残暑お見舞い申し上げます。
今年はホントに暑い夏でした、ってまだ終わっていませんが、今週から空を見上げると、横に長い秋の雲が見え始めました。
暑いながらも季節は、確実に秋に向かっているようです。
さて、本日のお題「1本の万年筆」
今年6月に、ペンドクター仲谷佳澄先生に、私の万年筆を見ていただいた時、「人間は書く為の腕を1本しか持っていないのに、どうして万年筆を手の数以上に持つんだろうね?」と冗談半分で語っておられました。ほんとになぜでしょう?
先日、神戸・三ノ宮そうごで開催された「神戸セレクション」の会場に、元セーラー万年筆株式会社の川口明弘先生がペンドクターとして来られれていた時に、ぜひ私にと1本の万年筆を出してくれました。(実は前回、大阪でお会いした時に薦めていただいた万年筆でした)
それが「セーラープロフィット30周年モデル」当時限定1000本で発売されて、人気を博した万年筆でした。
ご覧のように、この万年筆のボディ(筆軸)は金属やプラスティックではなく、「ブライヤ」というツツジ科の植物の根に当たる部分で作られています。耐熱性が優れていて、喫煙具パイプなどにも使われる材質で、高級木材に位置します。
製品はわざと着色せず、オイル仕上げのままになっています。
これが、使っていくとどうなるか?
左)川口先生ご愛用のPROFIT
中)川口先生が、神戸へ来る度に(このお店の)ペン先調整と筆軸を磨きあげたPROFIT
右)未使用の新品
そして、今回私が購入したのが、中央のPROFIT。
川口先生が、長い時間をかけて調整し、磨き上げたペン先は美しい宝石のようでした。(専用ルーペで見せてもらいました)
実は前回、大阪で川口先生から誘われて、一緒に呑みに連れていってもらった時に、「万年筆」に関わるいくつかのエピソードを伺いました。楽しいお話から感動的なお話まで、「1本の万年筆」が人の人生まで変えてしまうという事を知りました。(えっ!あの作家の名作は、先生のペンから!とか・・・)
この時、作家・エッセイストの小日向京さん(趣味の文具箱Vol26 P60参照)もご一緒でしたので、彼女がいずれ本にしてくれるかもしれないので、詳細は割愛させていただきます。
そんな川口先生から、「これは君のための1本だ(書く事が好きな君にこそ使って欲しい)」って言われたら、そりゃ私じゃなくても買っちゃいますよね!(笑)
川口先生曰く、この万年筆は使っていくと、どんどん筆軸の色が変わっていく、供に人生を歩み
む万年筆だと。
人と人が出逢う事と同じように、人を通じて「1本の万年筆」と出逢う事もある。
川口先生が生み育てたこの万年筆を、今度は私が育んでいかなくてはいかない、その重みはあるけれど。残りの人生をこいつと一緒に歩いて行きたい、そんな想いを抱かせる「1本の万年筆」と出逢った旅でした。
☆楽屋裏☆
川口先生「しかし、君もあの娘(小日向さん)も文具オタクだな!」
私「先生に言われたくないですよ」
川口先生「これ(PROFITO30th)があれば、もう他に(万年筆なんか)欲しいなんて思わなくなるから」
私「そそ・・そうですね(汗」
以前、枻出版の清水編集長から、デルタのドルチェビータを薦められていて密かに狙っているだが・・・(笑)
今回、私にいろいろとご指導・お話をいただいた川口明弘先生。ならびに、小日向京様。
素晴らしい出逢いの機会を与えてくださいました、ナガサワ文具センター浜口様・那波様に心から感謝申し上げます。
前回の宿題・解答編
みなさん、誰もが知っている「マジックインキ」さてメーカーは?
たぶん、ほとんどの方がご存じないはず、それもそのはず!パッケージにもメーカー名が記載されていません。
こんなに、有名な日用品なのになぜ?
解答と理由
まずメーカーは、「寺西化学工業株式会社」、商標の「マジックインキ」は株式会社内田洋行。
話せば長くなるなのるですが(メーカーさんに理由を聞いたら「10分ください」って」言われた)
1951年内田洋行社長が、アメリカから持ち帰って筆記具を、寺西化学さん持ち込んで商品化した経緯があり、どちらの名前(寺西化学・内田洋行)も商品に記載しなかった!というのが、かなりはっしょた形ですが、その理由です。
さて次回の冒険は?
そろそろ、来年の手帳の準備を始めていらっしゃる方もいらしゃる事でしょう。東京で開催される「手帳勉強会(仮)」に出席予定です。そのへん所を記事にまとめる事ができればと思っています。