Archive | 7月, 2017

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New! パーフェクトなDINERに行くということ

Posted on 20 7月 2017 by

行きたい,やりたいと夢見ていても,それを【思っているだけ】ではダメだ,具体的なしかし地道な目標をもって行動するべきだ,というようなことを森博嗣先生は新書『夢の叶え方を知っていますか?』(朝日新書)で述べている.

しかし,僕には,行きたいけれどしかしそれを【夢と呼ぶには,はばかられる行きたい場所】というのがある.

それは,アメリカのダイナーだ

「ダイナー」といっても,地名ではない.DINER,つまりまあ,日本で言う食堂です.

Photo by jesse williams on Unsplash

 

僕の中でのDINER(もちろん24時間営業)では,ちょっと太ったラテン系のおばさんが,ウェイトレスとして店を切り盛りしている.

そして,たいていの客を「ハニー」と呼んで,なんだか親しげなのだ.折を見て,コーヒーのお替りはどう?といって,煮えた熱いコーヒーを運んでくる.

大体,非番か夜勤明けの警官が一人,そこにはいて,周りを監視しながら,おすすめのハンバーガーみたいなものを食べている.チップスは大盛りだ.

パイもいくつかの種類があって,でもミスタードーナッツのように多すぎることはない.多くても4種類.

ガラス製のボウルをさかさまにしたようなショーケースに,ドーナッツ,パイなどの作り置きが入っている.どれもハイカロリーで砂糖がたくさんかかっていて,おいしい.

外観は70-80年代のギラギラした感じ.ネオンもついているが,修理するお金の余裕はない.外装はいろんなところに錆が浮いている.どこもなかなか厳しいのだ.

先月も一人,あまり働かない若いウェイトレスを首にした.

 

場所はどこでもいい.街中のDINERもいいし,周りに何もないようなところにポツンとあるDINERも魅力的だ.(どちらかといえば後者がいい.)

でも,そのDINERは上で述べたような完璧なDINERでなければならない.パイは9種類もあってはいけないし,ふとっちょのラテン系のウェイトレスが僕に注文を取る際には,僕がいかにアジア人であっても「ご注文はなににする,ハニー」と聞いてくれないといけない.ウエイトレスが白人のぴちぴちのお姉さんはいけない(もちろん白人のぴちぴちの女の子は好きだけれど).

まあ,そういう意味では僕はすごくレイシストなのだ.

 

いったい何で行きたいのかって?それはいい質問だ.僕もよく考えるけれど,一つはアメリカ·テレビシリーズの見すぎかもしれない.

僕は割と刑事系のドラマに詳しいと自分では思っているけれど,そういうドラマの中では,幾度となくDINERが出ている.Motelもよく出るが,DINERのほうが魅力的に思える.(食べ物もあるし.)

そこに現れるDINERは,みなよく似ている.その寄せ集めが,僕の完璧なダイナーなのだ.

 

そういうわけで,僕はDINERにあこがれている.行きたい,とも思っている.

タイムズスクエアにも,自由の女神にも,エンパイアステートビルにも,グランドキャニオンにも,ホワイトハウスにも(ホワイトハウス!)特に興味がない.

DINERだけに行く,という旅.

少し抵抗を覚える.

 

「やあ,君はどこから来たんだい.」

「日本です.」

「へぇ.仕事かなにかかい?」

「いえ,アメリカのDINERにどうしても来たくて.ずっとそうだったんです.」

「変だな,日本にこういう場所はないのかい?」

「少なくとも,僕の家の周りにはないみたいで.」

「へえ.じゃああんたはDINERで飯を食うためだけにわざわざアメリカに来たってのかい?リッチなんだな.」

「そういうわけじゃないんです.でも,ちょっとクレイジーですよね.」

「ちょっとどころか,だいぶクレイジーだぜ.

なんて隣に座った人に話しかけられることがあるだろうか.

 

僕は行きたいと【思っている】.行こうと思えばきっといける.でも,それだけでは旅に見合わないのではないか,とついつい思ってしまっている.

いつか行ければいいな,みたいに.ふらっと,何かのついでに行ければそれがいい.

これは僕の夢といえるだろうか.僕はそのために,どんなことができるんだろう?

 

そして,なによりも,もし仮にDINERに行ったら,僕はそのあと,いったいどうすればいいんだろう?

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桃を剥く

Posted on 16 7月 2017 by

桃を剥いている感覚
皮の抵抗を感じつつ
実の傷みを感じつつ
脳外科の手術のよう

じゃがいもをピーラーで
削りおとすのとは違って
手の指の一本一本ずつ
うぶ毛の一本一本ずつ

引きはがされた皮の下
果肉も指も濡れそぼつ
桃はもう桃ではなくなり
皮は三角コーナーへ

桃を剥くようにノートを書く
繊細かつ大胆に裸に剥く

ノートに残されているのは皮だ
ノートとは三角コーナーである

(淫蕩)

 

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春を見送った毛糸のジッパーケース(トラベラーズノート用)

Posted on 15 7月 2017 by

NUI006

先日のお知らせのとおり「春を見送った毛糸のジッパーケース」をこちらでお譲りいたします。
トラベラーズノートのオリーブエディション用に作成しましたが、
他の色の革カバーにももちろん合います。

今回は、レギュラーサイズのみ、2色、それぞれ1点ずつ用意いたしました。
価格
レギュラーサイズ 各4200円(送料込み)

アイボリー

ブラウン

2色どちらも内布は、コースターに使用している黄色の生地と同じものです。
コースターはおまけです。
おうちでのノート&カフェタイムにぴったりよ。

素材
毛糸 ウール100%
内布 コットン100%

配送方法
レターパックライト(複数お買上げの場合はレターパックプラスでお届けします)

ファスナーのスライダーには、キューブ型のスワロフスキービーズ、ペリドット(黄緑色)をつけています。

各サイズ、重さなど。

ブラウンは、キャメルにも合うなー。

保存袋に入れてお届けします。
使わないときは、これに入れておいてくださいね。

長くなってしまうけど、大事なことも。
ご注文の際は、以下のことを知っておいてください。
・編みもの製品全般に言えることですが、編み地本体には伸縮性があり、また、引っかかりに弱いです。
よって、ちょっとした突起などに引っかかり、糸が飛び出してしまうことがあります。
・手編みのものですので、既製品に比べるとズレやゆがみなどがあります。
手作りのあたたかみとご了承ください。
・一本の糸を編んでいる品です。お取り扱いは「やさしいきもちで」お願いいたします。

ご使用になり、お困りのことが後から出てきた場合も、お気軽にご相談ください。
できる限り修理させていただきますし、ご自分で直したい場合もアドバイスいたします。
(修理の場合は、こちらへの送料のみご負担ください)

また、ご注文前でも気になることがございましたら、下記のメールアドレスへお気軽にご連絡ください。
nuiko★notebookers.jp
(★を@にしてください)

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からっぽ族宣言

Posted on 09 7月 2017 by

 

ちょうど昨日,少し人前で話す機会があった.僕はその語りを(といっても,時間もなくて言いたいことがたくさんあったせいか,だいぶ「わめき」みたいになってしまったけれども),こう始めた.

 寿司屋で勘定を払う時、板の向こうにいる職人に金を渡すものではない。彼らは直接食べ物を扱っているのだから。このことを私は山口瞳さんにならった。
包丁を持つ時には、柄のぎりぎり一杯前を握り、なおかつ人差し指を包丁の峯の上にのせるのが正しい。私はこのことを辻留さんにならった。
((中略))
そうして女の肋骨は、男のものより太く丸く短く、かつ、より彎曲している。(中略)このことを私は、高校の生物学の教科書、およびすべての女友達から学んだ。
と、いうようなわけで、私は役に立つことをいろいろと知っている。そうしてその役に立つことを普及もしている。がしかし、これらはすべて人から教わったことばかりだ。私自身はーほとんどまったく無内容な、空っぽの容れ物にすぎない。

伊丹十三(2005) 『女たちよ!』 新潮社 ((太字は引用者による))

特に最後の部分,「空っぽの容れ物にすぎない」というところが,長い間僕が持っていたこの世の中に対する違和感,になっていたんだと思う.これは伊丹十三先生に感謝を申し上げなければなりません.

そこで疑問なのだが,果たしてどれぐらいの人が,彼の主張(そして僕の共感)に賛同してくれるのだろうか.聞いていた人の反応もまちまちで(前に立っていると表情で共感しているかどうかというものはわかるものだ),今一歩自信がない.顔に出さないタイプかもしれないし,あるいはすごく人生に満足していて,自分が空っぽ,ということに納得がいかなかったのかもしれない.あるいはそんなことを考えたことがなかったのかもしれない.

確かに,この考え方は,ある意味では危険である.近代まで(現在でも?)例えば教育では,生徒を白い板(タブラ·ラサ/White-paper)だと位置づけていた(※1).そしてそれは誤りである.

しかし,そんなことを言われたって,僕の空っぽ感は変わらない.誰が何と言おうと,僕は空っぽの容れ物である.

それとは矛盾するかもしれないように,僕は自分に価値がない,とは思っていない.むしろ,空っぽでもいいんじゃないか,ということを,この昨日の話では結論しとして話した/わめいた.つまり,僕(ら)は「積極的空っぽ」なのである

そして今日,僕の話を聞いた方(仮にAさん)からメッセージが届いた(僕は人前で話すときはたいていの場合連絡先を書いておく.さみしがりだから).Aさんは自分も「空っぽの容れもの」だとおっしゃっていた.そうか,とはたとひざを打つ.この感覚は,いくつかの人には共通で,そしていくつかの人には全くわからない,まるで民族のようなものなのではないか,と.

「からっぽ族宣言」がここに誕生したわけである.

———

からっぽ族宣言

我々は,自らが積極的なからっぽであるということを自覚し,
それを単に空虚感としてではなく,学び続ける可能性のあるものとして認識し,
世界にある様々な出来事を分け隔てなく聞き,学び,体験し,構成し,解体し,再構成し,再解体し,
そして自らのものとして吸収し,発散し,分け与えることを,ここに宣言する.

———–

以前ライターのどなたかが(あるいは複数人が)ノートは,孤独と折り合いをつけるものだ,というようなことをおっしゃっていた.僕はそれに賛同する(言い方は少し異なるかもしれないけれども).
それに付け加えて言うとすれば,ノートは,僕が空っぽの容れ物だということ,そして,その容れ物がこの世に形となって表れたものだ,と感じる.言い換えれば,書かれたこと,そして書かれゆく可能性を持つノートは僕(ら)であり,僕(ら)はノートなのだ.

 

(ちょっと時間があっていった立川市にて撮った関係のない写真でもどうぞ)

 

※1

生徒/学生がタブラ·ラサという主張に賛同できない.僕らは生徒,学生の時,とてもたくさんのことを考えていたし,それをあらわさなかったとしても,考えていたことは確かだ.もし日本で教育をされている人が学生や生徒をその考えを振り返っても[タブラ・ラサ]だとなお思うのであれば,彼らが普段友達と話している内容ー特に人生観や趣味観,恋愛観,世界観ーなどを盗み聞きするといいだろう.彼らは(そしてかつての僕らは)実にたくさんのことを考えている.教師ー学生の関係では,あるいは教室では,(またはウイスキー抜きでは?),語り合えないことが多すぎるだけなのだ.

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春を見送った毛糸のジッパーケース(④販売日時のお知らせ)

Posted on 09 7月 2017 by

③で予告していました毛糸のジッパーケース、販売日時のお知らせです。
予定通り、2017年7月15日、午前11時からです。
よろしくお願いいたします。

予告通り、オリーブエディションとのセッティング風景です。
うん、よい。

チャームも付けました。

キューブ型スワロフスキービーズのペリドット。
さわやかな黄緑色です。

拡大写真。
毛糸の風合いとかもわかりやすいかな。

各サイズ、重さはこんな感じです。

今回は、オリーブエディションに合わせて作りましたので、
レギュラーサイズのみ、2色、1点ずつの出品です。
アイボリー(コースターはおまけです)

ブラウン

アイボリーもブラウンも、コースターに使用してる黄色の生地が内布です。

今回も保存袋を用意しました。

前回の③の記事で「お楽しみに」なんつってたハトメパンチは、ここで使用しました。
ミドリが出していた留め紐シールが、もう公式で売ってないようなので、
フエルトで作りました。

この記事のためにオリーブエディションをお借りして、
たくさん写真撮らせてもらいましたので、よかったらごらんください。チサさんありがと!
ロケ地 大阪 中崎町 Giving Tree Cafe



ペラっとした左側(逆さにしてジッパーケース左側でもオケ)は、
ピンバッヂやブローチ、クリップの収納場所に。
ジッパーケースの方には大事なペン、万年筆などの収納に。
ふかふかしてるからクッション機能もあって最適よ。

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モレスキン18か月ウィークリーをどうやって使っていますか 〜空白の6か月の行方

Posted on 09 7月 2017 by

り返りと共に。ノートブックの一部。

ノート見開き

こ、この罫線、そして横開きに使っているノートブックは…!

以上、前振り終わり。
7月になりまして。
えー、そろそろ、2018年の手帳をお考えの方もいらっしゃるとか、いないとか、メーカーさんも2018年の手帳デザインを新しくするとか、しなかったりするとか、あるかも知れません。

わたしは、手帳はモレスキンを使っているんですが。
この手帳が18か月という、ちょっと変則的なつくりになっていまして。
7月というのは、その18か月モレスキンの使用開始時期でもあります。
わたしが、今、使っているのは、2016年の7月から2017年12月までの星の王子様デザインのウィークリーレフトなんですが。

モレスキン18か月ウィークリー正面

こんなの。表紙がかなり汚れている。

このモレスキン18か月手帳を愛用している、長年使っているユーザーのかたに聞いてみたいことがあります。
例えば、コレ、2016年の7月から2017年12月まで手帳を使っているとして、次も18か月手帳を使うとすると、2018年1月から6月までは、どうされていますか。

モレスキン18か月ウィークリー小口

こんなカンジで。ふせん貼り過ぎとメモ挟み過ぎ。

わたしは、この18か月手帳は3冊目なんですが。
最初の一冊、使い終わって、次の7月まで、何とかなるかな、と、その18か月手帳にウィークリーのふせんを貼って使っていました。
ですが、フリーページがまったくないため、だんだん不便になってきて、じゃー、もう別のを使おう、と、トラベラーズノートブックパスポートサイズのフリーウィークリーを使って、半年を過ごしました。
次の2冊目は、使い終わって、7月になったらまた18か月手帳を買うのだから、と、つなぎのつもりで、文具セールでムーミンデザインのウィークリーレフトを買いました。
たしか、ハードカバーでカバーなしの一体型で、六曜がなくて、メモページが多かったから選んだように思います。
最初は、おー、イイ感じだ、と使っていたのですが。

1)手に取る
2)ベルトを外、……外さない ページを開く
3)読む
4)書く
5)閉じる
6)ベルトをかけ、……かけない

こうしてベルトをかけようとして、外そうとして、何度も手が空を切りました。
自分でもびっくりするくらい、何度も何度も何度もやってしまいました。
そして、ムーミン手帳は1か月ほどで挫折して、ラクガキ手帳になりました。
いい、モレスキンにする、と12か月ウィークリーレフトを買い直し、そちらを使いました。
(12か月モレスキンは、7月以降、ひとこと日記になりました)
この時に切り替えた18か月ウィークリーレフトが、今、使っている星の王子様モレスキンです。

そんで。
18か月モレスキンを長く愛用されているかたは、どういう風に切り替えていらっしゃるんでしょうか。
例えば、いろいろとノートブッカーズに聞いてみたりしたところ、こうじゃない? という意見を伺いました。

1)空白の1〜6月は、12か月モレスキンを使う。残り半年分は、何か別の用途に使う。
2)毎年、18か月手帳が出れば買う。そんで重複する7月〜12月までは、二冊を並行して使って、徐々に移行する。
3)12月で終わっても、引き続き、ふせんや、テンプレートを使って、なんとか半年もたせる。
4)カイエなどを使って、オリジナルで作る。
5)割り切って、フリーダイアリーなどを使って、次の7月までもたせる。
6)割り切って、次の半年だけはデジタルで管理する。

などなど……

図解

こ、これでわかりますか…

わたしは、次の空白の1月〜7月は、12か月ウィークリーレフトを使おうと思っているんですが。
こんな使い方してるよー、と、アイディアがあれば、教えてください。
コメントを頂けると嬉しいです。よろしくお願いしますー。

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わらいぢごく

Posted on 09 7月 2017 by

ひもでくくられた肉
ほどけたらバラバラ
風船は窮屈だけど
弾ければ消滅する

いかりではこわせない
ないてもきえさらない
ぼうりょくではしなない
ことばではこえられない

わらいは感情ではない
わらいは魂を排泄する
紐をほどき風船を割る
わらいだけが無意味だ

笑い続けるとバターになる

(鴨川)

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かに座と天の川の物語〜7月の星空

Posted on 06 7月 2017 by

日、ガイリッチーの『キングアーサー』を見てきました。
こういう映画です。はー、至福。

本予告(なんだそれは)だそうです。はー、堪能。

==以上、前振り終わり==
7月です。
(ムダに注釈の多い)12星座のギリシャ神話紹介、7月はかに座です。
(前々回、おひつじ座&おうし座で、前回はふたご座で記事を書きました。よろしければドウゾー)
夏7月じゃなくて、春に見える星座だそうです。

蟹座

いかにして蟹が(シャレではない)星座になったのか。


かに座、どういう物語を経て星座として天にあげられたかというとーー

まず、ヘラクレス(※1)の話から始めます。
ヘラクレス、イメージとしては、力持ちの代名詞、英雄、豪傑というあたりでしょうか。
彼は、英雄、豪傑のイメージの割には、ギリシャ神話では、ちょっと(かなり)苦労人で、えー、無茶な命令をシュクシュクと聞き入れて、大変な冒険をこなしている、そういうキャラクターです。

まず、ギリシャの大神ゼウスが、ティリュンス王の妃アルクメネを見初めます。そんで、口説くのですが、アルクメネは「自分は(ティリュンス王)アムピトリュオンを愛しているから」と拒みます。
それならば、と、えー、ゼウスはアムピトリュオンに姿を変えて思いを遂げました。
月満ちてアルクメネに子供が生まれます。
ゼウスは、うっかりゼウスの妻ヘラの前で「今日、生まれる子がペルセウス一族(※2)の支配者になるんだー、でへへ」と言ってしまいます(※3)。
ヘラは「また浮気してー!! きー!!」となり、お産の神と謀って、アルクメネの子より先に、同じペルセウス一族のエウリステウスを生まれさせます。
ギリシャ神話では、例え一番エラい神様でも、一回言ったことは撤回できないため、エウリステウスがペルセウス一族の王になる運命を与えられました。
翌日、アルクメネが男の子を出産、次の日に双子のもうひとりの男の子を産みます。
先に生まれた子がアルケイデス(ヘラクレスの幼名)、次の日に生まれたふたごの片われがイピクレスと名づけられました。(※4)
アルケイデス(ヘラクレス)は、赤ん坊の頃から英雄としての片鱗を見せていたようで。
どうしてもアルケイデスを排除したいヘラが、揺りかごに毒蛇を送り込みますが、赤ちゃんアルケイデスは、素手で絞め殺したというエピソードもあります。

さらに、懲りない大神ゼウスは、我が子に不死性を与えようと、眠っているヘラのお乳をアルケイデスに飲ませます。
吸う力があまりにも強かったため、お乳があふれ出て、それが天の川になったと言われているそうです。

また、別の話では。
ヘラの嫉妬を恐れたアルクメネが赤ちゃんアルケイデスを野に捨てたそうです。
そこへ戦いと芸術の女神アテナとゼウスの妻ヘラが通りかかり。
アテナがヘラに、赤ん坊にお乳をあげては……と提案します。
そんで、ヘラが赤ん坊にお乳を飲ませたところ、これまた力強く吸い、ヘラは驚いて赤ん坊を投げ捨てます。
それでも赤ん坊は、何滴かは女神のお乳を吸ったため、不死性を得た、というヴァージョンもあるようです。

このように、アルケイデス(ヘラクレス)は赤ん坊の頃から、嫉妬深い女神ヘラの怒りを買い、憎まれていました(※6)。

成長したアルケイデスは、テバイ王クレオンを助けたことで、その娘メガラと結婚します。
3人の子供にめぐまれ、幸せに暮らしていたんですが、またヘラの怒りが復活し、アルケイデスは狂気にとらわれて、子供たちを火に投げ込んで殺してしまいます。
正気にもどったアルケイデスは、アポロンの神殿へ行き、これからどう生きればいいのかを問います。すると、えー、生まれる時に因縁を作ってしまった(作られてしまった)ペルセウス一族の支配者エウリステウス(※7)からの10の命令をやりとげるように、そしてまた、アルケイデスという名を改め、ヘラクレス(ヘラの栄光)と名乗るようにとの、神託が下されたのです。
ヘラクレス12(※8)の冒険の始まりです。

ヘラクレスの二つめの冒険が「レルネの野のヒドラ退治」です。
レルネの野のアミューモの泉に住む九つ頭のヒドラ(※9)を退治するようにエウリステウスに命じられます。
このヒドラは、口から毒を吐き出し、頭を切り落としても、すぐに生えてくる上に、真ん中のメインのアタマは、黄金でできた永久に死なないという厄介な怪物で。
ヘラクレスは、甥っ子のイオラオスを伴い、レルネの野にやってきます。
そんでヒドラのアタマを棍棒で打ち砕くのですが、次々と復活し、勝負がつきません。
ヘラクレスはヒドラのアタマを切り落とし、イオラオスにたいまつを持たせ切り口を火で焼かせます。
最後のメインのアタマは焼かれても死なないため、穴を掘って埋め、大きな石で封じました。

この戦いの最中に、ヒドラの友達である(※10)大蟹が参戦し、ヘラクレスのかかとを挟もうとします。
ヘラクレスは「この忙しい時にーーー!」的に、蟹を踏みつぶします。
(主にヘラが)この蟹のヒドラへの友情を愛でて、大蟹は天に上げられ星座となったそうです。
また、ヘラが大蟹に、ヒドラへ加勢するように命じたという説もあるようです。(※11)

このヘラクレス、来月8月の獅子座にも出てきます。
よろしくドウゾー。

===
そして、せっかく七夕なので、そちらの星の話も書こうと思います。
天の川、というと。
『銀河鉄道の夜』の冒頭で、賢治センセイがすばらしい説明をされています。
以下、引用。

「ではみなさんは、そういうふうに川だと云いわれたり、乳の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか。」
(略)
「ですからもしもこの天あまの川がわがほんとうに川だと考えるなら、その一つ一つの小さな星はみんなその川のそこの砂や砂利の粒つぶにもあたるわけです。またこれを巨きな乳の流れと考えるならもっと天の川とよく似ています。つまりその星はみな、乳のなかにまるで細かにうかんでいる脂油の球にもあたるのです。そんなら何がその川の水にあたるかと云いますと、それは真空という光をある速さで伝えるもので、太陽や地球もやっぱりそのなかに浮かんでいるのです。つまりは私どもも天の川の水のなかに棲んでいるわけです。そしてその天の川の水のなかから四方を見ると、ちょうど水が深いほど青く見えるように、天の川の底の深く遠いところほど星がたくさん集って見えしたがって白くぼんやり見えるのです。(略)」

この冒頭で言われている「ぼんやりした白いもの」、日本では天を流れる川、と名づけられていますが、えー、他の国ではどうかというと。

フィンランドの星の伝説が面白いので紹介します。

フィンランドに、ズラミスとサラミという夫婦がいました。
仲のよい夫婦で、何をするのも一緒でしたが、人生をまっとうして天に還るときも一緒というわけにはいきませんでした。
ふたりは、人生を終えるとそれぞれに天にのぼり、別々の星になりました。
それでもふたりは、なんとかもう一度会いたいと、そればかり願っていました。
そこで、ふたりの間に光の橋をかけることができれば、そこを渡ってあうことができる、と考えました。
ふたりは、天に漂う白いもやを集め、橋を造りました。
そのもやは、はかなく、頼りなく、橋を造るにはまったく少ない量しか集めることはできません。
しかし、ふたりはもう一度会うことを願って、光のもやを集め続けました。

あっという間に千年もの年月が過ぎました。
ふたりが集めた光のもやは、みごとに美しい光の橋となり、天上界の端と端を繋ぎました。
ズラミスとサラミは、光の橋の両側に立ち、一歩一歩ふみしめながら歩き出します。
こうして、ふたりは、永い年月の末、シリウスの輝くところで、再び会うことができました。
ふたりは、星になってからも変わらずに添い遂げ、天上界で幸せに暮らしていると伝えられています。
ヨーロッパでは、天の川を天の道、橋などに見立てることが多かったようです。

光の白いもやを『手で集めて』橋を造る、という発想がすごいなあ。
手で触れられるものなんだー。
===
あと、中国では、えー、天の川の源泉を探る話が残っているようです。
漢の武帝の時代。
武帝が「天の川の源を探るように」と、武将である張騫(ちょうけん)に命じました。
「それでは」と、張騫は準備をして、長江からいかだに乗り込み、出発します。
すると、意識が遠のいて、ふと気がつくと、川の岸に機を織っている女性が見え、もう片方の岸には、牛の世話をしている青年が見えました。
張騫は「わたしは、武帝の命令で天の川の源を探しに来ました。ここは一体どこなのですか」と声をかけました。
すると女性は「こここそが天の川の源です。わたしたちは織女と牽牛なのです」と答えました。
張騫は大喜びで、川を下り、武帝の元へと戻り、報告しました。
すると、武帝は「七月七日の夜、天の川の織女と牽牛の間に、見慣れない星があったのだが、あの星はそなただったのだな」と、張騫に、天の川のあたりに新しい星が見えていたことを話しました。
新しい星、彗星などを中国では『客星』というそうです。

天の川の源流を探るのに、長江から出発という発想がすばらしー。

===
他にも。
天の川の名前色々。
アイヌ語 ペッノカ(川の姿)
北欧 魂の道 冬の道など
古代エジプト 天のナイル
古代バビロニア 天のユフラテス などなど…

天の川そひねの床のとばりごしに星のわかれをすかし見るかな 与謝野晶子

===
わたしは、学生の頃、よくプラネタリウムに行っていたんですが。
上映が始まる時の挨拶がとても好きでした。
「ここの星は電気で投影しているだけだから、瞬きません。今夜はぜひ、空を見上げて、実際に星がきらきらしているのを見てみてください」
というようなカンジでした。
皆様もぜひ、(見られるのなら)夏の夜空を見上げてみて下さい。

===以下、注釈==今回は少ないかもー。
※1:かに座の話なのに、なんでヘラクレスから!?と思われるかも知れませんが、ドウゾ今回もおつきあいください。ちなみにヘラクレス、英語ではハーキュリーズといいます。パシフィックリムの登場人物のひとりがこの名前だそうです。短縮形:ハーク。そんで知らなかったんですが、Aクリスティが書いた探偵の一人、ポアロのファーストネーム、エルキュール、これがヘラクレスのフランス語読みなんだそうで。へー。
※2:すごっっっい名門の一族。
※3:ヘラがゼウスに誓わせた、という説もあり。
※4:アルケイデスがゼウスの子、イピクレスがアムピトリュオンの子、だそうです。
ふたご座のふたごは、もっとフクザツな四つ子だったし、↑このくらいだったら、もう驚かないよね。
※5:天の川は英語でミルキーウェイといい、それはこのヘラと赤ちゃんアルケイデスの話から。
※6:がんばれ。
※7:エウリステウスとか、アルケイデスとか、名前が覚えにくい場合は、もう ぱっ と見て、エウリステウスとあれば えりえり とか、アルケイデスとあれば あるけー とか、適宜読みやすいように読んで頂ければと思います。ですが、アルケイデス記述はここで最後になります。
※8:10なの12なのどっちなの、と思われるでしょうが、これはわたしの間違い入力ではないのです。エウリステウスが言いがかりをつけて、2つの冒険をノーカウントとしたので2つの冒険がさらに上乗せされます。ヘラクレス、苦労してるよね。
※9:日本神話でも八岐大蛇(やまたのおろち)て、あるじゃーないですか。これ、ずっと思ってたんですが、蛇状の生き物で、首がふたつ以上あったら、どういう風に配置されてるのかなあ、と。
(三つだったらキングギドラ状?)

それで考えてみたんですが、この九つアタマヒドラの場合。

ヒドラ考察1

熊手ではないです。

では、立体的にしてみました。

ヒドラ考察2

さらにわからない物体に。


※10:(本では友達って書いていました…… わたしも、どう表現すればいいのかわかりません……)。
※11:これでなぜ、ヘラクレスの半生を説明したか、おわかり頂けたでしょうか……

■おまけ
あ、前振りですが。もちろん、あの『アーサー王』です。その映画化です。
キャメロット城も出るし、円卓もあるし、エクスカリバーもアーサーが抜くし、騎士たちもいるし、湖のレディも出るし、マーリンは代理が出演してますし。『あの』アーサー王のガイリッチー版です。

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春を見送った毛糸のジッパーケース(③販売予定と改善点と工具自慢)

Posted on 05 7月 2017 by

前回、7月の初旬に販売できればいいなーと言ってました。
予定は未定、とはよく言ったものです。すこし延期させてください。

今のところ販売開始は、2017年7月15日(土)、午前11時からの予定です。
販売一週間前にもう一度、きちんと告知しますので、しばらくお待ちくださいね。
オリーブエディションに合わせた写真も、その時に披露します。

現在、上の写真の通り、毛糸のジッパーケース本体とおまけのコースターが仕上がりました。
あ、これ、お譲りしてもいいかなーと思えるのは、できあがってくるわりと直前です。
もちろん最初の工程から、商品ということを念頭に製作はいたしますが、
やっぱりイマイチだなーなんて感じるものに、お金をいただくわけにいきません。
どんなに手間がかかっていようとも。

なにが言いたかったっけ。
そう。作っていてわくわくできて、できあがりが満足できるもののみ、出品していまして、
今回わくわくした工程はですね、やっぱりできあがりの直前、この内布を中に装着したときです。
か、かわいい。


まつり縫いで内側を縫いとめる前の写真です。
まつり縫いがこれまた私は大好きで、ずっとまつり縫いし続けたいと願うほど、
うっとりしながらまつり縫いってます。ぬいこのぬいはボンヌイのぬいです。

でもね、この内布を好きすぎて、ファスナーにつけるチャームがまだ決まらないのです。
トラベラーズノートのオリーブエディション用に作ったから、
オリーブ色のスワロフスキービーズを合わせてみたのですがイマイチで。
うーん。やはりオリーブエディションに実際合わせてみないとピンとこないのかも。
頭の中だけで組み合わせを考えるのは難しいですね。
だからやはりね、気になったチャームとかビーズとか布とか毛糸とかはね、
目的がなくてもその場で捕獲しとかないとね、といつもの買物の正当性をここで主張。

あ、あと、過去作のものから改善したところがあるんだった。
言うの忘れてた。

この写真の上部中央あたりをご覧ください。
切りこみの幅を小さくしてみました。
前回までの毛糸のジッパーケースは、トラベラーズリフィルのクラフトファイルを参考に、
ゴムがくる中央の切りこみ幅を1センチメートルほど開けていたのですが、
購入いただいた方から、使っててずれてくる、という貴重なご意見をいただきまして、
幅を狭めてみた次第です。
トラベラーズノートカバーの特性上、ずれない、てことはないだろうけれど、
ずれ幅が小さくなればいいなあと思っています。
他にも、こうすればいいのに、みたいなご意見お持ちの方は、お気軽におっしゃってください。うれしいです。
できる限り改善していきたいと考えています。

最後に、毛糸のジッパーケースのために手に入れた工具を自慢して終わります。

ハトメパンチです。
ずっしりしていてかっこよく、コピー用紙30枚程度の穴も開けられて、
かしゅっとカシメるときの手ごたえがたまらないです。工具っていいよね。
これはジッパーケース自体に使うわけではありませんが、なにに使うか、次の投稿をお楽しみに。

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July 2017 Calendar

Posted on 05 7月 2017 by

なんてこったい。忘れてました。
催促のコメントで気が付きました、myyyyさん、ありがとうございます。

★2017年07月のカレンダー

ポケット用
http://notebookers.jp/calendar/calendar2017_07.pdf

ラージ用
http://notebookers.jp/calendar/calendar2017_07_L.pdf

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Q:あの犬は白い

Posted on 02 7月 2017 by

Q:「あの犬は白い」を無意味にしなさい。

A:あの犬は白いということはない。あの犬は白いし重い。あの犬は白い犬ではない。あの犬は白い。二万年前までは。あの犬は白い。そして、とても美味い。あの犬は白い。「犬なんていないよ…」 あの犬は白い。「あの」も「犬」も「白い」もみんな嘘。あの犬は白い。大人は分かってくれない。あの犬は白い。この猫は黒い。あの犬は白い、という以上の意味はない。あの犬は白い。「ガム要る?」 あの犬は白い。震度六強だった。あの犬は白い。「俺は人を殺したんだ」 あの犬は白い。そして人語を解する。あの犬は白い。あなたが分からない。あの犬は白い。それがどうした。あの犬は白い。誰か聴いてください。あの犬は白いお母さんだよ。あの犬は白い。「白かないわ」 あの犬は白い。「昔のことさ」 あの犬は白い。サイレンが鳴っている。あの犬は白いと思えば白いのかもしれない。あの犬は白い。俺よりもよほど偉い。あの犬は白い。「いいじゃないの別に白くったって」 あの犬は白い。そんな犬は五万といる。あの犬は白い。君の羽根も白い。あの犬は白い。この一言から街は焦土に帰した。あの犬は白い。What? あの犬は白い(一同涙を流す) あの犬は白い。それはさておき― あの犬は白い、と書き残されていた。あの犬は白い(六文字抹消) あの犬は白い。始めてしゃべった言葉。「あの犬は白い、と言えと脅されていたんだ」 あの犬は白い、未来永劫。あの犬は白い。「ってことは……」 あの犬は白い。地球は青い。あの犬は白い。「あなたのそういうとこ、好きだったな」 あの犬は白い。「そうやってすぐ決めつけて」 あの犬は白い。「おそらくは、意識が混濁しているのでしょう」 あの犬は白い。「―・1ワープ!!」 あの犬は白い。「それ、今度会った時の合言葉にしましょう」 あの犬は白い、なんて、こんなに書いたことはなかった。あの犬は白いってことしか取柄がないのか…… あの犬は白い。そして五階建てのビルくらいでかい。あの犬は白い。「あの犬はいつだって白いさ」 あの犬は白い(銃声・エンドロール) あの犬は白い。「そう言っていられるのも今のうちだ」 あの犬は白い。トントン「ジャスラックです」 あの犬は白い。アボカドの匂い。あの犬は白いあの白は犬い。あの犬は白い。背後には百匹の野犬。あの犬は白い。実は茶色い。あの犬は白い。名前はワタナベノボル。あの犬は白い。あれが? あの犬は白い。失敗だ。あの犬は白い。だからといって仕事が見つかるわけじゃない。あの犬は白い。衛星軌道上から捉えても。あの犬は白いという落書き。あの犬は白い。躰は丸い。あの犬は白い。(バチン)最ッ低ーッツ! あの犬は白い。「そ、それが何か……」 あの犬は白い。「アッ、ウソウソウソ」 あの犬は白い。ねぇ。あの犬何色に見える? あの犬は白い。あの白いやつだ。あの犬は白い。兎のほうが白い。あの犬は白い。か~ら~の~

あの犬は白い。後手93玉。あの犬は白い。顔が遊星からの物体X。あの犬は白い。その記憶が最後だ。あの犬は白い。だから? あの犬は白い。つまり? あの犬は白い。それで? あの犬は白い。ハイハイ。あの犬は白い。夜明けは近い。あの犬は白い、という以上の意味がある。あの犬は白い。嗣永さんは引退。あの犬は白い。猿と雉は白くない。あの犬は白いと君が言ったから七月二日はたわし記念日 あの犬は白い。スイカが安い。あの犬は白い。でも横からみると青い。あの犬は白い。「よし、白のコードを切れ!」 あの犬は白い。それは母であり息子である。あの犬は白い。あの犬は白くない。あの犬は白い。あの犬の「毛」は白い。あの犬は白い亡霊のように私につきまとった。あの犬は白い。「見えるの?」「ああ。はっきりとね」あの犬は白い。あの犬は白い。と言ってみただけ。逆になんの意味があったっていうのだろう。「あの犬が白い」になんて。

(攝津)

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