職業として日本語を教えている.そこで,新聞の”投書”を扱うことになった.出来れば,受講生で投稿して,採用され,掲載されると彼(女)らも嬉しいだろう.
しかし,そこで必要になるのは,日々の地道な観察と,思考と,再考と,そして粘り強く投稿する繰り返しの力である.
それをどのように”教える”のか.はたして,教えられるのか.
もちろん,”てにをは”やら,漢字やら,言い回しやら,言葉やらを正すことはできる.あるいは,いくつもの投書からある程度構成のパターンを導き出して,紹介し,それに沿って書くように指導することはできる.また,感動的な投書を読ませ,記憶させたうえで再構成させることで,表現力を磨くこともできる.
しかし,僕は”投書”することについての真髄みたいなところを,教えることはできない.それは,着眼点であり,世界の”受け取り方”であり,それをいかに相手に550字で(朝日新聞)伝えるか,ということだ.
そもそも,僕の寄稿を好んで読んでくださる数奇な方を除いて,たいがいの人は「neokixは書くのがヘタクソだ」と感じていると思う.僕は書くのが(特にエッセイのようなものは)好きだけれど,しかし,同時にとても苦手でもある.だってそうではないか,どれだけ書いても,僕の本当に考えていることを真に共有できるのは,僕だけなのだから.
とどのつまり,書くというのは,考えていることをひとスライス,びくびくしながら見せることだと思う.こんなこと考えてるんだけど,どう?というように.時々はうまくいくし,たいていはうまくいかない.
というわけで,暗雲立ち込めるなか,一つだけ教えられそうなことを見つけた.
それは,Notebookers的な投書の題材の収集方法である.あるいは,着眼点を増やし,世界の受け取り方を磨く能力である.
言い換えれば,Notebookers寄稿者のみなさんや,読者の皆さんがノートとともに,毎日されていることであります.
さっそく100円均一で,ノートをいくつかと,シールをいくつか購入してきた.受講生が少ないので,ノートはプレゼントする予定だ.
B6サイズは『情報は一冊のノートにまとめなさい!』の奥野氏によるといいサイズらしい.シールでも貼ってもらって,少しカスタマイズしていって···楽しそうな授業ではある.
Bullet journalの書き方なんか教えてもいいかもしれない.あるいは,Notebookers寄稿者さんたちの書き方を見せるのもいいかもしれない.さて,いったいノートに何が書かれていくのか.気になる.
失敗するかもしれないが,まあそれはそれでいい.それで解雇されたって,それではそれでいい.
それでも僕は「Notebookersどうでしょう?」と紹介してみるといい気がするのだ.
他になにかこういうNotebookers的なこと出来ないかな,というのがあったら,教えてください.
neokix