『編みジッパーケース』の記事が好き過ぎるという記事〜6年目

Posted on 22 1月 2017 by

ー。
2016年は、あまり本が読めなかったんですが。その中から何冊か挙げるとこんなカンジでしょうか。
ひとことずつくらい。

・ロストシティレディオ(Dアラルコン 新潮クレストブックス)
なんていうか、フェルメールの絵を物語にしたら、こういう感じになるのでは、と思いました。

「彼らが憎いか?」レイの接触相手は始めのころにそう訊ねた。憎くはない、と彼が答えると、皺だらけのスーツの男は首を横に振った。「君は詩を読み過ぎているな(略)」

・霧に橋を架ける(Kジョンスン 創元海外SF叢書)
これは短篇集だったんですが。そのどれもが素晴らしかった。
作者からの優しい突き放され感。蜜や霧の流れる川。人間の底なしの想像力。すばらしー。

彼にとって陳亭は想像したとおりだった。老いた男の苦痛が和らぐ場所だ。けれど、彼女は別のものを想像していた。若さに意味がなく、美でさえも孤独な場所と。彼女のむかった陳亭がどこか知らないが、そこは彼の陳亭ではないとわかっていた。『陳亭、死者の国』

・BANKSY IN NEW YORK(Ray Mock 著 パルコ)
こちらで暑苦しく書いております。よろしければ。

・コドモノセカイ(岸本 佐知子 編訳 河出書房新社)
・居心地の悪い部屋(岸本 佐知子 編訳 河出書房新社)
これはアンソロジーなんですが。ホントに編者岸本 佐知子氏のセンスの素晴らしさ、わたしの好みぴったりな二冊でした。

・結婚式のメンバー(マッカラーズ 新潮文庫)
これもまた素晴らしかった。12歳の女の子の抱える孤独、持っているものと持っていないもの。他者とのズレが、わかっているような、わかっていないような、その狭間の年齢であること。

・族長の秋(Gマルケス 集英社文庫)
『百年の孤独』は、タペストリに、ブエンディア一族の系図があって、黄金の魚や、磁石に吸い付けられた鍋や釘、黄色い花その他諸々が一面に描かれているイメージで。
これに対して『族長の秋』は、一本のぼろぼろの縄にコンゴウインコや、子供たちの歌声、錠前や星の光や何やらがぶら下がっているイメージだったなあ。
わたし、べンディシオン アルバラドという女性がすごく好きでして。主人公の名無しの大統領のご母堂様。
この極彩色の狂い咲きの徒花みたいな物語の中で、ものすごく普通の感覚を持ったひとでした。
(だからこそ、物語に馴染んでいなくて、異物としてくっきり浮き上がっているような、そういう人物)

・キャロル(Pハイスミス 河出文庫)
ハイスミスの作品に対して、わたしが何を言えるだろう。
愛してるよハイスミス。

・軋む心(Dライアン 白水エクスリブリス)
21人が語る、お互いを取り込んで増殖し、負だけを増やす、美しい美しいケルトの渦巻き。

2017年も、面白い、ココロが軋るような、ミにならない、美しい文章いっぱいの本が読めたらいいなあ♪

==========
以上、前振り終わり。

えー。
2016年はどんな1年だったでしょうか。
Notebookers.jp なんと、今年で6年目。
十二支、その半分ですよ!

わたしの2016年は、というと、ものすごく『ひとと会った』1年でした。
関西へ来て頂いたり、また、わたしが出かけたり、久しぶりのかたと会ったり、初めてのかたと会ったり。
そういう1年でした。

そんで。
1年の区切りとして、以前は こういう記事とかこういう記事を書いていたんですが。
今年はもう少し、ピンポイントに印象的だった記事について振り返ってみたいなあ、と。

☆☆☆☆
Notebookers Market 伝説の商品、編みジッパーズケース、ぬいこさんの記事です。

【完売しました】編みジッパーケース(トラベラーズノート用)


アップされて、ものの数分?数十分?で売り切れた記録的な商品でした。
わたしは、この記事、というか、販売になるまでの制作過程の記事がとても好きでした(今でも好きです)。
記事一覧こちら>>
Part1「正反対の特徴」
Part2「とりあえず編んでみる」
Part3「三歩進んで二歩下がる」
Part4「毛糸以外の盲点」
Part4.5「未完のレギュラー」
Part5「レギュラー披露」
part6「工程と内側」

Notebookers 管理人のたかやさんからぬいこさんへ提案があり、その完成するまでの過程が書かれていまして。

すごくNotebookers.JPっぽい企画だなあ、と思いました。
がっちりした革のトラベラーズのカバーに、ほわほわの毛糸で編んだジッパーケースを挟む、という発想から始まり。
ほわほわならではの、アイディアを出してくる。
ピンやブローチを留められること、ピンを刺しても跡が残らないメリットなど。
そのひとつひとつの試行錯誤、糸や素材の選び方、全然知らなかったジッパーを付ける位置の話(これ、ほんとうにびっくりしました。付ける位置が少しずれるだけで、開けやすさが全然違うのです)など、ツイッターで更新のお知らせがあるたびに、わくわくしながら読みにいったのを覚えています。

何て言うんだろう、ポータルサイトの連載記事ではなくて、プロセスを楽しむインスタレーションて言ったほうがいいのかも。
冒険小説の実況中継を、リアルタイムで読んでいる、見ているような、そんな臨場感溢れるわくわく感でした。

ミッションを与えられた! やってみた! 失敗した! じゃあ別のやり方でやってみた! 今度は成功した! 次のステップへ! と冒険小説の展開そのものの記事でした。
そして完成されて、販売、完売。

でも、それで【終わらなかった】。
販売の後、ぬいこさんはこういう記事を書かれました。>>作り方とか、中身とか、詳しく見せちゃう編

ジッパーケースを毛糸で作ってみる。Part6「工程と内側」


ジッパーケースを毛糸で作ってみる。FINALの記事だそうです。

わたし、本当に感動したのですが。
この記事を読んで、実際に編んで作られたかたがいて、それを使っているというツイートが回ってきました。
そのツイートを読んだ時、本当に涙ぐむくらい感動しました。
(や、わたし、この企画、ほぼ部外者なんですが)(撮影にトラベラーズを使って頂いたくらいで)
ぬいこさんの冒険は終わったんですが、物語はまだ終わっていなかった、むしろ、最後の記事から新しい物語が始まっていた、という、そういう。
これと同じで、購入されたかたは、それぞれの使い方で、ケースを活用しているんだろうなあ、と。

わたしは、編みジッパーケースが完成して、あー、もうこの制作記事読めないんだなあと、ちょっと寂しかったんですが、これで終わりじゃなくて、手に入れたかたにとっては、始まりだったんだなあ、と改めて思えました。

そんで、2016年はトラベラーズノートブックミーティングも開きまして。

「そのノートブックは世界中でたった一冊なんです」〜あなたのトラベラーズノートを見せてくださいの会をしました報告編


この時に、購入されたかたが、実際にジッパーケースを使っているのを見ることができました。
制作過程の記事や、ぬいこさんに実際にお会いして聞いた制作秘話やら、いろんなものが自分の後ろに ふんわりー と流れたような気がしました。
わたしにとって、一連の編みジッパーケース関係のひとつの区切りがこのミーティングだったのかも。

えー。
(これだけ長々と書きましたが)(そして、同じコト書いてますが)わたしは、このジッパーケースの制作に何か特別に関わったわけではなく、撮影にトラベラーズを使って頂いたくらいなのですが。
振り返って、こうして文章に起こしてみて、あー、やっぱりいいなあ、この記事好きだなあと思います。
(イメージとしては)ぬいこさんが、巨大編み針とノートブックを(盾のように)手にして、擦り減ったブーツで誰も通ったことのない道を歩きつつ、時々「あ! 見たことない虫!」「あ!(鳥の名前)!」とかそういうのもあったりして、旅を終えて。
新しい持ち主のもとで、ジッパーケースが物語をそれぞれで始めている。
いいなあ。好きだなあ。

2017年もNotebookers.JPで、こういう記事が読めたらいいなあ。
創意工夫と試行錯誤、完成までの過程と、完成して終わり、じゃなくて、新しく始まるもの。
2017年、わたしはもう少し更新頻度を上げて、記事を読んで頂こうと思っています。
よろしくドウゾー。

トラベラーズノート

今年は三冊?四冊?で。

おまけ☆☆

道はつづくよ、先へ先へと、
戸口より出て、遠くへつづく。
道はつづくよ、さらに先へと、
道を辿って、わたしは行こう、
つかれた足をふみしめながら、
いつかゆきあう、より広い道へ、
多くの小道とと多くの使命が、
そこに落ちあう、より広い道へ。
そこからさきは、わたしは知らぬ。
(指輪物語 JRRトールキン 瀬田貞二訳)

そこから先は知らない て、そういう道を歩きたいねー。

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Profile: あなたと一緒に歩く時は、ぼくはいつもボタンに花をつけているような感じがします。

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