Tag Archive | "説明は排他的である"

Tags: , ,

NOTEBOOKERS+俳句 2 ― ノートブッカーズっぽさとは?

Posted on 19 8月 2018 by ピース・メーカー

0.はじめに

俳句好きで、NOTEBOOKERSなら、「俳句+文具」とか考えねばならぬと、手持ちの歳時記を読んでみたところ、NOTEBOOKERS的(以下NB的)とはほど遠いことがわかってしまったので、「じゃあどうすればいい?」を不定期で考えることにして。

1.俳句拾い報告

今回は『日本の詩歌 俳句集』中央公論社 1989.7.25 新訂3版 から。
この本には明治後期から昭和中期まで、47人の俳人の4,000余句が納められていました。そのなかから、前回同様、「NB的季語、および事物」(Nb+俳句1の記事参照)を、「事物」の五十音順にまとめました。

凡例:|事物|季語|季節|分類|俳句|作者|ページ数| です。

(季節と、分類の前の数字は、ソート用の番号ですので、お気になさらないで)

暗室|きりぎりす| 3秋| 6動物|暗室や心得たりときりぎりす| 夏目漱石| 13

椅子| 月| 3秋| 2天文| 月光に一つの椅子を置きかふる| 橋本多佳子| 225

鉛筆| 露| 3秋| 2天文| 鉛筆で指さす露の山脈を| 加藤楸邨| 323

汽車| 夏の月| 2夏| 2天文| なほ北に行く汽車とまり夏の月| 中村汀女| 248

毛糸| 毛糸| 4冬| 4生活| 久方の空いろの毛糸編んでをり| 久保田万太郎| 143

珈琲| 夏の夕| 2夏| 1時候| 珈琲や夏のゆふぐれながかりき| 日野草城| 272

書| 春さき| 1春| 1時候| 春先に指のかげ置く書をひらく| 藤後左右| 371

書| 良夜| 3秋| 2天文| 人それぞれ書を読んでゐる良夜かな| 山口青邨| 164

書庫| 足袋| 4冬| 4生活| 日々の足袋穢しるし書庫を守る| 竹下しづの女| 126

焚火| 寒月| 4冬| 2天文| 寒月に焚火ひとひらづゝのぼる| 橋本多佳子| 228

焚火| 焚火| 4冬| 4生活| 隆々と一流木の焚火かな| 秋元不死男| 286

焚火| 焚火| 4冬| 4生活| 道暮れぬ焚火明りにあひしより| 中村汀女| 249

旅| 花火| 2夏| 4生活| ねむりても旅の花火の胸にひらく| 大野林火| 309

旅| 蛇苺| 2夏| 7植物| 蛇苺 遠く旅ゆく人のあり| 富沢赤黄男| 291

旅| -| しんしんと肺碧きまで海のたび| 篠原鳳作| 350

旅| -| 満天の星に旅ゆくマストあり| 篠原鳳作| 350

旅人| 落葉| 3秋| 7植物| 木曽路ゆく我も旅人散る木の葉| 臼田亜浪| 51

旅人| 落葉| 3秋| 7植物| 旅人は休まずありく落葉の香| 前田普羅| 92

沈思| 冬木| 4冬| 7植物| 沈思より起てば冬木の怖ろしき| 石井露月| 37

机| うそ寒| 3秋| 1時候| うそ寒の身をおしつける机かな| 渡辺水巴| 67

机| 朝顔| 3秋| 7植物| 朝寒の顔を揃へし机かな| 夏目漱石| 13

机| 元日| 5新年| 1時候| 元日の机によりて眠りけり| 原石鼎| 118

手紙| -| ねそべつて書いて居る手紙を鶏に覗かれる| 尾崎放哉| 106

トランプ| 薔薇| 2夏| 7植物| トランプを投げしごと壺の薔薇くづれ| 渡辺水巴| 79

トランプ| 狐| 4冬| 6動物| 母子のトランプ狐啼く夜なり| 橋本多佳子| 226

夏書| 夏書| 2夏| 5行事| 今年より夏書せんとぞ思ひ立つ| 夏目漱石| 11

波のり| 波のり| 2夏| 4生活| 波のりやかへりの波にぱつと遇ふ| 藤後左右| 370

日記| 埋火| 4冬| 4生活| 偽書花屋日記読む火をうづめけり| 久保田万太郎| 149

日記| 炭| 4冬| 4生活| 花屋日記伏せて炭つぐ薄日かな| 渡辺水巴| 78

文机| 植田| 2夏| 3地理| 文机に坐れば植田淡く見ゆ| 山口青邨| 168

史| 夜長| 3秋| 1時候| 泣き入るや史読み断ちて灯夜長| 松根東洋城| 46

頁| 逝く年| 4冬| 1時候| 逝く年のわが読む頁限りなし| 山口青邨| 170

ペンだこ| -| 雑布しぼるペンだこが白たたけた手だ| 尾崎放哉| 107

本| 露| 3秋| 2天文| 本を積み庭草高く露けしや| 山口青邨| 175

マッチ| 霧| 3秋| 2天文| 一本のマッチをすれば湖は霧| 富沢赤黄男| 290

臨書| 年の瀬| 4冬| 1時候| 年の瀬の蠅吹き飛ばす臨書人| 小沢碧童| 64

やはり、少ない。

が、あまり大量でも拾うのが大変だから、まあいいか。(正岡子規さんは病をおして、10万2千余句を徹底分類したんだよ。すごいんだよ 『分類俳句全集』昭和3-4年・アルス刊)

ほぼ日weeksMEGAの豊富なノートに。

2.ノートブッカーズの人となり?

俳句を拾っていると、季語も事物もノートブッカーズ的ではないけれども
「この感じはノートブッカーズっぽいんじゃないか」という句がある。

それらを捨てるに忍びなく、こちらにまとめてみた。

長閑| 1春| 1時候| のどかさに寝てしまいけり草の上| 松根東洋城| 43

春| 1春| 1時候| 手をとめて春を惜しめりタイピスト| 日野草城| 269

余寒| 1春| 1時候| 世を恋うて人を恐るる余寒かな| 村上鬼城| 17

花| 1春| 7植物| チチポポと鼓打たうよ花月夜| 松本たかし| 343

清水| 2夏| 3地理| 百里来し人の如くに清水見る| 細見綾子| 358

麻服| 2夏| 4生活| 麻の服風はまだらに吹くをおぼゆ| 篠原梵| 375

籐寝椅子| 2夏| 4生活| 一碧の水平線へ籐寝椅子| 篠原鳳作| 350

夏帽| 2夏| 4生活| 夏帽や職場の友は職場ぎり| 安住敦| 367

河鹿| 2夏| 6動物| 畳に河鹿はなしほうほうと言ふて君ら| 葛谷六花| 39

筍・空豆| 2夏 .7植物| たけのこ煮、そらまめうでて、さてそこで| 久保田万太郎| 148

踊| 3秋| 4生活| 通り雨踊り通して晴れにけり| 松本たかし| 337

朝顔| 3秋| 7植物| あさがほをだまつて蒔いてをりしかな| 安住敦| 366

朝顔| 3秋| 7植物| 北斗ありし空や朝顔水色に| 渡辺水巴| 77

霜| 4冬| 2天文| パン種の生きてふくらむ夜の霜| 加藤楸邨| 322

埋火(うずみび)| 4冬| 4生活| 孤り棲む埋火の美のきはまれり| 竹下しづの女| 128

日向ぼこ| 4冬| 4生活| 雑音に耳遊ばせて日向ぼこ| 竹下しづの女| 125

雪合羽| 4冬| 4生活| 火に寄れば皆旅人や雪合羽| 細見綾子| 361

クリスマス| 4冬| 5行事| へろへろとワンタンすするクリスマス| 秋元不死男| 283

一日のポケットから何もかもつかみだした| 栗林一石路| 195

食べる物はあつて酔ふ物もあつて雑草の雨| 種田山頭火| 82

指ほそく抛物線を掴むかな| 富沢赤黄男| 292

3.ノートブッカーズっぽさとは?

Q:ノートブッカーズっぽさって何?
A:実例があれば、その都度判断できるけど、「定義」からは常に逃れてしまうものだよ。

私が感じるNBっぽさとは、たとえばこれまでに読んできた記事の記憶、一昨年のTNMで出会った方たちとの思い出、タカヤさんの印象、部活のラインナップ、タグの言葉なんかの総体としてのイメージのブレンドなんだと思うな。

草の上で寝てしまったり、仕事の途中にすぎゆく春を感じてみたり、世界って素晴らしいけどなんとなく人見知りだったり、籐椅子に寝そべってのんびりと水平線を眺めて一日を終えたり、畳に蛙を放しておもしろがってみたり、雨の間中踊っていたり、独りでいる時間に浸ったり、クリスマスの夜に、へろへろとワンタンをすすっていたり。そんなノートブッカーに、私はなりたい。

これは人によって違うんだと思う。

「この句は要らない」「この句は絶対入れとかないと!」という意見は、NB記者の皆様、NB読者の方々の数だけあっていいんだと思うので、ご意見熱烈歓迎どしどしね。(なにしろ、このタイプの句を拾うには、ただひたすら「句に出会う」しかないわけですから)

今回はこのへんで。NB歳時記にむけて、これからも俳句を拾っていきませう。

次回は「文具俳句」を集めてみたいな。

おまけ「象」の俳句集

うららかや絵本の象が立ちあがる 藤井寿江子
二月の雲象かへざる寂しさよ 橋本多佳子
ナウマン象一頭分の花の冷 高野ムツオ
春や佐保路普賢の象に乗る夢も 河原枇杷男
象の爪を磨いている春の夜の嵐 斎藤冬海
音もなく象が膝折る日永かな 角 和
象の背にキリンの首に黄沙降る 石川天虫
春風をあふぎ駘蕩象の耳 山口青邨
遠足にとり囲まれて象孤独 野中亮介
象の鼻吹きたるやうなシャボン玉 石河義介
試験果つ象は鼻から水噴いて 田口彌生
涅槃図や身を皺にして象泣ける 橋本 榮治
象よりも大きく涅槃し給へり 有馬籌子
象の背をころがる水や花祭 石田由美枝
船にのせて象はかりけり揚雲雀 龍岡晋
花吹雪象はいよいよ目を細め 田中敦子
涼しさや象を見おろす天守閣 仙田洋子
はるかなる君が背にわれ夏の象 五島エミ
炎天の原型として象あゆむ 奥坂まや
南風や扉よりも重く象の耳 有馬朗人
父の日や暗くて広き象の背な 下山宏子
ヨット行く湖底に眠るナウマン象 安井信朗
象みずから青草かずき人を見る 西東三鬼
象使ひ白き横眼を緑蔭に 白泉
やや寒の象に曳かるる足鎖 秋元不死男
象も耳立てゝ聞くかや秋の風 永井荷風
象の頭に小石のつまる天の川 大石雄鬼
象の餌のゆたかに積まれ敗戦忌 白岩てい子
音楽のわかる象の尾草の花 後藤比奈夫
芭蕉の葉象のごとくにゆらぎけり 安田蚊杖
象が曳く鎖の音の寒さかな 柊 愁生
サーカスの象吊る港十二月 野溝サワ子
節分や寒気の熊と温気の象 秋元不死男
はつふゆや象のかたちに帽子置き 上田日差子
恋人に近づく冬の象の鼻 皆吉司
冬を耐ゆ象は全身皺にして 多賀庫彦
荒星や老いたる象のやうな島 夏井いつき
象の背の上の現世や寒の雨 高野ムツオ
伊吹嶺や風の象に冬の雲 辻 恵美子
冬日の象べつの日向にわれらをり 桜井博道
象の貌に涙の迹や冬旱 貞弘 衛
象を呑む蛇の話や冬籠 高野ムツオ
正月の空の青さに象匂ふ 光田幸代
初春の風にひらくよ象の耳 原 和子
初明り象あるもの眼に見えそめ 小川双々子
ねむれずに象のしわなど考える 阿部青鞋
受胎して象のあくびを眩しみぬ 鎌倉佐弓
電車ゴツンとアフリカ象が滅ぶ日か 高野ムツオ
たくさんのかなしみあつめ象歩く 森 武司
約束の眼鏡のなかに象をみた 前田圭衛子
灰色の象のかたちを見にゆかむ 津沢マサ子

Comments (0)

Photos from our Flickr stream

See all photos

2018年11月
« 10月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

アーカイブ