Archive | Item

読書感想文は苦手だ

Posted on 07 10月 2018 by

お久しぶりのkonamaです。

今日は読書ノートのお話をちょびっと。

本を読むってことは昔から大好きなことですが、「読書感想文」というのはあまりいい思い出がありません。

実をいえば小さい頃は可愛げのないガキだったので、いかにもな感想文を書いて先生に褒められる、みたいなことをしていました(今考えるに大した文章でもないくせにね)。だから「苦手」という意識はなかったのですが、なんとなく好きじゃないなあと。なにせ普段読んでる本ではなくて、感想文用に本を探して、ある意味解剖するようにその本を読んで書いているのですから、私にとって「読書感想文」は「読書」から完全に切り離されたものだったのです。感想文の素になる読書だって、楽しいは楽しいのですが、「この本ホント良かった是非読んで~、おススメのポイントはね…」というような勢いがあるようなものじゃない。毎年書かされた感想文はキライだったし、本を読む習慣を…っていう意味だったらむしろ嫌だよねえこれは…と思うのデス。ちなみにプロの方のかく書評や本にちなんだエッセイは大好きで、自分でもブログで本の紹介をしていたくらいですから、嫌なのは本にちなんだ文を書くという部分ではないはずなのです。ではなんでこんなに嫌なんでしょう。

【私の中にあるなにやら青臭いもの】

上の写真はニコルソン・ベイカーの新作の「U&I」の中の一節なのですが、左側の部分とその続きを読んだときに、ちょっとあーそういうことなのかもと思ったのです。

それにいずれにせよ、その時々に読む本は、多種多様な理由を混ぜ合わせて得られた結果で選びたかったし、追悼記事を書くためにあらましを知らねばならないという程度のことで選ぶのはいやだった。つまり、ぼくがバーセルミを再読したいのは、ほんとうにバーセルミを再読したいときだけであり、彼の死によって突然迫られたときではないのだ。

結局のところ、本を読むっていうのはこう、自然の発露みたいな感じで身のうちからぽろっと出てきたようなものであってほしい、というような(これだけでもないのでうまく言えませんけど)よくわからない憧憬というか、不可侵性というか、そんな青臭いものが自分の中にあるのかもなと。

そんなわけで自分と読書傾向が明らかに違う方らの、絶対面白いから読んで、みたいなものは申し訳ないけどなかなか読まない(自分はお節介することがあるくせにね)。自分の中の読みたいが来ないと、後回し。家族は私が本が好きだというのは知っているけれど、めったにプレゼントしてくれたことはありません(感想を聞かれてもいつも生返事なので諦めたのだと思う)。

読書感想文も「感想文」のために読む、あるいは読み返すということになるから、なんかその辺がちょっと嫌なのかもしれません。

【ためになる読書】

この青臭いものの延長線上にあるのだと思うのだけど、「ためになる読書」というのにも少々抵抗があります。読書で何かを身につけるってことに重きをおいていないというか、本を読んでそれが楽しいで、その後中身をすっかり忘れたってそれでいいじゃないと思っている節があります。それはもちろん仕事上、自分が今読みたいというわけではない本を読むことなど年中あるわけですが、その読書も「何かを得なければ」という思想があんまりない。だから昨今巷でよくみかける「そんな読み方では頭になにも残らない」とか「ノートに書きながら読むことで身につける読書」とかいう本の広告や煽り文句には、そんなの楽しくないのに…と思ってしまうのです。もちろん、読書ノートを付けてらっしゃる方、感想をブログに載せている方、楽しみに読ませていただいて、それが「あ、この本読みたい」につながることも多いので、それに対しては感謝こそあれ、嫌な気持ちは全くありません。

じゃあ、本を読んでいて何か書きたいと思ったことはないのか…といわれると。あ、なんてキラキラとした言葉なんだろうとか、むふふこの表現はちょっとイカン、あ~いかにも彼がいいそうなセリフとかそう思ったその瞬間を書き留めたいなあと思うことがあります。上の写真はキラキラ言葉系ですかね。そんなわけで、無理に感想を書いたりせずにグッときた文章を抜書きするという習慣ができました。前にもこの話やこのノートは登場しているかと思いますが、万年筆(とインク)をなるべく使いたいという自分の事情もかさなって、モレスキンダイアリーのXS(残念ながらここ数年発売されておりませんが)に短い文章を抜書きしています。抜き書きが多い本は、読書ノートをつかっています。みずず書房のフェアでいただいたみすずノート(下の写真)。

こちらには、本の情報と抜書き長めのものをまとめています。このノートの好きなところは、装幀について書く欄があるところ。感想とかはかかずに、ページ数と気に入った文章だけ。おそらく、その時(その年齢)の感想が書かれているのは、後で読み返してとても面白いだろうとは思うのです。ただ、「感想文」と考えただけでイヤーな感じがある私には「抜書き」ぐらいの方が抵抗なく気楽にできるなと書き留めています。

【読まない理由・読めない理由】

青臭いものを吐き出したついでにもう一つ。これもどこかで書いたかもしれないのですが、読んでる本の分野についてとやかく言われるのは苦手。「ためになる読書」と同じにおいがするからではないかと思うのだけれど、ある作家の文章が苦手というと「それは理解が足りないから(というか頭が悪いから)」、いわゆる名作でない娯楽大作を大好きだというと「そんなくだらないものは読まない」なんておっしゃる方がたまにいらっしゃるのですが、何を読んだっていいじゃないですか。本を読むことって本当に個人的な体験だと思う(その人の人生によって出てくることも、感じることも違うでしょう?)。だからこそ、他の人が語る好きな本の話って、たとえその本を読んであんまりなーと思った本でも面白かったりする。

そう考えると、え、じゃあ「読書感想文」でもいいじゃないと思うかもしれないけど、この「この本ホント良かった是非読んで~、おススメのポイントはね…」の部分を学校で先生に一方的に文書で報告したいか?といわれると、いやいやそうじゃないんだよ。同じ理由で、ビブリオバトル系もそんなには好きじゃないんだ。

こういう、なんかよくわからない本にまつわる奇妙なねじれた想いも(これは根拠がないのだけれど)「読書感想文の呪い」の一つなんじゃないかなあと思ったりするわけです。

Comments (0)

Note of the note ―ノートの調べp.8 向田邦子さんの文字のある暮らし

Posted on 27 9月 2018 by

はじめに

「Note of the note -ノートの調べ」 と題した不定期シリーズ。
このシリーズでは、著名人のノート、手稿、手帳、日記などを紹介し、そこに込められた作法と思いを検証していく。

第8回目は、向田邦子さんの字との関わりについて拾ってみた。

1.原稿

(A/表紙裏、裏表紙裏)

(A/p.82)台湾に発つ前日8/19に渡した原稿

「残された鉛筆はすべて4Bから5B。力を入れずに鉛筆を持ち、すごい勢いで執筆した。1時間に400字詰め原稿用紙10枚を書いたこともある。万年筆も何本か使っていたがこちらは人が使ってこなれたものを最上とし、頼み込んでもらったりした」(B/p.13)

2.手紙・一言箋

(B/p.50)

「大切な手紙はいつも鳩居堂の封筒と便箋だった」(同上)

(B/p.83)

「届け物には必ず自筆で一筆添える」(同上)

3.レシピ、メニュー

(A/p.12)

(B/p.146)

「思いつくと原稿用紙でもなんにでも、すぐに書き残した」(同上)

4.カレンダー

(A/p.82)

「出かけた時のままのカレンダ―。旅は四角で囲む」

5.万年筆

(A/pp116-117)

「先が十分にまるまった、よく滑る万年筆は作家向田邦子必携の武器なのでした。だから書きぐせの似た人で、太字の、よく使い込んだ万年筆の持ち主に出会ってしまうと、もう前後の見境もなく…せしめてしまう」(同上)

(C/pp.78-79)

「君はインク壺の中に糸ミミズを飼っているんじゃないかと言われるほどだらしなく続く字を書くせいか、万年筆も書き味の硬い細字用は全く駄目である。大きなやわらかい文字を書く人で使い込んでもうそろそろ捨てようかというほど太くなったのを持っておいでの方を見つけると、恫喝、泣き落とし、ありとあらゆる手段を使ってせしめてしまう。使わないのは色仕掛けだけである」(同上)

さいごに

5月2日の日付が入った遺言(原稿用紙4枚に書かれている)

(D)

「不正確、いい加減、辻褄が合わない。(中略)姉(邦子)の希望通りに財産を処分するにはと考え、動いているうちに、姉の考え方、生き方、家族に対する思いが込められている(ことがわかってきた)」(D/pp.8-9)

「この「遺言状もどき」も、事務的な文章の装いの裏に、姉(邦子)の肉声が騙し絵になったり、暗合になったりしながらちりばめられている」(D/p.10)

向田邦子さんは、「父の詫び状」としてまとめられる連載中に、病気の手術のため右腕が不自由となり、以来、利き腕ではない左腕で執筆を続けていたそうです。だから、ヌラヌラの万年筆は必需品だったのだと思います。もし、自分が文字を書くのに難儀をするようになったとして、果たして「苦」をおして、文字を書くことに固執するだろうか、と考えます。「もし文字が書けなくなったら」そんなことを思うとたまらない気持ちになります。今はキーボードも、音声入力も可能ですが、手で文字を書くという活動は、存在の全てを連ねる体験としてかけがえのないものだと、改めて、思いました。

「大事にしている事は、自分の言葉で書いた方がまだスッキリする(中略)書くのはたっぷりと歳月をかけ、時間というふるいにかけてから。それでもまだ残っているならば、それを大切に拾いあげて書きたい」(D/p11)

出典リスト

出典A:クロワッサン特別編集 向田邦子を旅する マガジンハウス2000年12月1日発行

出典B:和樂ムック 向田邦子 小学館 2011年8月23日初版第一刷 向田和子著

出典C:向田邦子・暮らしの愉しみ 新潮社 とんぼの本 2003年7月15日第二刷 向田邦子・和子 著

出典D:向田邦子の遺言 文芸春秋 2001年12月25日 第三刷 向田和子著

 

 

Comments (0)

「毛糸のジッパーケース」アンケートのお願い

Posted on 22 9月 2018 by

来年の手帳や文具が店頭に並びはじめ、ノートブックの秋、手帳の秋となりましたね。

さて、2016年3月よりトラベラーズノート用の「毛糸のジッパーケース」をこちらで販売してきましたが、ここで一度、お買い上げくださった方々を中心にアンケートを実施したく、告知させていただきます。
ご購入者の方々には、すでにメールにてアンケートを送信いたしました。
それぞれの宛先は、お買い上げの際にご入力いただいたメールアドレスです。
もし、該当の方で届いていない方がいらっしゃいましたら、私までご連絡ください。
(迷惑メールフォルダに入ってしまっている場合があるようです)

また、まだ「毛糸のジッパーケース」をご購入いただいていない方でも、
もしお聞かせ願えるのならば、下の質問事項をコピー&ペーストし(答えたいものだけでもOKです)、プロフィールに載せているアドレス宛てに送信いただけると幸いです。
『「毛糸のジッパーケース」、ここがこうだったら購入検討するのになー』等、匿名で構いませんのでお聞かせ願えませんか。
その通りに作るかは(技術的な面で)お答え(またはお応え)できかねますことご了承くださいね。

ご返送いただいたご回答は、真摯に拝読し、こちらでまとめ記事として公表したいと考えています。
それによって「毛糸のジッパーケース」のなにかが変わるかもしれません。
ご意見により改善していけたら、と思っております。
ぜひ自由で率直なご意見をお聞かせ願いたいです。

先ほども述べました通り、アンケートはこちらでまとめ記事として公表する予定ですので、回答期限を設けさせていただきます。

ご協力いただける方は、2018年10月8日(月・体育の日)までにご返送くださいますようお願いいたします。

下記よりメール本文です。
(未購入でご協力いただける方は、その旨をご入力の上、持っていたらこうだろうというようなことで構いません。なんか、わかるように書いていただけたら結構です。)

Continue Reading

Comments (0)

手帳布陣/2018AW

Posted on 12 9月 2018 by

A6用紙1枚に、2018AW手帳布陣をまとめた。

  • 2018AW シーズンテーマ
  • [かるく賢く、おもしろく]

  • 今シーズンに解決したい手帳課題と対策案
  • 1.外出時に持ち歩く手帳を軽くする
    ⇒用途面:すべてを1冊に詰め込まない。手帳・ノートの分冊
    ⇒物理面:手帳カバーに挟むアイテムの見直し

    2.日々のできごとやアイデアを読み返しやすく記録する
    ⇒「スケジュール用」と「ログ用」それぞれの手帳を用意する
    ⇒連用手帳を追加する(予定)

    3.手帳をもっとおもしろく使いたい(スケジューリング9割の手帳は窮屈)
    ⇒記録道具と手法を制限しない手帳を追加する
    ⇒ウィッシュリストを書き留める手帳を追加する
    ⇒ジブン手帳Bizの各種リストを活用する

  • 今シーズンの手帳布陣
  • 1.MP18AW:ムーンプランナー2018年秋冬版 B6サイズ ※昨シーズンはPDF版使用。冊子に変える
    [用途]
    ◎ 約2週間単位のプランニング(新月〜満月/満月〜新月)
    ◎ 約半年単位のウィッシュリスト(やりたいこと、手に入れたいこと、行きたい場所、手放したいこと、やめたいこと など)
    ○ 半年以上先のざっくり作戦会議と妄想
    ○ 心身メンテナンスのざっくりログ

    [筆記具]
    ○ ジュースアップ04(グリーン、オレンジ、ブルー)
    ○ フリクションボールスリム038(グリーン、オレンジ、ブルー)

    2.JTBiz18 → JTBiz19:ジブン手帳Biz ※2018年使用中。2019年も継続
    [用途]
    ◎ スケジュール管理
    ◎ 自分への予約
    ○ 睡眠の記録(時間と質)
    ○ 仕事と勉強の実績時間ログ
    ○ ToDoリストの一時退避スペース(実行できそうな週のページに書き込み→実行する時間帯に転記)
    ○ リスト各種(0円でできるひまつぶし、ワンコインリフレッシュなど)

    [筆記具]
    ◎ ハイテックCコレト(ブルーブラック0.3、チェリーピンク0.3、クリアブルー0.3、シャープユニット0.5)

    [その他文具]
    ◎ 地球の歩き方 with モレスキンノートカバー(チョコ)
    ◎ CARDRIDGE dünn(イエロー):予備名刺入れ。ノートカバーに挟む
    ◎ ふせん各種:手帳の裏表紙に数種類貼っておく
    ○ クリックイレーザー〈フォープロ〉:カバー裏のポケットでスタンバイ
    ○ コレト替芯各色:カバー裏のポケットでスタンバイ
    ○ 物流定規:意味はないけれどノートカバーに挟む
    ○ ほぼ日のクリアファイル 坂本奈緒 オリジナル用(しろもふもふ):切手を入れてノートカバーに挟む
    ○ もしものときのぽち袋:お札を入れてノートカバーに挟む

    プフレーゲライヒトさんのアルコールランプはんこ:睡眠時間ブロック用として
    ○ バーサファイン・クレア(トワイライト)

    地球の歩き方 with モレスキンノートカバー(チョコ)使用歴2年

    3−1.HBP17:ほぼ日Planner2017 ※リンク先の手帳は2017年版
    [用途]
    ◎ 本日の記録(トピック、ニュース、ラッキーなできごと など):1日ページに残す
    ◎ 服装ログ:月間カレンダーにイラストを描く
    ◎ コラージュの遊び場
    ※ ETA19(後述)の使い方検証も兼ねて、かつて挫折した手帳を復活させた。日付曜日のズレは無視。

    [筆記具]
    ◎ ジュースアップ04(ブラック、グリーン)
    ◎ ジュースアップ03(ブラック)
    ○ 色鉛筆

    [その他文具]
    ○ メモして貼るだけでちょいと洒落た風になるふせん各種
    ○ はさみ
    ○ のり
    ○ マステ
    ○ シール

    3−2.ETA19:EDiT B6 Daily
    [用途]
    ※ ほぼ日Planner2017の継続・改善
    ※ 服装ログのみ、10/1からEDiTマンスリーページに移行する予定

    ○ 今月のレコーディングメモ(読んだ本、行って良かった場所など)
    ○ ざっくり支出予定メモ

    [筆記具]
    ※ ほぼ日Planner2017の継続・改善

    [その他文具]
    ※ ほぼ日Planner2017の継続・改善

    4.HB5-A5:ほぼ日5年手帳 A5サイズ
    [用途]
    ◎ 本日の天気
    ◎ 本日の記録(トピック、ニュース、ラッキーなできごと など)
    ○ ?年後の自分に申し送るToDoリスト
    ○ コラージュの遊び場

    [筆記具]
    未定

    [その他文具]
    未定

    ほぼ日5年手帳の実物は「ほぼ日手帳2019 LINEUP PREVIEW」でチェック済

    Comments (0)

    Tags: ,

    ?>! ―『ユーケルの書』から

    Posted on 12 8月 2018 by

    書物は書物を越えて生き残る。(p.27 「白い空間6」)

    人間は「問」だ 「問」=「?」ならば 手にした答えが「!」であらわされる。

    その場合

    疑問符と感嘆符。両者は{両替、翻訳、入替}不可能だ。断じて!

    お前にとって語は一つの顔だ。
    お前は私の顔を描いた。
    私は自分の気になったところで、読み取られる。―レヴ・スミアス(p.71「書く習慣」)

    「?」は∞の(細かな細かな)!を発生させるが、!をいくら集めても?は構築できない

    「?」はつねに一つの(巨大な)「?」であり、「?」は「?」に重なることでしか×××。

    疑うこと。それはたぶん限界を廃棄することと、骰子のまわりを回ることである。(p.109「第三部 サラの日記」)

    万人のためのひとつの同じ反射板(p.125「サラの日記 Ⅲ」

    われわれは不可能なものを通して結ばれている。-レヴ・カナリ(p.83「第二部 巻頭句」)

    「?」は影だ。そして「!」とはその影に支えられた世界だ。

    色とは影の叫びである -レヴ・ノエビ(p.163「ヴェールと処女6」)

    ※「ユーケルの書」
    エドモンド・ジャペス著 鈴木創士訳。書肆風の薔薇〈選書 言語の政治⑦〉 1991.6.20
    「問の書」シリーズ全七部作のうちの第二部にあたる。

    「?」は「!」を求めるが「!」は自己差異化するばかりだ。

    海は宇宙にぎざぎざをつける ―レヴ・アムロン(P.45「善の分け前 2」)

    それは、深みへ向かっているように見せかける巨大迷路だ。「!」とはマスクメロンの亀裂に似ている。それは決して「?」の果肉を味わうことはできない。香りだけ、ただ香りだけだ。

    人は水底でもがいたりしない。もがくのは水面でだ。(p.106「第三部 サラの日記」)

    本に満たされている孤独の豊饒さ。「!」を探すのではなく「?」に遊ぶこと。

    沈黙の響き。最初の谺。 -レヴ・ライエ(p.66「第二部 巻頭句」)

    私はこの本を読むことが出来て、幸せだった。なによりもよかったことは、この本が「架空」と「贋者」に分断され続けている点だ。(cf.訳者あとがき)

    さいごに、もっとも重要な文を引用して記事を終える

    私が書くのは、私が言うことができるかもしれぬことの果てに赴こうと努めるたびに、今度こそそこに到達できるだろうと信じるからだ。―ユーケルの手帖(p.83「学者達と客たちのあいだで交わされた対話」)

    (引用)

    Comments (0)

    アブストラクトゲームという孤独 〜 HIVEの棋譜を記す

    Posted on 26 7月 2018 by

    アブストラクトゲームというものがある。
    一般的にそれは、ゲームの中にテーマと言うものが無く(抽象的)、ゲームにおける情報が全て開示されており、まったく運要素がないゲーム全般を示す。アブストラクトゲームは、相手のミスでもない限りすべて実力で決着がつき、圧倒的に強い相手とゲームをした人は大体において、ゲーム嫌いになるシロモノである。

    文学の中に現れるゲームというと大半において、このアブストラクトゲームであり、登場人物たちはあれやこれやと頭を悩ましており、興味を持つことが多い。
    デュシャンは「美は、カルダーのモビールのような意味で一つのメカニックといえる。チェスのゲームには運動の領域で美が存在する。美を作り出しているのは、頭の中で作られている身振りの想像力なのさ」と言っている 。
    僕はだいたいのアナログゲームが好きなのだけど、目の前にそのゲームがない状態で、頭の中で想像するその仕草や動作、数手先に完結する二度と現れないそのパターンの美しさに興味がある。

    マルケスの「百年の孤独」の中では、チェッカーを行うシーンが出て来る。マルケスの表現では、チェッカーを「基本的な原則について一致を見ている二人の人間の間で争う遊び」と定義していた。

    シャーロック・ホームズのワンシーンでひとりの男がチェスをするシーンがある。
    「よくチェスをやるのかい?」彼は部屋に置かれたチェスボードに目をやり、たずねた。「ノー、よくってほどじゃない。たまに1人で駒を動かしながら考え事をするんですよ」「チェスは2人でやるんじゃないのかい?」

    最近ひとりでできるアブストラクトゲームを探していて、面白いゲームに出会った。「Hive」というイギリスのアブストラクトゲームである(二人用です)。駒のデザインの美しさに魅せられ、ふと買ってみたところこれがまぁおもしろい。そこで複数人にゲームのルールを教えて、何人かと対戦してみたところ、皆が一様に言う事はただひとつ。「全く面白くない」である。

    これはもう割り切って、ひとり用のゲームだと考えて至るところでプレイしている。僕にとってノートブックを書くことは遊びなのだけれども、それに似ている。

    【Hive】デザイナー: John Yianni

    Hiveとは昆虫の群れや巣を表すことば。ボードゲームであるけれども、ボードは存在せず、机そのものがボードとなる。昆虫の六角形コマが数種類あって、交互に配置や移動を行い、最終的に相手の「女王バチ」のコマを取り囲むと勝ち。

    【勝利条件】
    「女王バチ」の周囲をすべて取り囲むと勝ち
    自分のコマだけではなく相手のコマが含まれていても良い

    【基本的な流れ】
    コマを配置するか、移動するかの2択
    最初は何もない状態からスタートする

    【配置ルール】
    1手目のみ相手のコマに接触して置くことができる
    2手目以降は、自分の色のコマだけに接触する場所に置くことができる
    相手のコマに一辺でも触れている場所には置くことができない
    女王バチのコマは4手目までに置かなければならない

    【移動ルール】
    女王バチ配置後からコマの移動ができる

    [ワン・ハイブルール]
    全体のひとカタマリを(HIVE/ハイブ)と呼び、カタマリを分断する動き方はできない

    基本的にコマはスライドして移動する
    スライドできない場所には移動できない
    ただし、バッタやクワガタのみ、狭くすぼまった場所への移動が可能

    【各コマの動き方】
    女王バチ:1スペースずつ移動できる
    アリ:どこまでも進むことができる
    クモ:きっちり3マス進むことができる(3マス以下の移動はできない)
    バッタ:コマを飛び越えて進むことができる
    クワガタ:1スペースずつ進む。コマの上に乗る(降りる)ことができる

    【オープニング】
    白が先手、黒が後手。
    先手1手目は、好きなコマをひとつ、配置する。後手1手目は互いに接触した状態で置く。
    2手目以降は自分のコマだけに接触している場所に配置する。
    相手のコマに一辺でも触れている場所には配置ができない。
    4手目までに必ず女王バチを置かなければならない。
    女王バチ配置後から既に置かれているコマを移動することができるようになる。

    さてここからが本題。

    チェスや将棋のようにボードが存在しないと言う事は、座標が存在せず「Rh6 Kg7」もしくは「▲7六歩」のように縦軸と横軸の座標を記すことができないということである。そこで一週間ほど、この六角形のコマの配置方法(棋譜)をノートブックにどのように記載するかずっと考え続けていた。

    僕の友人からまずもらったアドバイスがこちら。

    しばらくこの「Honeycomb Addressing」の方法で考えていたんだけど、第1手目を「0・0」の座標として設定して、その後配置した駒をアドレスで記載していくと、フィールドが確定していないため、座標が増幅し、ものすごく複雑な記載となることがわかった。例えば、コマを配置した後に第1手目「0・0」からどれくらい離れた座標に配置したのか、第1手目からの位置関係についてしばらく考えなければならない。

    次に考えたのは、最初からフィールドを確定した状態でマスを記載し、そこに配置したコマを記入していく「マッピング」の方法である。

    実はこれにも欠点があることが分かった。

    ゲームの仕様上、フィールドが拡大していくため最初から用意したマスの中に記載することがだんだんと難しくなることが判明した。それともうひとつ、コマの配置には適しているのだが、コマの移動を記載するときに、ひとつのマスから別のマスに移動した時の前後関係がわかりづらいという難点があった。

    そこで発明したのが、「辺記載法」と「横書き法」である。
    ※正確にいうと「横書き法」はSCYTHE 大鎌戦役というストラテジーゲームがあるのだけど、それをヒントにしている。

    図1

    【辺記載法について】
    自分から見て六角形コマの上辺を1と定義し、時計回りに2・3・4・5・6と番号を割り当てる(図1参照)。配置したコマが接触した「もともと置いてあったコマ」の辺を記載するという方法である。では複数のコマに接触した場合、複数の辺を記載しなければならないのだけど、1辺だけを記載するだけで解決する方法があった。それが「横書き法」である。

    【横書き法について】
    六角形コマをびっしりと埋めた場合、左から右へ順序よく並ぶのだけど、左上のコマを優先として右下のコマを下位とするという解決方法。文章を記述するときに左上から真横に書いていき、右下まで文章埋めていく横書きの行為になぞらえて横書き法とする。
    例えば、図1でQW(5)のコマを配置した場合、横書き法で優先して接触しているのはSW(1)のコマの4辺目に接触しているので、「QW4SW」とSWの4辺目のみ記載することで配置場所を特定することができた。

    【複数同色のコマの判定】
    では次に複数同色のコマが既に配置している場合、どのコマの何辺目に配置したかを特定するために、横書き法で「①・②・③」と、第何番目のコマであるかを記載することにした。例えば、既に白のバッタが2個置かれて置かれていて、バッタに接触して配置する場合、どちらの白バッタコマに接触しているのかを横書き法で第何番目かを示す。

    例:

    ③AB->2①BW 横書き法第3番目のアリ(黒)を第1番目カブトムシ(白)の2辺目に移動した。
    GW5②AW バッタ(白)を横書き法第2番目のアリ(白)の5辺目に配置した。

     

    【記述方法について】
    あと、配置した場合は、「AW3SW」といったように「配置するコマの名称」+「接触したコマの辺」のみで記載。
    移動した場合は「AB→4②AW」といったように、「動かすコマの名称」→「移動後に接触したコマの辺」として記載することにした。「#」はチェックメイトを示す。

    [コマの名称の記述方法]
    QW:女王バチ(白) /QB:女王バチ(黒)
    AW:アリ(白) /AB:アリ(黒)
    BW:クワガタ(白) /BB:クワガタ(黒)
    GW:バッタ(白) /GB:バッタ(黒)
    SW:クモ(白) /SB:クモ(黒)

    以上の試行を重ねて、このHIVEというゲームの完成した棋譜がこちら。

    1. SW
    2. SB1SW
    3. AW3SW
    4. AB2SB
    5. QW4SW
    6. GB6AB
    7. BW5SW
    8. QB5GB
    9. AW->6QB
    10. AB->6GB
    11. BW->4QB
    12. GB->4QW
    13. AW3SW
    14. AB->4②AW
    15. QW->6GB
    16. AB4AB
    17. GW4BW
    18. ②AB->5QW
    19. GW->2①AW
    20. AB4①AB
    21. AW2②AW
    22. ②AB->6QW
    23. ②AW->4①AW
    24. BB5②AB
    25. BW2GW
    26. ③AB->2①BW
    27. GW5②AW
    28. SB->3③AW
    29. ②GW->4①BW
    30. GB4GB
    31. GW6①AW
    32. ①AB->6③GW
    33. SW2①BW
    34. ①AB->2①SW
    35. ③GW->4②GW #

    あまり面白くない棋譜ですが、興味がありましたら再現してみてください。以下画像が投了図。

     

    Comments (0)

    Tags: ,

    153.Define it  ―私の好きな怪談を定義する

    Posted on 15 7月 2018 by

     ノートブッカーズお題に “153.Define it(定義せよ)”が、あった。
    そこで季節がら、「私の好きな怪談」を定義してみることにした。

    はじめに

     私は怪談が好きだ。幼少期から「ムー」を購読し、「あなたの知らない世界」や「心霊写真特番」などを見聞きしては、夜な夜な後悔していた。
    そうして、多くの怪談に親しんでいるうちに、どうやら、「好みの怪談」が固まってきていた。というか「好みでないもの」が明確になってきた、というほうが正しいだろうか。
    そして今、この原稿の下書きをしながら私は、「いわゆる怪談」なんて好きではなかったのだということに気づかされた。それでは、なぜ私は「怪談」が好きだと勘違いしていたのだろうか? 私は頁を改めて、「私の好きな怪談」を定義しなおしてみた。

    Ⅰ.私好みではない怪談を定義する

    1.理由にならない理由

     「怪談」のすそ野は広い。
    『氷菓』という作品の「愚者のエンドロール」篇で「人によってミステリーの定義はずいぶん違う」という場面があった。それと同じく、人々が「怪談」と言われて思い浮かべる話は様々だろう。
    「心霊現象」「祟り」「風習」「自業自得」「民話」「妖怪」「サイコパス」「狂気」「超能力」「シンクロニシティ」「転生」「エクソシスト」などなど。これらの話は、たいてい「怖い状況の発生」と「その理由」がセットになっている。そして私好みでない怪談とは「その理由」をもつ話なのである。

     怪談の冒頭か最後かで語られる「怪異の理由(=原因)」は、実際のところ「理由」になっていないことが多い。「その部屋で自殺した人がいる」から「住んでいる人が次々に自殺する」なんて、説明になっていないことは明らかだし、現象の方も全くおもしろくない。そんな「怪談的お約束」に、私は退屈してしまうのだ。

    2.類型的な演出

     「かくれんぼ」「追跡」「人別改め」の構造をもった「怪談」は多く語り口も類型化されている。この文体ではたいてい「くりかえしの後の断定的大声」によって「吃驚させようとする」。急に大声を出されればびっくりするのは当然で、これは「怖い」というのとは違うし、むしろ「怪談」を壊していると思う。

    3.心温まる怪談

     霊現象を扱っていながら「命を救われる」とか「心が通い合う」とかいうタイプの話が、「世にも奇妙な物語」などに多い。これらは登場人物に「霊」を交えただけの「渡る世間は鬼ばかり」にすぎない。

    まとめ

     私好みでない怪談とは「怪談の話法で怪談的理由に頼った怪談らしい怪談」だった。

    Ⅱ.私好みの怪談を定義する

    1.因果因縁は不要のこと

     「因果因縁不要」この条件によって、「長編怪談」はほぼ全滅する。「長編」とはその大半が「因果因縁の説明」だからだ。だから私好みの怪談とは「新・耳袋」型となる。

    2.新・耳袋型とは

     私が考える「新・耳袋」型怪談の特徴は「不思議な現象だけを淡々と語り、言いっぱなしで終わること」である。(この精神こそ、元祖「耳嚢(根岸鎮衛さん)のモットーであった。)
    「因果因縁」で説明されてしまうところに「不思議」はなく、それらの怖さとは「理解できる怖さ」でしかない。正確に表現するなら「怪談的お約束を理解できる怖さ」ということになる。
    「新・耳袋」型の怖さとは、「目の前の現象が理解不能なために引き起こされるパニックから、思考が強制停止し、あたかも「放送を終了したテレビ画面を席捲する砂嵐」を見つめ続けている時の、自らがバグってしまった(のではないかという)怖さである。そこには、静かな恐慌と、爆発的な笑いの予感が同居する。

    3.同じ構造をもつ話の例

     都市伝説(陰謀論は除く)、「ロア」(ネットより)、「ちょっと不思議な話」(南山宏さん)、伊藤潤二さんの「阿彌殻断層(あみがらだんそう)の怪」「落下」「首吊り気球」、「百物語」(杉浦日向子さん)などが思いつく。

    まとめ

     以上から、私好みの怪談の定義は
    「私の世界認識や現状認識や知識が揺らぐほど理解不能な現象(=不思議)を表した話」ということになる。

    Ⅲ.この定義から得られる定理

    1.私好みの怪談(以下【怪談】)に「霊」は必須ではない。
    2.【怪談】は「奇妙な話」の中に含まれている。
    3.【怪談】は既存の「恐怖」では処理できない
    4.【怪談】は「オーパーツ」「世界の七不思議」「UMA」「深海生物」「絶景、奇景」を含む
    5.【怪談】は唯物的である
    6.【怪談】は実話である必要はないが、創作するのは困難である
    7.【怪談】は「霊」より「妖怪」にシフトする
    8.【怪談】はヒューモアを有する

    以上

    おまけ ノートブッカーズお題
    「文具にまつわる怪談を教えてください」

    上記の定義はあくまでも私的なものなので気にせずに、あなたの「Notebookers的怪談」を、教えてください。実体験、創作談は問いません。あなたは何を「怖い」と感じますか?

    Comments (0)

    Tags: , , , , , , ,

    OHTOさんへのファンレター:および,金属製グリップを探して三千里

    Posted on 20 5月 2018 by

    親愛なるOHTOさまへ

     

    初めてファンレターを書きます.neokixです.

    昨日,なくしたと思ってすごいショックを受けたときに,このペンのありがたみが分かったので,このような形ですがポストをすることにしました.

    ちなみに,ペンはカバンの奥底に眠っていました.なくしていなくてよかったです.

     

    さて,以前パーカー社のIMシリーズに,OHTOさんの芯の互換性があるんだよ,という記事を書かせていただきました.

    その後,油性ではなくゲルインクに行きつきましたけれども,やはりOHTOさんの替え芯を使っている次第です.

    そしてこの間,ついついまたまたOHTOさんの商品をウキウキウォッチングしていましたところ,GIZAシリーズを見つけてしまい,

    購入の運びとなりました.

     

    GIZAシリーズ,重心が高かったり,キャップがくるくる回ったりすることもあるのですが,依然として書きやすく,

    私にとってはもうなくてはならないペンになりました.

     

    なによりも,やはりグリップが金属製なのは萌えます.べたべた,ドロドロにならない,そこが何よりもいい.

    私のようなミニマリストくずれにとって,万年筆はあまりにも複雑すぎ,普通のボールペンはグリップべたべたべたべたベトベトンなのです.

    拙者,何を隠そう,金属製グリップを探して3千里なのです(昭和).

    リサイクルレザーの深いブルーも気に入っています.

    嗚呼,ベトベトン+ほこりの悲しさよ

     

    さらに,いろんな軸が利用できるのはよく,私はSARASA dryの0.5mm(RJLV5-BK)を入れて利用しています.

    かの有名なジェットストリームではなく.互換性はあるようです.

    0.7mmも買っています.次に入れようと思っています.

    パーカーのローラーボールみたいにテープで魔改造しなくていいので,それもうれしいです.

    PilotのJuice(LP2RF系)や,フリクション(BLS-FR5等)等入ればよかったのですが,それとは互換性がないみたいです.残念.

     

    OHTOのみなさん,「いやいや,私たちの芯を使っておくれよ」とおっしゃるかもしれませんね.

    しかし,近所に気軽に手に入れられる場所がなく,また,軸が金属製であるために残量がわからないので,ちょっとそこはごめんなさい.

     

    しかしながら,OHTOさんありがとう.もうすっかり,信者なのです.

     

    neokix

     

    PS:ちなみにみなさんは何を探して三千里ですか?コメントなどで教えてください.

    Comments (0)

    Tags: , , , ,

    筆箱よ,さようなら

    Posted on 09 4月 2018 by

    昔から使っていた筆箱(というかペンケース)がある.

    これはある人に作ってもらったもので,しかしその人とはもう何年も会っていない.

    いろんなことが原因で(そして大体の若い日の出来事がそうであるように,それはほとんど僕の責任だったのだけれど)その人とは疎遠になってしまった.

     

    それからも今日まで,ことあるごとに使い続けてきたけれど,そろそろお役御免となりそうだ.

    コンディションはすこぶるいいし,形も色も好きだ.

    だけれど,ミニマリストWannabeになってから,筆箱が気になって仕方なかった.

    かさばるし,重い.ものをいくつも吸収してしまう.

     

    スティック状の修正テープ

    携帯タイプの小さなテープのり

    ステッドラーの固形蛍光ペン (ちなみにめちゃくちゃオススメです)

    カドケシの消しゴム

    スティック状に変形合体するはさみ.

    必要のないものばかりが目に付く.

     

     

    持ち運びは,ボールペン,赤ペンだけでいいじゃないか.

    オレンジのケースに入れて.

    BICのシャープペンシルも入れるかどうか,迷うところである.軽いから持っていくか?

     

    そういうわけなので,筆箱よ,さようなら.

    僕にはもうたぶん,必要のないものなのだ.

    宿るあのつらい思い出も,ほどよく一緒に.

     

    あ,お久しぶりです.元気です.

    neokix

    Comments (0)

    Tags: , ,

    四月の気層の光の底を〜 京都で買ったボールペンの話

    Posted on 01 4月 2018 by

    とは、その人生で、鍋を何度買うのだろう。
    なんだっけ、遊牧民は燃料になるものが少ないため、お鍋は浅め、ヨーロッパなどでは、森があるので薪、燃料調達がカンタンなので、お鍋は深め(というか、オーブンやストーブで潤沢に火を起こして調理できる)と聞いたことがあって、なるほどなあ、と。

    前振り終わり。
    先日、京都のお寺の市に行ってきました。
    お寺の境内が解放されて、古本や食べ物、手作り雑貨などが販売されていました。
    ちょっと古本を買って、コーヒーを飲みつつふらふらと回っていたら、骨董屋さん?古道具屋さん?がお店を出されていました。
    京都でもかなり古いお店だそうで、えー、食器、壺、あと筆や硯なども置いてありました。
    写真は撮れなかったんですが、古い硯などはデザインもオモシロく、あと、筆や墨はやっぱり風格があるなあ、と思いながら見ていると、お店のご主人が文房具が好きなら、いいものがあると勧めてくれまして。
    買いました。こちらのペンです。
    Continue Reading

    Comments (0)

    毛糸のジッパーケース販売のお知らせと、ある縫い針との出会いについて

    Posted on 16 3月 2018 by

    三色の毛糸のジッパーケース(トラベラーズノート用)を製作中です。

    日本の伝統色より左から、紫苑色(シオンイロ)、空色(ソライロ)、若芽色(ワカメイロ)と名付けました。
    寒い季節にこもって編んでいても、心がおどるような明るい色目の毛糸。
    明るいだけでなく、近くで見ると複数の糸が紡がれており、その奥深い色合いは、トラベラーズノートの皮革とも相性がよいと思います。
    内布は、昨今インテリア界でも話題になっているモロッコ調のテキスタイルを選びました。
    ジッパーを開けたとき、さらに明るくてエキゾチックな風が感じられたらいいなと思いまして。
    紫苑色と空色にはピンクの、若芽色には黄色(オレンジ色に近いかな)の内布がつきます。
    スライダーには、チェコガラスのリーフ型チャーム(オパールピンク)をつけます。


    空色のジッパーケースをトラベラーズノートカバーに挟んだところです。
    (左:黒のパスポートサイズ 右:キャメルのレギュラーサイズ)
    ジッパーケースの中は毛糸のクッション性があるので、万年筆など、大事な手帳周りのものを収納できます。
    片側は一枚の編み地です。
    ブローチや缶バッチなど、工夫次第でいろいろなものを取り付けられます。

    レギュラーサイズ3色 各1点
    パスポートサイズ3色 各1点
    計6点を用意しています。
    おまけは、前回同様、保存袋と、本体同色のコースター1枚です。

    販売日時は、2018年3月22日(木曜日)21:00からの予定です。
    今まで土曜の午前中に販売開始することが多かったのですが、
    今回は平日の夜になっていますのでご注意ください。
    また、作者は猫を飼っています。
    猫の毛など、製作中はもちろん、届け時にも混在しないよう注意を払ってはおりますが、猫アレルギーや敏感な方はご遠慮くださいますようお願い申し上げます。

    さて、販売のお知らせだけではさみしいので、今回はある縫い針との出会い話などを。
    今回のジッパーケースにももちろん使用している縫い針ですが、
    昨年から下記のものを愛用しています。

    金沢市の目細八郎兵衛商店のものです。
    大阪の阪急百貨店で催事に出店されていたところ、たまたま通りかかり、小さな裁縫セット糸切りばさみなどの可愛さや丁寧な細部に目を奪われました。
    いろいろ見せていただき、お店の方とお話ししているうちに、ここの縫い針は手作りであり、機械で型抜きで作った量産品とは違いますよ、と伺いました。
    それまで縫い針で困ったことなどなかったのですが、その紙に包まれている様子も愛おしかったので、手縫いに良さそうなものをひとつ、所望しました。
    帰って使用してみてあらびっくり。
    刺しごごちがまったく今までと違うのです。
    なんの抵抗もなくスッと布地や編地に刺さる感覚。
    持っていた針で抵抗なんて感じたことはないのに、その心地良さを知ってしまった以上、もう戻れませんでした。
    一包みに25本ほど入っていたので、私の縫い針は、その日から全てこれになりました。
    使っていて心から楽しいので、ある日、なにがそんなにちがうのかしら、本当にちがうのかしら、と思い、目を凝らして今までのものと比べてみたところ、本当にちがったので、わかりにくいとは思いますがご覧になってみてください。

    左がめぼそはりで、右が手芸店などで普通に買える量産品です。
    針の先端に向かう太さにご注目ください。
    めぼそはりは、中央から先端までの早い段階で細くなっています。
    それに比べて量産品は、細い部分が短い。先端に近いところで細くなっているのがお分かり頂けると思います。

    この細さでこの強度、というのが、量産品にはない伝統工芸の技術なんだなーと実感しました。
    そして、このほんの少しの違いが、縫う作業をこんなにも楽にしてくれることは、もはや発見でした。
    また、写真には写っていないのですが、量産品はピカピカしてるのに対し、めぼそはりはいぶし銀にも似た鈍い輝きを放っていて、細くて小さいものだけれど、職人の手によって作られた道具のもつ気品が漂っています。
    だから使うたびに楽しい気分になるのですね。
    このことは、自身のものづくりについても、改めて考えさせられた出来事でした。
    より一層、使用される方の目や手、気持ちを想像しながら、見えない細部まで丁寧に作っていこうと思っています。

    では、ジッパーケース製作に戻ります。
    道具との出会い、私の作品を使用してくださっている方々、そして次の良き出会いに感謝しながら。
    いつもありがとうございます。

    Comments (0)

    Tags: ,

    plaintext

    Posted on 11 3月 2018 by

    「本当に、言葉は短いほどよい。それだけで、信じさせることができるならば」                                      太宰治『晩年』より

    事実は3Dでノートは平ら
    よって書き記すのは等高線
    すなわちノートとは地図だ

    事実は知りえた世界であり
    世界は衝撃波の波紋だから
    等高線は自分の波紋の相似

    ノート書くのは難しくない
    自分が受けた衝撃の凹凸を
    ひたすら平文で書けばいい

    うれしいたのしいだいすき
    ちがうきらいそうじゃない
    ここを過ぎて悲しみのまち

    難しいことも平明に書ける
    微妙な機微も細密に写せる
    何一つ誤魔化したりしない

    プレーンテキストの立体視
    そこへ分け入っていく能力
    書くより読む方が難しいよ

    「なんにも書くな。なんにも読むな。なんにも思うな。ただ生きて在れ!」                                      太宰治『晩年』より

    (無理)

    Comments (0)

    旧市街に流れ着くタイル「アズレージョ」から学ぶボードゲーム的思考

    Posted on 09 3月 2018 by

    遊びの仕組みにものすごく興味がある。

    遊びの中で、数学的なルールがあったりすると頭の中で延々と計算を繰り返し、なぜこれを楽しいと感じるんだろう?ということを考えていることが多い。

    ドイツのボードゲームの本を読んでいて、有名なゲームデザイナーの方のインタビューが掲載されていた。あなたにとってボードゲームの魅力は何でしょうか?という質問に対して、その人は即座に「それは簡単だよ、ボードゲームには人々の営みが表現されていて、遊ぶ人は何かを探して発見して学ぶことができる。それが魅力だよ」と答えていたのが印象に残った。「何かを発見し学ぶことができる」というのは、文学や映画とも共通している項目だと思った。
    そういえば、その昔アンディ・ウォーホルのインタビューで、彼の映画について尋ねた内容が掲載されていて似たようなことが書いてあった。「僕の初期の映画は、人がどう振る舞い、他人に対してどう反応するのかを示してくれる。観客がこれは応用できるものだと思えば、それは立派なお手本の役目を果たしたことになる。どこかの誰かの役立つものなわけだし、今までひそかに抱いていたそれらの疑問を解決してくれる」エンパイアー・ステート・ビルを延々と撮影した映画をどのように応用するかは置いておいて、人々の営みや喜怒哀楽をただ写した実験的な映像からは何かを発見し学べると思う。

    ノートブックを使って、自分が楽しいと感じることは何だろう?なぜこれは面白いんだろう?と考えている時間は楽しい。その遊びが、人間の営みである限り、僕らは学ぶことができるし発見できるわけだ。

    ボードゲームでは様々な世界観を楽しむことができる。それは世界の果ての異国の街であったり、象の背中のような架空の世界であったり、物理法則の少し違う隣の宇宙だったりする。だいたいどの箱を開いても12匹の伝説の猿がきっちりと姿勢良く収まって飛び出すのをじっと待っているような濃厚な物語がコンパクトな箱にぎゅっと詰まっている。年間で毎年1000タイトル以上のアナログゲームがリリースされるにも関わらず、憧れの監督が作り上げた新作の映画の封切りと同時に映画館に一斉に押し寄せるように楽しまれている。


    「ラバト、カサブランカを通り過ぎてエッサウィラまで来た。
    旧市街の北のビーチにはタイルの破片がたくさん流れ着く」

    最近インスタで世界中を旅していた女の子の写真を眺めていたんだけど、この投稿が深く心に残っていて、心の片隅に海岸に流れ着く色とりどりのタイルのことをずっと考えていた。旧市街という響きにとてもエキゾチックなものを感じる。常に異国のことを妄想するという病「Exophrenia」を患っているので、モロッコ北部の港の市場に集まってくるペリカンの鳴き声まで想像してしまう。深い青の夜空に月を背にして、恋人を抱擁しユリとケシの花束の上空を飛ぶシャガールの絵も確か旧市街の物語だったなと思い出す。旅の中では、僕らは多くを学び発見することができる。旅の中では常に細部を観察しているし、少しでもその場の空気を吸い込もうとして、毛穴のひとつひとつを開いて味わっている。

    モロッコ北側の海岸に流れ着くタイルのことを考えていたところ、先日こんなゲームがリリースされた。ドイツのミヒャエル・キースリング氏のデザインで「アズール(AZUL)」というゲーム。
    ストーリーはこうだ。「アズレージョとは、ムーア人によってもたらされた美しい装飾タイルです(元々は、白と青の陶製のタイル)。ポルトガル国王マヌエルⅠ世は、スペイン南部のアルハンブラ宮殿を訪れた際に、このムーアの装飾タイルの衝撃的な美しさに魅了されました。アルハンブラの美しい内装に心を打たれた王は、すぐにポルトガルの自らの宮殿の壁を、同様のタイルで装飾するよう命じました。「アズール」は、プレイヤーがタイル・アーティストとなり、エヴォラ宮殿の壁を装飾するゲームです」

    ポルトガル国王マヌエルⅠ世は実在の人物で、場所はポルトガル・アレンテージョ地方(Alentejo)の中心都市であるエヴォラ(Evora)の城のこと。このアズレージョの歴史も古く、5世紀にわたって作られている。スペインを経由してムーア人からポルトガルにもたらされ、ムーア人らはペルシャ人から工芸を習得したため、アラビアの影響を受けた装飾となっている。主にデザインは、幾何学的に組み合わせた曲線や、花のモチーフを使用する。王に命じられ城の装飾を行うということは、失敗するとそれは死を意味するということだ (すみません、最近ゲーム・オブ・スローンズに影響されています。デナーリス・ターガリエンのファンです)。

    先日眺めていたそのInstagramのタイルのこともあって、さっそく買ってみたところ、ものすごく面白いゲームだった。

    ゲームの流れはこうだ。大まかな流れのみ。

    ①タイルの購入
    円形のお皿がタイルを作っている工房を表しており、そこに4つずつタイルが乗っている。そこからプレイヤーは「1色だけ」タイルを取ることができる。余ったタイルは円形のお皿が並んだ中央の場に押し出す

    つまり丸いお皿の上からはタイルが無くなり、丸いお皿の並んだ中央部分にタイルが集結していくことになる。中央部分からも1色ずつタイルを取ることができる。最初に中央部分からタイルを取った場合はスタートプレイヤーを示すタイルも一緒に取る。タイルが無くなるまで交互に1色ずつ取っていく

    ②タイルの一時的な配置
    個人ボード左側部分(階段状になっている列)に取ったタイルを一時的に配置する。1列ごとに1色のみ右詰めで配置することができる。あふれてしまったタイルは個人ボード下部の床ライン(-1,-1,-2,-2,-2,-3,-3)と記載されている場所に左詰めで配置する。

    ③壁の装飾
    ②の一次的な配置で個人ボード左側の階段状の各列を満タンにすることができた場合、そのタイルを1枚だけ個人ボード右側の壁面に配置することができる。配置した際にポイントが計上される(個人ボード上部の黒いキューブが移動する)。配置後は個人ボード左側の階段状の各列はリセットされる。床ライン(-1,-1,-2,-2,-2,-3,-3と記載されている場所)に並んでいるタイル1枚ごとにポイントを減算する。

    以上繰り返し。スタートプレイヤーのタイルを持っている人から同様にタイルを取得していく。誰かが宮殿の壁(個人ボード右側)で横一列のタイルをそろえたラウンドで終了。最終得点を計上して一番勝利点が高い人が勝ち。

     

    ボードゲームのルールというのは割と単純だ。上記ルールを何度読んでも面白さが伝わってこないと思うのだけど、このゲームは信じられないほど深い。僕はこういった単純なルールの中で神がかり的なアイディアを見つけるとものすごく快感を感じる。
    例えば上記①の手順の中で、「余ったタイルは円形のお皿が並んだ中央の場に押し出す」というのがものすごいアイディアだと思う。中央部分からもタイルを取れるという手順がひとつ追加されることによって、タイルの取り方のバリエーションが増えており、簡単な数学的な計算でゲームの流れが読みづらくなっている。ミヒャエル・キースリング氏のインタビューにも掲載されていたけれど、このアイディアは本人曰く「天が北ドイツの空から送ってくれたかのように決定的なアイデアが降りてきた」という。この言葉のおかげで、中央部分から1色タイルを取るたびに、何か云いようのない快楽を感じるわけ(変態)。

    常に遊びのことを考えているものだから、最近頻繁に遊びのことを頼まれるようになってきた。ホイジンガの著書「ホモ・ルーデンス」にも記載があったけれど、 遊びの歴史は古くて、「ホモ・ファーベル」(作る人)よりも「ホモ・ルーデンス」(遊ぶ人)が先にある。
    クリエイティブな行為というのは2種類ある。素敵なデザインの椅子や安らぎの空間スペースを生み出す芸術的な「創作」の行為。もう1つは自分の痛みや他人とのズレに生まれる葛藤を見つめて、それをポジティブなものに変えて行こうとする「変化」の行為。それよりも先立つものが「遊び」なわけさ。

    遊ぶことで、昨日までこの世に無かったものが新しく出来上がるなんてすばらしいと思う。
    ヘイ、Notebookers!いつか一緒に遊べる日を楽しみにしているよ。

    ※ちなみに現在この「アズール」ですが品薄でなかなか手に入りません。日本での定価は6000円くらいなのでご注意願います。

    Comments (0)

    夢を実らせる万年筆『récolte レコルト』先行お披露目イベントを写真で振り返る

    Posted on 19 2月 2018 by

    ※ 本記事は個人ブログ「ノートブックがない日々なんて」2016/11/22投稿記事を転載・加筆しています。

    文房具関連の著書を数多く執筆しているフリーアナウンサー・堤信子さんが、
    万年筆『récolte レコルト』をプロデュース。
    運良く、先行お披露目イベントに行くことができた。(2016年11月)

    『récolte レコルト』とは、フランス語で「実り」という意味。
    夢を綴り、夢を実らせるという意味を込めて、この名前がつけられたそう。

    細部にまで堤さんのこだわりが詰まった『récolte レコルト』は、
    いつまでも眺めていたくなる美しさだった。

    全3種類の字幅(細字、中字、特太)の試筆もできると言われていて、もちろん試筆もしたけれど、
    きれいに写真に収めたい衝動のほうが強くて、試筆より撮影に熱心になっていた。。。

    以下、写真で振り返る『récolte レコルト』先行お披露目イベント。

    木箱の中に入ったレコルトを開封する。
    レコルトと一緒に、インク瓶と「~ザ・プレミアム・モルト~ マスターズドリーム」2本。
    えっ、ビールも!?

    堤さん、曰く。
    「他にないまろやかな味わいのマスターズドリームと、手紙に想いをのせるときに使う万年筆は、
    『贈りもの』というキーワードで結びつくのではと感じた」とのこと。

    このアイデアが元になって、
    三越伊勢丹「百年百貨」 × サントリー「~ザ・プレミアム・モルト~ マスターズドリーム」の
    コラボ万年筆が実現した、という経緯。

    コラボレートした三越伊勢丹もサントリーも、
    「ビールと万年筆」を組み合わせた販売は初の試みだったとか。
    (この2社以外でも、ビールと万年筆を組み合わせた販売はしていないのでは……)

    「ビールと万年筆」という斬新な組み合わせをひとつにまとめ上げる木箱は、オーダーメイド品。
    木箱には、レコルトの絵とロゴのみが直接印字されている。

    一番下が万年筆と筆記線の組み合わせになっているのは、
    筆記線上に名前を書いて、自分だけの大切な箱として使えるようにするため。
    マスターズドリームを飲み終えたら、空いたスペースに文具や大切な小物を入れる宝箱として
    いつまでもいつまでも、手元に置いておける。

    堤さんの書籍『旅鞄いっぱいの〜』シリーズに、
    コラージュ素材に使えるくらいお洒落なページが潜んでいることをふと思い出した。
    素敵なデザインのパッケージを見つけるのも好きだという堤さんならではの、洗練された木箱である。

    さて、ようやく万年筆を手に取ってみる(木箱にテンションがあがりすぎた……想定外)
    レコルトは、プラチナ万年筆の「#3776 センチュリー」をベースにしてつくられている。

    軸色は、マスターズドリームをイメージした琥珀色のグラデーション。
    きめ細やかなラメが、会場のほのかな明かりに照らされて上品にきらめく。

    まるで宝飾品のような、華のある万年筆。
    遠目から見てもきらめきを放っていたのには、本当に驚いた。

    クリップ部分の回り止め(机上で万年筆が転がるのを防ぐ飾り)は、
    トップを目指す、新しい挑戦、1世紀続くモノづくりの想いを込めた「1」に、
    実りや豊穣を象徴する「麦の穂とホップ」が絡む特注デザイン。

    夢を綴り、夢を実らせる。
    レコルトという言葉を集約させた回り止めになっている。

    インクは「実り」をイメージした琥珀色。
    開封前のボトルは蓋の上部までラベルが伸びているが、こちらは試筆用に開封したもの。
    ラベルは、堤さんがヨーロッパのインクをイメージしてつくったのだとか。

    ラベルに描かれているペン先は、14金でできたレコルトのペン先と同じ。
    麦とホップがここにも、ひっそり。

    細字(F)と、特太(C)の試筆比較。
    筆記時の力の入り具合がインクの濃淡にはっきり現れる特太は、参加者人気が高いようだった。
    細字と中字(M)は、特太に比べるとインクの濃淡が一定に保たれている。


    レコルトに入っているカード。
    パリのカフェをイメージしたというフォントそれ自体が、万年筆を引き立てる額のように並ぶ。

    レコルトは、2016/11/23(水祝)から伊勢丹新宿店と三越伊勢丹オンラインストアにて先行販売。
    現在は完売しています。

    【参考】
    三越伊勢丹ホールディングス プレスリリース
    三越伊勢丹「百年百貨」×サントリー「~ザ・プレミアム・モルツ~ マスターズドリーム」
    初のコラボ万年筆『récolte レコルト』伊勢丹新宿店、三越伊勢丹オンラインストアにて先行販売
    http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000328.000008372.html

    Comments (0)

    Tags: , , ,

    (ほぼ)真夜中のNotebookers的トライアルアンドエラー〜激闘DIY編

    Posted on 15 2月 2018 by

    外の新聞や雑誌のコラムで『ユーモア』というジャンルがあります(ジャンル、というか、カテゴリに分けるとしたら、おそらくそういう名前になるかと)。
    わたしはこれがすごく好きでして、どういうものかというと、例えば、世相や流行りモノを笑い飛ばすような文章もあれば、もっと身近な話もあり。
    つきあいなどで、まっっっっったく興味のない集まりにいかなければならない時、その時間をどう過ごすか、とか、友達の別荘に招かれた時、何を準備して行って、別荘では、どうふるまえばいいか、とか、interest ではなく、funny の方面で書かれたものです。
    このユーモアというジャンル、わたしがたまらく好きなモチーフとして「友達の家に泊まった時、使わせてもらった洗面所」ネタ、そして「DIYや家電の配線」ネタがあります。

    わたしを見かけませんでしたか

    これはその一冊。コーリィ・フォード。すっごく好き。


    興味を持たれたかたは…
    >>【書評】コーリ・フォード『わたしを見かけませんでしたか?』/杉江松恋【Book Japan】
    以上、前振り終わり。
    Continue Reading

    Comments (0)

    麗しのジェットストリームプライム ノーブルブラウン

    Posted on 09 2月 2018 by

    ※ 本記事は個人ブログ「ノートブックがない日々なんて」2016/10/19投稿記事を転載・加筆しています。

    ついに、遂に……!
    待ちに待ったジェットストリームがやって来た!!

    ジェットストリームが世に出てから、はや10年。
    私がジェットストリームを愛用して、だいたい7年。
    ようやく、私好みのブラウン軸がやって来た!!

    シュッとした佇まい……麗しい。

    2016年10月14日に発売された「ジェットストリームプライム 3色ボールペン」限定カラー。
    ボール径0.5mmのノーブルブラウンと、ボール系0.7mmのノーブルネイビーの2種類が発売された。
    私は迷うことなく、ノーブルブラウンを選ぶ。


    ボールペンの軸色を気にし始めたきっかけは、2年前に受けたパーソナルカラー診断だった。

    診断の冒頭で、ゴールドのペンとシルバーのペンを選んで持つ場面があった。
    一緒に受けた人に気を遣い、私はシルバーのペンを手にした。
    すると悲しくなるくらい、手の血の気がひいていった。

    気を遣う必要なんて、全くなかったなぁ。なにやってんだろ。
    妥協したシルバーペン1本を原因に、とにかく気分が優れなくなった瞬間を、いまでも覚えている。

    いや、もちろん本当に血の気がひいたわけではない。
    肌の色とペンの色との相性で、そう見えただけ。
    あとでゴールドのペンを持ったら手が生き返ったのを見て、
    「もう二度と、シルバー軸のペンを私物で選ばない」と心に決めた。

    パーソナルカラー診断の結果は「オータム」。
    ゴールドベース、深みのある色、濃い色、秋の紅葉を思わせる色あたりが、私には似合うらしい。
    診断結果を聞いた日以来、私物で選ぶものの秋色化が一気に加速した。

    2016年3月撮影。手袋、どこいっちゃったんだろう……泣

    服や小物は秋色を見つけやすいのに、ボールペンで理想の秋色を見つけるのは、想像以上に難しい。
    軸が秋色でも、ペン先やクリップ部分などが憎きシルバーというパターンに、幾度も遭遇した。

    軸はいい秋色なんだけどなぁ……。
    私が妥協すればいいのだけど、どうもあと一歩が惜しいので購入まで至らず。

    ジェットストリームプライム限定カラーが発売されると知ったときは、本当に嬉しかった。
    ブラウンの軸に、プライムシリーズ初というブロンズカラーのメッキを合わせてくれるなんて!
    秋色ボールペン探しの路頭に迷っていた身としては、この上ない組み合わせだ。

    発売日当日に文具店に駆け込んで、無事手に入れた。



    書き心地は、ジェットストリーム(当然)。
    キャッチフレーズそのままの、「クセになる、なめらかな書き味。」である。
    使い慣れたボールペンの書き心地を、ようやく好みの軸で楽しめるようになった。

    プライムシリーズの独自開発ノックもまた、クセになる。
    プレスリリースの言葉を借りると「ノック棒が落ち込まず、流れるようなノック」なのだ。

    店頭に試し書き用ペンが出ていたら、試し書く前にぜひ試しノックしてみてほしい。
    プライム以外のジェットストリームを使っていても、思わず買い替えたくなるノック感だと思う。

    あえて頑張ってコトバで説明するならば……。
    一般的なボールペンのノックが「膝カックン」ならぬ「ノックカックン」と表現するとして、
    プライムシリーズのノックは「ノック、スス〜ン」といったイメージ。
    (みんなに伝わっておくれ、この右脳的語彙力)


    ジェットストリームプライムには、クリップ部分に謎の宝石的アクセントがある。
    発売中のプライムだと、宝石的アクセントが青かったりピンクだったりで主張が過ぎたのだけど、
    限定カラーの宝石的アクセントは、黒くて主張が少ない。
    ノックの黒と馴染むので、宝石的アクセントの存在が気にならないのが良い。

    秋色軸にこだわって2年あまり、ようやく理想の多色ボールペンを見つけることができた。
    限定発売のボールペンだから、大事に使っていかなくては。

    2018年2月9日現在、大事に使い続けている。

    【参考】
    三菱鉛筆株式会社 プレスリリース
    『ジェットストリーム プライム』から、限定カラー新発売!~風格を感じさせるブロンズカラーのメッキを採用した3色ボールペン~

    Comments (0)

    これがNotebookersの生きる道 〜Notebookを味方にするための守破離×5〜

    Posted on 03 2月 2018 by

    ソウル・Notebookers道!

    こんばんは、サオリです。
    今宵も Good Notebooks にココロ踊らせる時間がやって来ました。
    ゲストはマイg……おぉっと、いなーい。

    お届けするのはこの曲。
    セ・ラ・ヴィ 〜女はNotebooksに忙しい〜

    そんなわけで(どんなわけだよ)、みなさまNotebookers.jpへようこそ!
    何かしらの流れでココまでやって来たはじめましてさんから、
    むしろココで何年も記事書いてるぜっていうベテランさんまで。
    この記事に辿り着いたみんなにとって、何らかの役に立つ記事を書ければいいなって思っているよ。
    ぜひこのサイトを、楽しんでいってね!

    さて、今宵の話題。
    「これがNotebookersの生きる道 〜Notebookを味方にするための守破離×5〜」ですって。

    2017/12/29 Notebookers Global Communication(以下、NGC)が発生してからというもの、
    ノートブックで何かとミラクル起こしがちな、このワタシ。

    そんなワタシから、みなさまへ。
    ノートブックを自分の味方にして人生楽しもうぜって思い立ったときに
    ちょっと実践してみるといいかもしれないねレベルの、ささやかなアイデアをお届けするよ!

    少しでも分かりやすくしたくって、
    「守×5」「破×5」「離×5」の、計15個のアイデアにまとめました。
    よかったら、ぜひなにかひとつ、今日からTRYしてみてね!

    【守−1】Googleで “Notebookers” の画像検索をしてみよう
    検索が面倒だっていう人は、こちらをクリックしてみてね。

    【守−2】ちょっと頑張れば行ける距離の、おおきな文房具屋さんまで散歩しよう
    いま話題の文房具から、昔から使っていた超定番文房具まで、大抵の文房具は揃っているわ!
    目で見るのはもちろん、試し書きしたりページめくったり、五感フル動員で文房具を体感してみて。

    【守−3】逆に、あなたのおうちから一番近くにある文房具屋さんに行くのもまた、ステキよね
    何十年もお店の奥底に眠っていた、思いがけない文房具に出合えるかも?
    文房具でタイムトラベリングまでできちゃうなんて、アメイジング!

    (守−2、守−3を実践したなら、きっと手元にステキなノートブックがあるはずよね)
    (そう信じて、以降続けるよ)

    【守−4】そのへんのペンを片手に持って、目の前にあるノートブックを開こう
    ノートブックを、開こう。
    気分が乗らなければ、開いてすぐ閉じちゃっても無問題。
    ペンを片手に持っていれば、文字でも絵でも図でも表でも、すぐにノートブックに叩き付けられるわ。

    【守−5】「1日1回ノートブックを開く」を、根気よく毎日続けてみて
    気分が乗らなければ、開いてすぐ閉じちゃっても無問題。
    手段はどうあれ、【守】フェーズのうちにノートブックに慣れることが、肝要。


    【破−1】身の回りの荷物を、いったん整えよう
    そろそろ、ノートブックや筆記具、マステやらふせんやらで、しっちゃかめっちゃかになってない?
    とりあえず机の端に、バラバラになった文房具をきれいにまとめよう。気持ちがすこし、落ち着く。

    【破−2】ついでにカバンやポーチの中身も、いったん整えよう
    カバンもポーチも整ったら、足取りはより軽く、距離はより遠く。
    一気にモノゴト、動くはず。

    【破−3】そろそろ、いつものノートブックに“違和感スパイス”をかけてみない?
    いつもより雑な字で書いてみるとか、手でちぎってたマステをカルカット使って切って貼るとか。
    でも客観性は忘れないで。あまりに羽目を外し過ぎると、それはそれでただおかしいだけ。
    周りからもおかしく見えるし、もう一人の自分からでだって、おかしく見えてしょうがない。
    「いま自分は、違和感スパイスをかけている」冷徹なもう一人の自分から、そう問いかけてもらおう。

    【破−4】好きな歌手の好きな曲の好きなワンフレーズを、しばらく自らの行動指針にしてみない?
    ワタシの行動指針フレーズは、「理論武装に笑顔は不可欠」

    【破−5】あなたが住む国の一般的生活リズムからちょっと外れた時間帯、Instagramに写真ひとつアップ
    あなたが住む国でない誰かが、きっと「いいね!」を押してくれる。
    Instagram友達が、また一人増えたみたいね。

    【離−1】InstagramレベルのEnglishの読み書きなら、ローライングリッシュ本がおすすめだよ!
    ローライングリッシュ本=SPEAK ENGLISH WITH ME!
    世界のInstagram友達とのコミュニケーションが、もっと楽しくなるはず。
    そう思わせるきっかけをくれたNGCのお相手aina(aina.kristina)には、感謝してもしきれない!!

    【離−2】ノートブックタイムだけでも、額全開ヘアアレンジ
    ノートブックと集中して向き合うための、一種のルーティンワーク。
    どうせ家でしかつけないヘアバンドを、先月3本購入した。
    3本ともベーシックカラーなんだけど、いずれも適度にアホ要素があるのが極私的高ポイント。

    【離−3】「フシがある選手権」開催
    ルールや空気感は、漫画または映画『セトウツミ』参照。超がさつ客観視のキレ味増強に役立ちます。
    ドラマ版セトウツミは、瀬戸と内海だけでなく脇役陣までキレッキレ。
    田中君とハツ美ちゃんが程よくイラつ……、ってゴリラ先生www

    【離−4】お気に入りのハンドクリームを、いつもポーチに入れておく
    松浦弥太郎さんの本で読んだ手法、いただきました。
    執筆仕事の前に、ハンドクリーム。ついでに手のひらマッサージもすると、血行よくなる気がします。

    【離−5】「行こうぜ Noteookの向こうへ」スピリットで、ノートブックとたのしくあそぶ


    閑話休題、の、逆バージョン(本線から堂々と脇道に逸れる)
    2018年に入ってからというもの、資生堂さんの文房具モードが本気な件。
    ものすっごく、わくわくする。
    あれもこれも、発売が待ち遠しい。年甲斐もなく。

    【PR 2018/01/16】
    資生堂、女子高校生と共創するオープンイノベーション型プロジェクト「POSME」を開始~社内組織「イノベーションデザインLab.」による新たな価値創造~

    【PR 2018/01/25】
    資生堂PLAYLISTがカラー&メイクを自由に楽しむマルチカラーアイテムを発売。

    いまワタシが注目する文房具ブランド総合ランキング第1位は、資生堂さんです。って、あれれ……?

    それでも前に行くしかないんだし、角度変えればまたイイ感じ。
    になる、はず。

    それでは、さようなら〜

    Comments (2)

    旅先のToday’s TRAVELER’S notebook/2018冬・ 魔境小田原真鶴編

    Posted on 27 1月 2018 by

    ちょっくら、旅してきました。
    あの、あの大雪の日でした。
    あえて、旅、決行しました。

    旅の計画動機は「小田原らへんの郵便局で風景印収集したいな〜♪」程度だったのに、
    いざ当日になるやいなやの、寒風大雪サバイバルモード。
    えっ。風景印って、こんなに過酷な思いして収集するモノだっけ……?

    小田原も真鶴も、気候のせいでひどく魔境感が漂っていた。
    ただ、「魔境感」の制限のなかで、精一杯、馬鹿馬鹿しく旅できたと思う。

    撮影にいちいち迷ってると凍えるので、脳内は常に高速回転。
    結果、街をスクラップしながら、小田原と真鶴を疾走できた。
    (あくまで気持ちの面で疾走。ほんとに走ったら、すってんころりんハイリスク)

    ノートに記録する手段は、書くことだけではない。
    「旅先のToday’s TRAVELER’S notebook」として写真におさめる方法だって
    私にとっては、旅の記録になるのです。

    みなさまにも、少しばかり魔境小田原真鶴の空気をおすそわけ。

    郷土の偉人、二宮尊徳(金次郎) 代表的教訓「譲って損なく奪って益なし」

    ニノはどこを見てるのか

    真鶴駅近くの屋根付き歩道橋。雪がトラベラーズノートに着地した。

    16:46 真鶴駅(JR東海道本線)



    ……えぇと、言っていいですか。
    雪降り積もる日にトラベラーズノートのある風景写真なんて、北の血筋なしの私にはムリ!
    寒すぎて寒すぎて、トラベラーズノートの配置がぜんぜん決まらなかった。早々に、断念。

    トラベラーズノートのある風景写真が撮れない場合の緊急対応として、
    持ち物、ならびに身につけている物と一緒に、風景写真を撮ってみた。
    寒さに追い込まれながらも、極めて雑にシャッターを切った……と、記憶している。

    小田原の足元には北条氏。この日はトレッキングシューズ装備で、大正解。

    14:20 真鶴駅。強風びゅーびゅー吹いてきて、リボンが大変よくなびいた。

    ぜんぜん景色が開けない。

    真鶴の人々のホスピタリティが身に染みた。郵便局員さんもタクシーの運転手さんもあたたかい。バス停代わりに、長いこと郵便局で休息をとっていた。

    なんだかんだで無事に帰れた。終わり良ければすべて良し。



    小田原と、真鶴。
    次はぜひとも、よく晴れた日に行きたい。

    Comments (4)

    グラシン紙で包んだ文庫本

    Posted on 25 12月 2017 by

    グラシン紙で包んだ文庫本が好きだ。
    自分の本棚に挿しておく文庫本は包むことにしている。

    Comments (0)

    Tags: ,

    原民喜童話集刊行記念イベント&『還元不能のノートブック』

    Posted on 11 12月 2017 by

    11月25日(土)京都の恵文社さん開催の原民喜童話集刊行記念イベントに行ってきました。
    コチラです>> 『原民喜童話集』(イニュニック/未明編集室)刊行記念イベント<向こう側へのまなざし>吉村萬壱 × 外間隆史
    原民喜童話集刊行記念イベント
    Continue Reading

    Comments (0)

    印泥は練って丸めろ

    Posted on 06 12月 2017 by


    ネットサーフィンしていたとき、ふと「印泥」について書かれている記事を目にしました。
    「印泥」なんて言葉も知らなかったのですが、画像でそれとわかり、私も同じものを持っているので気になったのです。
    記事を読み、すごく興奮しました。
    自分の使い方が間違っていると知ったからです。

    このね、赤いところにね、ペタペタとハンコの印面をつけて使ってました。
    んが、そうじゃないんですって。
    これ、練っちゃうんですって。ヘラで。
    ご存知の方にとっては、なに言ってんだいまさらな、無知な者の話であることは十分承知していますが、
    だって衝撃だったんだもの。
    こんなふうにヘラで練って、お団子状にするのが正しい使い方だそうです。

    ときどき練らないと油分が分離しちゃったりするらしい。
    でも私、これを祖母からもらった時(15年以上前)以来、上の画像の通り今日までなにもしてなかった。
    で、半信半疑というか、まだいけるかな、とおそるおそるヘラで(このヘラについても、そういえばそんなものが付いてたような気がするけど、いつぞや捨てたものと思われるので、セメダインに付属されてるやつで代用してます)
    「印泥 混ぜ方」で検索した動画とか見ながらやってみました。
    最初は固くて、「やっぱり15年以上ほったらかしだったしなあ」と諦めかけたのですが、
    買ったばかりのものや、ほっぽってたやつは、器の下からドライヤーなどで温めるといい、と、
    やっぱり「印泥 固い 混ぜ方」とかで出てきた指南を読みまして試したところ、これがまあ滑らかになりまして。
    しばらくねりねりねりねりと、楽しく練って練って練りました。

    さあいよいよ捺印してみようじゃないか。
    篆刻印もあるよ。本名につく「奈」って字だよ。
    なにが楽しみかっていうと、そう、普段使っているお手軽なスタンプ朱肉とは、印面が、印影が、まったく違うらしいのだ。
    まずは練ったばかりの印泥で捺しました。

    うん、きれい。くっきり。鮮やか。
    そうね、そういわれてみるとあまり気にしたことなかったけれど、スタンプ朱肉って、インクをたくさん付けたつもりでも、いざ捺してみるとこんなに印影がはっきりしてなかったかも。
    スタンプ朱肉と比較してみよう!とやってみたのが下の画像です。

    ね、やっぱり薄いよね、赤がね。
    印影もぼやけてる。
    並べてみました。

    (下のが印泥)きれい印泥!
    ねりねりねりねりも楽しいし、これからは普通の三文判を捺すときとかも使いたい。
    ただ、乾きが遅いという、現代社会の流れに反するデメリットはあります。ありますが、いいよね。
    万年筆で書いたインクが乾く時間をも愛したり、気に入った文具を追求する方も多いノートブッカーズのみなさんならば、
    きっとこの良さをわかってくださる方も多いのではと、書かずにいられませんでした。

    ちなみに、私の印泥と篆刻印は、書道の先生をしていた祖母に少しだけ習っていた時期があり、そのときに用意してもらったものです。
    今は書道の道具すら手放してしまったし習字は相変わらず苦手なままだけど、
    このセットは自分の印でもあり、また、数年前に他界してしまった祖母の形見代わりにと大事に持っていたのです。
    おばあちゃんごめん、これからは普段から使わせてもらうね。なんて思いながら印泥を練っていました。
    使わないからと捨ててしまわなくて、本当に良かった。
    最近、引越しをしたもので、古いものを捨て、必要なものを購入するということを繰り返しており、
    ものを所有することについて、改めて考え直していた時期でした。
    手放したくない、と感じるものは、それまでに使ってなくてももう捨てるのはやめようと決めた出来事でした。

    最後まで読んでいただきありがとうございます。

    Comments (2)

    Tags: ,

    見かけたものビンゴという手段

    Posted on 06 8月 2017 by

    準備編

    0.始まり

    タカヤ・モレカウ氏のtwitterに触発された。

    アウトドアに出かける時、「見かけたものビンゴ」をノートで作ると面白い。「流れ星」とか「犬を連れた人」とか「樹を登る動物」とか「一群で飛ぶ鳥」とか「ハチ」とか「飛ぶ風船」とか「水滴のついたクモの巣」等。07/09/27 13:04

    いつも何かを探してる=五感をフル活用する暮らし。
    これはスケッチや俳句の訓練にもピッタリ、というかもう、俳句でありスケッチそのものだ。

    1.道具

    このビンゴは、enchantMOONとの親和性が高い。写真を撮って、はめ込むのも簡単だ。

    だけど、この遊びは、やっぱりノートとボールペンがいいと思った。幸い、使えていなかったノートが一冊あった。

    方眼罫はマスを書きやすいし、薄いから持ち運びもしやすい。とりあえず3×3マスを作ってみる。とにかく気軽に簡略に。

    2.お題

    お題を考えた。できれば五感(+第六感)を満遍なく働かせたい。
    「よくあると思っていたけど探すとなかなかみつからないもの」
    「偶然性の高いもの(匂い系、ハプニング系、出会い系、落し物系)」
    「季節モノ」「ご当地モノ」「レアモノ」「懐古系」「〇〇してる〇〇」「推理系」
    「チャレンジモノ(笹船を流す、スキップする、木登りする)」etc……

    Twitterでもお題を募集した。お寄せいただいた皆様に感謝いたします。

    おもしろいもの、絶妙なもの、思いもよらないもの、難易度の高そうなもの、所在が明らかなものなどがリストに加わった。

    お題リスト ~お題は随時募集中です

    これらに挑戦し、達成したお題は消していく。未達成のものは再利用する。

    3.方法

    最初は、1 Bingo/a day を試した。血眼だった。お題のこと以外、何も考えられなかった。
    だから、1 Bingo/a week にした。「見かけた」というさり気なさを大事にしたい。

    実践編

    1.お題選択

    リストや、思いつく膨大なありふれた事物のなかから、今週の予定を想定しつつ、お題を決定する。

    2.お題配置

    自分の世界に対する期待値と確率を検討し、難易度を調整しながら配置する。所在が判明しているものだけでビンゴを成立させちゃもったいないし、出会えそうも無いものばかりじゃつまらない。自分の境界をあと少し広げれば、二列ぐらいは達成できるかもしれない、という匙加減で。

    3.冒険が始まる

    ビンゴ達成にむけて、フラフラキョロキョロし始める。お題を求めて、膨大な事物の溢れる世界に分け入る。それらの全てが、もはや「意味の無い日常」や「無関係な背景」ではなくなっている。

    4.発見し記録する

    出会えるとうれしい。指差して「あった!」って言う。尊い宝と思える。赤丸をして日付と状況をメモする。
    (今は写真は撮ってない。お題が「動いているもの」だったりすると間に合わないし、「人」の場合は肖像権や迷惑条例なんかの問題も出てくる。なにより気軽さが削がれてしまうから。だけど撮れれば撮っておいてもいい。撮るとも撮らないとも決めない。大事なのはそこじゃない)

    2017/07/25 No.1  1 bingo/a day

    5.リーチがかかる

    ソワソワし始める。当たりお題以外は若干かすむ。一つか二つの当たりお題を求めて、遠回りをしたり、いつもと違う角を曲がったり。早起きして、散歩してみたり、夜歩いてみたりする。ドライブに出かける。定点観測地点を定める。いつもはしないことをしはじめる。ワクワクがとまらない。

    2017/07/26 No.2

    6.一列達成

    本気でうれしい。赤丸が三つ並び、勢いよく達成ラインを引く。すぐに他のラインが気になる。もう一列なんとかなるんじゃないかと考える。休日が控えていたら、計画を立て始める。

    201707/31~06 No.3

    7.ゴールそしてスタートへ

    日曜の夜。一週間を共に過ごした頁を眺める。達成したお題、見かけなかったお題。それぞれへの思いを、空いたスペースに書き込む。ルールや書式などの思いつきも書き込んでおく。コーヒーなり、ウヰスキーなりを傾けながら、一週間の冒険を振り返る。

    そして次のビンゴを作成する。来週の自分を、来週の世界を想定し、そこからの逸脱を楽しみに。

    2017/08/07~13 No.4

    目的は「目的(仮)」
    一息ついて、地図を広げるための「駅」

    (拡張)

    Comments (0)

    Tags: ,

    アバターとしてのスタンプ

    Posted on 04 8月 2017 by

    ちょいとお久しぶりのkonamaです。

    今日は、最近はまっているパンダのスタンプについてのお話です。

    万年筆は大好きな筆記用具なのですが、残念ながら手は2本しかなく、さらに大概は片手で書くわけで、手持ちのペンをすべて稼働させるというのはなかなか難しいものです。あんまりほっておくと乾いちゃいますからね。とはいえ、インクの色も楽しみたいし、いろんなペン先(太いの細いの、平たいの、柔らかいの…)も使いたい。そこで、なんか定期的にペンを使う習慣を作る、例えば日記とか、というのがよくあるパターンだとおもうのですが、ツイッターで手書きツイートをする、というのも1つの方法です。

    ※手書きツイートとはなんぞや。それは文字通り「手で書いた字の画像でつぶやく(絵のケースもある)」ということ、少なくともこの記事ではそういう意味で使っています。しかし、最近はインスタグラムなどではやっている手書きツイートはちょっと趣が違うみたいです。(#手書きツイート のハッシュタグでひくと、最近は人様の恋バナがつらつらと書いてあったりしてびっくり)

    で、私もご多分に漏れず、モレスキンダイアリーXSをつかった本の抜書きや、ちょっとしたメモをつかった手書きツイートをしているのですが、その中で「Rhodia No.10 ちまちまツイート」と名付けて、毎日のよしなしごとを書き留めているシリーズがあります。第一回目がこれ↓。 確かNational Hand Writing Dayかなにかがきっかけでやってみた気がします。Rhodiaが出している一番小さい手のひらサイズのメモパッド(5.2 x 7.5 cm)を使って、手元にあるスタンプと万年筆を使って書いたメモを、iphoneのカメラで撮って、Instantというポラロイド風に加工できるアプリを使って仕上げています。綺麗にというよりは、ちょっとしたスナップという雰囲気でまとめてみたかったからね。

    みてのとおり、この第一回目にはパンダは登場していません。デスクにあった、電球のハンコをぽんと押してみただけ。その後もワンポイントとしてスタンプやシールを使いながら、他愛もないことをつぶやいていたわけです。

    Continue Reading

    Comments (2)

    Tags:

    旅行の記録

    Posted on 11 6月 2017 by

    旅行の時はenchantMOONという端末を持っていく。

    写真が撮れて、適当にレイアウトできて、手書きができる。

    背景色やペンの色、ペンの太さなんかも変えられるので、頑張ればフルカラーで絵を描いたりもできるはず。

    走り書きが気持ちがいい。可読性は犠牲にしてでも……

    妻は「部屋」「眺望」「温泉」を重視する。むろん異存はない。

    常の雑事は置いてきた。旅先では未来の話しかしない。

    両日とも晴れ予報だと思っていたが。富士山と熱海周辺のみ雨。私たちの旅行はとにかく雨が多い。

    のんびりとすごした一泊二日。こんな旅行の記録ばかりがつまったenchantMOON。

     

     

    Comments (0)

    【机上で行われる行為】 #01 ボードゲーム

    Posted on 04 6月 2017 by

    最近、とある本を読んでいて面白いなぁと思ったのは、「だるまさんがころんだ」をさらに面白くしてみるという内容だった。
    まず「だるまさんがころんだ」の曖昧な部分となっているルールを指摘していた。

    【問題点】
    ①終了条件が曖昧になっているため、繰り返し行われる際に飽きてしまう点
    ②鬼にタッチをした担当者に対する「小さなごほうび」が用意されていない点
    ③大股〇歩、小股〇歩と、子が鬼の歩数を  指定するところ(つまり、子から鬼に条件を与えるためタッチすることができないことがある)

    【解決方法】
    ①全員が鬼をプレイしたら終了。もしくは特定のポイントをクリアした際に終了とする。
    ②ポイント制にする。子は鬼にタッチをした際に1ポイント、鬼は決められた歩数で子にタッチができた場合1ポイント。
    もしくは全員を捕まえることができたら数ポイントなど鬼に大量得点のルールを与えるのも面白い。
    ③鬼の歩ける特定の歩数を「大股10歩、小股20歩」と予め決めておく。

    アレックス・ランドルフの 「すべての遊びは進化の途中であり、進化の連続から新しいゲームが誕生する」 ということばで締められていた。こういうの、読んでいるだけで興奮してしまった。「だるまさんがころんだ」に類似した遊びは世界にいくつもあり、ドイツでは”Ochs Am Berg(山の牛)”、イギリスでは「Green Light Red Light(青信号赤信号)」というゲームで、どちらも親が後ろを向いている間に近づいてタッチする遊び。日本の遊びではなぜか皆が鬼になるのを嫌がる傾向があるが、ヨーロッパでは鬼に自由な特権が与えられており、どちらかというと鬼になりたがる人が多いらしい。

    僕はこのような、人が「楽しいと感じる」システムに興味があって、いつもダイスを持ち歩いている。小さなころ、親が僕をおもちゃ屋さんに連れて行って、お誕生日だから好きなの買ってあげると言ったんだけど、しばらく悩んだあげく僕は一番小さな70円のサイコロがショウウインドウに入っているのを見かけてそれを買ってもらった。人生で初めて能動的に手に入れたおもちゃである。安上がりな子供で親も安心したと思う。

     

     

    しばらくはダイスを転がしながら、1~6の目がランダムに出るのが不思議でしょうがなかった。ばあちゃん家のアパートの外階段でサイコロを転がしていると、興味を持った近所の子供が話しかけてきてルービックキューブを教えてくれたのを今突然思い出した。
    ある程度大人になった今でも、23種類の順位をダイスひとつで抽選するには?とかダイスひとつで平文で暗号と複合を成してみるとか、ダイスをn回降った時にp回だけ特定の目が出る率 (※上図:一番左側の “p” は正しくは “P” です。nCmの部分はコンビネーションの公式です。)とか、自分で問いを作ってそれを机上で解く道具として使っている。ダイスはひとつの考えごとを提供する文房具だと考えている。

    小さなころのファーストインプレッションというのは大人になっても継続するもので、ダイスひとつで退屈しない大人になったなぁと思う。楽しいと感じるシステムについて考えるのが楽しい人は、サイコロひとつ持ってても楽しいのだろうと思う。これらの楽しいと感じるシステムはどこか遠くの時代に、世界の誰かがつくったものだ。それがダイスを通じて今の僕に届いているということを想像すると割と興奮する。世界の誰かが考えたものが、道具を通じて、小さな文化となって伝わっていくというところにドラマチックさを感じる。


    最近ではすっかりスマホやコンシューマのゲーム機が有名になってしまったけれども、たまには誰かとひとつのテーブルを囲んで、アナログなゲームもお勧めする。誰かが作りあげた画期的な「楽しいと感じるシステム」がたっぷりと詰め込まれていると思う。ドイツではボードゲームの生活における比重が全く日本と違う。毎年ドイツで10月ごろ行われるボードゲームの祭典「Essen Spiel」では毎年数十万人が世界中から訪れ、40か国600ブースを超える出展、そしてイベントが行われるエッセン市ではまるごとゲームのお祭りの様相をほどこし、街のあちこちでボードゲームの世界大会が行われるといった状況で盛り上がっている。

    ボードゲームには、テーブル上に公開された情報のみで遊ぶチェスや将棋や囲碁のようなアブストラクトゲームと言われるものもあるが、不思議なことにドイツでは敬遠されるようだ。また、すごろくを代表するただのレースゲームのような、操作する情報が運のみのゲームも敬遠されるようである。
    つまり、ドイツのボードゲームは他プレイヤーとの相互に関わる要素「交渉、競り、交換、対戦」が程よくミックスされ、コンポーネント(駒やマーカーの類)が木製で立体感があり美しいものが好まれ、雰囲気満載のボードが扱われることが多い。日本では「ドイツのボードゲーム」もしくは「ドイツゲーム」と呼ばれるこのジャンルは当のドイツではSpiel(シュピール/遊び)と呼ばれる。デザイナーが重視されており、箱やすべての広告にデザイナーの名前を冠して販売されることが多い。これは日本で言うところの出版物に似ている。つまり著作者が出版社を変えて本を出したとしても本が売れる仕組みと同じだ。デザイナーの名前が看板となっている。
    ドイツのボードゲームのデザインは、ゲームのテーマから入る人と、システム構成からデザインを始める人がいるらしい。複数のアイディアを重ねていき、最終的に出来上がったものを何百回と繰り返しテストプレイを行う。ここで作品をマッシュアップしていくのである。

    「よくチェスをやるのかい?」
    彼は部屋に置かれたチェスボードに目をやり、たずねた。
    「ノー、よくってほどじゃない。たまに1人で駒を動かしながら考え事をするんですよ」
    「チェスは、2人でやるんじゃないのかい?」

    ボードゲームについて人と話していて思ったことがひとつ。
    複数の人数でプレイすることも楽しいのだけど、一人で考え事を楽しむ道具でもあると考えている。ヘッドフォンやノートブックやそしてボードゲームも、結局のところひとりで楽しむ道具のように感じている。自分の考えというものは、誰か他人に話すことでそれが楽しいことであるか判断できるんだけれど、一人で考えたことを誰かに話すための道具、そういうものも世の中には存在している。

    最近はノートに、ボードゲームの中で自分が楽しいと思ったシステムをメモしておく癖がある。また冒頭に書いたような、既存の遊びを楽しく変えるアイディアがあったら書き留めておいている。仕組みだけメモしておくと頭の中でイメージしながら何度も繰り返して遊べるからだ。
    クリエイティブな行為には2種類あって、新たなものを作り出す行為と既存のものを変化させる行為である。僕は既存のものをいろんな角度から見て視点を変えるのが好きだ。普段の生活の中で自分が楽しいと感じるシステムについて考えるのはとても楽しい。既存の何かを楽しいと感じるように変化させるのが割と好きだ。
    身近なモノをゲームにすると考えるなら、非日常的な視点で見るべきかも。例えばノートをゲームにするなら、「1冊のノートを複数人数で取り囲んで一斉に書く」もしくは「複数人数で数冊のノートを向かい合って置き、互いのノートの境界線を越えて線を引き合う」等。まず楽しむ。後でルールを付加する。

    小さい頃から紙の上でのゲームはよくやってたけど、最近ちょっと面白いものを見かけた。
    出題者から各自に配られた「キリン」や「餅つき」などの「お題」を、みんなで1つの紙の上に少し(一筆)ずつ絵で描いていくというゲーム。ただし、そのうちの1人は配られた「お題」が白紙になっていて鬼?になる。つまりひとりだけお題を知らずに描いていくことになる。お題が空白だった鬼は、他の人が描いている断片から推測し「知ったかぶり」して描く。全員が2回ずつ筆を入れたとき、鬼が今回のお題を当ててしまうと得点は鬼のものになる。 他のお題を知っている一同は、鬼にお題を悟られないようにしつつ鬼が誰かを特定できれば得点となる。「鬼には解らないだろうけれどもお題を知っている人には解るはず」と考えて線を描いていくと絵はだんだんとよくわからない方向に変化していくオモシロさがある。「これなら解るだろう」の尺度が人によってそれぞれ異なることを楽しむゲーム。これならノートブック一冊を使って、それぞれが違う色のインクのペンを使って遊べるなぁと思っていた。

    最近「Dixit」というボードゲームを買って、そのシステムに感動した。『DiXit』とは、ラテン語で「(彼が)言う」の意味で、フランスでは根拠なき主張を揶揄するときに使う言葉らしい。数十種類の不思議なカードが同梱されていて、各プレイヤーが6枚ずつの手札を持ち、1人ずつ交代で語り部をプレイする。語り部は自分の手札1枚を選び、その絵柄から連想される言葉(歌でもパントマイムでもなんでも良い)を全員に言い、他のプレイヤーは自分の手札からその言葉にもっとも似ていると思うカード1枚を選ぶ。全員がカード1枚ずつを出したら、語り部がそれをシャッフルして並べる、語り部以外のプレイヤーは「語り部の選んだカード」と思ったカードに投票し、その投票結果によってポイントを獲得できる。

    このポイントの配分方法がギネス級のアイディアなのでよく読んで理解してほしい。
    全員当たり、または全員外れの場合、語り部にはポイントは 0点。この場合は語り部以外のプレイヤーが全員2点ずつ点数が入る。では語り部の選んだカードに誰かが投票し、かつ外したプレイヤーもいる場合は、語り部に3点、当てたプレイヤーにも3点入る。
    そして、上記の点数配分に加えて、語り部以外のプレイヤーが出した「似ているカード」に誰かが投票した場合は、そのカードを出した人に1点が入る。
    上記のポイントの配分が絶妙過ぎるのでぜひイメージしてほしい。つまり、語り部はモロわかりでも的外れでもない、適度にあいまいな言葉を要求されるジレンマを楽しむことになる。

    最後にボードゲームのインスト方法について記載しておく。

    第三者とボードゲームをプレイするときに必要な行為なんだけど、初めてプレイをする人に対して、「どのような手順でゲームを行うべきか」説明を行うというのが重要な行為となっている。これは通称インストと呼ばれる。インストラクターのインストと同意。手順は以下の通り。

    【インスト手順】
    ①ゲーム背景の紹介
    ボードゲームの持つ世界観・雰囲気・テーマ・ムードについて説明し気分を盛り上げる。
    ②終了条件・勝利条件の説明
    どのようにするとゲームが終了するのか、勝つのか説明することで何のために何をするのかが明確になる。
    └ 質疑応答
    ところどころで質疑応答を挟む

    ③ボードの説明
    スタート地点・ゴール地点・駒を動かしても良い場所の説明
    ④おおまかな処理手順の説明
    どのように進行していくのか説明。
    ⑤それぞれの処理手順の説明
    一般的な処理と例外の処理を分けて説明する。
    └ 質疑応答
    ⑥最終決算もしくは得点計算の説明
    最終的に決算でポイントがどのように変動するのか説明。
    ⑦特殊ケースの説明
    一定の条件でしかできないアクションについて説明する。
    └ 質疑応答

    【追加オプション】
    ⑧適度な助言
    よくある展開、最終的に皆が達する平均的な点数について説明。
    ⑨明らかに有利・不利な点の説明
    自分の経験上と説明したうえで、有利に戦うコツについて説明。
    こうやって眺めてみると、何か別なプレゼンにも使えそうな気がする手順である。

    Comments (0)

    Tags: , , , , ,

    パーカーのローラーボールのはなし

    Posted on 24 5月 2017 by

    ないなら作ればいいじゃない (DIY好きな人たちの境地だと推察)

     

    先日こちらで互換性の悲しさについて語らせていただきましたが,どうやら私は発想が足りなかったようで.フォローアップです.

    パーカーのローラーボールは,リフィルが少々高価で,しかも色も2色(黒と青)しかなく,ペン先が太いことで悪評があります.

    そもそも,サインなどにしか使わないものなのかもしれません.

    でも,やっぱり持っている以上は,細めのやつなんかも入れて,普段使いしたいですよね.

    私は自分のものをプレゼントとしてもらいましたが,そういう人も多いんじゃないでしょうか.

    でも意外にリフィルの情報は少ないので,私がこれまで試したものを少しシェアしたいなと思います.

    ここでは本体を加工することはしませんが,壊れない保証はありません.すべて自己責任でお願いします.

     

    さて,お断りを載せたところで,結論から申しますと,

    【軸がある程度太くて,ペン先が5mm以下,長さが11.5cm以下なら,工夫次第で結構いけそうです】

    ということです.

    本物のローラーボールのリフィルのサイズがわからないのですが,今のところ,

    • 標準SARASA軸 JF 0.5(とそれに類するもの)
    • 標準ジェットストリーム軸(ノック式) SXR-7(とそれに類するもの)
    • 標準Pilot Juice軸 LG2RF-8F/BLS-G2-7(とそれに類するもの)

    は使用できそうです.(2017/05/24現在)

    Pentelさんのエナージェル/Energelや,ビクーニャなんか使えるのかどうかとか気になります.ローラーボール的な雰囲気でますしね.

    ただし,上の3つも,無加工でポン付けできるほどフレンドリーではありません.悲しい.

     

    ■やりかた■

    基本的な動作は二つです.

    1.ペン先をマスキングテープで加工する

    2.尻尾をスペーサーで延長する

    とはいっても,あるものを適当に使えます.

    私の場合は,マスキングテープでペン先の太さを増やした後,いらなくなったポイントカードを切って尻尾に詰めました.

    尻尾に詰めるスぺーサーは,ジェットストリームの場合は標準のキャップを再利用できます.

    ポイントは,ペン先にまくものはきつめに,スペーサーには堅めのものを使うことです.

    (でないと,書くときにグラグラしてしまいますから.)

    中央の細かいのがポイントカードの残骸=スペーサーです.

    あとは普通のリフィルの要領で,中を取り換えれば終了です.

    必要ならペン先はテープを巻いたり外したりして調整,スペーサーの方も加えたり減らしたりして調節します.

     

    意外とシンプルですが,ペンがよみがえるのはうれしいものです.

    ペン自体が金属製だからできるのかもしれません.

     

    もしローラーボールを持て余しているようでしたら,試しにやってみてください.

    逆にいろんな軸を使える金属ペンを探している方にも,おすすめです.(でもどこで買えるんだろう···)

     

    neokix

     

    Comments (0)

    祖父が亡くなってから

    Posted on 22 4月 2017 by

    祖父が亡くなってから,一か月がたつ.

    ふと思い起こして,その日のノートを見てみる.そこには,某教育テレビでやっていたフィッシュボーン図*1の使い方が書いてある.さらにもう一ページさかのぼると,某ドトールコーヒーの紙製のカップホルダーがちぎって貼ってある.きっと書体が気に入ったのだろうう.書き込みはない.

    ノートをさかのぼってみていくのは,思考の糸を引き寄せるようで面白い.どこかの本に,人は1日に6万個ぐらいのことを考えていると書いてあった.ノートに書き留めてあるのは,せいぜい良くても1個か,多くても3個ぐらい.私の思考はどこかに消えてしまったのだ.

    祖父との思い出をなんとか手繰り寄せようと,いろいろと思い返してみるが,あまり思いつかない.車で1時間ぐらいのところに住んでいたので(のに),しょっちゅう会いに行こうという感じではなかった.だから,祖父が死んで,悲しいというよりは,ぽっかりと何かが無くなった感じがした.まだそこにいるような感じがして,でも同時に,僕は彼の骨を骨壺に収めたから,彼はもうそこにはいない.その二面性をとらえきれない.

    無くなった,亡くなった.おそらく,死は悲しくない.空白や,空虚なのだ.

    そこを埋めようと,冗談を言って何とか笑ったり,あるいはノートに何かを書きつけたりするんだろう.その日,葬儀場で座った叔母が座り心地のいいといった椅子のスケッチ(にしてはひどい出来だ)を描いて,そのあとにお弁当についていた「この商品は本日16時までにお召し上がりください.」というシールをノートに貼り直している.おそらく何かのリマインダーとして,とっておきたかったんだろう.

    そして,その横のページには,こうある.

    ”生きていること,死んでいく人々とその悲しみについて考える.つながりが少ないということは,その悲しみ一つ一つが大きいということ.あるいは悲しみを感じる=人として大きくなる,その機会を失っているのか.”

    祖父の死は,いろんなこれからのことを考えさせる.飼っている猫たちも死ぬだろうし,両親も死ぬだろうし,数少ない友人もみな,死んでいくだろう.(僕が先に死んでしまわなければ.)

    そういうことを考えると,僕は少し憂鬱になる.そして,それあらがうことの無力さについて,考える.

     

    *1 フィッシュボーン図(特性要因図)は,結果に対する原因を特定するために使われる思考ツール.某教育テレビでは,それを論拠を書き出すものとして用いていました.

    10 分で理解できる特性要因図|書き方から原因を特定する方法まで : https://navi.dropbox.jp/fishbone-diagram

    Comments (0)

    Tags: , ,

    春のモレスキンは大きなサイズで

    Posted on 01 4月 2017 by

    、押井守監督の『イノセンス』見ているんですが。
    この現実の脆さ、自分が『そこにいること』のあやうさ、いいなあ。
    孤独に歩め
    悪を成さず
    求めるところは少なく
    林の中の象のように

    〜〜〜
    前振り終わり。
    えー、今までモレスキン ヴォヤジュールをずっと使っていたんですが。
    先日、使い終わりまして。
    新しいモレスキンを使っております。
    仕様は、わたしはプレーンが好きなので、ずっと無地を使っているんですが。
    サイズはちょっと大きいものを試してみました。
    先日、新しく発売された『ウルトラスペシャルエクストラエクストラエクストララージ』です。

    説明としてはこうなっています。

    商品説明
    エクストララージよりも大きなノートを、という声に応えて、さらに大きなモレスキンを。
    広げると、たっぷり90センチもあり、雨の日には傘代わりにも使えるサイズです。
    無地。定番のレイアウトは自由な発想で、仕事にもプライベートにも。
    ソフトカバーは机上での使用もスムーズ。
    中性紙、糸綴じ製本、ゴムバンド、しおり、丸みを帯びた角、拡張ポケットなどの機能はハードカバーと変わらず健在です。

    仕様
    【品番】NB01AP
    【サイズ】45×59cm
    【ページ数】192
    【紙材質】FSC認証中性紙
    【レイアウト】無地

    こんな感じです。

    モレスキンスーパー大きい

    黒、そんでソフトカバーです。

    どのくらい大きいかというと、トラベラーズノートブック パスポートサイズと比較してみます。

    TNPと比較

    このくらいです。

    実際に書いてみたところ。

    大モレスキン 開いてみた

    大きさとしてはこのくらい。

    マスキングテープを貼ってみました。

    大モレスキン マステ貼った

    雑、とか、そういうことは言わない。

    ポストカードを置いてみると、このくらいです。

    大モレスキン ポストカード比較

    やー、やっぱり大きいなあ(棒読み)。

    えー。
    先日、ツイッターで、ポール オーターの新刊の情報が回ってきまして。

    オースター、とても好きです。。

    TNPとオースター

    がんばって読みました。

    この本とモレスキン ウルトラスペシャルエクストラエクストラエクストララージを比較してみましょう。

    TNPとオースター

    浮いてる、とか言わない。

    Notebookers.jp のステッカーで見てみましょう。

    TNPとステッカー

    チャームがついてる、とか言わない。

    TNPとステッカー

    やー、本当にね、持ち歩くのが大変なんですよ。大きいバッグが別に必要で。

    やはり、モレスキンなのでベルトに挟みたいですよね。

    お菓子とモレスキン

    あのお菓子を挟んでみた。

    ウルトラスペシャルエクストラエクストラエクストララージ オンラインショップページ>>

    ■おまけ

    そのウソホント

    トラベラーズ レギュラーサイズと並べてみました。さて、ホントの大きさは?

    Comments (0)

    Tags: , ,

    物語の香り〜香り編◎『ハンニバル』〜「花屋はみんな泥棒さ」〜

    Posted on 20 3月 2017 by

    彼岸ですねー。徐々にあたたかくなってきております。
    皆様のおすまいのおところはいかがでしょうか。
    『貴婦人と一角獣』3枚目、この五感はどれでしょー。
    これはわかりやすい?

    貴婦人と一角獣

    貴婦人と一角獣。この五感は?

    ====================
    以上、前振りおわり。
    物語の香り◎香り◎ハンニバル編(もう少し、タイトルをどうにかできないものか…)です。
    前回は、物語の香り◎香料編でした。
    香料編と香り編に分けよう、と考えていたんですが、香り編が以外と多く、そして書きたい物語が多いため、えー、香り編#01 トマスハリスの『ハンニバル』より、記憶と香りについて、ちょこっと書いてみようと思います。

    ところで。
    マルセル プルーストが書いた『失われた時を求めて』という物語があります。
    この物語、主人公がマドレーヌを紅茶にひたして食べたその瞬間、子供の頃を思い出す…という冒頭がとても有名で、このように香りや味により、当時の記憶や感情を思い出す、感覚の再現を誘発することをプルースト効果というのだそうです。

    このプルースト効果がとてもたくさん見られるのが、今回の香り編『ハンニバル』かなあ。
    前回の香料編でも、ちょこっと書きました。
    原作:トマス ハリス
    アンソニーホプキンス主演で、映画にもなっています。最近はドラマにも。

    ハンニバルレクター。
    医学博士、そしてシリアルキラーというにはあまりにも言葉が軽い、『前例がないため名づけようがない』社会病質者です。

    レクター博士、
    一作目『レッドドラゴン』で逮捕され、
    二作目『羊たちの沈黙』で精神病院に隔離されているのですが、世間を騒がす連続殺人事件を誰よりもよく知っていて、その事件を追うFBIの訓練生クラリス スターリングとの駆け引きと解決が描かれ、
    そして、
    三作目『ハンニバル』では、7年だか8年の沈黙を破って復活…と

    この三作目です。
    二作目『羊たちの沈黙』で訓練生だったスターリングは、現役捜査官として(セクハラ、パワハラに悩まされつつ)活躍しています。
    そんで、博士はイタリアのフィレンツェへ逃亡し、正体を隠し、フェル博士と偽名を使い、とある書庫の司書として文学、芸術を満喫する生活を送っている。
    スターリングが関わった、とある事件をきっかけに、怪物が復活するーーー
    と、そういうようなあらすじなんですが。

    『ハンニバル』文庫本で上下巻です。
    これに、香り、匂いの記述がとてもたくさん出てきます。
    芳香も悪臭も。
    何て言うんだろう、状況の説明、補足、強調、とでも言うのか。
    例えば、飛行機のエコノミー席での息苦しさ、食肉用家畜の養殖場、フィレンツェの香料専門店などなど。

    前著『羊たちの沈黙』でも、レクター博士がスターリングと初めて会った時、スターリングのつけているスキンクリームの銘柄を当てたとか、そういうエピソードがあったはず…(今、『羊たちの沈黙』見つからないので確認できませんです)。

    その物語の中で、印象的な香り、記憶、事件の補足的、また強調として使われている香りを紹介しようか、と。
    今、これ入力していて、企画として成立するのかわたし! とちょっと不安ですが、やー、『好きなものを語るとき、それは誰かを救う』から、たぶんダイジョウブ(とじぶんに言い聞かせる)。

    #01 クラリス スターリング
    第一部のオープニングから。
    麻薬組織のボスの逮捕に向かう途中、スターリングはバンの中で、ある匂いから、父親のことを思い出します。
    以下、引用。

    男たちのひしめく、この不快な臭いのする監視用ヴァンに乗っていると、身を刺されるような孤独感に包まれる。鼻をつくのは安物のアフターシェイヴの匂いーー”チャップス”、”ブルート”、”オールド・スパイス”。それに汗と革の匂いだ。ふっと不安が忍び寄ってきて、それは舌の下に含んだ一セント銅貨の味がした。
    (脳裡にあるイメージが割り込んでくる。タバコと洗浄力の強い石鹸の香りをいつも発散していた父。キッチンに立って、先端が四角く割れたポケットナイフでオレンジの皮をむき、それを自分に分けてくれた父。彼が夜間パトロールに出かけたとき、しだいに遠ざかっていったピックアップトラックのテイルライト。そのパトロールで、父は落命したのだ(略))

    警官だったお父さんがパトロール中に撃たれて亡くなったというのは、前作でも触れられていて(というか、スターリングの中で父親はとても大きな存在で、レクター博士にこのトラウマを弄ばれるワケです)、それがオープニングで取り上げられています。
    あまり心地よくないにおいの中にいて、そこから(なぜかぜんぜん違う)父親の香り、父親の存在を思い出すーー

    この麻薬組織への急襲は、スターリングにとってあまり気乗りのしない任務なので、そのやりきれなさから想起したのか、お父さんダイスキー!と懐かしむのではなくて、どちらかというと、残された哀しみ、孤独を噛み締めるような、そんな『プルースト効果』です。
    引用で(略)としている後は、スターリングは、お父さんのダンス用の衣服を思い出していて、そこからの連想で彼女が現在使っているクローゼット、その中身、あまり着る機会がないパーティドレスなどを考えています。
    父親と同じ(ような)仕事についた自分、そしてふたりして同じように、クローゼットにしまわれている、とっておきの衣装。
    (そういう『とっておき』の衣装を着る機会があまりない、という華やかなことが少ない境遇、状況が、よりくっきりと際立つような)(切ないなあ)
    香りひとつで、これだけの記憶の広がり、深くまで降りていける、そう表現できるってすごいなあトマスハリス。

    この引用で、わたし、舌の下に含んだ一セント銅貨の味 ていうのがすごくリアルに感じられるのですが。
    なんていうか、耳で感じる香り、口から耳へ伝わってくるような感覚(か、香りって耳から入ってこない? こないですか??)があり、感覚の共有とでもいうのかなあ、読み直していて、この一節がとても印象的でした。

    #02 パッツィ警部
    リナルド パッツィ、フィレンツェ警察の主任捜査官です。
    レクター博士の正体に気付き、博士を(逮捕じゃなくて)(賞金欲しさに)売ろうとする人物で、えー、そういう人物です。
    視覚による記憶が並外れていて、その能力を全面に押し出して仕事をしているワケです。
    以下、引用。

    尋問の名手パッツィは、聴覚と嗅覚に訴えながら自問していった。
    (あのポスターを目にしたとき、耳には何が聞こえたっけ?……一階のキッチンでカタカタ鳴っていた鍋の音だ。では、踊り場にあがってポスターの前に立ったとき、何が聞こえた? テレビの音だ。居間のテレビ。『リ・イントッカービリ(アンタッチャブル)』でエリオット・ネスを演じていたロバート・スタックの声。料理の匂いはしたか? ああ、料理の匂いが伝わってきた。他に何かの匂いをかいだか? ポスターは目に入ったのだがーーいや、目にしたものの匂いはしなかった。他に何か匂いをかいだか? あのアルファロメオの匂いなら、はっきり覚えているのだが。車内はとても暑かった。あの熱いオイルの匂いはまだ鼻にこびりついているようだ。あれだけオイルが熱くなっていたのは……ラコルドだ。そう、ラコルド・アウトストラーダを飛ばしていたからだが、あのときはどこに向かっていたんだったかな? サン・カッシアーノ。うん、たしか犬の吠える声も聞いたな。サン・カッシアーノで。思い出したぞ、あの家の主を。あいつは強盗とレイプを重ねたやつで、名前はたしかジロラモなんとか、といった)。
    記憶の断片が一つにまとまる瞬間、そう、神経の末梢が痙攣しながら連結し、灼熱のヒューズを通して一つの着想が浮かびあがる瞬間、人は何よりも鮮烈な喜悦にひたるものだ。パッツィにとって、それは生涯で最良の瞬間だった。

    これはパッツィがレクター博士と会う前、別の連続殺人犯を追っていた時のエピソードでして。
    最初はおぼろげな視覚的なイメージを、聴覚と嗅覚の記憶を探りながら、徐々に鮮明にしていく、犯人にたどりつく、その過程です。
    スターリングの感傷的な記憶の再現とは違って、パッツィは、理論的、具体的に、そして『仕事に活かす』という前向きな方向で五感を駆使しています。
    (五感の記憶を丹念にたどり直す、こういうメソッドが何かあるんでしょうか。)
    (スターリングの香りの記憶の再現は、無意識、何となく、でしょう。そんでパッツィの方は、能力、スキルというカンジで)

    記憶というとわたしは『頭で覚えていること』しか思いつかなかったんですが、このように

    「あの時、聞こえたこと」
    「あの時、見たもの」
    「あの時、あたりに漂っていた香り」

    五感で覚えていることというのは、より体感として刻み込まれた、というか、(アタマで覚えている)言語化された記憶よりも、丸ごとそのままの、直接的なものだろうなあ。

    #03 ハンニバル レクター
    以下、引用。

     まだ早い時期に、ハンニバル・レクター博士は騒々しい街路からこの世で最も香ぐわしい場所の一つ、ファルマチーア・ディ・サンタ・マリーア・ノヴェッラに入った。ここは七百年余の昔、ドメニコ会の修道僧たちによって創られた薬舗である。奥の内扉まで伸びている廊下で博士は立ち止まり、両目を閉じて顔を仰向けると、名高い石鹸やローションやクリームの芳香、作業室に並ぶ各種の原料の香りを心ゆくまで吸い込んだ。(略)
    このフィレンツェで暮らしはじめて以来、身嗜みに気を配るフェル博士がこの店で購った賞品の総額は、それでも十万リラを超えないだろう。だが、それらの香料や香油はよくよく厳選され、しかも並はずれた感性によって組み合わされていた。その感性は、鼻によって生きている香りの商人たちの胸に驚きと敬意を植えつけずにはおかなかったのだ。

    レクター博士、フィレンツェでの暮らしをエンジョイしております。
    某書庫の司書(候補)になり、その書庫に住み、古い文献を管理し、こうして香り、香料も潤沢に使っている。
    (比較として、羊たちの沈黙時代、精神病院にいた時の悪臭についても、何度か書かれています)
    映画では、FBIを挑発するように手紙を送ったんですが、その便箋に、ハンドクリームの香りを染み込ませていまして。
    竜涎香とテネシーラベンダーと、あと羊毛をブレンドした香り。
    おそらく、原作のこの辺りの『香り』の記述から創られた、映画オリジナルのエピソードです。
    このあたり、行間から、花びらやハーヴのひらひらが浮かびあがるようなイメージで読みました。
    前述のパッツィ警部の負っている闇、そして博士のエンジョイフィレンツェライフの明るさ、そのコントラスト、なのかなーと思いました。

    さらに引用。

     自分の鼻の形を変えるに際し、レクター博士が外面的なコラーゲン注射のみに留めて、いかなる鼻整形手術も行わなかったのは、まさしくこの喜びを保ちたいためだった。彼にとって、周囲の空気は各種の色彩と同等の、明瞭で鮮やかな香りで彩られている。彼はあたかも絵の具の上に絵の具を重ね塗りするように、それらの香りを重ねてかぐことができる。ここには牢獄を思わせるものは何ひとつない。ここでは空気は音楽なのだ。
    まずは本物の龍涎香、海狸香、それに麝香鹿(ジャコウジカ)のエッセンスから成る基音がゆきわたっており、(略)白檀、肉桂、ミモザ等の香りが渾然となった調べがのびやかに響きわたっている。
     自分は両手や両腕、両の頬で、周囲に満ちている香りをかぐことができるという幻想に、レクター博士はときに浸ることがある。そう、自分は顔と心で香りをかげるのだという幻想に。

    (ここも読んでいて、本当にガーリーなキラキラした空気が漂い、花やハーヴがひらひらしているような、そんな印象でした)(や、博士、シリアルキラーなんですが)
    ここでは空気は音楽なのだ。
    短い文章なのですが、本当に豊かな空間なのだろうなあと想像できます。
    これもひとつの共感覚なんでしょうか。
    音も空気の振動なので、香りと近いものなのかなあ。
    そしてその香りを、肌と心で知覚する、という幻想を楽しむ。
    例えば、手で、甘い香りだと感じるのは、どういう感覚なのだろうなあ。
    温かさ? 色? 柔らかさ?
    複数の香料の響き合いというのは、五感、どこで感知するんでしょうか。
    オモシロいなあ。

    ちょっと考えてみました。指先で感じる香り。
    メンソール系:冷たい
    ばらなどのフローラル:流れるようなほの暖かさ
    ラベンダー:ちょっと固い
    ムスク:ふよふよして厚みがある
    柑橘系:薄めで固い
    白檀:すごく固い

    あれだな、例えばインク沼のひとなら、人の目で見た香り、色をノートブックに書いてみてもいいかも知れない。
    メンソールはどんな色だろう。原料の色じゃなくて。香りの色。
    音であれば、どんな音だろう。高い音、低い音、楽器であれば、どの楽器で奏でられた音だろう。
    言葉なら、どんな言葉になるのかなあ。香りの印象ではなくて。

    というわけで。
    物語の香り◎香り◎ハンニバル(下巻)編に続きます。
    よろしくお願いしますです……

    ■おまけ
    チーズやトリュフがふんだんに並ぶ ”ヴェラ・ダルー1926” は、神の足のような匂いがする、とフィレンツェっ子は言う。
    (『ハンニバル』上巻より)

    ■おまけ2
    人の目が聞いたこともなく、人の耳が見たこともなく、人の手が味わうこともできず、人の舌が想像することもできず、人の心が話すこともできない、そんな夢を俺は見たんだ。
    (『真夏の夜の夢』沙翁)

    Comments (0)

    Tags: , , ,

    横目でジッと見て、ため息

    Posted on 26 2月 2017 by

     

    トラベラーズノートを初めて購入したのが2013年の10月。

    その時、一緒に買おうとしていたブラスボールペンをついに購入しました。

    「まぁ・・今はいいか」そう言って万年筆を愛用していたし、これからも万年筆は使っていくけど、なんかこのボールペンは自分のなかで凄く特別な存在で、店に行くたびに「あ、まだ残ってる・・・買おうかな、どうしよう」なんて横目でチラチラ。そう、自分の中ではすごい特別な存在。文具好きになった原点、今こうしてここにいる要素の一つだったりする。

    「うわーっ、買っちゃったよ!あれが自分のものになったのか・・・」

    胸の高鳴りを抑えつつ、帰路につき早速開封。「うん、やっぱ良いな。あ、軸は木でできてるんか!凄いな!」

    「これは一生大事にしよう」

     

    すごく久しぶりで懐かしい感覚に襲われる。子供の頃、友達のに比べたら型遅れだろうゲームソフトを買ってもらい説明書を1ページ1ページ丁寧に読み込んだあの日を思い出す。自分にとって大切な宝物だったから。

    宝物はいっぱいなくても一つあればいい。

     

    Comments (0)

    Photos from our Flickr stream

    See all photos

    2018年11月
    « 10月    
     1234
    567891011
    12131415161718
    19202122232425
    2627282930  

    アーカイブ