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おもしろうてやがて悲しき熱帯 なかしぃ

Posted on 24 5月 2014 by

インセストタブー、シニフィアン/シニフィエ、いきなりカタカナの単語を並べてみましたが・・・

意味不明な単語で始まりましたがこれらが何だか分かりますか?

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高校生のボクはこれらの単語に触れたときに何のことだかさっぱり分からなかった。でも、何故だか「知りたい」「理解したい」という衝動に駆られたのを覚えている。実は大人になった今でも完全に理解した訳ではない。ただ、これらの単語から知の冒険が始まったのかもしれない。

きっかけは文芸部に所属していた友人が貸してくれた『文学部唯野教授』だった。何故この本を貸してくれたのかは思い出せないがなんとなく面白かったことは覚えている。ストーリーも面白かったがそれ以上に文芸批評の手法について分かりやすく書かれていたのに興味を持った。文中では唯野教授が講義していて学生に分かりやすく授業をしているという体裁であった。ただ、このときは受験の合間の息抜きとして読んでいただけでそれ以来気にも留めなかった。余談であるがその後僕は筒井康隆が在籍していた文学部美学及芸術学科に合格したがある事情で入学を断念せざるを得なかった。

受験が終わって別の大学の文学部美学科に入学したが、履修しなければならない一般教養科目で哲学があった。生協で教科書を買ったついでに目が留まったのが新書の構造主義を分かりやすく解説した本や、その当時流行っていた「ソフィーの世界」だった。ソフィーの世界は構造主義にいたるまでの古代ギリシャ哲学からデカルト、カント、実存主義などの流れをファンタジー小説の形で分かりやすく教えてくれた。この本では実存主義までだったが、その後構造主義が台頭してくるのである。そこで冒頭のクエスチョンに答えると、カタカナ単語は構造主義のキーワードということになる。

このとき読み漁ったのがレヴィ・ストロースとソシュールであった。ただ、原点を読むには難解すぎるので入門編的な内容の新書ばかりであったが。読んでいる最中は理解したつもりになっているが読み終わってしばらく経つと理解した内容が薄まっていくので、別の本を読むという悪循環なのか好循環なのか分からない状態であった。あんなに読んだのに今でも深く理解していない。なので、ここで解説をするということはやめておく。もし無謀にも解説を試みたとしても博識な読者からは軽蔑されるだろうから。

当時のボクの中では、哲学はファッションの一部であった。浅田彰がファッションでサブカルチャーとして読まれていたバブル期をリアルタイムで経験していない世代であるが、その当時発行された別冊宝島の現代思想の本がバイブルであった。当時の別冊宝島はA5サイズで新書2冊分という謳い文句でなかなか面白い企画を連発していた。ボクはポストバブルで失われた10年に青春を過ごしたので、ファッションで哲学が語られるようなおおらかな時代だったバブル期は正直羨ましく思う。今の世の中はプラグマティックで利益に結びつかない学問は敬遠されがちですぐに効果を求める傾向にあるが、あの頃の「衒学的」な風潮は金銭的余裕が心の余裕を生んでいたのかもしれない。音楽にしても漫画にしてもアニメにしてもその他のサブカルチャーにしても80年代にピークを向かえ、その後は革新的なスタイルがあまり出てきてない気がする。

雰囲気で、ファッションで哲学に手を出してしまって薄っぺらい理解しかしていないボクではあるが、生きていくうえでの思考の枠組みを構造主義から学んだことはある。ひとつは「唯一絶対的に正しいことはない」ということであった。レヴィ・ストロースは西洋のキリスト教中心主義ではない価値観を未開の民族(これも西洋的価値観から来る単語ではあるが)のフィールドワークを通して発見し、文化には優劣はないということを「悲しき熱帯」で証明して見せた。もうひとつは「存在は絶対的にあるものではなく他社との関係で成り立っている」ということである。ソシュールはラング/パロールやシニフィアン/シニフィエなど言語の側面を二つに分けて考え、それは恣意的で、記号的で周りとの差異で成り立っているということを主張した。

自分の中でどう生きているかといえば、「唯一絶対的なものはないということを認識し、他者の多様な価値観を認める」というスタンスが大切であるということである。下世話な例えで言うと、「目玉焼きには醤油でしょ、ソースなんてありえない。邪道でしょ!」という考え方は個人の味覚、趣味の問題であって絶対的な価値観にはなりえず、こういった決め付けが無用で不毛な争いを引き起こすのであって、それがエスカレートすると育ってきた価値観の違う者同士の結婚生活の破綻であったり、唯一神を信奉する2者間の宗教戦争やイデオロギー戦争につながったりするのである。目玉焼きにウスターソースをかけるのも美味しいし、塩コショウだけで食べるのも美味しいし、なんならタバスコだって合うかもしれない。一度自分が正しいと思っている物事を疑ってみて違うやり方をしてみると新鮮な気持ちになり新しく何かを発見するかもしれない。

さて、あの頃の宿題にもう一度取り掛かってみようかな。

 

 

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Profile: ボールペン画家にしてぺら部の創設者、しかしてその実態は? Notebookersのwriterの中で一番内容が薄っぺらいですが何か?

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