『スモーク』(1995年)
監督:ウェイン・ワン 原作:ポール・オースター
『まんまと罠にはまった私が、彼の話を信じたーーー大切なのはそのことだけだ。誰か一人でも信じる人間がいるかぎり、本当でない物語などありはしないのだ。』
映画版で言うと主人公は、便宜上オーギー・レンですが、全員主人公だと言ってもいいんじゃないかなあ。
タバコ屋のオーギー、作家のポール、オーギーの店に来てうだうだ話をしている常連さんたち、ラシード、その親父、本屋さんのエイプリル、オーギーの元カノのルビー、その娘、《彼》、そのばーちゃんでエセルばーちゃん。
何だったら、NY、ブルックリン、オーギーが愛した街角の一点、定点観測の対象、タバコ屋、その前の通りも。その前を通っていたひとたちも。ひっくるめて。
全員に(それこそ煙のような、あえかな)ドラマがあって、それを誰か一人でも信じる人間がいるかぎり、本当でない物語などありはしないのだろうな、と。
おまけ:映画『スモーク』の続編『ブルーインザフェイス』(3日で作ったという伝説の1作)から
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