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TOBIU CAMP2016 緩和される境界線 黒き鳥名く森の物語 タカヤ・モレカウ

Posted on 16 9月 2016 by

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本日の文章はほぼ推敲無しで一気に書き上げるカタチで書いた。
おおざっぱで申し訳ないが、僕の興奮を伝えるには一番ではないかなと考えている。

僕は、TOBIU CAMPに行く前に必ず近隣の公園でテントを張って寝泊まりして、朝イチで太平洋を見ていく。太平洋は日本海と違って煤けておらず、演歌を感じず、実に開放的で爽快なのである。札幌に住んでいると太平洋は、なぜか姿勢を正して見てしまう癖がある。波が高く、震災の時のような自然に対する恐れがあるからだと思う。遠くを見ながらもハワイはこっちかなと微妙に角度を変えながら見る。めったに見ない太平洋を見ながら、朝ご飯を食べ、ザッパーン!という波の音を聞きつつ、午後から始まるイベントの軽い興奮を想像して楽しむわけである。

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TOBIU CAMPに参加すると必ず僕は自信を失って帰ることになる
普段からコミュニティデザインのようなものに興味があって、このTOBIU CAMPが象徴するようなコミュニティに参加すると、自分ができないこと、自分が実現したいけれどもどのように行動したらよいのかわからないものに気が付いて、自信を失うのである。
前回のレポートにも記載したのだけど、CAMPの目的は大なり小なり、「都会から離れた人々が都会に影響を与えること」が目的である。そういう意味で、このCAMPは都会と自然を行き来する僕に少なからず影響を与え、新しい視点をくれる。
その視点のおかげで新しいものが見えてしまう。そして僕は自信を失う。だいたいにおいて人間は最初からいろんな偏見に満ちているのだけど、いろんな価値観を知ることでその偏見を緩和することができる。僕はその偏見を緩和するときに自信を失うのである。TOBIU CAMPを素晴らしいと思う。新しい気付きに満ちているのである。

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「緩和することができる」
僕はこういう言い方が好きだ。もしもあなたがTOBIU CAMPに参加したならそういった偏見を緩和することを心がけてみると良いかもしれない。例えば知らない人と手をつないで踊るというシーンはあまりないと思うけれども、このキャンプではアイヌのウポポ(輪唱)を聴きながら炎の周りで踊るシーンがある。
月並みではあるけれど、勇気を出して知らない人に声をかけてみると良いかもしれない。オノヨーコも言っていたけれど、「知らない人と話すのは怖いけれど、もう二度と会えないかもしれないと思えば、自然と勇気が沸いてくる」ということばを、いつもこの時に思い出す。二度と会えないかもしれないなと頭の中で反芻すると、よし声をかけてみようかなと勇気が出るのである。このことばはTOBIU CAMPの間じゅう、夜を通して僕のこころのなかで反響する。
TOBIU CAMPの森の中には小さなたき火があって、少人数でのサークルがつくれる場所がある。そこに外国のヒッピーの方々が数人、お酒を片手に談笑しているとき、そこに勇気を出して座ってみるのをお勧めする。お菓子をそっと渡す、もしくは暖かいのみものをひとつのククサに入れて回し飲みするなど、炎を目の前にしたコミュニケーションがあなたはできる。そしてそういう行為がまた、似合う場所なのである。

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NYでジョージ・マチューナスが作った、とあるアート?の団体「フルクサス」において、そこに12個ある基準にこんなのがある。ひとつめは「流動的で制限しないこと」そして二つ目は「参加する人々とアーティストの垣根が存在しないこと」というのがある。たびたび美術の世界では、アーティストと観客の視点の違いが明確かもしくは曖昧かというところがテーマになるのだけど、僕はこのTOBIU CAMPにおいてもその参加する人々と演奏家の曖昧さ、境界線の無さを感じていた。こんなフェスは見たことがない。例えば、TOBIU CAMPに参加するフリーエリアで演奏するミュージシャンたちは演奏する場所も時間も長さも決められていないようなのである(タイムテーブルが存在しない)。そして彼らのために特設された舞台というのも存在しない。森を散歩していると、一見すると誰もいないような場所でうすぼんやりとした最低限の光の中で演奏しているのを見かけるという雰囲気である。一見すると楽器を持っていない人(歯笛で演奏する等)もいるので演奏者かどうかも見分けがつかない場合が多い(笑。※ちなみに今年はさらに照明を最低限度にしたそうです、目をこらすといろいろと見えてくるのも違うのかもしれないという考え方から来ているそうです。

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僕はこの境界線の曖昧さがイベントを面白いものにしているのではないかと思っている。イベントのスタッフにしてもなんとなくスタッフっぽいTシャツを着ているのだけど一見するとスタッフであると気づかない(実際に一般入場者と間違われて学生にアンケートを受けていた→そして断るでもなく自然に回答していたのを見て感動した)。森を管理する人々と遠くから訪れた人々の境界線が曖昧であるがために、一線を構えることなく、僕らはなんとなく森を作っていくのを手伝っている感じがする。このCAMPに参加することで森づくりに参加していると感じられるのである。嘘じゃないよ、実際にごみの分別手伝ったもんね~。コロナビールの瓶の中にレモンを押し込んだまま捨てるのはやめましょう。

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演奏する人々と参加者が曖昧であることを楽しむために今度は自分もギターの一本でも持って行こうかなと思っている。なんとなく、今後のTOBIU CAMPでは楽器を持ち歩く人々が増えそうな気がする。なんとなく楽器を持ってきた人々が、誰かの弾いたコードになんとなく合わせてみたり、なんとなく集って談笑するようなシーンが見てみたいですね。きっとこれは、スタッフではなくて、TOBIU CAMPの魔法の焚火が叶えてくれそうだ。

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このイベントに参加するほどに、アイヌのことばや文化にとても愛着を持てる。自分が住んでいる北海道の場所について考えるようになる。その地名の由来は何か?そこでどのような人々が暮らしていたのだろうか?ということにも興味が持てるようになる。例えば僕が育った土地の名前の由来は「オッカイ・タム・チャラパ」(男が刀を落としたところ)の意味がある。そういった昔のアイヌの物語を知ることで、その遠い過去にこの土地を歩いた男が落とした刀のことを考えるようになるのである。

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そういえば、昨年この飛生の森に来た時に樹木の高い場所に大きな黒い羽が刺さっていた。今年来てみて、その場所を見上げてみると黒い羽のそばに、巨鳥にさらわれた子供なら5~6人ほど入れそうな大きな巣ができていた。夜のトークショーでちらっと聴いたけれど、来年は「大きな卵」になるかもしれないとのことであった。この森の中は物語に満ちている。森の成長とともに、その物語も成長しているようなのである。

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さて、TOBIU CAMPで行われていたコンテンツについても少し書いておこうかなと思う。今回は昨年度に比べて、音楽よりもトークセッションの内容にボリュームを当てられていたと思う。そのためか、ステージのひとつを砂場(いやほんとに砂場になってました)にして大きな音をかける機会をわざと少なくしたような感じがする。音楽はさらに自由度を増して、森のあちこちに点在するミュージシャンにひょっこりと遭遇したなら、その場に座って音楽を聴くという感じ。フードエリアでも小さなトラックの荷台をステージにして、こじんまりとしたライブが行われていた。そういえば夜間に茶室的な場所で、ハンドパンを叩いている方いましたね。森の中でうすぼんやりとした光の茶室的な場所で響くトロピカルな音(←どうでしょう、意味わからないでしょう)。近くにいって聴けばよかったなぁ。

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トークプログラムは日比野克彦さんとOKIDUB AINU BANDのOKIさんの同級生トーク。非常に面白かったです。なんと二人は芸大の時代の同級生とのこと。日比野克彦氏は僕も若いころから大好きなので、ひょっこりとフードエリアで会えた時はこっそりとかなり感動してました。OKIさんがトンコリと出会うまでの物語というのはじっくり聴けてよかったと思う。OKIさんが大学時代は工芸というまったく音楽とは異なる道を歩んでいたそうだが、映像の道を歩み始めた矢先に仕事がなくなり、親戚と飲んでいるときに彼が突然棒を投げてきたそうだ。「その投げられて掴んだ棒がトンコリ」だったとのこと。こんな楽器との出会いもあるのだなぁと笑ってしまった。

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奈良美智さんのトーク&スライドショー、実は満員で体育館に入れなくて音だけ聞いてました(涙。本人の気さくな雰囲気や日常の何気ない風景を写真で納めることの面白さなどについて語っていた。
夜間のマレウレウのマユンキキさんと大友良英さんとTOBIU CAMPの主催側の方々とのトークは、札幌国際芸術祭と飛生芸術祭との対比などについて語っていた。僕はあまり大友良英さんという方は申し訳ないけれどあまり詳しく知らなかったんだが、なんと札幌国際映画祭2016のディレクターの方で、NHKのあまちゃんというドラマの音楽で有名になったそうだ。この方がトークの中で語った、札幌国際芸術祭と飛生芸術祭の対比が面白かった。「イチから森を切り開いてコミュニティを作り上げた人と札幌市がお金を出して呼ばれた人とでは大きな差があるんですよ」ということばが良かった。大友良英さんの「底にあるもの」がなんだか良いですね。とても好きになった。芸術祭は参加する人々が作るのかもしれない。札幌国際芸術祭も積極的に参加していこうと思った。

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夜のOKIさんのトンコリ弾き語りライブでアイヌDUBという不思議な世界へ誘ってくれた。深夜帯は体育館でズムズム音楽をかけて踊れるんだけど、これがまたものすごく音がいい。体育館をクラブにしちゃうというのがこれまた良くて、面白かった。体を揺らしながらじっくりと聴いてしまう。普段聴けないような音楽を聴く機会なのでこれがいつも楽しみなのだ。TOBIU cypherの方々のB-boyっぷりがすごい圧巻だった。強烈なライムで心の底から揺すられる。複数人数で行われるフリースタイルのラップって今まで間近で聴くことがなかったので非常にかっこよかった。HIROOさんや、タイ在住の日本人DJで活躍されるmAsa niwayamaさんの強烈な異国情緒あふれる音楽もすごかった。途中退場して、遠くで体育館から漏れ出る音を聴いているとき、なんとなくタイの、ドラッグクイーンがベンチに座って休憩するプーケットの裏路地にいるような気分がしていた。アイヌからB-boyそしてタイの裏路地。今回のTOBIU CAMPは森の百物語というのがテーマだったようだが、音楽性においても百物語が表れているようなのである。

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アヨロ・パラレルワールド」の展示とトークが実はかなり興味深かった。昼間に展示を見たときは海からの漂流物の展示なのかな?程度でさらっと見て終わる感じだったのだが、夜間のトークイベントに参加してみたところ見解がいろいろとわかって深みを感じた。彫刻家と写真家と文筆家(←たしか白老のポロトコタンのアイヌ民族博物館の学芸員の方なのかな?)がチームを組んで、白老町南部のアヨロという土地をさ迷い歩き、自分たちの見たこと調べたことを独自の視点を再現しパラレルワールドとしてこのようなアートとして展示されているようなのである。

※Sound Cloudでトーク聴けます。
https://soundcloud.com/ayorolaboratory

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アイヌの「あの世の入り口」と称される遺跡が今の海岸線から離れた山腹にある理由についてスライドを使って教えてくれた。何千年の前の海水面の上がった場所を想定して、岬となる位置にアイヌの人々は神聖な雰囲気を感じていたんではないだろうかという見解だった。先住の物語を調べ上げ、荒野を独自の視点で歩き、地質を調べ、その日常を非日常ととらえる視点に影響を受けてしまった。独自の視点でとらえたものを、彫刻や文学そして写真など強烈なアウトプットをしている。そうかと思っていたら本人たちはかなりのお酒好きのようでして、奥の2枚の絵画も、登別で3人で酔っぱらって海まで出たときにぼんやりと見た「海の岩」が原型とのこと。他にも登別市内の変な博物館の写真やら登別パークニクスのカブトガニ、登別の廃墟の中国庭園的なパークの写真など、妙なユーモアをチラリズムで見せてくるあたり僕のツボでした。普段生活している圏内を独自の視点を持って荒野を歩く人々という印象。

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TOBIU CAMPにおける、スタッフと訪れた方々の分け隔てない境界線は、大げさかもしれないのだけど、国境のない世界を想像する。

「コミュニティの鍵は「貢献」にある。貢献は交換とは異なる。貢献の根底にはPay forward、つまり先に捧げるという考え方が存在する。世の中には足りないもの以上に、既にあるもので満たされている。しかし既にあるものが適切に使われないために問題が起きる」。飛生の森の中では、何かこういったすでにあるものが適切に使われるようにバランスが取れているような感じがしている。

最初のほうの話に戻るけれども、人と人をつなぐ壁や境界線のようなものを緩和することで僕らは偏見をも緩和していくことができると思う。隣の人が近くなったなら、自分が持っている既にあるものが適切に隣の人のために使われ始める感じがしている。「黒き鳥なり此鳥多きにより名く」一陣の風に吹かれて、大きな羽をもった黒い鳥が心の中の空をすっと横切っていく、そんなキャンプをあなたはまだ見たことがない。ぜひ飛生の森でお会いしましょう。

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毎回恒例TOBIU CAMP帰りの支笏湖の夕日。

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Profile: Notebookers.jpの管理人。Twitter: @blanq  狩猟者でヒッピー。通称: 「モレカウ」。240人ちょいのライターによるノートブックユーザーのサイト (link: http://Notebookers.jp) Notebookers.jp 管理人。モレスキンについてたぶん世界一つぶやいた男。著作:ダイヤモンド社『モレスキン 人生を入れる61の使い方』。世界の果てと地平線をこよなく愛してる。「俺も好きにするから君も好きにしなさい」という感じで生きています。愛読書はリチャード・バックの「イリュージョン」と「カモメのジョナサン」、ヴェルヌの「海底二万里」。永遠のヒーローはAndy Warhol

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