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ホオヅキ ぴょこ

Posted on 27 8月 2014 by

魔法のボロを首に巻いていると、苦しかったのが治った。

魔法のボロを顔に乗せて目を瞑ると、それは安心してよく眠れた。

魔法のボロを額に乗せると、頭痛が治った。

魔法のボロをお腹に巻くと、腹痛も便秘も治っちゃう。

朝晩冷えると、膝や肩が病めるけど、魔法のボロを掛けておくと大丈夫。

万能薬である魔法のボロは、いつでも必ず枕元に置いてある。

 

食事の時は、前掛けの代わり。

お風呂上がりは、汗ふきタオルの代わり。

風邪を引いた時なんか、鼻水を拭いてそのあと、丸めて鼻の穴に突っ込んだりしていた。

 

 

 

もともとの色は、ミドリかキイロか、、、よくわからないくらいくたびれた色。

ところどころほころびて糸が出ている、破けている。

あまり見たくないようなものがこびりついて、バリっとくっついちゃってるし、

においはあまり嗅ぎたくない、、、できればあんまり触りたくない。

洗濯に出しているところは、今まで一度も見たことがない。

ずーっといつも、枕元にある魔法のボロ。

 

 

立ち上がりの練習をするときは、最初は首に巻いていた。

ぎゅっと手すりにつかまるから、肩がこるんだって。

そのうち膝に巻くようになった。

3回くらい立ち上がると、膝が震えてくるからだって。

 

歩く練習をはじめると、魔法のボロは、ねじりハチマキみたいにぐるぐるねじられて、

かたく腰に結ばれた。

これを巻かなきゃはじまらない。と、なんだか儀式のよう。

 

 

うちに愛用の押し車がある。と聞いて、ご家族にさっそく持ってきてもらった。

これで元気に歩こうとしていた矢先に、具合が悪くなってしまったんだって。

新品だった愛車は、ホコリをかぶっていた。

ここでも魔法のボロは大活躍。

ゴシゴシ磨いて、綺麗になった久しぶりの愛車。

いつもは枕元にくしゃっとが定位置だった魔法のボロは、ピシっとのばされ愛車に掛けられるようになった。

 

 

練習を重ねて、愛車を押して歩けるようになってきた頃、

普段遠くに住んでいる娘さんが面会に来た。

一番端の病室から、廊下をずーっと歩いて反対側のつきあたりのベンチまで、

娘さんにいいところを見せようと、

魔法のボロを腰に巻いて、よぼよぼ歩く。

「1、、2。」とぶつぶつ言いながら、よぼよぼ歩く。

途中から娘さんも一緒に「1、、2。」とぶつぶつ。

ふたりのぶつぶつが聞こえなくなって、ベンチに着いて、ゆっくり腰かけて、深呼吸した後、

ふたりとも、泣いていた。

娘さんはしゃがみ込んで、よぼよぼの膝をなにも言わずに摩りながら、泣いていた。

 

 

 

あんまり泣いてるもんだから、心配したんだろう。

魔法のボロを腰から取ると、

あろうことかそれを娘さんの顔に押し付けて涙をぬぐおうとする。

見ているこっちが、あぁ!!それはちょっと!!!と、はらはらする中、

魔法のボロを手に取った娘さんは、それを見て、声をあげて余計に泣きだした。

 

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Profile: ぴょこです。 ド田舎の愛すべきじじばばと毎日激しいリハビリを繰り広げております。 傍らにはいつも、ノートと色鉛筆。 唄うことは、生きること。 かえるのたてがみ http://ppppyokoooo.hatenablog.com twitter @ppppyokoooo

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