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小説の中の文房具 「優雅なハリネズミ」

Posted on 30 12月 2012 by

タイトルに惹かれて、買って読みました。

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フランスで口コミ見よって広まって、ロングセラーになった作品のようです。

この本の主人公は2人の個性的な女性です。

1人は初老の高級アパルトマンの管理人の未亡人です。
彼女は相当な本好きの独学者であり、芸術に関する考察も鋭い、頭のいい人なのですが、
「一般的な管理人」を頑なに演じるあまり、他人と距離を置いています。

労働者階級の枠をはみ出すことをことを恐れているからです。

この話は、現代のフランスが舞台ですが、今でもこんな考えが残っているのは少し驚きです。

もう一人の主人公は、アパルトマンの住人で、13歳の少女です。彼女もとても頭がよく、そしてその知性を隠しています。
さらに、ブルジョア階級の家族を俗物のように思っており、自分の行く末に絶望し自殺しようと思い立ちます。

物語は、この二人の手記により、交互に進行していきます。
手帳に書き込んだライフログのように、日々の出来事、発見、興味のある対象についての感受性豊かな考察が記されているのです。

ですから、これはノートブックに書かれた物語と言えます。

 

また、この二人の他の共通点は、大の日本びいきであることです。

ですから、二人の手記には、小津安二郎の映画や、芭蕉の俳句、苔寺、谷口ジローの漫画などの引用や考察が書かれています。

どれもはっきり言ってマイナーなものばかりで、それぞれがグッとくる箇所も非常にピンポイントです。

 

そういえばフランス人が日本文化を考察する有名な本って多いですよね。

「菊と刀」や「表徴の帝国」最近は「菊とポケモン」なんていうのもありました。

表徴の帝国もまた、フランスの哲学者は天ぷらを、こんなふうに思うのか!という衝撃があります。

 

 

 

そんな、悩みを抱えた二人が、ある日、越してきた日本人紳士、オヅさんに出会って大いに影響されるという話です。

さて、この小説は、2人の手記として書かれているので、第三者視点の説明というものがありません。
なので登場人物のキャラクター像は、その動作によってわかることが多いです。
つまり何が好きか、何を使っているかというのが重要になります。

 

例えば、オヅさんが、モレスキンを開いて、少女のことばを書き込んでいいかと尋ねるという場面があります。

このシーンには相手が少女でも態度を変えない、誠実さ、几帳面さが表れています。

 

一方、管理人であるマダム・ミシェルの管理人部屋においてあるボールペンはビッグのオレンジ色であるという描写があります。
マダム・ミシェルは管理人室のテレビをわざとつけっぱなしにして、いつもそこにいると見せかけ、
こっそり、奥の部屋で読書をする生活をしているのですが、このボールペンのベタなチョイスも、皆が思う管理人像を演じているという演出に一役買っている感じがしました。

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Profile: eatsoba(ソウタ)です。 ノートブックはライフログ及びインプットしたものを即時出力可能な状態することに使ってます。 @eat_soba on twitter

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