Archive | 6月, 2018

知らないから知るへの道順

Posted on 27 6月 2018 by

知らない事を知るまでの過程はできるだけ暗闇の方が面白い。

未経験な事に出会うまでに自分はどういった道順を辿っているかを考えてみたけど、案外知っている事から導入されていそうだな

そう ふと 考えた時に、不快じゃないけどなんだかムズムズする勿体無い感が出てきた。

大げさだけど得体の知れないものを初めから自分のフォーマットに書き換えて吸収しやすくし過ぎてるのではないか、ある意味恐怖すら感じる。

日頃から感じているマンネリ感の正体は噛み砕きすぎな気がする。

たまには知っている形に整えないで無理やり喉を通さないといけないと心に刻んでおこう。

久しぶりの記事がこんなんですいません・・・

 

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それっぽいものを編む

Posted on 25 6月 2018 by

普段はかぎ針編みで、トラベラーズノートに合うジッパーケースなどを作っておりますが、

たまにこういうものを無性に編みたくなります。

ある書店のカバー、書皮と呼ばれるものですね。

電車の中で、書皮をかけた本を読んでいる人を見かけ、なんとはなしにぼーっと眺めていたところ、

「あれが編みものでできていたらおもしろいなー、おもしろいんじゃないかなー」とふと思ったことが始まりでした。

降車駅に着くころには、二色の毛糸を買いに行くことを決めていました。

 

その後、何年かして、コーヒーの紙コップにつけるスリーブ(熱くないようにつけるもの)を手作りしたものを雑貨店で見かけました。色とりどりの可愛らしいデザインで。

「あのコーヒーショップのデザインのまま、毛糸でできてたらおもしろいのになー、おもしろいんじゃないかなー」とまたふと思いました。

またすぐに二色の毛糸を買いに走りました。黒い毛糸は持っていました。

 

書皮の時もそうなのですが、柄は刺繍のように後で入れるのではなく、端から編み込んでいます。書皮は直線的なデザインだったので、特に苦労はなかったのですが、この有名コーヒーショップのデザインは違います。「複雑な図形の編み込みなんて面倒だからやったことない、でも作りたい、けどどうしよう」材料は揃ったものの逡巡します。

まず、本物のデザイン画像にモザイクをかけ、それを編み図としてその通りに編んでいけば良いのではと、思い立ちました。ドット絵のような見本があれば簡単だと思ったのです。

緑色の円形の中に、尾を二つ持った人魚のデザイン。これを認識できるようにドット絵を作ったところ、A4サイズになりました。大きすぎるのではと不安がよぎります。でもひとマスは毛糸の一目なので、実際作ったら小さくなるだろうととりあえず編み始めます。でも、結果は約4分の1、マスクくらいの大きさになっただけで、紙コップに添わせるスリーブには大きすぎるのでした。

もっとマスを減らして単純なドット絵にしなければならないと悟り、一気にやる気を失います。普段何気なく目にしているドット絵は、とても計算され精査されてあの単純なピースに集められているのだということを身をもって知りました。

また編み図を作る気力は残っていませんでした。

「なにがやりたかったんだろう」初心を思い返します。

なんか、それっぽいものが作りたかったんだよねー、ふわっと見たら見過ごしてしまうような、でもよく見ると実は毛糸で編んでいる…というものを。

じゃあもう編み図は要らないな、と結論が出るが早いか、「あのへんに緑色入れていけばいんじゃね?このへんじゃね?」と、本物のスリーブと照らし合わせながら大きさに注意して編むこと数時間。

くるくると下から螺旋状に編んで、このスリーブはできあがりました。ちょっと厚みがあるし、人魚には全く見えないけれど、作りたかったものを完成させることができて満足です。

 

それからまた数年経ちまして、今年のこと。

今年の日記に選んだ「ほぼ日手帳カズンavec」のカバーを編みました。

大学ノートっぽくしようと思ったのは、岩波文庫のデザインを再現した市販品のブックカバーをどこかで見かけたからです。あれ編みものでできんかしら、と頭の隅に残っていました。

文庫本にするとタイトルとかどうしよう、好きな本?いや、一つなんて選べない。ではノートブックのデザインだったら?いけるかも。そんな感じでした。

かぎ針編みをやったことある方ならお分かりいただけるのですが、前回のスリーブは、一方向にクルクルと色の異なる毛糸を編み込んでいくので、比較的狙った通りに色を置いていけました。

しかし、このノートカバーは平面なので、表裏があります。

私は右利きなので右から左に編み進み、端まできたらそれまで表だった面を裏へひっくり返し、裏だったら表へ返してまた右から左に編んでいくのです。

表を編んでいるときは見ている面の狙ったところに、今回でいうと黒糸を出して編めばいいのですが、裏側を編んでいるときに、表面にどう黒糸が出るのかよくわからず、編んでみては解いてを繰り返し、なんとか下の第一号を編みました。

端から一段一段、編んでる様子。

表面だけを撮影していますが、この裏面は黒糸を渡してあったりして表と同じ図になっていません。できるんだろうけど、インターネットで調べてみたかぎり分かりませんでした。これは私のこれからの課題です。

試行錯誤しながら数日かけて編んでいるので、「模様がへんなふうに出てるけど、もうこれでできあがりにしようかな」と、正直なところ何度も思いました。でも、「これを目にするたびに『ここをこうすれば良かった』と後悔するだろうな」というのも何度も思いました。

第一号の手を止め、第二号にとりかかったのは、ひと月ほど経ってからでした。

なんとかもう少しきれいに、狙ったところに黒糸を出せないかと再度挑戦したのが、上の水色と黒で作った第二号です。あまり変わらないかもしれないけれど、上下のライン模様が、第一号よりは思ったとおり出せたかなと自負しています。

また、第一号を編んでいるときは黒糸の出方ばかり気にしていたので糸を引き気味に編んでしまい、A5サイズに作りたいのに、上下がだいぶ短くなってしまっていました。

第二号ではそれも鑑みて作れたので、やはり編み直してよかったです。

因みに、ノートカバーを開くとこんな感じです。

横軸のノートブックっぽく、ストライプの生地を差込口に使用しました。開いてもノートっぽいを目指したよ。

さらに因みにですが、中央に生地をかぶせておらず(黒い部分)編み地のままになっているのは、背表紙が厚くなってもそれに対応できるようにです。

中に入れる「ほぼ日手帳カズンavec」は分冊で、2冊で1年分です。合わせると厚みが2.5センチメートルほど。これを、1冊で使用している今年中も、2冊とも保存する来年以降も、同じカバーに入れておきたかったのです。

「ほぼ日手帳カズンavec」2冊とも入れたところ。ほらね、背表紙が伸びるでしょう。

 

ほんとうは表紙に「NOTE BOOK」と黒糸で編み込めればとっても格好いいのだけど、編み技術が追いつかず、裏編みの時の糸の渡し方とともに私の今後の課題が浮き彫りになったところで、恥をまとめたものはこの辺で終わりにさせてもらうとします。

 

 

 

 

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NOTEBOOKERS+俳句 1 ― NB的歳時記のために

Posted on 24 6月 2018 by

0.はじめに

俳句好きで、NOTEBOOKERSなら、「俳句+文具」とか考えねばならぬと、手持ちの歳時記を読んでみたところ、NOTEBOOKERS的(以下NB的)とはほど遠いことがわかってしまったので、「じゃあどうすればいい?」を不定期で考えることにして。

手持ちの歳時記。『合本 俳句歳時記 新版』 平成元年6月30日 28刷 角川書店 (意外と古い……)

1.正岡子規俳句検索からNB的俳句を抽出する

俳句といえば、正岡子規さんだよね。

正岡子規の俳句検索
『正岡子規俳句検索システムは、5つの検索方法で、正岡子規が生涯に作成した俳句の内、季語別子規俳句集(松山市立子規記念博物館 編集・発行)に掲載の俳句を検索する事が出来ます。』
http://sikihaku.lesp.co.jp/community/search/index.php

の「句中曖昧語検索」でNB的事物を、おもいつくままに検索し、目に付いたものを掲出する。(語句後の数字はヒット数)

手帳 1

萩に立て萩の句記す手帳哉

ペン 2 インキ2

鵞ペンさすインキの壺や秋の薔薇
鵞ペン立てしインキの壺や秋の薔薇

日記 16

春雨や日記をしるす船の中
梅雨晴や蜩鳴くと書く日記

鉛筆 1

小刀や鉛筆を削り梨を剥く

(書いた)文字 1

夕涼み仲居に文字を習はする

言葉 7

めでたさやよその言葉も旅の春
初松魚べらぼうと申す言葉あり

書 178

ねころんで書よむ人や春の草
眼鏡かけて書を読む夏の夜忙し

机 28

文机にもたれ心の夜寒哉
夕立や机に並ぶ大盥

写真 3

涅槃像写真なき世こそたふとけれ
花の歌添へし吉野の写真哉

本 232

読む本を其まゝ顔に昼寝哉
洋本の間にはさむ桜かな

墨 37(隅田川も含む)

薄墨てかいた様なり春の月
墨汁も筆も氷りぬ書を讀まん

象 8

象も來つ雀も下りつ鍬始
毛布著た四五人連や象を見る

最後にノーヒットをまとめて

万年筆、ノート、日誌、帳面、地図、原稿、予定、獏、防備録、雑記、貼混ぜ、メモ。

案外少ない。俳句と文具は相性がよくないのか?

2.NB的季語

手持ちの歳時記をひもといて、NB的季語を探す探すもほとんど無く…無理やりかき集めてこのくらい。(数字は手持ち歳時記の頁数)

「夏書き」[夏](p.370)

《げがき:夏のある期間、身を慎み写経、書写、習字などを行うこと》

夏書の筆措けば乾きて背くなり 橋本多佳子

「硯洗」[秋](p.587)

《すずりあらひ:七夕の前日に常用の硯や机を洗い清めること》

家ひそかなるや硯を洗ひをり 石田波郷
高僧のかたみの硯洗ひけり 星野立子
いにしへの硯洗ふや月さしぬ 加藤楸邨

「日記買ふ」「古日記」[冬](p.817)

実朝の歌ちらと見ゆ日記買う 山口青邨
日記買ふ未知の月日に在るごとく 中村秀好
書かざれどすでにわがもの新日記 山口波津女
日記買ひ潮ながるるを見てゐたり 猿山木魂

「日記始」「初日記」[新年](p.958)

白く厚く未知かぎりなし初日記 能村登四郎
新日記三百六十五日の白 堀内薫
初日記インクの玉をおとしけり 裏野鷗城

「読初」[新年](p.963)

謹で君が遺稿を読みはじむ 高浜虚子
人住まぬ辺りの地図を読初む 相生垣瓜人

「書初」[新年](p.963)

一字なほにじみひろごる試筆かな 皆吉爽雨
書初といふもあはれや原稿紙 吉屋信子
書初や旅人が詠める酒の歌 占村古魚

「初硯」[新年](p.963)

ましろなる筆の命毛初硯 富安風生
墨の香の殊に匂ひて初硯 中川喜久栄

考えてみれば、「文具の季節感」というものは固定してないものな。

コラムその1 私的ノートの季感

トラベラーズノートって、「夏」よね
トラベラーズノートへリフィル夏季休暇

で、モレスキンって、「冬」のイメージ
モレスキンめくれば起し絵のごとし
(でも「起し絵」は夏の季語也)

3.NB的歳時記拾い

こうなれば季語以外、例句に含まれるNB的事物を拾っていくしかないじゃない。わたし好みの歳時記にむかって。

凡例:[事物/季節/句/作者名/頁数] という風になっています。

鉛筆/春/鉛筆をくはへ磯巾着すぼむ/片山那智児/184
鉛筆/春/鉛筆で書く音静かチューリップ/星野立子/221
鉛筆/夏/病床に鉛筆失せぬ夏の暮/石田波郷/262
鉛筆/秋/色鉛筆削りそろえて夜長父子/林翔/516
鉛筆/冬/鉛筆で助炭に書きし覚え書/高浜虚子/814
型紙/春/春燈火妻の型紙机を覆ふ/深見けんニ/93
紙/春/昨日漉きし紙春分の日を過す/小島昌勝/50
紙/春/花冷やまだしぼられぬ紙の嵩/大野林火/55
紙/春/里人は紙を献じて人麻呂忌/福田蓼汀/156
紙/夏/夏嵐机上の白紙飛び尽す/正岡子規/270
紙/秋/秋風の和紙の軽さを身にも欲し/林翔/533
紙/秋/熱出づる野分に飛べる紙を見て/目迫秩父/534
原稿紙/春/熟れて落つ春日や稼ぐ原稿紙/秋元不死男/60
珈琲/春/珈琲濃しけふ落第の少女子に/石田波郷/83
言葉/秋/秋風や書かねば言葉消えやすし/野見山朱鳥/533
字/冬/わが書きし字へ白息をかけておく/加藤楸邨/845
書/春/春疾風書棚に黒き乱歩集/北光丘/65
書/春/蛤の煮らるる音の中にて書/加藤楸邨/180
書/夏/夏至今日と思ひつつ書を閉ぢにけり/高浜虚子/260
書/夏/積み上げし書が目の高さ酷暑来る/松本旭/266
書/夏/読みかけの書ばかり積んで夜の秋/石川桂郎/267
書/夏/夕立に一顧もくれず読書かな/星野立子/274
書/夏/青嶺眉にある日少しの書を読めり/細見綾子/280
書/夏/書を曝し寂莫の一日終へむとす/軽部烏頭子/323
書/夏/曝しゐる書のみなわれを養ひし/岡本欣也 323
書/夏/四迷忌や借りて重ねし書少し/石田波郷/372
書/秋/手にとって書かする梶の広葉かな/高浜虚子/587
書/秋/ひぐらしやもの書きしるす膝の上/加藤楸邨/623
硯/夏/若楓影さす硯あらひけり/水原秋桜子/440
硯/冬/葉牡丹の座に薄明の筆硯/石原舟月/909
墨/春/たゞ墨を擦りて香を立つ虚子忌なりき/殿村菟絲子/158
墨/夏/濃き墨のかわきやすさよ青嵐/松本多佳子/270
墨/秋/月の座の一人は墨をすりにけり/中村草田男/579
旅/春/この秋は旅と思へど糸瓜蒔く/北川左人/105
旅/春/ ヘリオトロープ船旅ははや倦む日日に/大津希水/221
旅/夏/梅雨めくや人に真青き旅路あり/相馬遷子/272
旅/夏/門深みかかる夜更けに旅の人/高野素十/340
旅/夏/ねむりても旅の花火の胸ひらく/大野林火/346
旅/夏/十二時を宵のごとくに旅の端居/山口誓子/353
旅/夏 旅長し海酸漿の美しき/高野素十/398
旅/夏/夜にかけて卯の花曇る旅もどり/飯田蛇笏/442
旅/夏/旅心太藺の花にすがすがし/高野素十/481
旅/夏/旅ひとり一つ葉ひけば根のつづき/山口草堂/497
旅/夏/旅人に古塔かたむく夏わらび/稲垣きくの/499
旅/秋/旅かなし銀河の裏を星流れ/野見山朱鳥/532
旅/秋/蛇穴に入る今年もう旅はなし/大野林火/607
旅/秋/しまひ値の鰯あをあを旅びとに/下田稔/620
旅/秋/峡の町にカンナを見たり旅つづく/川崎展宏/667
旅/冬/旅人と我名呼ばれむ初時雨/松尾芭蕉/738
旅/冬/旅鞄そのまま座右に冬籠/高浜虚子/798
帖/新年/新年の白紙綴じたる句帖かな/正岡子規/920
手帳/秋 芦の花多忙をしるし手帳胸に/石原透/698
日記/秋/みみづ鳴く日記はいつか懺悔録/上田五千石/633
日記/新年/一月や去年の日記なほ机辺/高浜虚子/921
日記/新年/日記まだ何も誌さず福寿草/遠藤梧逸/1039
ノート/冬/沖を鷹ノート細字を以って埋む/中島斌雄/875
鋏/秋/獺祭忌紙切る鋏街に買ふ/沢木欣一/604
筆/春/春暁の竹筒にある筆ニ本/飯田龍太/52
筆/春/黄梅の弾ねる風下筆洗う/管裸馬/196
筆/夏/絵筆もて描きし如く青芒/高浜虚子/483
文/冬/雪の日暮れはいくたびも読む文のごとし/飯田龍太/743
ペン/秋/秋蚊帳のなかや置かれし紙とペン/目迫秩父/554
文字/秋/霧から霧妻の手紙は文字ふせて/中村草田男/537
文字/秋/梶の葉の文字瑞々とかかれけり 橋本多佳子/587
文字/冬/大寒のくらさのゆゑか文字細る/目迫秩父/724
文字/新年/三日はや木に書く文字の音すなり/飯田龍太/925

抜き出しておけばよかったNB的事物

机、椅子、書架、本、手紙類、舟、飛行機、御朱印、空港、港、反古、象など。

4.NB的俳句をweb検索する

歳時記の例句を増やすには、探すしかない。

この項では、検索のさい上位候補に紹介される
575筆まか勢』様
(https://fudemaka57.exblog.jp/)
と、

俳句検索』様
(http://taka.no.coocan.jp/a1/cgi-bin/haikukensaku.html)
俳句検索システム:現在、 23,632 の文書がインデックス化され、 73,645 個のキーワードが登録されています。インデックスの最終更新日: 2003-01-01

をおもに利用させていただいています。ありがとうございます。

万年筆(575筆まか勢様 24句)

あたたかや万年筆の太き字も 片山由美子
うぐひすや万年筆の尻重く 小川軽舟
卯の花腐し父の万年筆太し 仁平勝 東京物語
啓蟄や万年筆の贈物 川崎展宏
笹鳴や万年筆が見つからぬ 川崎展宏
篠の子と万年筆を並べ置く 岡田史乃
初蝶や万年筆が雫して 寺田京子
冬青空夜は万年筆の中 高野ムツオ
熱帯夜万年筆のインク漏れ 柴田奈美
父も父の万年筆もとっくになし 池田澄子
風光る万年筆の加賀蒔絵 伊藤とう子
文化の日万年筆は名を変へず 鈴木栄子
万年筆の中に泉やさくらの芽 正木ゆう子
万年筆の中の蓮池地獄かな 豊口陽子
万年筆呼び名変らず文化の日 鈴木栄子
茂吉忌の万年筆の太さかな 大牧 広
雷わたる万年筆の太古の黒 守谷茂泰
六月の万年筆のにほひかな 千葉皓史
獺のまつり人は万年筆ならべ 鈴木榮子
ぺりかんは万年筆や年暮るる 雨滴集 星野麥丘人
黄濁の川鳴る胸に万年筆 橋閒石 無刻
砂に落つ万年筆で千鳥詠む 阿波野青畝
秋深み万年筆を落しけり 橋閒石 微光
初句会万年筆の赤い軸 亭午 星野麥丘人

夕薄暑万年筆のインク涸れ 窪田久美 (weblio辞書より)

手帳(俳句検索様 17句)

野菊一輪手帳の中に挟みけり 夏目漱石
ちらと見し手帳のよき字毛見の老 皆吉爽雨

ボールペン(575筆まか勢様 13句)

はがき書く皐月の水性ボールペン 高澤良一 石鏡
ボールペンと一杯の水三鬼の忌 原田喬
ボールペン嫌ひを通し鴎外忌 片山由美子 水精
ボールペン蛇の尻尾に近づきぬ 相原左義長
ボールペン走らせすぎて枇杷灯る 井上淑子
ボールペン売も出てをり苗木市 加倉井秋を 午後の窓
ボールペン落として気づく冬すみれ 三田村弘子
寒の日に透けて水性ボールペン 高澤良一 暮津
菜種梅雨雲間におとすボールペン 平田 薫
蚕疲れや睡魔に放るボールペン 五十嵐春男
ボールペン始に句箋複写して 上田五千石『琥珀』補遺
ボールペン出先で買ひて夏本番 岡本眸
冬灯ちりばめK氏遺愛のボールペン 楠本憲吉 方壺集

ノート(以下、俳句検索様 13句)

若芝にノートを置けばひるがへる 加藤楸邨
デッサンの蟻百態のノートあり 深見けん二

地図 79句

清水のむかたはら地図を拡げをり 高野素十
胡桃割る閉じても地図の海青し 寺山修司

原稿用紙 2句

妻も使ふ原稿用紙どこも秋 加倉井秋を 『風祝』
六月の雨の原稿用紙かな 皆吉司

原稿紙 15句

原稿紙ペンの遅速に遠蛙 吉屋信子
原稿紙の枡目二百に夜の秋 河合澄子

写真 99句

写真見る昔ふとりしきぬかつぎ 高浜虚子
新樹並びなさい写真撮りますよ 藤後左右

獏 0句

※でも「獏の枕」は新年の季語になっているんだよ。

象 544句 穀象を含む

八月の窓の辺にまた象が来る 宇多喜代子
荒星や老いたる象のやうな島 夏井いつき

予定 8句

夢覚めて今日の予定や花菜摘 田中 起美恵
木の芽雨今日の予定の街に来て 稲畑汀子

インキ 4句 インクは13句

手さぐりてインク匂へる霜夜かな 石橋秀野
壷白くインクは冬の灯を吸へる 富澤赤黄男

メモ 28句

買初のメモ靴墨と神曲と 飛旅子
数へ日やメモ一つ消し二つ足し 大橋敦子

コラムその2 私的万年筆の季感

ざっとイメージでいうと
パイロットは春、ペリカンとセーラーは夏、パーカーは秋、モンブランとラミーは冬。なんてね。
夕焼けもミクサブルなり金のニブ

5.NB的歳時記とは

歳時記は出版社によって例句のとり方に大きな特徴があるから、NB歳時記を作るなら、新しい季語をバンバン加えるのはちょとアレなので、収録した例句の全てが、文具だったり、旅だったり、チーズだったり、獏だったりを読み込んでいるっていうのを目指してみたらいいんではないかと思うの。

どっかで出してくれないかなぁ。とゴロゴロしつつ、日々、例句集めに精出して、「NOTEBOOKERS歳時記」を編纂していくってのも、よいライフワークではないかと思ったりした第一回を終了します。

 

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第3回Bullet Journalプチオフ会にちょっとだけ参加してきた話

Posted on 17 6月 2018 by


毎度ご無沙汰しております。
今年2月に行きつけのポケモンセンターで限定品のピカチュウモレスキンを入手したのをきっかけにBullet Journalをしていた私。去る2018/6/16、むやたん様主催の第3回Bullet Journalプチオフ会に参加してまいりましたので、筆をとった次第です。
といっても、都合により第1部の手帳朝活の部分にしか出られなかったのですが…

朝の部だけにも関わらず、時間が濃厚でした。
集まった4名で、時に黙々と手帳を書き、時にグデグデと手帳をはじめとする文房具周りの雑談で盛り上がり…
文章だと何その緩すぎる集まり、という印象しか持たれないかもしれませんが、大量の文房具に囲まれながらゆっくり時間が過ぎていくこのひと時がもう本当に幸せな時間だった(語彙力不足)。
特に黙々と手帳書いてる時間なんかは、小中学生時代に友人同士で集まってみんなで宿題やってた時を彷彿させ、懐かしさも相まって。
しかも主催者様から、限定モノの添え文箋やらマステやらをお裾分けいただきまくる始末です。

次は、皆さんにお裾分けできそうな文房具を携え、メインプログラムまで出てみたいです。
引き続き開催予定とのことですので、Bujo愛好家の皆様やご興味をお持ちの皆様におかれましては、今後ぜひご参加を検討されてはいかがでしょうか!

むやたん様、そして参加者の皆様、すてきな時間をありがとうございました。

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断片

Posted on 17 6月 2018 by

わたしはあまりノートを書かない。たぶん、Notebookersイチ、ノートを書かないんじゃないかと思うくらいに書かない。
人のノートを見るのも実はあまり好きじゃない。いや、「好きじゃない」とは違う。すごく興味もあるし見たい気持ちもあるんだけど、見ることが少し怖い。生々しくそのひとそのものの欠片であるようなノートを覗くのに躊躇する。恐る恐る、に近いような気がする。

ずっと昔、

本を本棚に収めている時に見つけて、何の本だろう?と開いたら、本ではなくて手書きのノートだった。ノートだ、と思った瞬間あわてて閉じたので何が書いてあったのかは知らない。本の間に無造作に突っ込んであったくらいなのだから
・・・
うっかり見つけてしまったノートブックを隠すように差し込んだその本棚の隅は、結界が張ってあるみたいに、禁忌のように、その家を出る何年もの間ずっと、触るのも、視線を落とすことすらも避けた。

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柚子の木の折返し場、殿の谷戸、めぐみ野、日あたり台、野猿峠、絹の丘、多摩丘陵、打越弁財天、北の野、北野天神、六万坊、子安、

※ バスに乗りながら

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not much / nothing much
without haste
modest – confident

─────

ポストアポカリプス
Post-apocalypse
Post-apocalyptic

─────

echo break crack

─────

マギーブイヨン
キャベツ茹でてみじん切り
絞って
ミンチ牛豚合挽き
にんにくみじん
玉ねぎ生でみじん
塩、胡椒、
醤油はほんの気持ち

※ 母の餃子のレシピ。ブイヨンは餃子ではなく、餃子をつける付け汁。うちの餃子はちょっと変っていて、野菜っぽいさっぱりした焼き餃子を温かいつゆにざぶんとつけて食べる。

─────

卵豆腐
卵1 だし2

茶碗蒸し
卵1 だし4

いりこだし

※ 卵の蒸し料理だしの配分

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lquince paste
halloumi / hellim

※ ずっと食べてみたいと思いながら見たこともなく2年半経った。

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コンテ
カマンベール ノルマンディ
ブルーチーズ61

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酒、塩、胡椒、醤油、にんにく(おろし)

まるのまま一晩漬ける
唐揚げ
カットして一味唐辛子をぱらり

※ 砂肝の唐揚げ

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ごまめ一袋をからからさくさくになるまで(弱火で25分)から炒り(途中から胡桃を加えて一緒に炒る)する
オレンジマーマレードに醤油を加えて煮る。しゃもじですーってなるまで煮込んだところにごまめと胡桃を加えて混ぜ、からんだら、バットへあけて冷ます。

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6/9 1030

6/3 5/25 4968
6/23 6/14 1840

※ 謎の数字。家計簿につける何かの代金のメモかと思ったんだけど、複数の日付(らしきもの)にまたがるものもあって謎。

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マシュマロトースト
とろけそうに愛くるしい人たちに乾杯

※ 何かの本からの抜書き。「ザ・コピーライティング」(ジョン・ケープルズ著)のような気がする(曖昧)

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El Borrachito Canto andino
El Borrachito del canto andino
The Andean ridge Borrachito

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that’s ok i like it

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琥珀と硫黄と魔法の材料。
革のリボンで縛られる。

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絵が欲しいにはマッチするが、絵を買うことによる諸々にはマッチしない
(インテリア、技巧)

重い額縁、モダンな額縁

絵描きのパトロン

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ハシエンダアルナシア

ハシエンダアルサシアの間違い。スターバックスのコーヒー豆。音の響きが好きでメモしたものだと思う。

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マイナンバーカード
4.5×3.5

パスポート切替新規申請
一般旅券発給申請書
4.5×3.5

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‘最良のデザインに出会うと、「このデザインが採用されたのは必然だ」などと感じたりするものですが、たいていは別のデザインもありえるのです。’

※ 何かの本からの抜書き。「マイクロインタラクション」(Dan Saffer著)のような気がするけどまったく違う気もする

─────

ふと思いついて、日曜日の夜のホテルをとってみた。

※ 次

─────

154

アドルフヴェルフリ

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59 59
104-5

2.02 1.36 1.77
1.76

1.70 1.79
1.48

1.34 2.12

※ 寸法

─────

島に住む伯母がいる。伯母の家は納屋から小さなモノレールが出ていて、お山のみかん畑に続いていた。冬になると、ダンボールいっぱいの甘酸っぱいみかんが船に乗って島から届いた。
高校生の時、船で島から通ってくる子たちがいた。とても優秀で何で島からの子はみんな賢いんだろう?と思っていたのだけど、「船で勉強してるんだよ」と聞いて何だかとても納得した。電車通学もバス通学も(自転車通学も!)したことのないわたしにとって、”通学の船”で勉強したりマンガを読んだりおしゃべりをしたりという時間は、何だかとてもうらやましいものだった。
自転車でフェリーに乗って、島に海水浴に行った。自転車でひと山超えて港の反対側に出た時の、夏の濃い日陰の道から真っ白な太陽の光にきらきらした海。

瀬戸内海沿岸の町に暮らしていると、島や船はとても身近なものだ。島に住む彼らは電車やバスのように船を使い、電車やバスの時刻表のように船の時刻表を気にし、駅やバス停のことを話すように港を話す。わたしは島に住んだことがないので、彼らのように船を使ったことはない。
と、帰省して実家にいる時にふと思い立って、海路で隣町に行ってみようと思った。

http://www.go-shimanami.jp/access/ship_map.html

三原→(鷺経由)→因島・重井港
徒歩30分弱?
重井東港→尾道
尾道(福本渡船)→向島→尾道(福本渡船)

※ 3年近く前、午前中の船旅。とても暑い日。尾道でラーメンを食べて、電車で帰った。

─────

わたしはあまりノートを書かない。食べたものはしばらくつけていたのだけど、結構な負担になるのでやめてしまった。iPhoneの「メモ」と写真と、時々頭の中の情報を整理するために紙に描くくらい。今日はそのノートをそのまま、ここに置いてみたくなった。

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ノートの日記

Posted on 17 6月 2018 by

ノートが日記を書けたなら
ノートは日記になにを書く

ノートを開いたときのこと
ノートはけっして忘れない

ノートは主人をえらべない
どう汚されても抵抗しない

ノートが日記を書いたなら
多くの不満で埋まるだろう



私はあなたを受け容れたい
けれどもあなたは躊躇った

あなたは自分を誤魔化した
あなたはみんなを誤解した

あなたは途中であきらめた
あなたはそのまま放置した

あなたは私を破って捨てた
あなたは私に遠慮しすぎる



ノートは主人の似姿になる
時には主人の本性をも示す

ノートが日記を書けたなら
それは誰に似ているだろう

                              (主人)

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残すノート

Posted on 12 6月 2018 by

物凄くお久しぶりです

生きてます。何気に生息しています。

昨年、母が旅立っていきました。
行年80。一緒に東京オリンピックを見ようねと言っていた矢先。

残念で仕方無かったのですが、最近思うのは
持ち得てきた寿命だったのだな
これに尽きます。

 

先般、息子氏にシャーペンはどこの何がいいのかと尋ねられまして。

きたな、いよいよきたな。

文房具の森へようこそ。

 

個人的にはぺんてるのスマッシュ

文字を書いていても疲れない。いい具合。

これ使いなよと貸したところ、息子氏も絶賛。

小学生でもわかるものはわかるんだよね。

 

スマッシュは近所の文房具店では見つけられず、地元では割と大きな文房具店へ向かいまして。

お見事!ゲットしたのですが。

 

その時に何気に目に入ったのが御朱印帳でした。

菩提寺に持っていくのはまあありとして、実はそこまで御朱印にご執心でもなく。

あ、でもこれはあれだなと。閃いたわけです。

 

母が亡くなって一番に困ったのが、預貯金やら保険やら、いわゆる個人情報のすべて。

例えば暗証番号。例えば何かのパスワード。

確かにその時点で不要といえば不要で、そのあとの動き方では様々解決はするのだけど。

お葬式に誰を呼んでほしいだとか、どのような戒名がいいだとか、

その時々に思ったことなんかを記しておくには良いアイテムなんじゃないかなと。

まだそのページは開いてもいないけれど、不惑の齢。少しづつ書いていってもいいんじゃないかと思っています。

 

画像を貼りたかったのだけど、新しくなったPCに未だ慣れず。

近日中にアップするもんね!

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あゆはぴ?

Posted on 10 6月 2018 by

幸福か不幸かを答えてはいけない
幸福であれば綻びてしまうし
不幸であれば囚われてしまうから

幸福だったかと尋ねてはいけない
肯定ならば今が虚しくなるし
否定ならば全てが悲しくなるから

幸福になろうと誓ってはいけない
頷けば追い詰められていくし
首を振ればずっと後悔が続くから

幸福のリストを作ってはいけない
書き終えてしまえば寂しいし
それ以外の全てが不幸になるから



幸福だなどと微笑んではいけない
真顔にかえれば重荷になるし
微笑み続けるのはつらすぎるから

幸福を探し回っていてはいけない
見つからないと不幸になるし
見つかっても幸福は続かないから

幸福という物を求めてはいけない
形の有るものは不幸になるし
形の無いものは幸福じゃないから

幸福と幸運を混同してはいけない
幸運は幸福とは関係がないし
幸福でいることは幸運なのだから



幸福な人生など信じてはいけない
最期の瞬間まで確定しないし
確定した途端に離れてしまうから

幸福と不幸とに分けてはいけない
不幸なゴミは生ゴミになるし
幸福なゴミは粗大ゴミになるから

幸福と楽天家を分けてはいけない
楽天家だけが幸福を生きるし
幸福だけが楽天家の取り柄だから

幸福を留めようとしてはいけない
幸福に縋るのは不幸の証だし
幸福は鎖に繋がれると暴れるから

Are you happy?
Yes,I have been happy!
                 (放流)

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Campusノートは復讐するか 【KOKUYO Campus 無地 W 80枚 A5 ノ-108W-M レビュー】

Posted on 07 6月 2018 by

無印良品のドット方眼A5を使っていたという話を以前しましたが,いろいろと公私ともに最近書き込むことが多く,なくなりそうになっていまして.

確か廃盤だったので,次のノートを探さないと,となりまして.

大学の生協で,古き良きCampusノートの横に,スパークリングしているノートがありましたので,レビューすることにしました.

こちら.

 

【KOKUYO Campus 無地 W 80枚 A5 ノ-108W-M】

 

値段は250円ほどでした.

アマゾンなどをポチっているかたは,黒い表紙のものはご覧になったことがあるかもしれません.こちらはその無地タイプです.

2018年06月07日現在Amazon直接の取り扱いはないようです.残念.

 

さて,気になるのはもちろん,宣伝文句の”大人キャンパス”です.

表紙がハニカム構造になっていて,テカった感じはなく,マットな触り心地.

しっかりとやすりをかけた木みたいな触り心地···?いいすぎ?いいすぎだよね.

背表紙テープの銀色がまぶしい.スパークリング部分.

フォームファクター的には素敵なノートです.個人的にはかなり好きなデザインですね.

 

中身はフル無地です.

In case of loss… もなければ,ポケットもありません.フラットに開くわけでもありません.

しかし,例えばアピカのプレミアムCDノートとか,あるいはMDノートの半分以下の価格ですから.

もう見た瞬間からコストパフォーマンスが高い予感がむんむんしてましたから.

それはそれで.

A4の紙を二つに折って縫っただけでしょ,とか言わない言わない.

 

気になるのは,KOKUYOさんのホームページの図が無地=アウトプットしたい人のために!みたいな感じになっていたこと.

なに言ってんだい,インプットも無地でできますよ,って言いたくなっちゃう.

あるいは私のインプットはラフスケッチかと.

販売戦略が気に食わない.ノートに罪はないが.

 

いちおう,裏うつりテストをば.

ゲルインクだとまぁもしかしたら場合によっては,ぐらいのうつり方でしょうか.

 

森林認証された中性紙を利用しているとのこと.JIS認証もされています.

遠慮がちなMade In Japan.If it still means something to you, I mean.

A5の取り扱いやすさ,落ち着いたデザインと配色,きらりと光る背表紙テープ.

なんだかちょっとファンになっちゃいそうです.

 

罫線のノートを使わないので,ご無沙汰になっていたキャンパスノート.

昔はB5の80枚のノートを使って,ビルマ語とか勉強してたんですよ···

昔の友だちに再会した気分,多分これが近い.

 

And back to our initial question. 

【キャンパスノートは復讐するか?】

Oh YES. Definitely.

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Note of the note ―ノートの調べ  p.5 太宰治さんの横顔のノート

Posted on 03 6月 2018 by

はじめに

「Note of the note -ノートの調べ」 と題した不定期シリーズ。
このシリーズでは、著名人のノート、手稿、手帳、日記などを紹介し、そこに込められた作法と思いを検証していく。

第5回目は、太宰治さんのノートを鑑賞する。

出典


1.別冊太陽 日本のこころ159 太宰治 生誕100年記念 平凡社 2009.07.09

2.弘前大学付属図書館貴重資料 太宰治自筆ノート(「英語」ノート、「修身」ノート)

予習用読方帖

1923(大正12)年。14歳のとき、青森県立中学校受験勉強の一環として、二十篇の課題綴方を書いた。(p.169)

   

左 表紙 右 本文 (p.23)

官立弘前高等学校1年(1927/昭和2年/18歳)の英語ノート

英語のノート

英語の教科書の見返し(p.37)

 

弘前大学付属図書館貴重資料 太宰治自筆ノート 「英語」より

表紙

見返し

ノートの解説は

青森近代文学館 太宰治の旧制高校時代のノートについて 安藤宏(東京大学准教授)(以下「解説」とする)による

「英語」のノートから解説に入ることにしよう。
使われているのは横罫線二三行の大学ノートで、表紙左上に弘前高校の校章が刷り込まれ、裏表紙に「今泉本店(注ー弘前市内の主要な書籍店)特製」の標記がある。サイズはA4版に近い縦二一〇ミリ、横一六五ミリ。表紙に「Johnson & Goldsmith/Essays by/T.B.Macaulay/The Hirosaki High School/L.1.1/S.Tsushima」と記入されている。太宰は昭和二年の四月に文科の一年一組に入学しており、「L.1.1」とあることから、第一学年時に使用されたものであることがわかる。

英語の授業は「発音」「綴字」「読方読解」「話方」「作文」「書取」「文法」からなっているが、このノートには文学作品の現代語訳が記されているので「読方読解」に該当するものであろう。

下(閲覧p79)顔の下の欄外の書き込み (解説より)

橄欖之実が/ほろほろと/月の光に 散つて行く/TaRanTuLa!/蜘蛛に咬まれた若者は/空を見つめて 舞ひ狂ふ/哀れ悲しく/舞ひ狂ふ

当時、多くの高等学校がそうであったように、弘高でもまた、〝ノート主義〟ともいうべき風潮が支配的だったようだ。あたかも速記術を思わせるような口述筆記が授業の中心をなし、それが学生にとって大きな負担になっていたようである。(解説)

落書きページ

裏表紙

「英語」のノートには、実に多くの箇所に落書きがあるが、その大半は肖像画(4~8、14、19、27~30、34、36、40、41、43~45、47、53、57、59、73、83、86、裏表紙など)と、英語・日本語による自己の署名(3、58、59、86など)である。(中略)自画像や、来るべき文壇デビューに備えてのサインの練習(?)を繰り返している様態は興味深い。

官立弘前高等学校2年(1928/昭和3年/19歳)の修身のノート

「修身」の科目は文理共通の三カ年に渡る必修科目。
講義内容の大まかな構成は次のようになっている。
吾人ノ国家観及ビ吾国体
国家ト個人ナラビニ愛国心
歴史上ヨリ見タル吾国ノ特性
日本民族ノ外観
1、日本の民族及国民(注ーここから〈第参学期〉とある)
2、日本ノ国民国家
3、日本社会運動ノ諸傾向ト我が氏族性(ママ)(解説)

表紙

表紙見返し

「修身」もやはり「英語」同様、横罫線二三行の大学ノートで、弘高の校章が刷り込まれ、サイズも同一である。ただしこちらは「今泉本店特製」ではなく、「神書店製」の標記。表紙に「修身/宮城教授/弘高/文 二 一/津島修治」の記入がある(「二」の漢数字は白黒の画像だと「三」に見えるが、実際は「二」である)。昭和三年度、太宰の第二学年時のものと考えられよう。38頁まで使われ、あとは白紙。なお、ノートの終わりの部分に七ページに渡る落書きがあるほか、「英語」同様、表紙、裏表紙、表見返し、裏見返しにも落書きがある。(解説)

閲覧p.71 自画像?

閲覧p.79 津島修治サイン

顔ばかり

裏表紙

二冊のノートの人物画像の合間に頻出する数多のサインは過剰な自意識の表象でもあろう。名前と共に The Hirosaki High School の署名が多く記されているが、そこからは一方で旧制高校スピリットの交錯した、屈折したプライドをうかがい知ることができる。(解説)

太宰治愛用の万年筆

(別冊太陽 p.41)

エヴァーシャープの万年筆はもともと美知子夫人がアメリカ土産にもらった品であったが、いつからか太宰が使うようになった。透明な軸は途中で破損して取り替えいちいちインクをつけて書いていたが、軽く字を書く癖があった太宰は、1939(昭和14)年頃から最期まで、この万年筆1本で執筆を続けることができたという。
(この文は、青森近代文学の名品 vol.1 太宰治 愛用の万年筆より)

太宰治さんの万年筆は、EVERSHARPのDoricシリーズかと思われる。(キャップの金具の形状から)検索により似たものは見つかったが、型番は判明しなかった。しかし、同型の万年筆を落札なさったジョリ様のブログを見つけた。参考としてご紹介する。ジョリのブログ 2016-01-07 太宰治の万年筆

ちなみに使用していたインクは 丸善のアテナインキ(P.149)とのこと。

有明淑の日記

彼女が19歳の頃、本人が太宰へ郵送した。

太宰はこの日記を再構成して『女生徒』を書きあげ、川端康成の絶賛を受ける。1939(昭和14)年4月「文学界」。翌年12月には北村透谷文学賞副賞を受賞した。

太宰から『女生徒』を送られた彼女は感激し、長く愛蔵したという。(p.80)

手帳

1947(昭和22)年12月のページ。(38歳)

(P.115)

この年の11月に『斜陽』のモデル太田静子との間に治子が誕生。太宰は認知。12月に『斜陽』発表。一躍流行作家となるも、精神と身体は蝕まれ続ける。3月末に、看護婦兼秘書の役割を果たす山崎富栄と出会っている。

『M.C様へ うぬぼれないでください』

太宰は、M.C、マイ・コメヂアン、を自称しながら、どうしても、コメヂアンになりきることが、できなかった。(坂口安吾『不良少年とキリスト』より抜粋)(p.102)

1948(昭和23)年2月のページ(39歳)

この年、『太宰治全集』の配本が始まる。

『如是我聞』を連載。『人間失格』の執筆開始直前の時期。

この4か月後に山崎富栄と入水心中。

おわりに 横顔のノート

弘前高等学校時代の二冊のノートのおびただしい落書きの大半が「横顔」であったことが、ひじょうに印象深い。横顔で目立つのは、「鼻」「顎」そして「眼」である。

「鼻」「顎」は、自尊心の象徴として用いられるものであるし、「眼」は虚栄心、自惚れ、承認欲求などを表すように思う。そして、その眼が真正面からではなく、横、もしくは斜であることが、太宰治さんの性質の全てを表しているかのように思われるのだ。

たとえば太宰治には過敏な自意識はあります。いつも他人に見られていると思っている。しかし、そこに「まなざし(サルトル)」はないと思います。日本の私小説家は自意識だらけですけれど「まなざし」はない。
柄谷行人(『ダイアログⅤ p.331 戦後文学の「まなざし」)より

『太宰は絵や書を一気呵成に仕上げることが多かった。とくに酒席の「席画」が好きで、酔った勢いでものの数分で描くこともしばしばだったという。(pp.58-59)』

左頁 自画像 /1947 (昭和22)年

右頁上 三つの貌 /1947(昭和22)年

右頁下 風景 / 1940 (昭和15)年ごろ

さいごに、太宰治さんといえば、月見草が有名だが、私には1940(昭和15)年に描かれた「水仙」の絵がとても印象深かった。

以上

おまけ 5月のマンスリー絵日記

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