン南部のアルハンブラ宮殿を訪れた際に、このムーアの装飾タイルの衝撃的な美しさに魅了されました。アルハンブラの美しい内装に心を打たれた王は、すぐにポルトガルの自らの宮殿の壁を、同様のタイルで装飾するよう命じました。「アズール」は、プレイヤーがタイル・アーティストとなり、エヴォラ宮殿の壁を装飾するゲームです」

ポルトガル国王マヌエルⅠ世は実在の人物で、場所はポルトガル・アレンテージョ地方(Alentejo)の中心都市であるエヴォラ(Evora)の城のこと。このアズレージョの歴史も古く、5世紀にわたって作られている。スペインを経由してムーア人からポルトガルにもたらされ、ムーア人らはペルシャ人から工芸を習得したため、アラビアの影響を受けた装飾となっている。主にデザインは、幾何学的に組み合わせた曲線や、花のモチーフを使用する。王に命じられ城の装飾を行うということは、失敗するとそれは死を意味するということだ (すみません、最近ゲーム・オブ・スローンズに影響されています。デナーリス・ターガリエンのファンです)。

先日眺めていたそのInstagramのタイルのこともあって、さっそく買ってみたところ、ものすごく面白いゲームだった。

ゲームの流れはこうだ。大まかな流れのみ。

①タイルの購入
円形のお皿がタイルを作っている工房を表しており、そこに4つずつタイルが乗っている。そこからプレイヤーは「1色だけ」タイルを取ることができる。余ったタイルは円形のお皿が並んだ中央の場に押し出す

つまり丸いお皿の上からはタイルが無くなり、丸いお皿の並んだ中央部分にタイルが集結していくことになる。中央部分からも1色ずつタイルを取ることができる。最初に中央部分からタイルを取った場合はスタートプレイヤーを示すタイルも一緒に取る。タイルが無くなるまで交互に1色ずつ取っていく

②タイルの一時的な配置
個人ボード左側部分(階段状になっている列)に取ったタイルを一時的に配置する。1列ごとに1色のみ右詰めで配置することができる。あふれてしまったタイルは個人ボード下部の床ライン(-1,-1,-2,-2,-2,-3,-3)と記載されている場所に左詰めで配置する。

③壁の装飾
②の一次的な配置で個人ボード左側の階段状の各列を満タンにすることができた場合、そのタイルを1枚だけ個人ボード右側の壁面に配置することができる。配置した際にポイントが計上される(個人ボード上部の黒いキューブが移動する)。配置後は個人ボード左側の階段状の各列はリセットされる。床ライン(-1,-1,-2,-2,-2,-3,-3と記載されている場所)に並んでいるタイル1枚ごとにポイントを減算する。

以上繰り返し。スタートプレイヤーのタイルを持っている人から同様にタイルを取得していく。誰かが宮殿の壁(個人ボード右側)で横一列のタイルをそろえたラウンドで終了。最終得点を計上して一番勝利点が高い人が勝ち。

 

ボードゲームのルールというのは割と単純だ。上記ルールを何度読んでも面白さが伝わってこないと思うのだけど、このゲームは信じられないほど深い。僕はこういった単純なルールの中で神がかり的なアイディアを見つけるとものすごく快感を感じる。
例えば上記①の手順の中で、「余ったタイルは円形のお皿が並んだ中央の場に押し出す」というのがものすごいアイディアだと思う。中央部分からもタイルを取れるという手順がひとつ追加されることによって、タイルの取り方のバリエーションが増えており、簡単な数学的な計算でゲームの流れが読みづらくなっている。ミヒャエル・キースリング氏のインタビューにも掲載されていたけれど、このアイディアは本人曰く「天が北ドイツの空から送ってくれたかのように決定的なアイデアが降りてきた」という。この言葉のおかげで、中央部分から1色タイルを取るたびに、何か云いようのない快楽を感じるわけ(変態)。

常に遊びのことを考えているものだから、最近頻繁に遊びのことを頼まれるようになってきた。ホイジンガの著書「ホモ・ルーデンス」にも記載があったけれど、 遊びの歴史は古くて、「ホモ・ファーベル」(作る人)よりも「ホモ・ルーデンス」(遊ぶ人)が先にある。
クリエイティブな行為というのは2種類ある。素敵なデザインの椅子や安らぎの空間スペースを生み出す芸術的な「創作」の行為。もう1つは自分の痛みや他人とのズレに生まれる葛藤を見つめて、それをポジティブなものに変えて行こうとする「変化」の行為。それよりも先立つものが「遊び」なわけさ。

遊ぶことで、昨日までこの世に無かったものが新しく出来上がるなんてすばらしいと思う。
ヘイ、Notebookers!いつか一緒に遊べる日を楽しみにしているよ。

※ちなみに現在この「アズール」ですが品薄でなかなか手に入りません。日本での定価は6000円くらいなのでご注意願います。

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始発の町 ―Here we go!

Posted on 18 2月 2018 by

外ばかりみていると おなかがすくし
内ばかりみていると せなかがさむい

まわりくどい 手順を踏んだ
ぎうぎう詰めの しゃぼん玉

囚われてなんかないって 思わないで
囚われているからなんて 諦めないで

前後左右 四方八方 立ちはだかる壁
だけど「床」と「天井」は 筒抜けだ
(チューブはループしてるけどね)

閉じ込められているなんて 失望しないで
護られているだなんて カン違いしないで

出たいなら入れば? 入りたいなら出なきゃ!
それを「旅」だなんて 甘えないで

ネットは広大だとか 世間は狭いだとか
テキトーなとこを クリックしてないで

鎖につながれていてムカつくとか
宇宙サイズの鳥籠ならばOKとか 茶化さないで

自分/人 を信じる vs 自分/人 が信じられない
そんな 馬鹿も 休み…休み…に…し…て…

「分んない」だとか分かったふりはもうしないで

踊りに往くよ
始発に乗るよ

行き先は着いた先
始発まで過ごす町

(GO)

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旅先のToday’s TRAVELER’S notebook/2018冬・ 魔境小田原真鶴編

Posted on 27 1月 2018 by

ちょっくら、旅してきました。
あの、あの大雪の日でした。
あえて、旅、決行しました。

旅の計画動機は「小田原らへんの郵便局で風景印収集したいな〜♪」程度だったのに、
いざ当日になるやいなやの、寒風大雪サバイバルモード。
えっ。風景印って、こんなに過酷な思いして収集するモノだっけ……?

小田原も真鶴も、気候のせいでひどく魔境感が漂っていた。
ただ、「魔境感」の制限のなかで、精一杯、馬鹿馬鹿しく旅できたと思う。

撮影にいちいち迷ってると凍えるので、脳内は常に高速回転。
結果、街をスクラップしながら、小田原と真鶴を疾走できた。
(あくまで気持ちの面で疾走。ほんとに走ったら、すってんころりんハイリスク)

ノートに記録する手段は、書くことだけではない。
「旅先のToday’s TRAVELER’S notebook」として写真におさめる方法だって
私にとっては、旅の記録になるのです。

みなさまにも、少しばかり魔境小田原真鶴の空気をおすそわけ。

郷土の偉人、二宮尊徳(金次郎) 代表的教訓「譲って損なく奪って益なし」

ニノはどこを見てるのか

真鶴駅近くの屋根付き歩道橋。雪がトラベラーズノートに着地した。

16:46 真鶴駅(JR東海道本線)

……えぇと、言っていいですか。
雪降り積もる日にトラベラーズノートのある風景写真なんて、私にはムリ!
寒すぎて寒すぎて、トラベラーズノートの配置がぜんぜん決まらなかった。早々に、断念。

なんだかんだで無事に帰れた。終わり良ければすべて良し。

小田原と、真鶴。
次はぜひとも、よく晴れた日に行きたい。

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暗闇から学ぶこと

Posted on 28 12月 2017 by

ノートを書くのには,それなりの明かりが必要である.それは確かだ.

しかし,見えないことでわかることもある.そういうことを教わったことがある.

 

年の瀬の大掃除は欠かせないが,ミニマリストwannabeになってから,あまり片付けるところがなくなった.

それはうれしいことだが,元マキシマリストの私としては,いささか物足りない.恒例行事的だったからだ.

そういうわけで,ほったらかしていた押し入れに入っている一つの箱,いわばan untouchable boxに手を出すことにしたわけである.

そこには実にさまざまなpre-minimalな生活がそのままになっている.それは段ボール一個分でしかないが,段ボール1個分の空間にはそれはもうたくさんのものが入るのだ.

その中から,必要なものを救出し,いらないものを捨て,箱を一つつぶす.これが目的になる.

ほとんどが学部時代のノートで,見てみると勉強のものがほとんどだ.ビルマ語であるとか,ポルトガル語であるとか,言語学の基礎であるとか,そういうものが書かれている.熱心な学生だったようだ.

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泥団子崩し

Posted on 10 12月 2017 by

第二稿
歩いてると泥にまみれるので
旅に出るなら泥を落としていきたい
せっかくの旅日頃の泥なんて持ち込みたくないじゃん
ってか
泥ついてると歩きにくいし足跡つくし
汚したくないし汚されたくもないし
せっかく新しいリフィルはさんでくってのに
表紙は使い古しでいいのかな?
……それが俺なんじゃね? なんつってみたりできるのも
旅に吹かれてるからだしね



でも面倒だ日々の生ぬるめのシャワーじゃ
ねちょねちょすばっかでちっとも落ちね
ちょと褒められちゃてうれしからって磨きあげちゃたら
ピカピカのコチコチってえらそにふんぞりかえっていやがるし
ってか
こっちが正解かもね。なぁんて思ってる自分に柔道チョップ
こだわらないことにこだわってたフクちゃんはこだわりたいことにこだわれなくなって自問自答
かわいそうやなあなたはいつも考えすぎるばか感じろ!そしてけして目を逸らしてはいけません
泥塗れはゴメンだけど磨き上げたこの泥団子はいつもきれいとてもきれいだから棄てられなくて重い
ったって旅先にまでコロコロ転がらからしていく気にはならないナリねさしがねにさすがにさ

とかこまかく決めとかなくともいんじゃねの
場面場面でいちばんヤバそなとこに滑り込めフットワークさえありゃ軽みが尊みのやばみの宇宙
つ・ま:り|泥団子崩しなんて簡単ダンカンバカヤロコノヤr
なぜならば ♪そこに~私は~いません って(略)探してませんからぁぁぁっ!! ザンネ割愛
ってか
よるべなき世のせちがらさ責任もたねばならぬこと露に一つもありはせぬ
私は私として私が私でありかつ私でありつづけることを宣誓したうえに作らず福沢諭吉じゃねーかんな

旅ゆけばまた泥まみれしもつかれ

しもつかれとは北関東地方(主に栃木県方面。群馬県・茨城県方面なども)に分布する伝統の郷土料理で、初午の日に作り赤飯とともに稲荷神社に供える行事食。鮭の頭と野菜の切り屑など残り物を大根おろしと混ぜた料理である。地域によりしもつかり、しみつかり、しみつかれ、すみつかれ、すみつかりとも呼ぶ。 (wikipedia 「しもつかれ」より抜粋)

削ぎ落としナイアガラ 青い鳥小鳥何見て跳ねる 縹渺と生々流転転々と
戻るなら戻らぬための落とし文(ヌケガラ)(ドロのカタマリ)(排泄物)(世間的私)(ゴーレム)
再び出会ってしまったら杯を交わして近況報告「じゃ、また」ってもう金輪際交わらないってのに
棄ててきたんだから私が私を私になった私はすでにもう泥団子なんだから壊しto the next stage
ってか
重荷を下ろして赤んぼにむかって走れなんて黄飛鴻シリーズじゃないから殻空っぽだから泥の中



Q:泥団子のなかにあるものナァーンだ? A:泥
〈私といふ現象は〉二十二箇月の(あたくしという泥団子は よる年波の)
過去とかんずる方角から(置き去りにした抜殻の方角から)
紙と鑛質インクをつらね(紙とお気に入りのインクをつらね)   
(すべてわたくしと明滅し((すべて泥のネチョネチョし
 みんなが同時に感ずるもの)みんなが私だと信ずるもの))
ここまでたもちつゞけられた(かつてたもちつゞけられた)
かげとひかりのひとくさりづつ(かげとひかりのひとかたまりづつ)
そのとほりの心象スケッチです(そのとほりのぬかるみの記録です)
宮澤賢治 春と修羅・序より ※後段のカッコ内を除く

長くなったがみな泥だ
泥なんざ長くいじってちゃいけないよ あんまり長くすると しまいにゃお前
泥棒になるよ
おあしがよろめくようで(退場=旅立)

                                        (真景)

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モレスキンカイエに文字入れ

Posted on 14 11月 2017 by

 

旅にはノートだよね。
旅先で友達2人に会うことになり、打ち合わせ段階で、モレスキンのカイエジャーナルを1人1冊ずつ持つことになった。

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パーフェクトなDINERに行くということ

Posted on 20 7月 2017 by

行きたい,やりたいと夢見ていても,それを【思っているだけ】ではダメだ,具体的なしかし地道な目標をもって行動するべきだ,というようなことを森博嗣先生は新書『夢の叶え方を知っていますか?』(朝日新書)で述べている.

しかし,僕には,行きたいけれどしかしそれを【夢と呼ぶには,はばかられる行きたい場所】というのがある.

それは,アメリカのダイナーだ

「ダイナー」といっても,地名ではない.DINER,つまりまあ,日本で言う食堂です.

Photo by jesse williams on Unsplash

 

僕の中でのDINER(もちろん24時間営業)では,ちょっと太ったラテン系のおばさんが,ウェイトレスとして店を切り盛りしている.

そして,たいていの客を「ハニー」と呼んで,なんだか親しげなのだ.折を見て,コーヒーのお替りはどう?といって,煮えた熱いコーヒーを運んでくる.

大体,非番か夜勤明けの警官が一人,そこにはいて,周りを監視しながら,おすすめのハンバーガーみたいなものを食べている.チップスは大盛りだ.

パイもいくつかの種類があって,でもミスタードーナッツのように多すぎることはない.多くても4種類.

ガラス製のボウルをさかさまにしたようなショーケースに,ドーナッツ,パイなどの作り置きが入っている.どれもハイカロリーで砂糖がたくさんかかっていて,おいしい.

外観は70-80年代のギラギラした感じ.ネオンもついているが,修理するお金の余裕はない.外装はいろんなところに錆が浮いている.どこもなかなか厳しいのだ.

先月も一人,あまり働かない若いウェイトレスを首にした.

 

場所はどこでもいい.街中のDINERもいいし,周りに何もないようなところにポツンとあるDINERも魅力的だ.(どちらかといえば後者がいい.)

でも,そのDINERは上で述べたような完璧なDINERでなければならない.パイは9種類もあってはいけないし,ふとっちょのラテン系のウェイトレスが僕に注文を取る際には,僕がいかにアジア人であっても「ご注文はなににする,ハニー」と聞いてくれないといけない.ウエイトレスが白人のぴちぴちのお姉さんはいけない(もちろん白人のぴちぴちの女の子は好きだけれど).

まあ,そういう意味では僕はすごくレイシストなのだ.

 

いったい何で行きたいのかって?それはいい質問だ.僕もよく考えるけれど,一つはアメリカ·テレビシリーズの見すぎかもしれない.

僕は割と刑事系のドラマに詳しいと自分では思っているけれど,そういうドラマの中では,幾度となくDINERが出ている.Motelもよく出るが,DINERのほうが魅力的に思える.(食べ物もあるし.)

そこに現れるDINERは,みなよく似ている.その寄せ集めが,僕の完璧なダイナーなのだ.

 

そういうわけで,僕はDINERにあこがれている.行きたい,とも思っている.

タイムズスクエアにも,自由の女神にも,エンパイアステートビルにも,グランドキャニオンにも,ホワイトハウスにも(ホワイトハウス!)特に興味がない.

DINERだけに行く,という旅.

少し抵抗を覚える.

 

「やあ,君はどこから来たんだい.」

「日本です.」

「へぇ.仕事かなにかかい?」

「いえ,アメリカのDINERにどうしても来たくて.ずっとそうだったんです.」

「変だな,日本にこういう場所はないのかい?」

「少なくとも,僕の家の周りにはないみたいで.」

「へえ.じゃああんたはDINERで飯を食うためだけにわざわざアメリカに来たってのかい?リッチなんだな.」

「そういうわけじゃないんです.でも,ちょっとクレイジーですよね.」

「ちょっとどころか,だいぶクレイジーだぜ.

なんて隣に座った人に話しかけられることがあるだろうか.

 

僕は行きたいと【思っている】.行こうと思えばきっといける.でも,それだけでは旅に見合わないのではないか,とついつい思ってしまっている.

いつか行ければいいな,みたいに.ふらっと,何かのついでに行ければそれがいい.

これは僕の夢といえるだろうか.僕はそのために,どんなことができるんだろう?

 

そして,なによりも,もし仮にDINERに行ったら,僕はそのあと,いったいどうすればいいんだろう?

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春を見送った毛糸のジッパーケース(④販売日時のお知らせ)

Posted on 09 7月 2017 by

③で予告していました毛糸のジッパーケース、販売日時のお知らせです。
予定通り、2017年7月15日、午前11時からです。
よろしくお願いいたします。

予告通り、オリーブエディションとのセッティング風景です。
うん、よい。

チャームも付けました。

キューブ型スワロフスキービーズのペリドット。
さわやかな黄緑色です。

拡大写真。
毛糸の風合いとかもわかりやすいかな。

各サイズ、重さはこんな感じです。

今回は、オリーブエディションに合わせて作りましたので、
レギュラーサイズのみ、2色、1点ずつの出品です。
アイボリー(コースターはおまけです)

ブラウン

アイボリーもブラウンも、コースターに使用してる黄色の生地が内布です。

今回も保存袋を用意しました。

前回の③の記事で「お楽しみに」なんつってたハトメパンチは、ここで使用しました。
ミドリが出していた留め紐シールが、もう公式で売ってないようなので、
フエルトで作りました。

この記事のためにオリーブエディションをお借りして、
たくさん写真撮らせてもらいましたので、よかったらごらんください。チサさんありがと!
ロケ地 大阪 中崎町 Giving Tree Cafe



ペラっとした左側(逆さにしてジッパーケース左側でもオケ)は、
ピンバッヂやブローチ、クリップの収納場所に。
ジッパーケースの方には大事なペン、万年筆などの収納に。
ふかふかしてるからクッション機能もあって最適よ。

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春を見送った毛糸のジッパーケース(③販売予定と改善点と工具自慢)

Posted on 05 7月 2017 by

前回、7月の初旬に販売できればいいなーと言ってました。
予定は未定、とはよく言ったものです。すこし延期させてください。

今のところ販売開始は、2017年7月15日(土)、午前11時からの予定です。
販売一週間前にもう一度、きちんと告知しますので、しばらくお待ちくださいね。
オリーブエディションに合わせた写真も、その時に披露します。

現在、上の写真の通り、毛糸のジッパーケース本体とおまけのコースターが仕上がりました。
あ、これ、お譲りしてもいいかなーと思えるのは、できあがってくるわりと直前です。
もちろん最初の工程から、商品ということを念頭に製作はいたしますが、
やっぱりイマイチだなーなんて感じるものに、お金をいただくわけにいきません。
どんなに手間がかかっていようとも。

なにが言いたかったっけ。
そう。作っていてわくわくできて、できあがりが満足できるもののみ、出品していまして、
今回わくわくした工程はですね、やっぱりできあがりの直前、この内布を中に装着したときです。
か、かわいい。


まつり縫いで内側を縫いとめる前の写真です。
まつり縫いがこれまた私は大好きで、ずっとまつり縫いし続けたいと願うほど、
うっとりしながらまつり縫いってます。ぬいこのぬいはボンヌイのぬいです。

でもね、この内布を好きすぎて、ファスナーにつけるチャームがまだ決まらないのです。
トラベラーズノートのオリーブエディション用に作ったから、
オリーブ色のスワロフスキービーズを合わせてみたのですがイマイチで。
うーん。やはりオリーブエディションに実際合わせてみないとピンとこないのかも。
頭の中だけで組み合わせを考えるのは難しいですね。
だからやはりね、気になったチャームとかビーズとか布とか毛糸とかはね、
目的がなくてもその場で捕獲しとかないとね、といつもの買物の正当性をここで主張。

あ、あと、過去作のものから改善したところがあるんだった。
言うの忘れてた。

この写真の上部中央あたりをご覧ください。
切りこみの幅を小さくしてみました。
前回までの毛糸のジッパーケースは、トラベラーズリフィルのクラフトファイルを参考に、
ゴムがくる中央の切りこみ幅を1センチメートルほど開けていたのですが、
購入いただいた方から、使っててずれてくる、という貴重なご意見をいただきまして、
幅を狭めてみた次第です。
トラベラーズノートカバーの特性上、ずれない、てことはないだろうけれど、
ずれ幅が小さくなればいいなあと思っています。
他にも、こうすればいいのに、みたいなご意見お持ちの方は、お気軽におっしゃってください。うれしいです。
できる限り改善していきたいと考えています。

最後に、毛糸のジッパーケースのために手に入れた工具を自慢して終わります。

ハトメパンチです。
ずっしりしていてかっこよく、コピー用紙30枚程度の穴も開けられて、
かしゅっとカシメるときの手ごたえがたまらないです。工具っていいよね。
これはジッパーケース自体に使うわけではありませんが、なにに使うか、次の投稿をお楽しみに。

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日常生活に疲れたら参加してみよう。高野山金剛峯寺「結縁灌頂」。

Posted on 21 6月 2017 by

皆様におかれましてはあわただしい日々をお送りの方が多いのではと勝手にお察しします。
今回は、そんな現実から一時退避しリフレッシュするのにぴったりの非日常感たっぷりの旅先とイベントをご紹介します。

それは、高野山金剛峯寺で毎年2回開催される、仏教の儀式「結縁灌頂」です。
高野山を開創した弘法大師空海が、約1200年前唐から日本に導入した儀式で、今では宗派や国籍等一切関係なく誰でも参加できる儀式です。

この儀式は仏様の世界を表す曼荼羅(まんだら)に向かって華を投ずることにより、仏様(密教の尊い教え)と縁を結ばせて(これが《結縁》の意味)いただき、阿闍梨様から大日如来の智慧の水を頭の頂より注いで(これが《潅頂》のこと)いただくことによって皆さんの心の中に本来そなわっていらっしゃる仏の心と智慧を導き開く儀式です。…この尊い機縁に触れていただきまして、心豊かな生活を送られますことをお祈りいたします。

引用元: http://www.koyasan.or.jp/kongobuji/event.html

とのことです。

では、いったいどんな非日常な世界が広がっているのか、ゴールデンウィークに参加してまいりましたのでご紹介します!

うっかり受付開始時間に遅刻するとえらいことになる

儀式に参加するには受付が必要です。開催中毎朝8時から受付が始まります。
前泊して8時ちょっと過ぎに受付に向かったところ…

まず整理券システムになってるのが驚きなんですが、さらに驚いたのは、この時点で「入壇時間は12:30です。」とさらっと言われたこと。
え?4時間後ですか???ディ○ニーランドの超人気アトラクションか何かですか?
そんなわけで、ご参加の際は受け付け開始時刻前に受付会場(壇上伽藍の根本大塔)に到着するように出発することをお勧めします。

お坊さんのイベント運営スキルが想像以上

結縁灌頂の会場は、受付会場からほど近い金堂。受付を終わらせて会場の周りを観察すると、今までに見たことがないくらいたくさんのお坊さんが縦横無尽に駆けずり回っています。イヤホン型のトランシーバーをつけ、「○班終わりました。×班入れてください。」みたいな感じで常に連絡を取り合っています。イベント会社の人さながらです。
ちょっとシュールな光景ですが、お坊さんの表情はすごく必死で真剣で、でもわからないことがあって聞くとすごく丁寧にニコニコ教えてくれます。
なんかもうイベント会社の人顔負けのプロ集団でした。お坊さんすごい。

すべては暗闇の中で進む

時間になると金堂に通されます。中はろうそくの炎と転ばないように足元を照らすための最低限の明かりのみで、ほぼ暗闇です。
そんな中お坊さんの指示通りに作法をこなしていくわけですが、一番不思議な感覚になったのが、目隠しをされてひたすらご真言を唱えながら、お坊さんに手を引いてもらって曼荼羅の前まで歩いていく瞬間。何度ゲシュタルト崩壊したか。ご真言もどんな意味の言葉なのかわからずひたすら唱えていたのですが、何も見えない状態でひたっすら同じ言葉を何度も何度も唱えていると…不思議と無心になるというか謙虚になるというか。そんな感覚に陥りました。
儀式が終わるまでは大体1時間。すべて終わって外に出た瞬間の、太陽光のすがすがしさよ!

儀式で使った目隠しの和紙と曼荼羅に投げた華は、記念にもらえる。もちろん南国カンガルーノートにお納めさせていただきました。合掌。

この、暗闇から外に出るという一連の流れは、一度お母さんのお腹の中に戻り、もう一度生まれ変わるという意味があるそうです。うん、なんかリフレッシュできたかもしれない。

なんか、文章だけだと伝わらないんですが(儀式の最中は写真撮影も当然だめですし)、21世紀にいながら1200年前にタイムスリップしたような感覚を味わえます。

さて、この結縁灌頂ですが…

にににに2000人超え!?お坊さん2000人以上の客をさばいたとな!

そんなわけで、歴史好きさん、仏教好きさん、旅好きさん、いや、日常生活から少し離れてリフレッシュしたい人に、このイベントへの参加をお勧めしたい!

気になった方は、高野山金剛峯寺の公式サイトで日程などチェックしてみてくださいませ。
http://www.koyasan.or.jp/kongobuji/event.html

それでは~。

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春を見送った編みジッパーケース(②もう夏ね)

Posted on 18 6月 2017 by

前回、編みかけの写真をアップし、これから作っていくぜい!
と投稿したのが2月27日ですって。
他人事のように言ってますが、あれから年度末に突入し、
派遣社員ながらも多忙でヘトヘトになってしまい、平日は製作できなくてね…
て完全に言い訳ですねすみません。
現在、ここまでできましたので、中間報告させてください。
編み地は編めまして、アイロンかけてまっすぐにしたところです。

左の黄色い布が内布、下に敷いてるトラベラーズはキャメルです。
編み地は、焦げ茶色とアイボリー色です。上に写っている黄色いジッパーがつきます。

製作してる時は、左上のように、iPad miniでホラーゲーム実況を流しながらが多いです。
ギャーとかワーとか聞こえてくるのをチラチラ見ながら進めてると眠くならないし、
為になるものでもないので、製作に集中できるのです。
画面は、最近流行ってるらしい「13日の金曜日」テーマのオンラインゲームの様子。
自分ではとてもプレイできないけどおもしろいよ。

オリーブエディションは持っていないので、これができあがったら、
オリーブ持ってるお友達にお願いして、写真撮る予定です。
たぶんすてきな品に(自分で言うよ)なると思います。
ジッパーにつけるチャームをどうしようか考えるのが今の楽しみ。
内布が黄色地に赤い花と緑の葉っぱ・蔦だからーふふふふふふふふ

考えながら、チャームを探しながら、次は組み立てて縫ってゆく作業+おまけ・保存袋作りに入ります。
その後、販売になるからえーと7月の初旬くらいになるかな。それ目標。

今回は、パスポートサイズは作っていません。
オリーブエディションに合わせて作ったのでね。
でもご覧の通り、キャメルにも合うはず。
もちろんブラウンやブラック、ブルーにも。

あとさ、「編みジッパーケース」て呼ぶのを「毛糸のジッパーケース」に変えたいので変えますね。
次回からね。どうでもいいね。でも私にとっては大事なことなので、一応報告しますね。
毛糸のパンツみたいでかわいいし、
知らない方が名前を聞いただけで「毛糸でできたジッパーケースなんだろうな」と想像しやすいかなって。

では、また。ふふふふふ

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旅行の記録

Posted on 11 6月 2017 by

旅行の時はenchantMOONという端末を持っていく。

写真が撮れて、適当にレイアウトできて、手書きができる。

背景色やペンの色、ペンの太さなんかも変えられるので、頑張ればフルカラーで絵を描いたりもできるはず。

走り書きが気持ちがいい。可読性は犠牲にしてでも……

妻は「部屋」「眺望」「温泉」を重視する。むろん異存はない。

常の雑事は置いてきた。旅先では未来の話しかしない。

両日とも晴れ予報だと思っていたが。富士山と熱海周辺のみ雨。私たちの旅行はとにかく雨が多い。

のんびりとすごした一泊二日。こんな旅行の記録ばかりがつまったenchantMOON。

 

 

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春を待つ編みジッパーケース(①編みかけ)

Posted on 27 2月 2017 by

暦の上では春ですが、まだ寒い日も多く、暖かい日差しが恋しくなる今日この頃です。
冬が好きです。暑いより寒い方が大好きです。
ですが、ちょっと薄手のコートにした日の帰り、日が落ちるのをいいことにまだまだ元気な冷たい北風が容赦なく吹き付けてくる時、ありますね。
そんなとき、もういいでしょ許してくださいざぶい(寒い)よー!なんて心で叫んだりもするものです。
春が待ち遠しい。ぽかぽか、とか、ぬくぬく、という表現がぴったりの日差しに焦がれていたそんな頃のことです。

トラベラーズノート好きの方には周知のことですが、
トラベラーズカンパニーから2017年の限定色、オリーブエディションが発表されました。
みどり!トラベラーズノートの緑色!なんてすてきな色だろうか。
さすがトラベラーズさん。と画面の写真を食い入るように見ていましたら、むくむくと湧き上がってきました創作意欲。
そう、これに合う編みジッパーケースを作りたい。
緑といっても少し暗いところで見るとブラウンに近いカーキ色。
ここに挟むには…黄色。黄色のジッパーがあったらいいな。
でも全体が黄色って、春のあいだや自分が元気なときはいいけれど、
見るのも疲れてしまうことがある難しい色だよね。
じゃあジッパーと内布を黄色にして外見の毛糸は地味目にしよう。
豊かな森をイメージしたオリーブエディション、とのことなのでセットしたときの調和を大事にしよう。
と構想すること1週間。

”春を待つ編みジッパーケース”の材料を揃えました。

上は焦げ茶色の毛糸、下は生成り色の毛糸です。
下に敷いている布が内布になる予定です。
まだ編みはじめの、作りかけです。
編み地もアイロンをかけてないのでクルンクルンしています。
でも、オリーブエディションの発売まで約一ヶ月。
この新色トラベラーズを購入するしないにかかわらず、発売までの期間を楽しめたらと、
それに合わせた製作過程を報告することにしました。

春を待つ、少し不安で、でもうきうきするのも本当な、ざわついたきもち。
こういう、複雑なきもちを編み込んでできあがるもの。
また、初代を購入された方から貴重なご意見をいただき、その改善点なども含め、
お見せできたらいいかなと思っています。

うまくできあがれば、またここのノートブッカーズマーケットでお譲りしますが、
まだ決定はしていません。
ただ、今は編みたくて編みたくて。

また製作過程が進んだら報告しますね。

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