『トゥルー・ストーリーズ』より『ゴサム・ハンドブック』

Posted on 18 1月 2012 by

Wアレン in ワックスペーパー

況として必要ないときでも笑顔を浮かべること。怒りを感じているとき、みじめな気持ちのとき、世界にすっかり押しつぶされた気分のときに笑顔を浮かべることーーーそれで違いが生じるかどうか見てみること。
(略)
誰か笑顔を返してくる人がいるかどうか見てみること。
それぞれの日に受けた笑顔の数をたどっておくこと。
笑顔が返ってこなくてもがっかりしないこと。
受け取った笑顔一つひとつを、貴い贈り物と見なすこと。

***

あなたが笑顔を送ると、声をかけてくる人もいるはずである。友好的な言葉を用意しておくこと。
(略)
話すことが尽きてきたら、天気を話題にすること。冷めた連中は天気なんて陳腐だとけなすが、実は話のきっかけとしてこれほど役に立つテーマはない。ちょっと考えてみれば、風速冷却指数、セントラルパークの降雪量といった問題への関心に隠れた哲学的、さらには宗教的次元が見えてくるはずだ。
(略)
知らない人と天気の話をするのは、握手して武器を脇へ置くことである。それは親善のしるしであり、私もあなたと同じ人間なんですと認めるメッセージである。

***

ニューヨークで見過ごされているのは人間だけではない。物たちも見過ごされている。
(略)
都市の中のある一点を選んで、それを自分のものと考えてみること。どこだっていいし、何だっていい。街路の一角、地下鉄の入口、公園の木。そこを自分の責任として引き受けること。そこを清潔に保つこと。美しくすること。自分と言う人間の延長物、自分のアイデンティティの一部と考えること。自分の家に誇りを持つのと同じようにその地点に誇りを持つこと。
そこに来る人たちに微笑みかけること。可能な限り、声もかけること。言うことが何も思いつかなかったら、まずは天気の話を。

作家ポール・オースターが友人ソフィ・カルのために書いたニューヨークの暮らしの改善法、です。
これを書いたのが1994年、『オーギー・レンのクリスマスストーリー』が1992年作なので、この『都市の一点を愛する』くだりは、オーギーがブルックリンの一画を定点観測したエピソードがベースになっていると思われます。
全編こんな感じで、とても暖かい目でニューヨークを見つめています。この街、そこに住む人、が本当に好きなんだなあ、と伝わって来る、その街を丸ごと抱きしめているような、そんな文章です。

ワタシは、映画監督のウディ・アレンも好きなんですが、この文章を読んで、果てしなーく遠くにあった点が二つ繋がって線になったような気がしまして。
上記の『都市の一点を愛する』、ウディ・アレンの場合、コレは自由の女神なんじゃないかと。
彼には、ダイアン・キートン、ミア・ファロー、最近ではスカヨハ嬢、と歴代のミューズたちがいるわけですが、…やっぱりウディ・アレン最愛にして、最もつきあいの古いミューズは、このフランス生まれの港ギャルではないかと。
そして、『自由の女神』はインスピレーションを与えてくれるミューズであると同時に、彼が愛し続けたニューヨークの一点、なんだろうなあ。

>まずは天気の話を。

皆様、
毎日、寒い日が続いていますが、お風邪等引かれませんように。
お身体にはお気をつけくださいね。

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Profile: あなたと一緒に歩く時は、ぼくはいつもボタンに花をつけているような感じがします。

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