淘汰されないプロダクト LAMY社の話

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LAMY2000
LAMY2000

さて、今日は6月初旬に購入したLAMY2000の万年筆なんだが、6/6にペン先調整に出したところ7/7に帰ってきた。
織姫と彦星かよとか、ドイツまで行ってたのかよ、とツッコミを入れたくなるような気分だったが、脳内からドーパミンとかその他の何かいろいろがでるほど心地よい調整にて帰ってきたのでよしとする。ということで本日もドイツのLAMY社の話。

ふとしたときに、-1→±0→+1に発展する思考をしていることがある。たとえば、潜水艦。潜水艦は水中にいて、水面まで浮上し、その後空に浮くのではないかという思考。たとえば、赤ちゃん。最初は寝たまま→ハイハイ→つかまり立ち→その後空を飛ぶという思考。デザインにおいてもブラッシュアップといって、当初のアイディアを徐々に磨き上げて現実味を持たせていく思考の作業は大変だが楽しい。自分の場合人間関係についても同じで、初対面は-1くらいから始まって、基本的に相手のいいところを見つけてプラスにしていくタイプ。さて、正直このLAMY社の筆記具についても、最初は「-1」。まったくもっていい印象はなかった。当初は銀軸のクラシックな感じの筆記具が好みだったので、なんだか地味だなーコレ、としか思ってなかったかも。

ある日、女の子にLAMYのサファリをプレゼントしたのをきっかけに突然のようにそれは-1→+20くらいまで発展する。
サファリを手に持った瞬間、極度にそぎ落とされたデザインの中に、「何か」がギュっと詰め込まれている感覚が伝わってきたのである。これはもう手に取った人にしかわからない感覚だと思ってください。たとえばこの写真のLAMY2000万年筆についても、見た瞬間はどう考えても「安そう」というイメージが付きまとうのだが(笑)、手に持った瞬間、デザインに対しての感心と共に、脳内の中で何かを刺激される感じがする。そういう「何か」があるのだ。

将棋のことはあまり詳しく知らないのだけど、最近羽生名人の言葉でこういった言葉を読んだ。
「ボードゲームって何千年も昔からあって、長い年月をかけて淘汰されてきたと思うんですね。
 つまらないものは廃れて消えるという過程があって、深みのあるものとか面白いものだけが今、残っている」

プロダクトデザインにおいても、ありふれたモノは必ず数年後には淘汰されていくと思うのだが、こういったように脳内で何か出ちゃうような「サムシング」を持ったプロダクトは何十年経っても残り続けていくのではないかなと思う。

LAMYでは自社内でのデザイナーは持たず、外部のデザイナーと契約しコラボレーションをもってプロダクトを発表する一風変わった形式を取っている(一般的なブランドとしてはお抱えのデザイナーが開発するパターンのほうが多い)。マーケティング・デザイン・技術とそれぞれ別々な意見を全て統合させながら、協力関係を築いてひとつの製品を作り上げているのだそうだ。この方式によって、それぞれプロダクトごとの個性や、モノを作ることに対するスキの無さが十分に伝わってくるのである。
最近では、±0の製品やau携帯のデザインで有名なフカサワナオト氏がLAMY社のデザイナーでピックアップされLAMY NOTOが発表されたのだが、彼の極度にそぎ落とされたデザインが先行して頭の中にイメージされていたので、LAMY社が彼とのコラボを望んだのも実に納得が行く感じであった。
フカサワナオト氏がLAMY社より仕事の依頼を受け、開発を行う経緯はこちらのインタビューに詳細が記載されています、興味のある方は一読どうぞ。「Dr.LAMYから仕事依頼の一通の手紙が届く・・・」、フカサワナオト氏の興奮具合が伝わってきて、かなり刺激されます・・・

LAMY社の次回のプロダクトデザインはぜひとも俺でお願いします。
「1本買って当たったらもう1本」みたいな当たりくじ付きにしますから、実現したら皆さん買ってください。

-1から始まったLAMY製品は、すっかり今では自分の日常生活に+1どころか+αしてくれるアイテムにシフトした。LAMYについて思考を進めていく→潜水艦や赤ちゃんと同じように、やがてはLAMYも空を飛ぶのかもしれない。

タカヤ

ヒッピー/LAMY・モレスキン・トラベラーズノート好き/そしてアナログゲーマー

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