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鈴木春信 R-18 たね

Posted on 26 5月 2015 by

鈴木春信の浮世絵が好きだ。
だからといって江戸時代の風俗だの文化的な背景に関する知識や芸術的観点があるわけではまったくなく、ただただシンプルに、鈴木春信の浮世絵が好き。

はじめに「わあ」と思ったのは、洒落たキモノを着た女性たちのふわふわした可愛い錦絵だった。浮世絵といえば歌麿や北斎あたりの有名な絵の、トラック野郎てきなあの感じしか知らなかった私に、目からウロコが落ちるように浮世絵というものを見直させてくれた軽さ。“浮世絵らしい”余白やなめらかな線も、鈴木春信の絵はまた格別に、軽く、美しい。

20060917_w600
(上:はじめて鈴木春信『夕立』『清水の舞台より飛ぶ美人』を見た時にインスパイアされて描いた絵。2006年。風でふわーっとする感じ、地下鉄の出口)

だけどもね、当世風の町の女の子たちの1シーン、ファッション誌のグラビアを思い浮かべるような絵もそれは素敵なんだけど、鈴木春信は、春画もとてもイイんです。

*-*-*-*-* ここから 【Notebookers お題】18禁 *-*-*-*-*

鈴木春信が描く女はたいてい若い女性。本についていた解説によると、10代くらいの“可憐な美人”なのだそうで、(現代日本人の感覚で絵だけを見ると特別に若いと感じることはないものの)印象としてはやっぱりとにかく可愛い、恋人ならぎゅっと抱きしめて独り占めしたくなるんじゃないかなと思うような繊細な可愛さが体全体から溢れ出てるような女性たち。
そして春画となれば相手も当然いるわけだけど、この男性がまた、これも“鈴木春信らしい”と言ってよいのか、いま何をどうしてるのかとかそういったあたりをよくよく見ないと男だか女だかもわからないような優男たち。

そんな、なめらかな線で描かれた綺麗で柔らかそうな男と女が、宵の縁側や蚊帳の中で、衝立の裏で、楽器や縫いものを途中で放って、腰から下をはだけてみっしりと抱き合ってる絵の数々。
流れ落ちる着物の襞のあいだからのぞくしっとりした指とか、やさしくからだを引き寄せながら首筋や耳のうしろに埋める唇とか、着物をほどく柔らかい手や指を舐める舌の湿り気。絵自体の密度の低さに対して描かれている2人の密度はとても高く、少しの隙間もなく体を埋めようとしてるみたいに上半身はぴったりとくっついて、そのくせ下半身は自由で奔放。
そして、横に添えられた言葉がまた甘い。

 「おお、可愛い」
     「可愛い」
         「恥ずかしい」
   「ちょっとお見せ」

そんな恋人たちをくすくす笑いながら覗き見する女友達、また別の男と女。
何かとっても無邪気で、甘ったるいほど甘く、優しく、エロい、日常の1シーン。

これは何だろう。描かれてる光景を自分と重ねて何かを感じてるのかっていうとそんなことはないはずで(自分は若い女の子でもなければ若いイケメン好みでも無く、それよりはむしろ……いやなんでもないw)、それなのに春信の絵にはひどく心と身体を掴まれる。他の絵師の春画もいくつか見てみたけれど、描写はどんなにアレでも、また何度も見たくなるような、春信の絵のように官能をくすぐられるものにはまだ出会わない。

人にはそれぞれセクシャル・ファンタジーなるものがあるそうで、かんたんに云うと、どういうシチュエーションやパターンにセクシャルな欲望を掻き立てられるか、現実のする/しないやしたい/したくないとは関係なく(というより『ファンタジー』という言葉からするとむしろ現実では起こり難いような?)、自分の官能を喚起するある特定のイメージ、みたいなものらしい。メジャーなところではSMだとかのぞき、人妻に浮気、コスチュームプレイやロールプレイなんかの、ポルノの王道ジャンルのあれやこれや。そういう性的娯楽から距離を置きがちの女性でも、実際にしたいとはまったく思わないものの映画や小説の背徳的なシーンにひどく悩ましい思いをしてしまった……なんていう話もちらほらと、聞いたことがあるような、ないような。

何となくそんなことを考えながら自分の内側を探ってみると、鈴木春信の春画に描かれているシーンに共通するあの感じや、柔らかでやさしく滑らかなあの線は、私にとってのセクシャル・ファンタジーのうちの1つなのかな、という気がしてくる。さっきの例えからするとずいぶん普通っぽくライトで、純情みたいで逆に恥ずかしいんだけどw、恥ずかしい内緒にしておきたいと思ってしまうあたりやっぱりセクシャル・ファンタジーなんだろか、って。

何かとっても無邪気で、甘ったるいほど甘く、優しく、エロい、特別なわけでもない日常の1シーン。

少年か少女のような線の細い中性的なイケメンを見て心を動かされることは無いけれど、大人の男性が着る無垢で清潔な白いシャツはとてもセクシーだと感じる。その綺麗な白いシャツをめくって……いやまあ、いろいろと……むにゃむにゃw

春画はポルノだとかポルノじゃないとか、アカデミック方面ではいろいろあるみたいだけど、ポルノグラフィーでもアートでもエロティックであることには変わりなく、
そして個人的には、立派な美術館にあるようなアートに属するものでも何かしらの情欲をかきたてられるものの方が好きだったりするし、アートに限らず何でも、きれい、おいしい、エロい、etc. 難しいことは考えず感じるままに物事をみてるといろいろと楽しいんだからそれで良いんじゃないと思う。

これから暑くなる退屈な夏の宵、空気の匂いを嗅ぎながらお気に入りの春画を眺めるなんて長閑な夜。
紙とペンを傍らに、甘いお菓子とお酒を少しだけ飲みながら。友達と密やかなお喋りを楽しむのもいいかも。

では皆さま、よい夢を。

 
※ 絵の紹介記事だというのに当の絵が無くてごめんなさい。画集からの引用についての著作権関連のあれこれがどうにも微妙なので、逃げを打っちゃいましたw
鈴木春信 または Suzuki Harunobu で画像検索すると春画も含めいろいろ見られます。

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Profile: ふかふかのふとんに包まってウトウトして、おいしいものを食べて、ひなたぼっこが出来れば極上の幸せ。

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