Archive | 2月, 2017

春を待つ編みジッパーケース(①編みかけ)

Posted on 27 2月 2017 by

暦の上では春ですが、まだ寒い日も多く、暖かい日差しが恋しくなる今日この頃です。
冬が好きです。暑いより寒い方が大好きです。
ですが、ちょっと薄手のコートにした日の帰り、日が落ちるのをいいことにまだまだ元気な冷たい北風が容赦なく吹き付けてくる時、ありますね。
そんなとき、もういいでしょ許してくださいざぶい(寒い)よー!なんて心で叫んだりもするものです。
春が待ち遠しい。ぽかぽか、とか、ぬくぬく、という表現がぴったりの日差しに焦がれていたそんな頃のことです。

トラベラーズノート好きの方には周知のことですが、
トラベラーズカンパニーから2017年の限定色、オリーブエディションが発表されました。
みどり!トラベラーズノートの緑色!なんてすてきな色だろうか。
さすがトラベラーズさん。と画面の写真を食い入るように見ていましたら、むくむくと湧き上がってきました創作意欲。
そう、これに合う編みジッパーケースを作りたい。
緑といっても少し暗いところで見るとブラウンに近いカーキ色。
ここに挟むには…黄色。黄色のジッパーがあったらいいな。
でも全体が黄色って、春のあいだや自分が元気なときはいいけれど、
見るのも疲れてしまうことがある難しい色だよね。
じゃあジッパーと内布を黄色にして外見の毛糸は地味目にしよう。
豊かな森をイメージしたオリーブエディション、とのことなのでセットしたときの調和を大事にしよう。
と構想すること1週間。

”春を待つ編みジッパーケース”の材料を揃えました。

上は焦げ茶色の毛糸、下は生成り色の毛糸です。
下に敷いている布が内布になる予定です。
まだ編みはじめの、作りかけです。
編み地もアイロンをかけてないのでクルンクルンしています。
でも、オリーブエディションの発売まで約一ヶ月。
この新色トラベラーズを購入するしないにかかわらず、発売までの期間を楽しめたらと、
それに合わせた製作過程を報告することにしました。

春を待つ、少し不安で、でもうきうきするのも本当な、ざわついたきもち。
こういう、複雑なきもちを編み込んでできあがるもの。
また、初代を購入された方から貴重なご意見をいただき、その改善点なども含め、
お見せできたらいいかなと思っています。

うまくできあがれば、またここのノートブッカーズマーケットでお譲りしますが、
まだ決定はしていません。
ただ、今は編みたくて編みたくて。

また製作過程が進んだら報告しますね。

Comments (0)

Tags: , , ,

横目でジッと見て、ため息

Posted on 26 2月 2017 by

 

トラベラーズノートを初めて購入したのが2013年の10月。

その時、一緒に買おうとしていたブラスボールペンをついに購入しました。

「まぁ・・今はいいか」そう言って万年筆を愛用していたし、これからも万年筆は使っていくけど、なんかこのボールペンは自分のなかで凄く特別な存在で、店に行くたびに「あ、まだ残ってる・・・買おうかな、どうしよう」なんて横目でチラチラ。そう、自分の中ではすごい特別な存在。文具好きになった原点、今こうしてここにいる要素の一つだったりする。

「うわーっ、買っちゃったよ!あれが自分のものになったのか・・・」

胸の高鳴りを抑えつつ、帰路につき早速開封。「うん、やっぱ良いな。あ、軸は木でできてるんか!凄いな!」

「これは一生大事にしよう」

 

すごく久しぶりで懐かしい感覚に襲われる。子供の頃、友達のに比べたら型遅れだろうゲームソフトを買ってもらい説明書を1ページ1ページ丁寧に読み込んだあの日を思い出す。自分にとって大切な宝物だったから。

宝物はいっぱいなくても一つあればいい。

 

Comments (0)

#02. ミニトラベラーズノートの週間ダイアリー「3/20-/5/31」配布

Posted on 26 2月 2017 by

先日アップしたバージョンの続き。
トラベラーズノートブック10周年記念缶用の週間ダイアリー用、
3/20-5/31のページを作ったのでダウンロード用のURL載せておきます。

notebookers.jp/calendar/MINI_TN2017diary_02.zip

見開きのサイズは縦:41mm x 横:44mm
表のページと裏のページがPDFで同梱しています。
ひっくり返して、両面に印刷してください。

最近LAMYスクリーンを愛用しています。
2WAY仕様、スタイラスペンとボールペンが一体型になっています。
iPadと手帳を同時併用することが多いので非常に役立っています。

Comments (0)

Tags: ,

真新しい朝に嫉妬する

Posted on 26 2月 2017 by

ノートをめくると乳白色の混沌が 寝ぼけたように拓ける
それまでのページが耐えている重さなんて 知らない
真新しい朝を 真新しいまま 味わいたいのなら
歴史になんて かまってられない


真新しい朝 真新しい昼 真新しい夜
自分が自分であることに縛られなければ いつだって
一瞬一瞬が初めての場所になる
昨日を持たない今日だけが 今日を離れた明日になれる

理解するだけでは足りない 理解したことを忘れなきゃ
忘れるだけでは足りない 忘れたことを覚えていなきゃ
くりかえしくりかえし新しい朝を迎えるために なすべきこと
きちんと昨日を埋葬し お参りだけを欠かさぬように

乳白色の混沌が 理路整然とひび割れるとき
照らし出された陰翳が 織りなす忘れがたい景色
綴じたノートが耐えているのは この景色への想い
問わず語りを始めないよう ノートに綴じ込めていく

(放流)

Comments (0)

Tags: , , , , , , , ,

A5ノートを愛する貼りたがりのためのWord用テンプレート

Posted on 19 2月 2017 by

私は”貼りたがり”です.みなさんも貼りたがりですか?

私は,デジタルデータであっても,気に入ったもの,絶対に忘れたくないもの,しょっちゅう参照するものは,印刷してノートに貼り付けなければ気がすみません.

そのためにインドネシアの森林が伐採されていることを想うと,申し訳なく思います.

Anyways, Wordで文章を作って,2枚を割りつけて縮小印刷し,A5ノートに貼り付けようとすると,サイズがまちまちだったり,
上下左右の切り落としがうまくいかなかったりで,フラストレーションがたまります.

それを解決しようと,A5ノート見開きに貼るためのWordテンプレートを作りました.仕上がりはこんな感じになります.

使い方は以下の通りです.

1.テンプレートをダウンロードする.ダブルクリックする.

2.新規文章が出てきます.
灰色の枠は,後でものぐさな私のような人が,はさみでできるだけ直線にカットするときの目安になっています.

3.タイプします.

4.印刷します.灰色の線に沿って切ります.

5.ノリノポッドなどで,華麗に貼り付けます.

 

ご自身でテンプレから作りたい場合は,余白を上下15mm,左右28mmぐらいにするとちょうどいい感じになります.

あとは2段組みにして,真ん中を3字ぐらい開ける感じです.

A5よりもスリムなMoleskinなどの場合は,左右を30mmぐらいにするといいかもしれません.

↓クリックするとどのような設定にすればいいか見られます.

 

お気に召したらいいのですが···

 

neokix

 

 

Comments (0)

Tags: ,

虎落笛

Posted on 19 2月 2017 by

心は躰のエコー



虎落笛
引ッ掛カッタ風ハ
カルマン渦ヲ成シ
垣根ヲ振動サセテ
エオルス音ヲ発ス

カイロウドウケツ
吹き鳴らされる穴

外敵から身内を護る柵
身から魂を逃がさぬ柵
目の粗い穴だらけの柵
振動を留め響かせる柵

振動は存在の気配
躰は心のエコー

(帆場)

Comments (0)

いつの間にか一年以上経っていた

Posted on 18 2月 2017 by

久しぶりに文章を書く気がする

2016年ぶりです、虚数の二乗です。

2016年の1月の終わりごろに記事を二つ投稿して以来、めっきり忙しくなってしまってこちらに顔を出すことができていませんでした。

2016年はのっけから波乱万丈、といった感じで

1月、2月と卒業論文という名の開幕戦を終え、

2月の終わりから3月の初めまでチェコ、ドイツ、スイス、オランダ4か国独り電車の旅を敢行し、

4月から社会人となって働き始め、色々な修羅場をくぐり、

一気にとんで8月は万年筆を作りに神戸に出向き、

9月は奈良と神戸を散策し、

10月は医者にかかり、

11月は東京に文房具を探し求めに出向き、

12月に病に倒れ、

新しい年を迎えて自宅療養継続中…と自分でも驚くほどのことがありました。

何度か此方で記事を公開しようと試みて、また記事が書けそうなネタが沢山出てきたのですが、筆が中々進まず、今晩「そろそろPCに向かおう」と思い至ってこちらの文章を打っている次第です。

2月半ばに宣言するのもなんだか乗り遅れた感はありますが、今年はもっと文具に関する話を発信できたらなと思っております。

現在の主力ノート達

それでは文具好きらしく、文具の話をば。

・LEUCHTTURM1917:日々のTodo管理

→ドイツ版モレスキンのようなもの。ページ番号がふられており、最初の数ページは目次用にインデックスがある。こちらで「日々思いついたTodo」「いつかやりたいTodo」「メモ」等を一元管理している。確か購入したのは大阪の文具屋さん。

・MOLESKINE Ruled Notebook Large:長期目標管理

→通称「デカスキン」。10年で一冊使おうと思っている。六甲おろしやら車のナンバープレートを模したシールやらどこかの国のホテルのステッカーやらとカオスなカスタマイズがなされている。10年を3つに区切り、それぞれを更に年単位で分け、1年ごとにやるべき事柄を書き出し、それぞれに対応するページを割り振っていく。やるべき事柄が増えても、最初に「初めの枠組み」は作っても「終わりの枠組み」は作っていないのでどんどん書き足せる。

・ほぼ日手帳weeksホワイトライン(黒):日々の予定管理

→昨年モレスキンラージの手帳を使い始めたが、余りの激務に書く内容が殆どなかったことにショックを受け、ほぼ日手帳weeksに路線変更した。日々の予定を事前に書き込む形で使用。

この三冊を現在主軸としております。今後日々の記録用にほぼ日手帳オリジナルspringが増えるかもしれない…

そんなこんなで

昨年書いた自己紹介と大きく変わる点はありません。今後も細々と「書くこと」とか「記録されること」とか「それにかかわる道具」について自分なりの考えのようなものをこちらに綴っていけるようになればと思います。

 

最後にtwitterのアカウントを載せておきます。@fantastiko_2 こちらも中々動きません。動きませんが、時たまいいねとかリツイートをします。

 

Comments (0)

物語の香り〜香料編~

Posted on 16 2月 2017 by

惜のEDiT MONTHLY 2016の記事冒頭で、貴婦人と一角獣のタペストリ、6枚あるうちの一枚をあげて、この絵のテーマは、味覚、聴覚、視覚、嗅覚、触覚、もうひとつ『我がただ一つの望み』のうちのどれでしょーと書きました。
正解は『味覚』でしたー。
『嗅覚』はコチラ>>

貴婦人と一角獣 嗅覚

貴婦人と一角獣 嗅覚

前振り終わり。
『物語の中の香り』についてです。
書こう、と考えてから、かなり時間がかかりました。
「どこから始めよう」と思いまして。
嗅覚というのは、なんていうんだろう、人間の感覚の最も原始的な官能、というか、人間に限らず、動植物も香り、嗅覚は生存、種の存続に密接に関係している、など、もう範囲が広過ぎてどこから説明しようかと。
ツイッターで「広過ぎてどうしよう」などとつぶやいていたら、Notebookers.jpライターのおひとり、こなまさんが

「いい匂い編とくさい編と変わり種編にわけて連載とかどーでしょ。」

と言って下さり。
この一言がどういうわけか
「あ、そーか、香料編と香り編に分ければいいんだ」
と ぱっ と眼の前が開けました。
こなまさん、ありがとうございます。
そういうわけで『物語の中の香り〜香料編』です。

===
せっかく調べたので、香りの歴史をちょこっとだけご紹介。
どの本を読んでも約4000年前くらいの古代インドから始まったと書かれていました。
古代からインドはハーヴ、スパイスに恵まれていた土地で、
1)葉っぱや木切れを火にくべた。
2)なんだか良い香りがする。
3)特別な植物だ、神様に捧げよう。
こういう流れだそうです。
インドには、ガンダルバという香りを食べる神様もいるそうです。

この火にくべる というのがポイントだそうで、香りは英語で ”perfume” ですが、
Per through(通す)+ fume(煙)から出来た言葉だとか。

この良いにおいのする植物や木切れは、インドからエジプトへ渡り、ミイラ作りなどにも使われました。
ツタンカーメンのお墓から出土した陶器製の壺には、乳香や没薬が入っていて、3000年前のその香料はまだ香りが残っていたというエピソードもあります。すごいなあ、3000年前の香り。

ハーヴやスパイスは神様に捧げる他にも、食料の香り付けや保存、また薬としても使われていてました。
ムスクや竜涎香など動物性の香料も化粧や催淫剤として用いられたようです。

この香り文化が西へ移動し、液体となりました。香水としてフランスで頂点を究めます。
東へ移動した香り文化は、固形化し、日本で香道という芸道となりました。

===
確か、陳舜臣氏の本だったと思うのですが。
中国史上最高の美女 西施の身体からとても良い香りがしていて、湯浴みしたあとのお湯に香りが移るほどで、召使いの女たちが西施にあやかろうと、そのお湯を持って帰っていた、と史書に記述があるそうです。
中国史に美女はたくさんいて、顔立ちや立ち居振る舞いの美しさは書き残すことができるけれど、それでも香りは伝えることができない、というようなことが書かれていて、ああ、香りってそういうものなのだなあ、としみじみした覚えがあります。

同じく、歴史上の美女のひとりクレオパトラもまた香料好きだったそうで。
『キフイ』という調合された香料が記録に残っているそうです。
菖蒲根、シトロネラ、乳香、肉桂、薄荷、昼顔などを乾燥させて粉にしたものに、白心、ヘンナ、カヤツリグサ、合歓の花などのワイン侵出したものを加え、さらに松脂、蜂蜜を加え、最後に没薬を加えて精製したものだそうです。フクザツな香りだったそうですが、これはどうなのかな、再現できるのかな。
当時、最も貴重な香料だったそうです。

アラビアで蒸留法が発明されるまでは、身につける香料は、油やワインにハーヴを漬けて香りを移していたとか。
シェイクスピアの『マクベス』で、マクベス夫人の

「この小さな手、アラビア中の香料をふりかけてもいい匂いにはならない」

という台詞があるのですが、さすがに香料の豊かな国、発展、展開していた国、アラビアであります。

===
とんちで有名な一休禅師も香りについての言葉を残しています。

一休宗純「香十徳」
稲坂良弘氏現代訳
(一)感覚を研ぎ澄ます
(二)心身を清浄にする
(三)汚れなどを除く
(四)眠気を覚ます
(五)孤独を癒す
(六)多忙時に心を和ます
(七)多くても飽きない
(八)少なくても足りる
(九)長く保存できる
(十)常用しても無害

===
物語の中の香料 #01 没薬

香料はインドから始まったと書きましたが、没薬の物語はギリシャ神話からです。
キプロス王キニュラスの王女ミュルラは、美しい髪を自慢にしていて、ある日うっかり「わたしの髪は、美の女神アフロディテの髪より美しいわー」とか言ってしまいます。
ギリシャ神話では、「わたしの◯◯は、(神様)の◯◯より素晴らしい」と発言した人間は、すごく運が良ければ何かに変身させられ(死なずに済むということ)、すごく運が悪ければ一族郎党皆殺しの目に合います。

アフロディテはもちろんこれを聞いていて激怒し、息子のエロスに、ミュルラに報われない恋をさせるように命じます。
こういうワケでミュルラが恋をさせられた相手は、父王キニュラスでした。

ミュルラは、思いを遂げるために未亡人だと偽って王の元へ通います。
何だっけ、「神殿で何かの誓いを立てたところ、王の元へ十二夜通うようにとの神託を頂いた」とかそういう嘘をついてのことだったような…
そして十二夜目、「顔は見ない」と言う約束を破り、王は灯りをかざしてしまいます。
女が誰なのかわかった王は激怒して、ミュルラを殺そうとしますが、ミュルラは逃げ出して没薬の木に変身した… と。

この記事 2016年◎アドベント2&3週目〜「いと高きところでは、神に栄光があるように。 地の上では、み心にかなう人々に平和があるように」 にも書きましたが、没薬はエジプトのミイラ作りにも使われ、この名前ミルラ、ミュルラがミイラの語源だとも言われています。

わたしは、長い間、この話を誤解していまして。ミュルラは没薬ではなくて乳香の木になるんだと思っていました。ミュルラは木に変身した時点でみごもっていて、(木の姿のまま)ギリシャ美少年の代名詞アドニスを生むのですが、この時に与えたお乳が乳香だとか何だとか、そういうのを読んだ記憶がうっすらあるんですが、また何か勘違いかなあ…(乳香を赤ちゃんに与えていいのか、とそういう疑問も…)

===
物語の中の香料 #02 クローブ

イライザおばさんは、クローブ(チョウジのつぼみをかんそうさせた香辛料)がいっぱいにさしてある大きな赤いリンゴを、母さんにもってきました。なんていい匂い!
クローブがたくさんさしこんであるとくさらないし、いつまでもあまいんです。
『大きな森の小さな家』LIワイルダー 足沢良子訳

アメリカ、西部開拓時代の1870年代の物語です。
アメリカではドラマにもなって、日本でも放映されていました。
(わたしはドクターベイカーとオルデン牧師コンビ、そして「彼こそ古き良き時代の商人!」のオルソンのおじさんが好きでした)
そのドラマの原作です。全七巻のうち一作目がこの『大きな森の小さな家』です。
ウィスコンシン州の森での1年を描いているのですが、これが本当に『開拓』と言う言葉が浮かぶ自給自足の生活で。
家は丸木小屋、食べるものは父さんが狩ってくる動物など、畑では小麦も作っています。
バターやチーズももちろん手作りで、まだ子供の主人公ローラの視線でその過程が書かれています。

父さんが狩ってきた動物、飼っている豚などは解体して保存が効くように加工されるんですが。
『ハムにする』と書かれています。くんせい、かなあとも思います。
そこで『ヒッコリーの木でいぶして〜〜」と、よくこの名前が出てきます。
これも、香りを感じることはできないけれど、それでも憧れの香りのひとつだなあ。

クローブの刺されたリンゴというのは、クリスマスのプレゼントです。
ローラの母さんがもらったプレゼントで、これもまた保存が効くように工夫されています。
おそらく、今、わたしが考えるよりずっと、食べ物の保存、保管、というのは重要だったんだろうなあ、と。
クローブ、引用で『チョウジのつぼみをかんそうさせた〜』とあります。
チョウジノキの花の蕾を乾燥させたもので、チョウジ、丁字と書きます。
現物を見るとわかるんですが、ほんとうに『丁』という文字に似たカタチをしています。
料理の香り付け、殺菌、防腐作用、そして虫除け、おまけに虫歯の鎮痛作用まで、オールラウンドお役立ちスパイスです。
(たしか、仏教で、写経をする際に丁字を口に含み、心身を清浄に保つようにした、と何かで読んだ覚えがあります。そういう使われ方もしていたようです。)
基本的にハーヴ、香草は温帯産で、スパイス、香辛料は熱帯産だそうで、クローブもインドネシア原産です。
アメリカの中西部で、そういう香辛料はとても貴重だったのだろうなあ、だからこそクリスマスプレゼントという特別な日の贈り物になるんだ。

====
物語の中の香料 #03 龍涎香
トマスハリスのレクター博士シリーズ二作目、あ、三作目かな『ハンニバル』原作の方。
映画やドラマにもなっています。
医学博士、そしてシリアルキラーというにはあまりにも言葉が軽い、『前例がないため名づけようがない』社会病質者の殺人者です。

レクター博士、
一作目『レッドドラゴン』で逮捕され、
二作目『羊たちの沈黙』で精神病院に隔離されているのですが、世間を騒がす連続殺人事件を誰よりもよく知っていて、その事件を追うFBIの訓練生クラリス スターリングとの駆け引きと解決が描かれ、
そして、
三作目『ハンニバル』では、7年だか8年の沈黙を破って復活…と

この三作目『ハンニバル』でレクター博士は、イタリアのフィレンツェに潜伏しつつ、そこでの生活を謳歌しています。
そこからかつての戦友であり敵でもあるスターリングに、励ましの(ちょっかいの)手紙を出すのですが。
その時に「いかにも」なハンドクリームの香りを残した便箋を送り、それが手がかりになる、という流れで。
そのハンドクリームの香りの原料が、龍涎香とテネシーラベンダーと、そして『羊毛』でした。
龍涎香は、ほぼ世界的に流通されていないものなので、扱っているお店は少なく、割とすぐにレクター博士がどこにいるか突きとめられるのですが。
突きとめられたからと言って、博士が逮捕されるとか、どうにかなるというわけでは【ま っ た く な い】、そういう物語です。

わたし、原作のこの部分を探してほぼ丸二冊読み直したんですが、その記述はありませんでした。
なので、これは映画のオリジナルかと思います。
(わたし、この『本を読んでいて、思い出して「あー、あそこ、読み返そうっと」と思って読み直して、探しても探しても見つからない』現象があり過ぎて、このために費やした時間を全部合わせたら、今住んでいるところから徒歩で静岡くらいまで行けるんじゃないかと思ったり)
すみません、せっかくなので(そして悔しいので)香りのひとつとして、ここで紹介します。
龍涎香、マッコウクジラの分泌物で、何だっけ、食べたイカやタコの骨などの固い部分が消化されずに結石したものだそうです。これが排泄されて、海に浮かんでいる、もしくは浜に流れついたものを【偶然】手に入れるしか、入手方法がないらしい。

コーヒーに入れて飲んだ、媚薬として使われた、などのエピソードもあるようです。
あと、本のページについた龍涎香の香りが四十年経っても残っていた、との話もあり、永く続く香りでもあります。

えー、源氏物語で、学生の時、古典の授業で読んだ覚えはないでしょうか。
若紫の段より
「雀の子を犬君が逃がしつる。伏籠(ふせご)のうちに籠めたりつるものを」とて、いと口惜しと思へり。
この伏籠というのが、その文字の通り、籠を伏せたもので、本来はスズメを捕まえておくものではなく、この籠のなかに香炉を入れ、香を焚き、籠の上に衣を置いて香りを染み込ませる、そういうものなんですが。
これとまったく同じものが、アラビアにもあり、龍涎香を衣類に薫き染めていたそうです。
(こういうのすごく好き。国と国はものすごく離れているのに、ほぼ同じカタチの道具が、同じ目的に使われてるのって、片方の国で発祥して、片方の国に長い旅を経て伝わったとか、同時発生的に起こったとか、経路を想像するの、すごく好きだなあ。)
あと、龍涎香を最初に使いはじめたのがこのアラビアで、アンバーグリスのアンバーは、アラビア語の『アンブラ(火にくべるもの)』に由来するそうです。

(『ハンニバル』には、香りについて(というか、嗅覚について)ものすごく、えー、たくさん記述があるので、香り編でちょこっと触れたいと思います)(せっかくだから)(せっかく、丸二冊読み直したから!))

■おまけ

ディアドラが十四歳になった年の贈り物は、両手で暖めると花のような香りを放つ琥珀の首飾りだった。
『炎の戦士クーフリン』ディアドラとウシュナの息子たち から

■おまけ2
次回、物語の中の香りパート2 香りそのもの編(もっといいタイトルはないのか)です。
わたしが選ぶ物語の中の香りなので、アレです。よろしくなにとぞ。

参考にした本
『マクベス シェイクスピア全集3』ちくま文庫 松岡和子訳 
『炎の戦士クーフリン/黄金の騎士フィン・マックール』Rサトクリフ 灰島かり 金原瑞人 久慈美貴訳
『香りの博物誌』東洋経済新報社 諸江辰男
『香りを楽しむ』一条真也 現代書林
『ハンニバル』Tハリス  高見浩訳 新潮文庫
『大きな森の小さな家』RIワイルダー 足沢良子訳 そうえん社 
あとギリシャ神話とか、いろいろ…

Comments (1)

Tags:

キーボード考

Posted on 12 2月 2017 by

※パソコンのキーボードについてのお話.音楽についてのキーボードについてはこちら···といいたいですが一切何も思いつきませんでした.

 

キーボードは現存し,一般消費者向けに普及しているUI(ユーザーインターフェース)のなかで,一番スイッチの多いものだという話を聞いた.

言われてみればそうである.普及しているQWERTYレイアウトであれば,キーボードには少なくとも80個ぐらいのラブリーなスイッチが並んでいる.

そういう僕は(残念ながらというべきか)一日で触れているのはペンよりもキーボードの方が多い.僕自身は例えばMoleskinとEvernoteとのコラボ=アナデジみたいなのが苦手なぐらいアナログ人間なのだけれど,それでも楽しくキーボードに触れることができている.それは,僕は毎日使うものはお気に入りのやつじゃないといやだ!という信念から,外付けのキーボードを買っているからである.

僕のキーボードにかけるこだわりとは対照的に,僕の周りの人はあまりキーボードにこだわりはないようだ.ただし,みな,キーボードならなんだっていい,というわけではない.聞いてみると,それぞれに好きなものがあって,ほとんどの人はラバードーム(メンブレン)式はあまり好きではないというし(あのぐにょぐにょとした感じには閉口する),多くの人は薄いパンタグラフ式のキーボードを好んでいる(昔IBMのThinkpadなんかを使っていた人がいればなおさらだろう).

だけれども,おそらく多くの人はキーボードの打ちやすさを基準にノートパソコンを買わないだろうし(性能はどうか,WinかMacか,国産か外国製か,軽いか重いかなどが軸になるだろうから),わざわざ支給されている/付属しているものに加えてキーボードを買い足す必要はない,と考えているはずだ.

だけれども僕は,それは非常にもったいないことなんじゃないかと思う.

想像してほしい.あなたが働いているとして,ボールペンをよく使うとして,市役所においてある100均で10本入りで売っているようなボールペンを毎日毎日触ることで,あまりうれしいと思うことはないはずだ.それとよく似ていて.もしお仕事で自らのパソコンを与えられ,そのパソコンを使用して仕事をするなら,多少お金を払ってでもキーボードだけは使いやすいものを選んでもいいんじゃないか,と思うのであります.だってずっと触ってるわけだし,ずっとこれからも触るものであるわけだから.

マウスについては,個人的には300円とかでなければみな大体同じようなものだと思っているけれど.(マウスマニアに言うと怒られそうだけれど.)

だから,本当は,ヨドバシカメラのキーボードコーナーはもっと人にあふれていていいんじゃないか,と思う.どれぐらいかというと,それこそノートのコーナーとかぐらいに.なぜ人は5000円かけて夢の国で一日遊べるのに,四六時中触るキーボードに9000円出せないと感じるのか,僕にはよく理解できない.

ミニマリストwannabeにしては,かなり物欲を主張するポストになってしまった.だけれども,人には譲れない「軸」というものがあるのだ.

Comments (2)

Tags: ,

穴だ(ら)け

Posted on 12 2月 2017 by

人間なんて穴だ(ら)け
穴では音が渦巻いて
体の中でピンボール



人間だけのことでなく
動物だって植物だって
石ころだって空だって

みーんな みーんな
穴だ(ら)け
穴の周りは渦だ(ら)け



渦の中には穴がある
穴の中には穴がある
世界は穴の中にある

                             (同穴)

Comments (0)

Tags:

愛惜のEDiT MONTHLY 2016

Posted on 08 2月 2017 by

の記事も並行して書いているんですが。

貴婦人と一角獣

赤が多用されて、青はあんまり使われていなーい。


これはタペストリ『貴婦人と一角獣』のうち1枚なんですが。
このタペストリは6枚ありまして、味覚、聴覚、視覚、嗅覚、触覚、もうひとつ『我がただ一つの望み』がテーマになっています。
このタペストリはそのうちのどれでしょー。

Continue Reading

Comments (3)

1日1コマだから続く。マンスリー絵日記のススメ

Posted on 06 2月 2017 by

モレスキン・マンスリー絵日記2017年1月版

モレスキン・マンスリー絵日記2017年1月版

その日にあったトピックを1つ選んで、簡単なスケッチとして描いていく、ひとこま絵日記を続けている方が増えている気がします。

わたしもモレスキンの日本語版マンスリーカレンダーをキャンバスに、マンスリー絵日記を描いてきました。

フリクションのブルーブラック、と決めているので修正もらくらく。

ネタがない日は別の日のネタを入れてみたり、逆にネタが豊富な日は思い切って下に右へとはみ出してみたり。

カレンダーというフレームがあるからこその、自由さがありますね。

トークイベントやワークショップをやりますと、「絵が描けない」「手帳スケッチをやってみたい」という参加者が、その日からマンスリー絵日記をはじめる、なんていうことも起きています。

いろいろなマンスリー絵日記を見てみたいな、と思う今日このごろです。

(ハヤテノコウジ)

Comments (0)

Tags:

大きな本棚の悲しみ

Posted on 06 2月 2017 by

こんなことを言うと反感を買いそうだけれど,そして,ミニマリストな人々には当然かもしれないけれど,さらに読書記録を付けている人にはバカにされそうだけれど,

僕は楽しみのための本を買うのをやめようと思っている

具体的には,小説を買うのをやめようと思っている.

なぜか.

それは,もう,本棚がいっぱいだからだ.

そして,いっぱいの本棚は,悲しいからだ.

 

僕の家には,高さ2m,横幅1mの大きな本棚がある.下段には,写真集がある.さほど多くはない.中段には仕事関係·お勉強関係の研究書が並んでいる.これらは,シリアスに絶版のものもあるので,捨てられない.

だけれども,よく見ると,上段には小説も交じっている.趣味で集めた本もある.銀色夏生さんの詩集は2000年代までならほとんどある.桐野夏生も昔は好きだった.モームも,ヘミングウェイも,漱石も,サガンもある.でも,どれもほとんど読んでいない.

作家で集めたはいいが,読まれない本ほど,悲しいものはない.必要はないけれど,欠けるのが嫌だから,そこにあるだけだ.僕の見栄のために.

そして,模様替えの時,必死で動かすその本棚の重みは,なお悲しい.

 

だから,今はまっているジェフリー・ディーヴァーは,すべて図書館で借りることにしている.僕は作家で読む人だから,Wikipediaで作家を検索して,作品リストを印刷する.

ノートに貼り付ける.

読んだものには〇を付ける.簡易本棚の完成だ.

 

写真内表の出典:Wikipedia (項目:ジェフリー・ディーヴァー) https://ja.wikipedia.org/wiki/ジェフリー・ディーヴァー

今のところ,集めるという欲も,それから読んだという達成感も,満たされている.読み返したくなることはない(だからといって,面白くないわけではないのだけれど).

結局,モームも,ヘミングウェイも,漱石も,サガンも,僕の見栄のために本棚に存在する必要はない.それはすこし,残念な感じがするし.

 

というわけで僕は,これから本を買うことがめっきりなくなるだろう.

いつか,ほとんどの本たちをブック何某にでも持っていくだろう.そして,悲しくなるぐらいのわずかな対価を受け取るのだろう.

あるいは,そのまま古紙回収にでも出すのだろう.誰かの手にまた触れられるなら,いっそのこと燃やしてしまう方がいい,という悲しい気持ちから.

そして思うのだろう.

おや?もしかしたら,空っぽの本棚も悲しいのでは?

自己を正当化.

そして,これらもまた悲しい.

 

答えは出ない.

 

本棚を買う前に戻って,その時の自分に「大きな本棚は悲しみを生む」と伝えることができたら,僕はどんな顔をするだろう.

驚くだろうか.怒るだろうか.あるいは,納得してくれるだろうか.

 

 

Comments (2)

Tags: ,

ここではないどこかなら

Posted on 05 2月 2017 by

自分をとりまくこの世界
自分の妥協に妥当な世界
それなりの世界が嫌なら
片時も休むことなく漂え



目に映る文字を読むな!
耳に届く言葉を聴くな!
思いつきを反芻するな!
去来する感情に拘るな!



ここではないどこかなら
ほかでもないここにある
名指さぬ世界の静けさを
記憶で埋めることなかれ

                            (禁則)

Comments (0)

February 2017 Calendar

Posted on 01 2月 2017 by

★2017年02月のカレンダー

ポケット用
http://notebookers.jp/calendar/calendar2017_02.pdf

ラージ用
http://notebookers.jp/calendar/calendar2017_02_L.pdf

Comments (0)

Photos from our Flickr stream

See all photos

2017年2月
« 1月   3月 »
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728  

アーカイブ