Archive | 8月, 2018

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仲介者

Posted on 26 8月 2018 by

。私は変わらない。あなたが変わった。竜安寺の石庭は言う。私は変わらない。あなたが変わった。シーラカンスは言う。私は変わらない。あなたが変わった。オリュンポス神殿は言う。私は変わらない。あなたが変わった。奈良の大仏は言う。私は変わらない。あなたが変わった。バーミヤンの石仏は言う。私は変わらない。あなたが変わった。1パック128円の卵は言う。私は変わらない。あなたが変わった。一袋35円のもやしは言う。私は変わらない。あなたが変わった。100グラム245円の輸入牛肉は言う。私は変わらない。あなたが変わった。カタクチイワシは言う。私は変わらない。あなたが変わった。鈴茂ロボは言う。私は変わらない。あなたが変わった。カップヌードルは言う。私は変わらない。あなたが変わった。チャールズ・ダーウィンは言う。私は変わらない。あなたが変わった。アレクサンドリア図書館が言う。私は変わらない。あなたが変わった。アンティキティラ島の機械は言う。私は変わらない。あなたが変わった。クロマニヨン人は言う。私は変わらない。あなたが変わった。ドードー鳥が言う。私は変わらない。あなたが変わった。イクチオサウルスが言う。私は変わらない。あなたが変わった。アノマロカリスは言う。私は変わらない。あなたが変わった。ステラーカイギュウは言う。私は変わらない。あなたが変わった。ダイアモンドは言う。私は変わらない。あなたが変わった。ウラン235は言う。私は変わらない。あなたが変わった。皇帝ネロは言う。私は変わらない。あなたが変わった。青色はぐれ星は言う。 私は変わらない。あなたが変わった。ヒッグス粒子は言う。 私は変わらない。あなたが変わった。アイン・シュタインは言う。私は変わらない。あなたが変わった。ボブ・ディランは言う。私は変わらない。あなたが変わった。 ル・コルビジェは言う。私は変わらない。あなたが変わった。キマダラルリツバメは言う。私は変わらない。あなたが変わった。バオバブの木は言う。私は変わらない。あなたが変わった。モアイ像は言う。私は変わらない。あなたが変わった。母は言う。私は変わらない。あなたが変わった。アレン・ギンズバーグは言う。私は変わらない。あなたが変わった。ストラディバリウスは言う。私は変わらない。あなたが変わった。ドラム式洗濯機が言う。私は変わらない。あなたが変わった。アレクサが言う。私は変わらない。あなたが変わった。アドルフ・ヒトラーは言う。私は変わらない。あなたが変わった。ホームレスは言う。私は変わらない。あなたが変わった。スティーブ・ジョブズは言う。私は変わらない。あなたが変わった。織田信長は言う。私は変わらない。あなたが変わった。オスマン=トルコは言う。私は変わらない。あなたが変わった。クヌム・クフは言う。私は変わらない。あなたが変わった。クレオパトラは言う。私は変わらない。あなたが変わった。与謝野晶子は言う。私は変わらない。あなたが変わった。3Dヘッドマウントディスプレイは言う。私は変わらない。あなたが変わった。Notebookersは言う。私は変わらない。あなたが変わった。書かれたページは言う。私は変わらない。あなたが変わった。書かれていないページは言う。私は変わらない。あなたが変わった。あなたは言う。私は変わらない。あなたが変わった。私は言う。私は変わらない。あなたが変わった。

変わらないことが変わることであり、
変わることが変わらないことである。
変わること変わらないことの両方を、
同時に見られる場所はどこにもない。

ただ有機交流電燈として明滅し続け、
ノートの前後を交互に照らすだけだ。

(修羅)

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NOTEBOOKERS+俳句 2 ― ノートブッカーズっぽさとは?

Posted on 19 8月 2018 by

0.はじめに

俳句好きで、NOTEBOOKERSなら、「俳句+文具」とか考えねばならぬと、手持ちの歳時記を読んでみたところ、NOTEBOOKERS的(以下NB的)とはほど遠いことがわかってしまったので、「じゃあどうすればいい?」を不定期で考えることにして。

1.俳句拾い報告

今回は『日本の詩歌 俳句集』中央公論社 1989.7.25 新訂3版 から。
この本には明治後期から昭和中期まで、47人の俳人の4,000余句が納められていました。そのなかから、前回同様、「NB的季語、および事物」(Nb+俳句1の記事参照)を、「事物」の五十音順にまとめました。

凡例:|事物|季語|季節|分類|俳句|作者|ページ数| です。

(季節と、分類の前の数字は、ソート用の番号ですので、お気になさらないで)

暗室|きりぎりす| 3秋| 6動物|暗室や心得たりときりぎりす| 夏目漱石| 13

椅子| 月| 3秋| 2天文| 月光に一つの椅子を置きかふる| 橋本多佳子| 225

鉛筆| 露| 3秋| 2天文| 鉛筆で指さす露の山脈を| 加藤楸邨| 323

汽車| 夏の月| 2夏| 2天文| なほ北に行く汽車とまり夏の月| 中村汀女| 248

毛糸| 毛糸| 4冬| 4生活| 久方の空いろの毛糸編んでをり| 久保田万太郎| 143

珈琲| 夏の夕| 2夏| 1時候| 珈琲や夏のゆふぐれながかりき| 日野草城| 272

書| 春さき| 1春| 1時候| 春先に指のかげ置く書をひらく| 藤後左右| 371

書| 良夜| 3秋| 2天文| 人それぞれ書を読んでゐる良夜かな| 山口青邨| 164

書庫| 足袋| 4冬| 4生活| 日々の足袋穢しるし書庫を守る| 竹下しづの女| 126

焚火| 寒月| 4冬| 2天文| 寒月に焚火ひとひらづゝのぼる| 橋本多佳子| 228

焚火| 焚火| 4冬| 4生活| 隆々と一流木の焚火かな| 秋元不死男| 286

焚火| 焚火| 4冬| 4生活| 道暮れぬ焚火明りにあひしより| 中村汀女| 249

旅| 花火| 2夏| 4生活| ねむりても旅の花火の胸にひらく| 大野林火| 309

旅| 蛇苺| 2夏| 7植物| 蛇苺 遠く旅ゆく人のあり| 富沢赤黄男| 291

旅| -| しんしんと肺碧きまで海のたび| 篠原鳳作| 350

旅| -| 満天の星に旅ゆくマストあり| 篠原鳳作| 350

旅人| 落葉| 3秋| 7植物| 木曽路ゆく我も旅人散る木の葉| 臼田亜浪| 51

旅人| 落葉| 3秋| 7植物| 旅人は休まずありく落葉の香| 前田普羅| 92

沈思| 冬木| 4冬| 7植物| 沈思より起てば冬木の怖ろしき| 石井露月| 37

机| うそ寒| 3秋| 1時候| うそ寒の身をおしつける机かな| 渡辺水巴| 67

机| 朝顔| 3秋| 7植物| 朝寒の顔を揃へし机かな| 夏目漱石| 13

机| 元日| 5新年| 1時候| 元日の机によりて眠りけり| 原石鼎| 118

手紙| -| ねそべつて書いて居る手紙を鶏に覗かれる| 尾崎放哉| 106

トランプ| 薔薇| 2夏| 7植物| トランプを投げしごと壺の薔薇くづれ| 渡辺水巴| 79

トランプ| 狐| 4冬| 6動物| 母子のトランプ狐啼く夜なり| 橋本多佳子| 226

夏書| 夏書| 2夏| 5行事| 今年より夏書せんとぞ思ひ立つ| 夏目漱石| 11

波のり| 波のり| 2夏| 4生活| 波のりやかへりの波にぱつと遇ふ| 藤後左右| 370

日記| 埋火| 4冬| 4生活| 偽書花屋日記読む火をうづめけり| 久保田万太郎| 149

日記| 炭| 4冬| 4生活| 花屋日記伏せて炭つぐ薄日かな| 渡辺水巴| 78

文机| 植田| 2夏| 3地理| 文机に坐れば植田淡く見ゆ| 山口青邨| 168

史| 夜長| 3秋| 1時候| 泣き入るや史読み断ちて灯夜長| 松根東洋城| 46

頁| 逝く年| 4冬| 1時候| 逝く年のわが読む頁限りなし| 山口青邨| 170

ペンだこ| -| 雑布しぼるペンだこが白たたけた手だ| 尾崎放哉| 107

本| 露| 3秋| 2天文| 本を積み庭草高く露けしや| 山口青邨| 175

マッチ| 霧| 3秋| 2天文| 一本のマッチをすれば湖は霧| 富沢赤黄男| 290

臨書| 年の瀬| 4冬| 1時候| 年の瀬の蠅吹き飛ばす臨書人| 小沢碧童| 64

やはり、少ない。

が、あまり大量でも拾うのが大変だから、まあいいか。(正岡子規さんは病をおして、10万2千余句を徹底分類したんだよ。すごいんだよ 『分類俳句全集』昭和3-4年・アルス刊)

ほぼ日weeksMEGAの豊富なノートに。

2.ノートブッカーズの人となり?

俳句を拾っていると、季語も事物もノートブッカーズ的ではないけれども
「この感じはノートブッカーズっぽいんじゃないか」という句がある。

それらを捨てるに忍びなく、こちらにまとめてみた。

長閑| 1春| 1時候| のどかさに寝てしまいけり草の上| 松根東洋城| 43

春| 1春| 1時候| 手をとめて春を惜しめりタイピスト| 日野草城| 269

余寒| 1春| 1時候| 世を恋うて人を恐るる余寒かな| 村上鬼城| 17

花| 1春| 7植物| チチポポと鼓打たうよ花月夜| 松本たかし| 343

清水| 2夏| 3地理| 百里来し人の如くに清水見る| 細見綾子| 358

麻服| 2夏| 4生活| 麻の服風はまだらに吹くをおぼゆ| 篠原梵| 375

籐寝椅子| 2夏| 4生活| 一碧の水平線へ籐寝椅子| 篠原鳳作| 350

夏帽| 2夏| 4生活| 夏帽や職場の友は職場ぎり| 安住敦| 367

河鹿| 2夏| 6動物| 畳に河鹿はなしほうほうと言ふて君ら| 葛谷六花| 39

筍・空豆| 2夏 .7植物| たけのこ煮、そらまめうでて、さてそこで| 久保田万太郎| 148

踊| 3秋| 4生活| 通り雨踊り通して晴れにけり| 松本たかし| 337

朝顔| 3秋| 7植物| あさがほをだまつて蒔いてをりしかな| 安住敦| 366

朝顔| 3秋| 7植物| 北斗ありし空や朝顔水色に| 渡辺水巴| 77

霜| 4冬| 2天文| パン種の生きてふくらむ夜の霜| 加藤楸邨| 322

埋火(うずみび)| 4冬| 4生活| 孤り棲む埋火の美のきはまれり| 竹下しづの女| 128

日向ぼこ| 4冬| 4生活| 雑音に耳遊ばせて日向ぼこ| 竹下しづの女| 125

雪合羽| 4冬| 4生活| 火に寄れば皆旅人や雪合羽| 細見綾子| 361

クリスマス| 4冬| 5行事| へろへろとワンタンすするクリスマス| 秋元不死男| 283

一日のポケットから何もかもつかみだした| 栗林一石路| 195

食べる物はあつて酔ふ物もあつて雑草の雨| 種田山頭火| 82

指ほそく抛物線を掴むかな| 富沢赤黄男| 292

3.ノートブッカーズっぽさとは?

Q:ノートブッカーズっぽさって何?
A:実例があれば、その都度判断できるけど、「定義」からは常に逃れてしまうものだよ。

私が感じるNBっぽさとは、たとえばこれまでに読んできた記事の記憶、一昨年のTNMで出会った方たちとの思い出、タカヤさんの印象、部活のラインナップ、タグの言葉なんかの総体としてのイメージのブレンドなんだと思うな。

草の上で寝てしまったり、仕事の途中にすぎゆく春を感じてみたり、世界って素晴らしいけどなんとなく人見知りだったり、籐椅子に寝そべってのんびりと水平線を眺めて一日を終えたり、畳に蛙を放しておもしろがってみたり、雨の間中踊っていたり、独りでいる時間に浸ったり、クリスマスの夜に、へろへろとワンタンをすすっていたり。そんなノートブッカーに、私はなりたい。

これは人によって違うんだと思う。

「この句は要らない」「この句は絶対入れとかないと!」という意見は、NB記者の皆様、NB読者の方々の数だけあっていいんだと思うので、ご意見熱烈歓迎どしどしね。(なにしろ、このタイプの句を拾うには、ただひたすら「句に出会う」しかないわけですから)

今回はこのへんで。NB歳時記にむけて、これからも俳句を拾っていきませう。

次回は「文具俳句」を集めてみたいな。

おまけ「象」の俳句集

うららかや絵本の象が立ちあがる 藤井寿江子
二月の雲象かへざる寂しさよ 橋本多佳子
ナウマン象一頭分の花の冷 高野ムツオ
春や佐保路普賢の象に乗る夢も 河原枇杷男
象の爪を磨いている春の夜の嵐 斎藤冬海
音もなく象が膝折る日永かな 角 和
象の背にキリンの首に黄沙降る 石川天虫
春風をあふぎ駘蕩象の耳 山口青邨
遠足にとり囲まれて象孤独 野中亮介
象の鼻吹きたるやうなシャボン玉 石河義介
試験果つ象は鼻から水噴いて 田口彌生
涅槃図や身を皺にして象泣ける 橋本 榮治
象よりも大きく涅槃し給へり 有馬籌子
象の背をころがる水や花祭 石田由美枝
船にのせて象はかりけり揚雲雀 龍岡晋
花吹雪象はいよいよ目を細め 田中敦子
涼しさや象を見おろす天守閣 仙田洋子
はるかなる君が背にわれ夏の象 五島エミ
炎天の原型として象あゆむ 奥坂まや
南風や扉よりも重く象の耳 有馬朗人
父の日や暗くて広き象の背な 下山宏子
ヨット行く湖底に眠るナウマン象 安井信朗
象みずから青草かずき人を見る 西東三鬼
象使ひ白き横眼を緑蔭に 白泉
やや寒の象に曳かるる足鎖 秋元不死男
象も耳立てゝ聞くかや秋の風 永井荷風
象の頭に小石のつまる天の川 大石雄鬼
象の餌のゆたかに積まれ敗戦忌 白岩てい子
音楽のわかる象の尾草の花 後藤比奈夫
芭蕉の葉象のごとくにゆらぎけり 安田蚊杖
象が曳く鎖の音の寒さかな 柊 愁生
サーカスの象吊る港十二月 野溝サワ子
節分や寒気の熊と温気の象 秋元不死男
はつふゆや象のかたちに帽子置き 上田日差子
恋人に近づく冬の象の鼻 皆吉司
冬を耐ゆ象は全身皺にして 多賀庫彦
荒星や老いたる象のやうな島 夏井いつき
象の背の上の現世や寒の雨 高野ムツオ
伊吹嶺や風の象に冬の雲 辻 恵美子
冬日の象べつの日向にわれらをり 桜井博道
象の貌に涙の迹や冬旱 貞弘 衛
象を呑む蛇の話や冬籠 高野ムツオ
正月の空の青さに象匂ふ 光田幸代
初春の風にひらくよ象の耳 原 和子
初明り象あるもの眼に見えそめ 小川双々子
ねむれずに象のしわなど考える 阿部青鞋
受胎して象のあくびを眩しみぬ 鎌倉佐弓
電車ゴツンとアフリカ象が滅ぶ日か 高野ムツオ
たくさんのかなしみあつめ象歩く 森 武司
約束の眼鏡のなかに象をみた 前田圭衛子
灰色の象のかたちを見にゆかむ 津沢マサ子

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?>! ―『ユーケルの書』から

Posted on 12 8月 2018 by

書物は書物を越えて生き残る。(p.27 「白い空間6」)

人間は「問」だ 「問」=「?」ならば 手にした答えが「!」であらわされる。

その場合

疑問符と感嘆符。両者は{両替、翻訳、入替}不可能だ。断じて!

お前にとって語は一つの顔だ。
お前は私の顔を描いた。
私は自分の気になったところで、読み取られる。―レヴ・スミアス(p.71「書く習慣」)

「?」は∞の(細かな細かな)!を発生させるが、!をいくら集めても?は構築できない

「?」はつねに一つの(巨大な)「?」であり、「?」は「?」に重なることでしか×××。

疑うこと。それはたぶん限界を廃棄することと、骰子のまわりを回ることである。(p.109「第三部 サラの日記」)

万人のためのひとつの同じ反射板(p.125「サラの日記 Ⅲ」

われわれは不可能なものを通して結ばれている。-レヴ・カナリ(p.83「第二部 巻頭句」)

「?」は影だ。そして「!」とはその影に支えられた世界だ。

色とは影の叫びである -レヴ・ノエビ(p.163「ヴェールと処女6」)

※「ユーケルの書」
エドモンド・ジャペス著 鈴木創士訳。書肆風の薔薇〈選書 言語の政治⑦〉 1991.6.20
「問の書」シリーズ全七部作のうちの第二部にあたる。

「?」は「!」を求めるが「!」は自己差異化するばかりだ。

海は宇宙にぎざぎざをつける ―レヴ・アムロン(P.45「善の分け前 2」)

それは、深みへ向かっているように見せかける巨大迷路だ。「!」とはマスクメロンの亀裂に似ている。それは決して「?」の果肉を味わうことはできない。香りだけ、ただ香りだけだ。

人は水底でもがいたりしない。もがくのは水面でだ。(p.106「第三部 サラの日記」)

本に満たされている孤独の豊饒さ。「!」を探すのではなく「?」に遊ぶこと。

沈黙の響き。最初の谺。 -レヴ・ライエ(p.66「第二部 巻頭句」)

私はこの本を読むことが出来て、幸せだった。なによりもよかったことは、この本が「架空」と「贋者」に分断され続けている点だ。(cf.訳者あとがき)

さいごに、もっとも重要な文を引用して記事を終える

私が書くのは、私が言うことができるかもしれぬことの果てに赴こうと努めるたびに、今度こそそこに到達できるだろうと信じるからだ。―ユーケルの手帖(p.83「学者達と客たちのあいだで交わされた対話」)

(引用)

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Note of the note ―ノートの調べ  p.6 横尾忠則さんのデスクダイアリー とおまけ

Posted on 05 8月 2018 by

はじめに

「Note of the note -ノートの調べ」 と題した不定期シリーズ。
このシリーズでは、著名人のノート、手稿、手帳、日記などを紹介し、そこに込められた作法と思いを検証していく。

第6回目は、横尾忠則さんのデスクダイアリーを鑑賞する。

出典

横尾忠則 日記人生1982-1995 マドラ出版(1995.6.15 初版)

1年間365日のそれぞれの日を、一番面白い年からピックアップして1冊に編む。(中略)日付は連続しているけれど、実際の日にちはつながっていないという、なんというか、10年間をアトランダムに飛び回っている感じのアイデアが、ぼくはすっかり気に入ってしまったのだ。(同書あとがき)

横尾忠則さんのこと

TADANORI YHOKOO OFFICIAL WEBSITE
http://www.tadanoriyokoo.com/

詳細はこちらをご覧いただくとして、私にとっての横尾さんは、三島由紀夫さん、寺山修司さん達と仲良しのグラフィックデザイナーであり、「Y字路シリーズ」の画家だ。

今回出典元としている本は、横尾さんがつけ続けている日記を原寸コピーしたものである。365日(+α)の日記をまるごと掲載しているわけで、私は文章を全て熟読したわけではない。
だから今回は、この日記から横尾さんの魂に触れよう、というのではなく、ただひたすら、その見た目が、圧倒的にかっこよい、日記、メモ、ノート、スクラップブックなどの手本としたいページをピックアップすることを目的としている。

1.1995/2/26:1983/2/27

デスクダイアリーは見開き二日。横尾さんは、文章、イラスト、スクラップでページを埋めていく。

2.1993/4/1-1993/4/2

旅行先では記念スタンプが必ず押され、入場券、切手なども貼りこまれる。縦書き横書きは混在し、筆文字なども自在にレイアウトされる。文章がこれらの額縁として機能し、雑多な印象はない。

3.1990/4/9-1990/4/10

サラリと描いたスケッチが、とてもいい味を醸し出す。洗練された線がぺージの白さを損なわない。

4.1992/4/11-1992/4/12

滝に関する記述が続いている。ページの半分を占める滝の絵と、文章との融合。

横尾さんの日記には、「滝」「UFO」などの記述や「名刺」「おみくじ」「占い記事」「著名人の訃報記事」などの貼りこみが頻出する。気になっていることは、なんでも綴じておくのだ。

気がついたことをちょっとメモしたり、スケッチブック代わりに絵を描いたり、何を描くかはそのときの気分次第だから書きたくない日は書かない。(同書あとがき)

5.1985/7/2-1985/7/3

大半を文章が占めた見開き。訂正や追記などを細かく見ていくと、思考を追いかけることができる。文字ばかりであるはずなのに、ページにはある種のリズムがあり、退屈を感じない。

コラム:愛用のデスクノート

小さな画像で恐縮だが、これは”the Y+Times”(「横尾忠則現代美術ニュース」)というパンフレットで、2016/8/6-11/27まで行われた「ヨコオマニアリスムvol.1」を紹介するものである。
ここに、横尾さんがずっと愛用しているのは「英国レッツ社製デスクダイアリー」との記述がある。世界で初めてダイアリーの製造・販売を開始した会社との記載あり。
株式会社平和堂 http://www.heiwado-net.co.jp/letts_hp/letts.htm

同社の現行品で、出典書のデスクノートに最も近いのは以下の製品だと思う。(訂正ご指摘承ります)

(同上リンクより)

6.1990/7/12-1990/7/13

こんな具合に、スタンプなどを押し、ホテルなどで落ち着いたところで、文章を書くのだろう。この配置、囲碁の布石を思わせる。

7.1984/8/31-1984/9/1

迸る見開き。旅先での記述。A4見開きとは思えないサイズ感で迫ってくる。

8.1989/9/8-1989/9/9

縄文。イラスト、スタンプ、入場券、切手、文章、アイデアメモなどの全部入り。それでもやはり、詰め込みすぎだとか、乱雑だという印象はない。

おわりに

ぼくの場合、ものを作るというのは、日記的な要素がとても強い。(中略)ぼくの絵は、まさに日記そのものといってもいいし、日記が作品だといってもいいんじゃないかと思っている。(同書あとがき)

私は、こういうノートが大好きで、できればこういう風にノートを埋めていきたいと思っている。横尾忠則さんのデスクダイアリー。是非真似したいノートである。

おまけ

2018年7月のマンスリー絵日記

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