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My favorite Xmas movie #04

Posted on 23 12月 2012 by

降節4週目であります。
…1週目だと気づくのがワンテンポ遅れたため、何だか実感のないまま4週目になってしまった…
 
4週目の映画、予想のつく方はつくかも知れないアレです。あの映画です。
4本の中で最もクリスマスらしくない映画、作中にクリスマスのシーンはナシ、クレジットの背景の映像のみ、そんな映画『SMOKE』であります。 
監督:ウェイン・ワン 原作:ポール・オースター(1995年制作)

"SMOKE" DVDジャケット

どれだけ好きなんだワタシ。

話としては…
ニューヨーク、ブルックリンの一角にあるタバコ屋に集まるひとたちの群像劇です。
毎朝八時に自分の店の写真を撮るタバコ屋オーギー・レン、
妻を亡くして、もう一年ほど小説を書けない作家ポール・ベンジャミン、
マフィアに追っかけられている少年ラシード、
タバコ屋の元カノ、ルビー、
まだ見ぬ、義手のオヤジ、サイモン、などなどなど。
彼らが、ある時はマジメに人生を見つめ、ある時は真剣に友達と相対し、ある時は、そりゃーキモチ良くだらだらする『喪失と再生の物語』です。

この脚本もまた、ポール・オースターでして、またかよ、せら、どれだけオースターが好きなんだという話なんですが。
このオースターの作風のひとつとして「バージョンAとバージョンB」があります。
ひとりの人間の顔、ひとつの事象、それがバージョンAとバージョンB、ふたつあり、それが全然違うものであったり、ほんの少しだけの違いだったり、それはイロイロあるんですが、オースターはコレをどちらかを嘘だと決めつけず、否定せず、「両方がそのひとの物語なのだ」と書いています。
ワタシはこのモチーフがすごく好きなんですが、これがこの『SMOKE』のラスト、クリスマスのエピソードとして使われています。
盲目のばーちゃんとオーギーが過ごすクリスマス。
ばーちゃんが望んだクリスマスと、オーギーが演じたクリスマス、それはどちらも嘘だったんですが、そして更に押して、そのクリスマスの話自体が嘘かも知れないんですが。
だけど、その両方の物語は、ホントか嘘かと断じるためのものではなく、その物語を聞いて、本当だと信じたごく少数のひとがシアワセになるためのもので。
このように、オースターにかかれば、ホントも嘘も『人生における愛すべき事象』と
なるようです。

2012年、ワタシはノートブックとしては、モレスキンラージちょうど2冊くらい、トラベラーズ無地を1冊くらい書きまして。
それは、旅行の記録だったり、ココの記事に書いたような、読んだ本、見た映画の記録ばっかりです。
それを書いているうちに、うすぼんやりわかったことが。
 
ワタシは本を読むのは好きなんですが、「『文学』が好き」というには、どうも抵抗がありまして。
考えてみたのですが、ワタシが好きなのは、文学でも小説でもなく『物語』なんだなあ、と。
 
物語というのは、字の通り、語るもの、誰かが誰かに聞かせるために話すこと、話したもの、かと。
例えば、北欧では児童文学がさかんだと言われています。
これは、北欧は冬が長いため、外で遊べない子供のために、お母さんが子供に話して聞かせたものが基になっていることが多いようです。
そして、現在公開されている映画『ホビット』の原作者トールキン教授、彼の残した物語も教授の息子さんに話して聞かせたものをまとめたものだそうで。
と、このように。
話して聞かせた物語を文字にするのは、残すため、また、遠くの誰かに知ってもらうための処置、くらいじゃないかなー。
この映画が好き、そのラストシーンがすごく好きなのは、まったくこのためだと。
オーギーがポールに『話して聞かせる』物語。
それは本当の話じゃないかも知れない、嘘かも知れない、そのくらいのあいまいなもので。
そのあいまいさ、頼りなさがタイトルの『SMOKE』につながる?
 
 
おまけ
2011年の10月だかに、柴田元幸氏の朗読会に初参加しまして。
この時に聞いた話ですが、アメリカの文学作品は、まず声に出す、朗読すること、を前提に書かれているんだそうです。
そのため、柴田氏は「音読した時に響きが良いように、聞き手にも自然に聞こえるように」翻訳されているとか。
その翻訳と朗読です。
オーギー・レンのクリスマス・ストーリー(柴田元幸朗読)(25分23秒)

 
 
一週目の記事はコチラ
二週目と三週目の記事はコチラ
そしてワタシのNotebookers.jp最初の記事がコチラ

アドベントクランツに立つ4本のロウソク

4本目〜♪

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Profile: あなたと一緒に歩く時は、ぼくはいつもボタンに花をつけているような感じがします。

  • SMOKE!!

    …映画にとんと疎い者ですが、
    先日詠さんに教えてもらって、初めて見ました。
    観る度に、物語の奥行きが見えてくるような、
    あるいはより一層もやもやするような
    とても面白い映画だな…と思いました。

    映画の感想で失礼しました。

    せらさんが、素敵なクリスマスを迎えていらっしゃることを願いつつ…☆

    • こめさん

      返信、遅くなりまして…
      コメントありがとうございます♪

      『SMOKE』ご覧になられたそうで…
      書かれているように、本当につかみどころがなく、
      タイトルそのままに、手を伸ばしても、空をつかむような
      そんな映画だな、と。

      ワタシはこの映画が好きで、もうずっと長ーい間、見ていますが、
      それでも「この映画は、こういう映画だ」とは言えないくらいしか
      わかっていない気がします。
      多分、見たら見た回数だけ、違うものを見ているんじゃないか、と。
      それこそ、オーギーの定点観測と同じで、
      『同じだけど、全部違う』ものを見ている気が。

      こめさんのクリスマスはいかがでしたか。
      どうぞ良い年末年始を♪

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