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アンドロイドは第二の祖国の夢を見るか なかしぃ

Posted on 07 2月 2015 by

モレカウから出されたお題、「海外の生活や旅行で、あなたが見たもの・感じたことを知りたいです」に応えて、一筆取ってみました。

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かつて、澳門に住んでいた。約二年間、正確に言えば住みはじめる前は 月の半分は澳門、日本の行ったり来たりの生活だった。日本に引き上げた後も機会あるごとに行っていた。澳門って何処?と思われる読者がほとんどだと思う。ここ数年で日本でも認知度が上がってきた、マカオ。そう、カジノ産業でラスベガスを抜いて世界一になったリゾート国家のマカオである。正確にいうと国家ではなく中華人民共和国の特別行政区であるが、私にとっては20代後半を主に過ごした第二の祖国であると言えよう。

私が暮らしていた当時は在留邦人も少なく日本からの観光客も少なく、ほとんど日本人と会わないまるで世界の果てのようなところだった。国土も日本の地方都市と同じくらいの広さで、大都会でいうと区が三つくらいの広さで、二日あればほとんど観光地を回れることになる。

そんな狭い土地ではあるが、世界遺産が10ヶ所以上もあり、西洋の建築や中国の寺院が多く、飲食店も中華料理はもちろんのことポルトガル料理や茶餐廳など美味しい店が多く、ストリートや市場を覗くのも面白い、本当は1日2日では堪能できないくらい奥の深い街である。もちろんカジノも当時で10軒以上、今では土地が狭いので海を埋め立てたエリアにラスベガスのストリップのような場所ができあがり、文字通り乱立している状態である。

住み始めた当時はSNSというものがなく、ブログがようやく認知度が上がってきたくらいでネットの環境もダイアルアップ接続からISDNに移行しようかという状態で、スマホなんかはもちろん存在せず、PDAが最先端のガジェットでザウルスやPALMがナウかった時代だった。

その中で、あることをきっかけに澳門について紹介するブログを始めることにした。ブログのタイトルは「なかしぃの澳門迷街」、マカオで迷子、みたいなニュアンスでほぼ毎日更新を目標に日常の合間を見つけてはネタ探しに奔走していた。自慢ではあるがマカオについて日本語でブログを始めたのは私が最初である。(ただしある事情で削除させられて今はもう見ることが出来ない)ちなみに、他に日本人初が2つあり、澳門にできた初の外資系カジノ、サンズの日本人客第1号であり、もうひとつは香港の空港から直接マカオに行くフェリー開設の日本人客第1号である。

閑話休題、内容といえば観光名所や飲食店のレポート、街の風景を切り取った写真、暮らしていて感じたことや発見したことなど、カジノ以外の魅力についてユルく綴っていった。ある程度続けていくと、これでも何人かは楽しみにしてくれる人が出てきた。その中で、ある読者の方からブログのネタ帳にとあるノートをいただいた。フランスのクレールフォンテーヌのリングノートで、タブが5つに分かれていて其々のページが薄い色の紙で構成されているかなり手の凝ったノートで、ブログのカテゴリー別にネタを書き留めるのに便利だった。それ以降、街を歩くときは必ず持ち歩き、ネタを見つけるたびに書き込んで帰ってから少しずつ記事をupしていくのが楽しみになった。

その中で撮り貯めた写真のなかからセピア色のものだけをピックアップして写真集を出版したりもした。

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こういった観光名所的なものではなく日常を切り取った写真を載せていた。今、ここで、暮らしている人がいてその生活の営みの中に少しだけ溶け込んでみたい。所詮ローカルの人間ではないけれど少しでもその土地に住んだ足跡を残したかったのかもしれない。

とはいえ、狭い土地ながらも歩いて回るには十分広いので退屈だけど退屈ではないアンビバレントな環境ではある。ただ観光でどこかに訪れるのであっても、徒歩で街を回るのをお勧めしたい。タクシーは便利だし、鉄道は鉄道の良さもある。しかし、街を回って路地に迷い込んだり市場を覗いたり、庶民の暮らしぶりを垣間見るのにはやっぱり歩くことでしか得 られない。マカオもそうだけど、他の国に行ったときも時間の許す限り歩いて街を回るようにしている。時には迷ってしまって無事に帰れるだろうかという不安とスリルを味わうのもいいだろう。そうして試行錯誤しながら踏破した街並みは今でもまぶたを閉じればはっきりと思い出すことができる。香港も、プノンペンも、ホーチミンも、シドニーも、パリも、行ったところははっきりと憶えていて、時間が経った今でも道順から景色から街のにおいまで再現できる。

ある能科学の一説によると人間の記憶力で一番高い能力は風景を憶えることだという。特に男は人類の先祖の時代から狩りに出かけ、獲物を携えて家族の下に戻ってこなければならず、今と違ってランドマークになるような建物や道などなく、岩や木の様子や川の位置を憶えておかなければ帰ってくることができないからだそうだ。

冒頭のテーマをもう一度振り返ってみると、海外で見たもの、感じたことであるが、海外でも国内でもその土地を歩いて見えるもの、感じるもの、その土地の音、におい、空気感はノートには書き留められない類のものだ。そういうものを記憶のかなたに少しずつ積み上げていくのが旅の醍醐味なのかもしれない。

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Profile: ボールペン画家にしてぺら部の創設者、しかしてその実態は? Notebookersのwriterの中で一番内容が薄っぺらいですが何か?

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