Archive | 9月, 2018

New! Perspective 前編

Posted on 24 9月 2018 by

1. どこへ行こう

今年は5月頃からずっと夏のように暑かった。カレンダー上の夏に入ったあたりからは35℃オーバーもあたりまえで、ちょっとでも涼しい、涼しいイメージのところへ行きたかった。
それから、数年前の同じ頃、おんせん県の大分で入った温泉、一日中汗をだらだらかきながら歩きまわって夕方たっぷりのお湯にさぶんと入ったこと、夜風に吹かれながら身体を温めた夏の露天温泉の心地よさを思い出して、どうしても温泉に行きたかった。

だから、初めに計画を立てていたのは富山の宇奈月温泉。
帰省の寄り道旅なので、実家のある山陽地方から東京までの間でなんとなく ”涼しい” イメージの土地を求めて、地図を眺めながら線路をたどり、たどりながら景色を想像し、♨️マークを探して、宇奈月温泉に決めた。

広島から富山まではとても遠い。新幹線やら特急やら地方鉄道やら何やら、長距離列車を何本も乗り継ぐ。朝8時に出ても着くのは夕方の手前。旅に出てもそもそもがあまり観光をしない方なので、行った先のことはほとんど下調べもしないんだけど、“ボンヤリしてると日中に着かない” ともなれば、最低限、移動の時刻表は作っておかないとならない。時刻表の数字だけを見ていてもピンとこないので、少しでも土地鑑を得るために地図を描いて、そこにルートや時間を書き込んだ。

2. サンライズ出雲

「温かいコーヒーが飲みたい」と思ったのは出発時刻の15分前。サンライズ瀬戸/出雲号が出発する東京駅9番ホームは新幹線乗換口のすぐそばにあって、その乗換口のすぐそばにはコーヒースタンドがある。何度か使ったことのある店だし10分もあれば行って帰れる自信はあったのだけど、途中で迷子になって出発時刻までに帰ってこれない自信もあったので、あらかじめ買っていた冷たい水のボトルと冷たいお弁当をベッドサイドの小さなテーブルに並べておとなしく出発を待った。次に乗るときには必ず、熱いお湯の入った魔法瓶とコーヒーとカップめんを持ち込もうと考えていて、ふと、子供の頃の家族旅行を思い出す。──車に毛布と魔法瓶とインスタント味噌汁を積んで何故だかいつも夜に出発していた。夜まで待てずに眠ってしまったのにいつのまにか車で出発していて、目が覚めて動く車の窓から見上げた天の川── を思い出した。ああいう旅をまたいつかすることができるのだろうか、できるといいなと思いながら。

22:00。寝台特急のサンライズ号は、まだスーツを着た人々で賑やかな東京駅をそろりと出発する。車内改札が終わるまでは油断せず、きちんと服を着て、ベッドに腰掛けて、粛々とお弁当を食べる。食事も終わり、改札も終われば、あとはのんびり。室内灯を消してシェードを全開にする。

23:23の熱海あたりからは駅にも町の景色にも人影はほとんどなくなって、空っぽの明るいプラットホームや、室内灯を消した暗いビロードの座席にホームの明かりが落ちる無人の列車が見えるようになる。夢のような景色が次々と車窓に現われる。灯りのついた外廊下の大きな団地、誰もいない、と思ったら、舞台のようにたったひとり明るい外廊下を歩く人が浮かび上がる。景色の切れ間からちらちらと見え隠れし始める真っ黒な海。大きな弧を描く、小さな灯りの粒をその弧に載せた相模湾。枝を拡げた樹木のような白い木の柱が並ぶ、月明かりの夜の木陰のような美しい沼津駅を過ぎ、信号だけがひっそり動いている無人の交差点を過ぎる。青い灯と赤い灯、何となく、シグナルとシグナレスを思い出す。見上げると曇り空の一点に薄明るい透けたようなところがあって、じっと見ていると雲が開いて月が顔を出した。

目が覚めたのは赤穂のあたりで、田んぼと、瀬戸内地方らしい小さな丸こい山と、その裾に纏いつく朝霧の景色だった。サンライズを下車する岡山までは約1時間。身支度を整え、寝台の上で脚を伸ばしてしばらくぼんやりする。

3. 山陽本線

距離的にみれば岡山はほとんど地元といっていい土地なんだけど、県が違ってるのもあって地理も路線もそんなによくは知らない。次に乗る予定の三原行きと同じ方向の電車が来て、乗ろうとしたんだけど何となく様子がおかしいのでよくよく確認してみたら伯備線だった。あやうく山陰に行ってしまうところ。

朝の山陽本線。日曜日なので普段の通勤通学の人もいなくてそれなりにのんびり。海が見える側の、進行方向の西に向かって左側の席に座ったけど、こちら側でもどちら側でも海はほとんど見えない。
東尾道を過ぎて少し行ったあたり、しまなみ海道の大きな橋の下で向島造船を過ぎる。それから、たぶん他所の地方の人からすると川のように見える尾道水道。いわゆる”尾道”の景色の一端。
尾道を過ぎたら糸崎の手前あたり、一瞬、視界が開けて瀬戸内海がふわっと見える。
おうちまであと少し。

4. そうだ、おふねにのろう

帰省3日目。台風で交通の状況が難しい。
列車を乗り継ぎ何時間もかけて旅行するのは、交通機関の遅延が発生しないのが前提だ。残念だけど富山は見送ろう、今回は無理をせずそのまま東京に帰った方がいいかも…と思いかけて、もう寝ようかという夜も遅くになって四国のことを思いついたのは、その前の日にちらっと松山空港の話をしたからなんだと思う。
うちのあたりからすると四国は一番近い旅先で、家族旅行で行ったり、小学生の時の修学旅行先だったりとなかなか馴染みのある土地ではあるのだけど、そういえばおとなになってからは行ったことがなかったような気がするし、子供のときに行ってふわふわきらきらとした印象だけが残っている夜の道後温泉にも、もう一度行ってみたいと思っていた。

とりあえずざっとルートを考えて、スマホで松山空港から東京へ帰るLCCの便があることを確認。何にしても次の日は朝早く起きる予定だったので、あとの続きは朝起きてからにして眠った。

5. 瀬戸内海を渡る

朝起きてすぐに船のルートを調べる。昔、港で見かけたような気がしていた四国のどこかの港への航路(※電車と同じように定期航路も船に行き先が書いてある。フェリーなんかだとデカデカと書いてあるので、ふだん船を使ってなくても港の近くを通ってればだいたい何処行きがあるのかは把握する)は無くなっていたので、2本の航路を乗り継ぎしなければならないみたい。

船会社のサイトから乗る時間帯の時刻表をざっと書き写したノートをスマホで撮影して、朝ごはんを食べて、三原港へ。
台風一過。すっかり晴れて、涼しい風が吹いて、とても心地よい朝。

しまなみ海道ができてから、車の人達は橋を渡って四国に渡るようになったのだと思う。いつのまにかカーフェリーの航路は減って、人を乗せる小さな高速艇がメインになったように感じる。
三原港から乗った船は最大とう載100人弱のボートで、後ろの方はオープンスペースになっていた。自分一人だったらなんとなく不安で室内に入ったかもしれないんだけど、先に乗船した年配の女性が一人、後部オープンスペースのベンチに座ったので、心強くなってわたしもその反対側に座った。平日の午前中の船は空いていて、この後ろのスペースはその人とわたしの二人きり。とても贅沢。

港を出港した船は、ぐんぐんスピードを上げて沖に向かう。台風が抜けた翌日のせいか、それともいつもこのくらいなのかは知らないけれど、小さい船は波をうけて、ざぶんざぶん揺れたかと思うと波飛沫がばさっと降りかかってきた。
(こんなにいい天気だというのに乗ってきた人たち皆んな室内に入っていったのはこのせいか!)
ちょっとしたスプラッシュ系ローラーコースター。一瞬、先の女性と目が合い、笑いながら、バックパックを抱えて防風ガラスがあって飛沫がかからない席にあわてて移動する。何かひとこと言葉を交わしたのだけど、何と話したか覚えていない。ひどく揺れる船のベンチと、船のエンジン音と、波飛沫が船に当たるバサバサいう音と、扉の向こうに見える操舵室と、左舷の女性と、右舷のわたしと、瀬戸内の青い空と、流れてゆく島の景色。

 
(続きます)

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New! 「毛糸のジッパーケース」アンケートのお願い

Posted on 22 9月 2018 by

来年の手帳や文具が店頭に並びはじめ、ノートブックの秋、手帳の秋となりましたね。

さて、2016年3月よりトラベラーズノート用の「毛糸のジッパーケース」をこちらで販売してきましたが、ここで一度、お買い上げくださった方々を中心にアンケートを実施したく、告知させていただきます。
ご購入者の方々には、すでにメールにてアンケートを送信いたしました。
それぞれの宛先は、お買い上げの際にご入力いただいたメールアドレスです。
もし、該当の方で届いていない方がいらっしゃいましたら、私までご連絡ください。
(迷惑メールフォルダに入ってしまっている場合があるようです)

また、まだ「毛糸のジッパーケース」をご購入いただいていない方でも、
もしお聞かせ願えるのならば、下の質問事項をコピー&ペーストし(答えたいものだけでもOKです)、プロフィールに載せているアドレス宛てに送信いただけると幸いです。
『「毛糸のジッパーケース」、ここがこうだったら購入検討するのになー』等、匿名で構いませんのでお聞かせ願えませんか。
その通りに作るかは(技術的な面で)お答え(またはお応え)できかねますことご了承くださいね。

ご返送いただいたご回答は、真摯に拝読し、こちらでまとめ記事として公表したいと考えています。
それによって「毛糸のジッパーケース」のなにかが変わるかもしれません。
ご意見により改善していけたら、と思っております。
ぜひ自由で率直なご意見をお聞かせ願いたいです。

先ほども述べました通り、アンケートはこちらでまとめ記事として公表する予定ですので、回答期限を設けさせていただきます。

ご協力いただける方は、2018年10月8日(月・体育の日)までにご返送くださいますようお願いいたします。

下記よりメール本文です。
(未購入でご協力いただける方は、その旨をご入力の上、持っていたらこうだろうというようなことで構いません。なんか、わかるように書いていただけたら結構です。)

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手帳布陣/2018AW

Posted on 12 9月 2018 by

A6用紙1枚に、2018AW手帳布陣をまとめた。

  • 2018AW シーズンテーマ
  • [かるく賢く、おもしろく]

  • 今シーズンに解決したい手帳課題と対策案
  • 1.外出時に持ち歩く手帳を軽くする
    ⇒用途面:すべてを1冊に詰め込まない。手帳・ノートの分冊
    ⇒物理面:手帳カバーに挟むアイテムの見直し

    2.日々のできごとやアイデアを読み返しやすく記録する
    ⇒「スケジュール用」と「ログ用」それぞれの手帳を用意する
    ⇒連用手帳を追加する(予定)

    3.手帳をもっとおもしろく使いたい(スケジューリング9割の手帳は窮屈)
    ⇒記録道具と手法を制限しない手帳を追加する
    ⇒ウィッシュリストを書き留める手帳を追加する
    ⇒ジブン手帳Bizの各種リストを活用する

  • 今シーズンの手帳布陣
  • 1.MP18AW:ムーンプランナー2018年秋冬版 B6サイズ ※昨シーズンはPDF版使用。冊子に変える
    [用途]
    ◎ 約2週間単位のプランニング(新月〜満月/満月〜新月)
    ◎ 約半年単位のウィッシュリスト(やりたいこと、手に入れたいこと、行きたい場所、手放したいこと、やめたいこと など)
    ○ 半年以上先のざっくり作戦会議と妄想
    ○ 心身メンテナンスのざっくりログ

    [筆記具]
    ○ ジュースアップ04(グリーン、オレンジ、ブルー)
    ○ フリクションボールスリム038(グリーン、オレンジ、ブルー)

    2.JTBiz18 → JTBiz19:ジブン手帳Biz ※2018年使用中。2019年も継続
    [用途]
    ◎ スケジュール管理
    ◎ 自分への予約
    ○ 睡眠の記録(時間と質)
    ○ 仕事と勉強の実績時間ログ
    ○ ToDoリストの一時退避スペース(実行できそうな週のページに書き込み→実行する時間帯に転記)
    ○ リスト各種(0円でできるひまつぶし、ワンコインリフレッシュなど)

    [筆記具]
    ◎ ハイテックCコレト(ブルーブラック0.3、チェリーピンク0.3、クリアブルー0.3、シャープユニット0.5)

    [その他文具]
    ◎ 地球の歩き方 with モレスキンノートカバー(チョコ)
    ◎ CARDRIDGE dünn(イエロー):予備名刺入れ。ノートカバーに挟む
    ◎ ふせん各種:手帳の裏表紙に数種類貼っておく
    ○ クリックイレーザー〈フォープロ〉:カバー裏のポケットでスタンバイ
    ○ コレト替芯各色:カバー裏のポケットでスタンバイ
    ○ 物流定規:意味はないけれどノートカバーに挟む
    ○ ほぼ日のクリアファイル 坂本奈緒 オリジナル用(しろもふもふ):切手を入れてノートカバーに挟む
    ○ もしものときのぽち袋:お札を入れてノートカバーに挟む

    プフレーゲライヒトさんのアルコールランプはんこ:睡眠時間ブロック用として
    ○ バーサファイン・クレア(トワイライト)

    地球の歩き方 with モレスキンノートカバー(チョコ)使用歴2年

    3−1.HBP17:ほぼ日Planner2017 ※リンク先の手帳は2017年版
    [用途]
    ◎ 本日の記録(トピック、ニュース、ラッキーなできごと など):1日ページに残す
    ◎ 服装ログ:月間カレンダーにイラストを描く
    ◎ コラージュの遊び場
    ※ ETA19(後述)の使い方検証も兼ねて、かつて挫折した手帳を復活させた。日付曜日のズレは無視。

    [筆記具]
    ◎ ジュースアップ04(ブラック、グリーン)
    ◎ ジュースアップ03(ブラック)
    ○ 色鉛筆

    [その他文具]
    ○ メモして貼るだけでちょいと洒落た風になるふせん各種
    ○ はさみ
    ○ のり
    ○ マステ
    ○ シール

    3−2.ETA19:EDiT B6 Daily
    [用途]
    ※ ほぼ日Planner2017の継続・改善
    ※ 服装ログのみ、10/1からEDiTマンスリーページに移行する予定

    ○ 今月のレコーディングメモ(読んだ本、行って良かった場所など)
    ○ ざっくり支出予定メモ

    [筆記具]
    ※ ほぼ日Planner2017の継続・改善

    [その他文具]
    ※ ほぼ日Planner2017の継続・改善

    4.HB5-A5:ほぼ日5年手帳 A5サイズ
    [用途]
    ◎ 本日の天気
    ◎ 本日の記録(トピック、ニュース、ラッキーなできごと など)
    ○ ?年後の自分に申し送るToDoリスト
    ○ コラージュの遊び場

    [筆記具]
    未定

    [その他文具]
    未定

    ほぼ日5年手帳の実物は「ほぼ日手帳2019 LINEUP PREVIEW」でチェック済

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    頭を使いたくないときのノート (とおまけ)

    Posted on 09 9月 2018 by

    何もしたくないわけじゃない
    ただ頭を使いたくないだけだ
    そんな気分のときの過ごし方
    
    読書もテレビも落書きも駄目
    料理も入浴も睡眠も頭が動く
    最適なのは作業機械になる事
    
    部屋の片付けや庭の草むしり
    床のワックスがけに風呂磨き
    そんな気力は残っちゃいない
    
    散歩程度が妥当だと思うのだ
    近所を適当にブラついてくる
    頭は使わないし迷う事もない
    
    散歩みたいなノートとは何だ
    本一冊を丸写しするノートだ
    何も考えず作業に没頭できる
    
    決めごとのない写経のように
    頭を空っぽにしてひたすらに
    書写機械となってワープする
    
    適度に難しい短文が連なって
    書きなれない漢字が頻出する
    日夏耿之介詩集がその散歩道
    
    書き写すノートはダイスキン
    惜しげなく使える値段であり
    高級感を漂わすハードカバー
    
                              (写経)
    
    おまけ 八月のマンスリー絵日記
    
    
    

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    動物園のすみっこでバクの名前を叫ぶ。

    Posted on 03 9月 2018 by

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA

    もう2か月以上も前のことになるが、地元の動物園にバクに会いにいった。

    6月の、まだ梅雨の最中で雨の合間を縫って普段乗らないバスに乗っていった。

     

    バクに対して「絶滅危惧種」である、それだけを知ってバクに会いにいった。

     

     

     

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA

    動物園にいたマレーバクはクニオくん、という名前だった。

    私はそのパンダにも負けない「白と黒のコンビネーション」のデザイン、つぶらな丸いお目々、そして不思議な爪先を見つめた。

    ずっと心の中で「クニオくーーーーーーーん!」「クーーーーーニーーーーーーオーーーーーーくーーーーーーーん!!!!」と叫んでいた。

    理由はわからない。

    ただ、このとき、自分はショックを受けていたのだと思う。

    まず、平日の朝早くから訪れた動物園は閑散としていた。

    それなりの広さは確保されているのだろうが、たった一頭でそこにたたずむ動物を見てなんとも言えない気持ちになった。

    それから、クニオくんのパパはもう亡くなっていて、ママも今年の5月初旬に亡くなっていた。

    クニオくんはこの動物園の「たった一頭」のマレーバクとなっていた。

    クニオくんはまだ子どもだったが、彼は病気だった。

     

    マレーバクの赤ちゃんは、イノシシの子どものような「てんてんつー」という白い模様が身体を包んでいる。

    クニオくんもうり坊ちゃんのような模様があったが、治療のため手術をしたら、そこの模様がなくなってしまった。

    それにこの病気になったマレーバクの前例はなく、また手術でもどうにもならなかったのでそのまま縫合して終わったそうだ。

     

     

     

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA

    クニオくんは「バクエリア」をうろうろし、えさを食べ、落ちていた木の枝をくわえて遊んでいた。

     

     

    私はたまらない気持ちになり、ずっと「クニオくーーーーーーん!!!」と心の中で叫ぶしかできなかった。

     

     

    昼時近くになり、バクエリアそばの「食堂バクバク」で昼食を食べた。

    「大人だもんね」とビールも飲んだ。

    動物園の意味と病気で一頭だけになってしまったクニオくんのことを考えると、答えは出るはずもなく、どんどんつらくなっていきながらキリンにかたちづくられたハヤシライスを食べた。

     

     

     

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA

     

    酔っぱらったまま、私は再びバクエリアに戻り、クニオくんを見ながら持参のモレスキンを開いてあれこれ書きつけた。

    なんだか泣きそうになっていた。

     

     

    いつまでもそうしているわけにもいかず、私はモレスキンをリュックにしまうと立ち上がり、クニオくんにさよならをして歩き始めた。

     

     

     

    あれから2か月経つが、心のもやもやが晴れることはない。

    しかし、動物園をめぐる中で「動物園の意味」について考えさせられる動物も見た。

    きっと動物園にいる動物たちは、「かわいそう」だけじゃない。

     

     

     

    マレーバクは夏になるとプールに入って潜水するそうだ。

    Twitterで他の動物園のプールの水中を歩いているマレーバクの動画を見ては微笑ましく思った。

    その中にはあのクニオくんもいた。

    バクエリアのプールにクニオくんは入っていた。

     

    クニオくーーーーーーーん!!!

    私は久しぶりに心の中で、クニオくんの名前を叫んだ。

    そして元気に夏を過ごしているクニオくんを見て、またもや泣きそうになった。

     

    よかったねぇ。よかったねぇ。

     

    なにか言いたいのに、ことばにならなかった。

     

     

     

    この「獏部エア部活」について、まずは自分のブログに書いてみた。

    考えもことばもまとまらなかったので、まずは自分の陣地である場所で書いてみた。

    それから2か月経ったが、やっぱりまとならないままだったので、まとまらないままNotebookersに「獏部エア部活レポート」として書くことにした。

     

    ことばにしたくてもならない。

    絵にしたくてもできない。

    そんなもどかしい思いをNotebookersを訪れる人たちなら、ちょっぴり共感してもらえるんじゃないか、と思ってる。

     

     

     

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    September 2018 Calendar

    Posted on 02 9月 2018 by

    ★2018年09月のカレンダー

    ポケット用
    http://notebookers.jp/calendar/calendar2018_09.pdf

    ラージ用
    http://notebookers.jp/calendar/calendar2018_09_L

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    Note of the note ―ノートの調べ p.7 金子みすゞさん 二冊の抜書き帖

    Posted on 02 9月 2018 by

    はじめに

    「Note of the note -ノートの調べ」 と題した不定期シリーズ。
    このシリーズでは、著名人のノート、手稿、手帳、日記などを紹介し、そこに込められた作法と思いを検証していく。

    第7回目は、金子みすゞさんの、二冊の抜書き帖を紹介する。

    出典

    別冊太陽 日本のこころ122号
    生誕100年記念 金子みすゞ 幻の童謡詩人の世界へ 監修 矢崎節夫
    2003年4月25日初版第一刷

    金子みすゞさんのこと

    (母ミチが日頃からみすゞに言っていたという言葉)
    「ひとつのことを見たら、多くのことを考えなさい。雲を見るでしょう。そうしたら、白い雲、綿のような雲、ようなをとって綿雲、それにスワン雲……というふうにね」(出典書 p.104)

    (瀬戸崎尋常小学校四年生時の担任ヒデ先生の言葉)
    「ふとテル(みすゞ)のノートに目をやると、特別手を上げたりしないテルのノートに、あれも調べてある、これも書いてある、ということがあって驚かされた―」(出典書 p.106)

    (大正五年 大津高等女学院時代、学校まで40分の道のりを一人で歩いて通っていたみすゞが、いとこに語った言葉)
    「皆と行くのは楽しいけれど、たまには誰かのいやな話しを聞かなならんしな……。一人の方が安気でええ」

    三冊の童謡集

    ただ一枚のみ残ったみすゞの着物と、遺稿集となった三冊の童謡集。
    右より「美しい町」「空のかみさま」「さみしい王女」。

    博文館のポケットダイアリーの紙質見本に書き留められたもので、弟の正祐に託された。(出典書pp102-103)


    「こだまでせうか」


    「巻末手記」
    三冊の童謡集の最終巻「さみしい王女」につづられた巻末手記

    二冊の抜書帖

    これから紹介する二冊の抜書帖は、どちらも彼女の詩作制限期に編まれたものである。

    始めの「琅玕集(ろうかんしゅう)」は、雑誌への詩の投稿を差し控えていた、大正14年から翌15年にかけてまとめられた。

    次の「南京玉」は夫に全ての詩作を禁じられていた、昭和4年頃から翌5年2月まで書かれた。

    私たちも、文章や言葉の抜書は、日常的に行っているが、どのような時、どのような感情や、意図に突き動かされて、抜書をするのだろうか?

    資料を読みながら、私はずっとそのことを考えていた。

    琅玕集

    1925年版博文館ポケットダイアリー紙質見本。天地を逆にして、右開きで使用。

    大正13年。敬愛する西條八十が、渡仏により雑誌「童謡」の選者を離れている間の、大正14年から翌15年にかけて作品の投稿を控え、「赤い鳥」「コドモノクニ」「婦人倶楽部」をはじめとした二十三種もの雑誌などから気に入った詩や童謡を自ら選び出し、一冊の小曲集を作ることに没頭した―(出典書より)

    目次

    北原白秋、堀口大學、野口雨情、室生犀星、もちろん西條八十など、101人、178編を記す。(出典書より)

    冒頭

    南京玉

    13cm×8.7cmの小さな手帳。
    昭和4年頃から翌5年2月9日までの間、愛娘ふさえ(三歳)の言葉のひとつひとつを書きためた。(出典書より)

    冒頭

    言葉には全て番号が付されている。形式は、
    前書、一~二三〇、「お正月」、一~六四、「二月」、六五~八九、九十は番号のみ。一~二五、二月九日のみすゞの言葉 となっている。
    (出典書より)

    本文

    この時期、みすゞは夫に全ての詩作を禁じられていた。

    この二月、夫と離婚が成立。娘のふさこを、みすゞが引き取ることで話をまとめ、母の元へ身を寄せるが、ほどなく夫側が心変わりし、3月10日に娘を連れに行く、との手紙を受け取る。

    その、昭和5年3月10日未明。睡眠薬にて自死。(享年26)

    空白の九十

    みすゞは、娘を母の手元で育てることを強く望む遺書を残し、結果、その通りとなった。(出典書より)

    おわりに

    あたりまえのことを、いろんなふうにみてみたら、ありのままがみえてくる。そうすると、あたりまえはあたりまえじゃなくて、ありのままがあたりまえになる。あたりまえのありのまま。ありのままのあたりまえ。

    金子みすゞさんは、こんな抽象的なものは書きませんが、私は金子みすゞさんの「詩」を読んでいると、「ありのまま」を「あたりまえ」に感じてしまう人だったのだろうなと、思います。

    「いろんなふうにみる」というのは技術で、科学的方法はその一助となるものですが、「詩人」であるということには、「あたりまえ」に汚染されない強い無垢さが備わっているように感じます。

    色即是空。空即是色では、「命味」に欠けますが、この世界に命を燃やす全ての存在にたいする共鳴を歌った人。そんな感じがしています。

    抜書しておきたいノートです。

    以上

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