秋の京都は紅葉が綺麗で観光客が沢山来てるから人込みで大変です。なので、紅葉が散ってから行った方がいいよ、とアドバイスしたら怒られました。枯れ木も山の賑わいなかしぃです。
そんな筆者ですが先月からネタが枯れない勢いで記事を投稿してます。全Notebookersライターの中で投稿数No.1(未確認)でしかもオンリーワンなスタイルです。しかしながらネタに困ったときはモレカウのお題を利用させてもらってます。そして今回のネタはこちら!
134. あなたのテーブル上の「文化」について紹介してください。テーブル上で行われる行為、テーブル上で行われる遊戯、テーブル上で行われるスポーツ、テーブル上のキッチンウェア

唐突ですがわたくし、10年前にマジシャンをやっておりました。正確にはイリュージョニストです。といっても引田さんみたいな大脱出系ではなくクロースアップマジックの方です。クロースアップマジックとはテーブル上で繰り広げられるコインやカードなどを使ったマジックで、観客と至近距離で披露するお手軽なマジックです。その中でも筆者の専門はカードマジックです。専門って偉そうに言ってますがカードしか出来ません。コインマジックは一つだけ出来ますが、握った手の甲においたコインを貫通させて拳を開けると中にコインが移動していた、というネタです。
初めに言っておきますがネタばらしはいたしません。しませんよ、しないんだったら!
まず、カードマジックに使われるカードって何か?クレジットカードやポケモンカードではありませんよ、そう、トランプです。トランプですよ!大事なことなので二度言いました。えっ、そんなん最初から知ってる?あぁ、そうですかそうですか。
日本でトランプといえばほとんどの皆さんは任天堂のプラスチック製のトランプを思い浮かべると思いますが、カードマジックに使うトランプは実は紙製なんです。そして、カードは大きさで分けると2種類あり、通常のサイズはポーカーサイズ、ちょっと細身のブリッジサイズがあります。例外としてジャンボトランプがありますが、これはマギー師匠みたいに演芸場の舞台でするマジックに使います。テーブル上では使いづらいですし、手が小さいのでシャッフルができません。
そして、世界中のマジシャンの間で愛用されているのが、USプレイングカード社の「バイシクル」と「タリホー」です。どちらを使ってもいいですが、メジャーなのはバイシクルです。USプレイングカード社にはもうひとつの名品「Bee」があり、こちらもカジノでは定番ですが縁の白枠がないのでマジックには向いていません。マジックでは裏表を混ぜたりするので白枠が必要です。白枠がなかったら混ぜたときに横から見るとばれてしまいますからね。他社のカードを使ってもいいのですが、カードを選ぶポイントとして
- すべり
- 弾力性
- 縁の返り
があります。1.のすべりについては、筆者は世界中のあらゆるトランプを触った限りではUSプレイングカード社製のトランプが一番よいと思います。なんといっても滑らかでその滑らかさが長持ちします。マジシャンによっては新品の状態のすべりから数回シャッフルしたりして自分の好みの滑らかさに調整してから使う人もいます。人間の指先の感覚というのは想像以上に鋭敏でわずかな違いも分かります。このカードのすべりはカード表面にコーティング剤を塗布するのですが各社それぞれにコーティング剤や塗布方法にノウハウがあるので比べてみるのも面白いです。
2.については軽く曲げてから元に戻る性能が優れていることが大切です。少し曲げたくらいで折り目がついたら使い物になりません。シャッフルをするときや右手から左手にカードを飛ばしてキャッチするという技に必要です。
3.についてはカードの加工方法によって違ってきます。基本的には大きい紙に56枚(数字52枚+ジョーカー4枚)分の絵柄が印刷されており、それを裁断するのですが、裁断機で押しつけるようにカットすると片方の面が押され、もう片方の面に返りがでます。指で縁をなでると引っかかる感じがします。こういうのはマジックには向いていません。トランプ1組(1組のことをデックまたはデッキと呼びます)を半分に分けて其々の縁同士を重ねて揃えるという行為をするときにやりにくいです。特に裏表混ぜたときに困ります。こういうのを防ぐために大判の紙と同じ大きさのプレス型で抜く方法があります。これだと上下でプレスするので縁には返りが出ません。この方法で生産されたトランプはシャッフルがやりやすいです。
ここまでトランプの特性について書いてきましたが、次はいよいよマジックについて書いていきます。
カードマジックの内容は主に、
- 観客に1枚カードを引いてもらって、それを当てる
- カードの操作で特定のカードを出現させる
- その他
がありますが、筆者が好きなのはカード当てマジックです。筆者は仕掛けを仕込んだマジックは余り好きじゃなく、手先のテクニックだけで魅せるマジックが好きです。タネを仕掛けるのは面倒臭いというのが主な原因です。
で、本題のマジックの内容に行く前に、シャッフルについて軽く説明します。みなさんがよくやるシャッフルはヒンズーシャッフルといいます。半分ずつ両手に持ってぱたぱたってやるのはリフルシャッフル、他にはオーバーハンドシャッフルとか、片手シャッフルなんかがあります。シャッフルが華麗だとそれだけで「おっ、こいつやるな」って思わせることができます。
話を元に戻しますと、カード当てマジックとは観客に1枚引いてもらい、それを覚えてもらってからカードの山に戻します。そして先ほどのシャッフルをしてどこにいったのか分からなくなった状態で、そのカードを当てるという古典的なマジックです。古典的ゆえに色々なバリエーションがあり、そのストーリーや演出に演者の個性が現れます。例えば、
- 双子刑事スペード/クラブのジャック兄弟が犯人を逮捕
- ハンドパワーでデックのなかから当該カードが浮き上がる
- 裏向きのカードを広げたときに当該カードだけ表になっている
- 最初に間違ったカードを出して見せて、一瞬のうちに当該カードにする
など沢山あります。目的は同じなのにそこまでに持っていくやりかたを楽しむのがこの手のカードマジックの醍醐味です。間違ってもネタを見破ってやるぞ!的な態度で見ないでください。マジシャン側からするとそういう客は嫌なものです。素直に驚いてほしいものです。
このマジックは色々な手先のテクニックを組み合わせて、それを近くで見る観客に気づかれないように視線の誘導やトークでかわしつつ最後に見事にカードを当ててドヤ顔をして最後に決め台詞を言うのが楽しいです。「なかしぃのー、すーーーぱーーー、いりゅーじょん!」みたいな感じです。
で、筆者がよくやってた手口(笑)をひとつ紹介します。カードを引いてもらって覚えてもらってからデックにもどし、適当にシャッフルをします。そしてカードを手に持ったままテーブルに置きます。そして観客に自分の手の上に手を重ねてもらって、「あなたの引いたカードはあなたの念力によって一番下に移動します。強く念じてください」とかなんとか言いながら念力を送ってもらいます。そしておもむろに一番下のカードを取り出して、「あなたの引いたカードはこれですね!」って言います。そこで提示されたカードは・・・なんと、全然違うカードでした。それじゃあダメじゃん、春風亭なかしぃです。えぇーっ、そんなオチなの?いえいえ、ここまでは想定内です。そしてこう言い放ちます「おかしいなぁ、ちゃんと念力送ってくれました?もう一度チャンスをあげます。ぎゅっと僕の手を握って集中して念力を送ってください」そうすると素直な人はぎゅっと手を握ってくれます。そして今度はちゃんと当てます。これね、女性にカードを引いてもらうのがいいんですよね。野郎に手をぎゅっと握られても余り嬉しくないですf(^_^;
はいっ、皆さんご一緒に!なかしぃのー、すーーーぱーーー、いりゅーじょん!