Categorized | Book, Inspiration, Recommend, Think

解けた謎、深まる謎 Notebookers Detective Story konama

Posted on 01 12月 2015 by

こんにちはkonamaです。

昨日、せらさんの記事、初めてモレスキンを書いたときのことを憶えていますか。を読んでいて、全く関係のない10年越しの疑問が解けるということがありました。(せらさん、ありがとう!)

さらにNotebookersに記事を書くようになってそろそろ1年が経とうとしているところですが、こんな感じのことはいくつかあったなあとおもい出して、感謝を込めて(笑)その辺のことを書いてみようと思います。

konamaのことですから、例によって本の話です。はい。今回は割と定番の推理小説2つをご紹介(でも古すぎて本屋で手に入れるのは大変かも)。

※後半について、2015/12/27、さらなる展開が!追記しましたので、そちらもあわせてどうぞ。

ピーター卿と黒後家蜘蛛の会

【女か虎か】

せらさんの記事がでて、面白いなあと色々リストをよんで色々考えていたとき、せらさんのこんなツイートを見ました。

「女か虎か?、どんな話だっけか。ああ、あれな。でもこれじゃなくてWomanとTigerってことに何か自分は疑問をもっていたはずなんだけど…」と思い出しました。(私はこの手のなんだかわからない引っかかりがいっぱいあるのです…)

思い出したのはドロシー・L・セイヤーズのピーター卿シリーズのこと。1928年から始まったこのチャーミングな探偵小説の主人公、ピーター・ウィムジー卿とその執事(and his man) バンターは私の変わらぬヒーローなのですが、彼は最終的に女流推理小説家であるハリエット・ヴェインと結婚します(セイヤーズがあまりにピーターが好きすぎて自分の分身であるハリエットを登場させたという話も)。このカップルは本好きが高じて、会話のほとんどに引用句が入るという読者(たぶん翻訳者も)泣かせの人たちで、シェークスピアはもちろんのこと、ギリシャの古典から当時の広告のコピーまで、ラテン語、フランス語入り乱れて入ってきます。そもそもプロポーズもラテン語だし、こうロマンティックないい場面になると辞書引かなきゃならんもどかしさよ(いや、日本語版で読めばダイジョブですよ―たぶん)。

彼らの新婚編「忙しい蜜月旅行」Bushman’s Honeymoonの中に

My lady gave me a tiger,

A sleek and splendid tiger,

A striped and shining tiger,

All under the leaves of life

という詩が出てきます。その前後で彼らはちょっと色っぽい会話をしているのですが、この詩、この詩がどの本からの引用句なのかが書かれていないのです。確か日本語版で最初に読んだときも特に引用元も書いてなかったし、そのまんま「私の女は虎をくれた」的な訳だった気がします(ハヤカワポケミス版深井淳訳)。新訳のハヤカワHM版(松下祥子訳)はどうなってるのか知らないのですが、初めてこの本を読んで、そして留学中にオリジナルを読んで以来10数年、これは何なんだろうと読むたびに思っていたのです(割とお気に入りは何度も読むタイプ)。

ピーター卿のお好みはジョン・ダンの詩の一節なのですが、これは全然違う。確かにこの前の文章にこの”tiger”が出てくるきっかけになる文章(これの大元は別の詩)があるのですが、それでもないらしい。久しぶりに気合を入れてネットを検索したところ、海外の掲示板でこれはセイヤーズ自身が書いたオリジナルであることがわかったと報告されてました。あーすっきり。(いや、すいません自分だけすっきりして)

しかし、セイヤーズの本は私が推理小説を英語で読むきっかけになった本でもあるのですが、なにせ当時(私の学生時代だから…。)日本でシリーズの一部は未翻訳で既刊の翻訳本ですら手に入れるのが難しかった。

最初に創元推理の文庫でピーター卿の事件簿を読んだ時には、シリーズの代表作「ナイン・テイラーズ」が独特のトリックで伝説になっていたけれど絶版(今は創元推理文庫で読めます。面白いですよ)。主なものは創元推理で出していたものの、「忙しい蜜月旅行」だけはハヤカワポケミス(このころも探すのが大変だった、確か古本屋で見つけて買った。今は上記の通り)。ハリエットとのラブストーリーのメインになる「大学祭の夜」はまだ翻訳が出ていなかった(これも後に創元推理文庫ででました)。そしてセイヤーズの死後の未完の遺稿から書かれた「Thrones, Dominations」(Jill Paton Walshが続きを書いた)は未だ翻訳が出ていません。創元の方の翻訳者である浅羽莢子さんが、この最後の新作と忙しい蜜月旅行の新訳を出すという話が出て、期待して待っていたのですが、刊行途中で浅羽さんが亡くなりそれも中止になってしまいました。「Thrones, Dominations」はシリーズ完結編としてピーター、ハリエット、バンターのその後が書かれているので、ファンとしては是非読みたい本だと思います。自分は出版された当初イギリスにいたので、翻訳がない、出たとしても10年後?と思っていたので腹をくくって英語で読みましたが、やっぱり細かいところも知りたいものです。いつかどなたか翻訳を出してくれないかなあと未だに期待しています。

片眼鏡がトレードマークのちょっぴり背が低いのを気にしている本とワインを愛する貴族の次男坊探偵。古きイギリスの景色がお好きな方にはおすすめです。

 

【ペニー・ブラックの謎】

せらさんのリストに「あなたは、何をもってご自身の存在を正当となさいますか?」という質問が載っていますが、これはアイザック・アシモフ先生の「黒後家蜘蛛の会(ブラックウィドワーズ)」にでてくるゲストに対する決まり文句です。6人の個性的な蘊蓄おじさんたちがゲストを迎えて定期的に集まる会合は、しばしば謎解きの場になり、素人探偵の説をさっとまとめて給仕のヘンリーが解決してくれる、短編連作の推理小説。私も大好きなお話です。全部で5巻、アシモフ先生は「私が生きている限り黒後家ものを書く」といい続けてくれましたが、ついにお亡くなりになってこのつづきが読めないのはさみしい限りです(この人のあとがきもいつも面白い。タイトルが没にされた自分で付けたやつのほうが良かったとか。2作同時に持ち込んだのは失敗だったとか、実はこの筋は全部夢で見たとか)。

黒後家蜘蛛の会の2巻に切手がカギになる謎解きのお話が2つあるのです。たまたまエハガキ華さんが世界初の切手、ペニー・ブラックのお話をされていたので、これ(黒っぽい女王の横顔の切手)がキィになる推理小説があるんですよ…というお話をしたのです。興味を持っていただいて、読んでみるねとおっしゃっていたのですが、しばらくしてお返事が。

うわー。なんかこう新しい謎、来ちゃったよ。それも嬉しいやつ。

華さんありがとうございます。

もちろん、創作の世界だからそんな切手がある世界のお話といってしまえばそれまでなのですが、あの雑学の大家のアシモフがそのあたりのことを考えずに書いたとは思えないんですよね。そうなるとオリジナルの英語だとなんてかいてあるんだろう…とか年代はいつ頃を想定して書いているのだろうとか、この話が書かれた1977年の時点で知られていることって…とかいろいろ想像が広がります。もしかしたら上の例みたいに海外の掲示板にそんな議論がみつかるかもしれないし(ワクワク)。

そんなわけで、いろんなインスピレーションをNotebookersからいただいております。感謝感謝。

2015/12/27 追記:

華さんの呼びかけにより、ほぼ解決に近い解答が得られました。その顛末はエハガキ華さんのブログでどうぞ!ホントに鳥肌ものですよ。

【ネタバレ】黒後家蜘蛛の会に登場する切手について【情報募集】

【解答編】黒後家蜘蛛の会に登場する切手について

Name:
Profile: こなま。趣味を仕事に持ち込んで、仕事から趣味を増やしている毎日(←結局好きなことしかやっていない)を過ごす、ざっくり人間。おいしいお酒のあるおしゃべりは大好物。一応モレスキンユーザー。現在Notebookers Mapプロジェクト進行中です。 年に数回更新するブログ Chips with everything

Photos from our Flickr stream

See all photos

2017年11月
« 10月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

アーカイブ