12月に入り、ぺら部芸術祭「ペラクナーレ」もいよいよ大詰めになってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?というわけで”自称”天才絵師、なかしぃ卿です。芸術の秋ということで先月中に記事を書かなければと思っていたんですが、色々ありまして延ばし延ばしにしてました。そう、先月は「関西文化の日」ということで関西や四国、三重県のほとんどのミュージアムで無料になる日があったのです。場所によって無料の日は異なり、基本的に常設展しか無料にならないのですが、所によっては特別展も無料になるので、11月の休日はほとんど美術館巡りをしていました。行ったところは、
- 兵庫県立美術館 「昭和モダン、絵画と文学」
- 和泉市久保惣記念美術館 「淡彩画-ひとつの色の多様な世界-」
- 大阪くらしの今昔館
- 奈良県立万葉文化館 「江戸絵画の精華」
- 神戸市立博物館 「プーシキン美術館展」
と、かなり充実した芸術の秋を堪能しました。ただ、これだけ真剣に見ると結構体力勝負です。立って見ることが多く、しかも点数が多かったり会場が広いと歩き回るのもしんどいです。ということでアートを堪能するための体力づくりについて書いていきたいと思います。
というわけで、そんな気はさらさらなくて勢いで筆が滑りましたが、タイトルにも書いているようにNotebookers的な楽しみ方を徒然なるままに書いていこうかなとあやしうこそものぐるほしけれ((((^-^)
では、さっそく出かけましょう!という前に予備知識を叩き込むことをお勧めします。例えば、絵が描かれた時代背景とか技法の歴史、印象派とは何か?浮世絵の出来るまで、キリスト教絵画なら基礎的な聖書の知識や描かれている図の意味、画家の特徴や見どころなどを事前に仕入れておいた方が、漠然と見るより奥行きが深い鑑賞になります。
さて、やっとたどり着きました。入場する際に音声ガイドの貸し出しがあるなら是非借りましょう。¥500くらいですが芸術にお金をケチるのはやめませんか?プーシキン美術館のときは、ナレーションが右京さんでした。最後の最後であの名台詞も聞けましたしね。
えっ、絵くらい好きに見させろって?そうです、自分の好きなように見たらいいんです。ただ、そういうことを言う人に限って適当に流し見するだけで鑑賞とは程遠くなり、美術館を出たら忘れてしまうものです。では、なかしぃ流の鑑賞方法についてぼちぼち書いていきます。
・自分が買うとしたらどの絵を選ぶ?
自分がパトロンになったつもりでどの絵を買うか、また、自分の部屋に飾るにはどの絵がふさわしいか?といった所有するという観点で観ると、自分にとってどうでもいい絵を瞬時に見分け、ほしい絵だけに集中して限られた時間を使うことが出来ます。いかに名作であっても自腹で買おうと思わない絵はその人にとっては駄作だと割り切ってください。
・構図や配色に注目して観る
例えば構図なら三角形の構図や対比の構図など、絵の輪郭を抽出してみると構図の妙を味わえます。例えばあなたが写真を撮る人なら構図の勉強になるでしょう。また、配色についても、色彩学をあらかじめ知っておくのがお勧めですが、例えば全体のトーンや色の対比、印象派の絵なら筆触分割に注目したら面白いかもしれません。難しいことが分からなくても、意外な色使いや印象的な色使いを見て画家は何を意図したのかを思い巡らせるのも面白いです。
・自分のスタイルに取り入れるところはないか?
あなたが絵を描く人なら、どんなスタイルでも見る絵から何をインスパイアされるかという視点で観るのをお勧めします。技法やモチーフ、色使いや構図など自分の絵にどういう風に取り入れるかを考えながら見てみてください。例えば、筆者ならボールペン画を中心に描いていますが、浮世絵のぼかしの技法をボールペンでどうやって表現するかとか、点描を取り入れてみるとか、写実的な風景画に浮世絵風の雲を描いてみるとか、自分の画風にないものを取り入れると表現の幅が広がります。
・勝手にベスト3
自分の感性の趣くままに見ていって、ビビッときた絵に勝手にランキングをつけてみましょう。何故この絵が2位なのかといったように、コンテストの審査官の目線で批評していきましょう。(よく誤解されるのは批判と批評を混同する人がいますが、批評は一種の芸術であり、小林秀雄の著作を読めば批評の奥深さが分かります。筆者は読んだことありませんが)
・二度観をする
いったん全部を観たら、お気に入りの絵に戻って細部から全体までじっくり見てみましょう。筆者が見かけたのは単眼鏡を持ってじっくり鑑賞している人がいました。絵の展示は直接手が触れないように柵などで距離が取ってありますが、単眼鏡があれば細部にわたってこと細かく見ることができ、遠目では分からない筆致やインクのノリなどを見ることができます。ミクロで見た後は5歩くらい下がってマクロの視点で全体像を観てみましょう。細部を把握した上で全体像を見ると最初に見たときとは違った見方になるかもしれません。
そんなこんなで観終わりましたら、目指すはミュージアムショップです。Notebookersならテンションの上がるラインナップを堪能しましょう。そしてお財布の許す限りミュージアムグッズを買いましょう。お勧めは見た絵のポストカードです。観ているときに欲しいなと思った絵が百数十円で手に入るんです。買うしかないでしょ!他にはクリアファイルや図録、一筆箋などお勧めです。
というわけで、賢明なNotebookersの読者なら次の展開が読めてきた人もいると思いますが、次からはアフターミュージアムの楽しみ方について書きます。そうです、美術館で見た感動をノートに封じ込めるミュージアムノート作成が待ってます。用意するのは自分の好きなノート、ハサミ、テープのり、筆記用具、パンフレット等です。
ミュージアムノートといっても難しく考えることはありませんよ。やることといえばパンフレットを切り抜いてノートに貼り付けて感想や解説を書き込むだけです。旅ノートの奥野さんも著書で提唱していますが、美術館のパンフレットを2部もらうことがポイントになってきます。できることなら行きに2枚、帰りに1枚くらいもらうと、切り抜きたい絵が表裏にかぶっていた場合も後顧の憂いなく思い切って切り抜けます。財力に余裕がある人は図録を2部買い、1部は観賞用、もう1部は切り抜き用と贅沢な使い方もありですよ。切り貼りしてコメントを書くにはセンスが問われますが、手っ取り早くモレスキンのアートジャーナルを買うという手もあります。ただ、高い割りに個人の好みがありますので、モレスキンのサイトからサンプルをダウンロードして使うのもよし、参考にするのも良いと思います。ちなみに筆者のミュージアムノートの作例を載せときます。

奈良万葉文化館で見た富嶽三十六景のときのものです。このときは学芸員が解説してたのでモレスキン片手に解説をメモしてました。北斎の有名な絵もぺらく切り刻んでぺたぺた貼り付けてみました。

「淡彩画」の特別展を見たときのノートです。パンフレットの文章をそのまま写してます。

プーシキン美術館行ったときのノートです(すみません、嘘ついてます。モスクワには行ってません)

左の絵の背景はナガサワオリジナルの万年筆用インク、ルノワールピンクを使って描かれてます。ナガサワさんはこの時代の印象派に多大な影響を与えてますね。さすがです!!
筆者はやりませんが、自分の好きな絵のどんなところが好きか、何故好きになったかを言語化してノートに記録することは重要だと思います。なんとなくいいなと感じた絵について深く掘り下げ、言葉にすることによって表現力の鍛錬になります。あくまで私はやりませんから、そんな面倒臭いこと。
最後にNotebookersお勧めアイテムを紹介して終わります。

詳しい説明は上の写真に書いてある通りです。
観ているだけじゃ物足りないっ!私も描きたい!という方は不定期で開催する「関西楽描き会」という絵を描くのを楽しむ会を開いておりますので、お問い合わせは、 nakasy@notebookers.jp までお便りください。名前の通り描くという行為を楽しむのであって、上手下手は問いません。見せ合いっこも多分しません。ロケ地は関西ですが、全国どこからでも参加大歓迎です。