Notebookers読書会レポート(たぶん)第4回!

Posted on 02 3月 2015 by

「物語はそれぞれの歩調で話すのがいちばんよかろうと思ってるだけさね。むかしは、みんな、いつも時間をかけて物語を紡いだが、いまではなにもかもが、さっさと済ませねばならなくなって」
(『黄昏の眠る秋』より)

もう、というより、まだ4回目なのかーと思います。
(というか、2日やっても1回のカウントなので、日数にすると10日くらいやってるんじゃないかと)
えー、そのNotebookers読書会レポートです。
この読書会は、課題本を決めて、それを読んできて「ココがこうだった」「ああだった」と話すのではなく、好きな本を一冊持って来て頂いて、それについて1時間話す、というそういう読書会です。
今回も、参加者さんにお好きな本を持って来てもらいました。

今回は、
たらこさん(初参加、ありがとうございます♪)
みなと @minato_nozomu (いつもありがとうございます)さん
と、もう途中からゲストさんがおひとり、と
せら @Treasure_Table でした。

まず、カフェにて。お約束「積みます?」から。
ですが、今回は、初!積まないで縦に並べてみました。

Notebookers読書会 本を積む?

ワタシの好きなバンクシーのポストカードでーす♪


これってこの冊数だから縦に並べられるんだろうなあ。
いわゆるノートブックタワーは、たぶんこういう風には並べられないんじゃないかと。
(皆さん、ものすごくたくさん持っているはずだから)
(この並べ方だったら、不良建材※でも問題ないよね)

(※不良建材:ノートブックを積んでタワーを作る際、貼ったり挟んだり雨に降られたりカフェで水かかったりして膨んだノートブックは、置いても平らにならず、その上に積みにくいため、不良建材と呼ばれています。そのように不安定なので、積み上がったタワーが倒れるまで数秒だったりすることも。その数秒で写真を撮るのです)
(Notebookers Meeting 等で、カフェで集まったら、テーブルに、持って来たノートブックを積み上げます。それをモレ(スキン)タワー、(単に)タワー、(単に)積む、と言います)

お約束その2。
誰から話すか。です。
今までは、
1)刊行年代順
2)誕生日順
3)誕生月順
などがありまして。今回は刊行年代順でした。

ひとりめ。せら @Treasure_Table の持ってきた本
『脱出航路』ジャックヒギンズ(ハヤカワ文庫)
『鷲は舞い降りた』ジャックヒギンズ(ハヤカワ文庫)です。

主に『脱出航路』について話しました。
話としては。
二次大戦の終わり頃、ブラジルから出航した老朽船の搭乗者たちの物語です。
連合軍の制圧下にある大西洋を、ドイツ船籍であることを隠し、船は祖国を目指すのですが、嵐やら敵艦やら、楽に進めない要素が盛りだくさんで。
そして。
ワタシがこの本について何を話したかというと、えー、恒例:メモを取っていない ため、割愛。
一番好きな箇所を書いておきます。

(ドイツ人たちの乗る船が嵐の暗礁に乗り上げまして。それを知ったイギリスの某小島の住民たちが、助けるべきか、構わないでおくかと話し合っているシーンです)

「以前(せん)にも、こういうことが一度だけあった。戦争初期、ノーサンバランドのニュービギンでだ。わしたちがそれより劣っとってもよいのか? それとも、ワシントン暗礁で訊きにさらされとるあの気の毒な魂たちを見殺しにしてもよいというのか?」
カトリナ マクブレインがよくとおる声で、にくにくしげに言った。「どうせ、みんなろくでもないドイツ野郎ばかりじゃないさ。だったら、指一本あげてやる義理だってこっちにゃないのに」
「(略)これも確かなことだが、あの船には婦人たちも乗船しとる。だが、そんなことはいまの問題ではない。つまり、わしはここに議論などしにきたのではないということだ。(中略)お前はこの戦争で亭主を失った、カトリナ マクブレイン。わしもまた一人息子を捧げたーーそしてほんの一週間まえ、あんたがた婦人のうちの何人かは、わしらのこの教会墓地に安らうべく埋葬されたドイツ海軍兵たちの墓前に涙を流したはずではないか。皆、誰も彼もなんらかの損失を蒙っている。だが、ではそれだから?(中略)神はわれわれみずからに選定をまかすためにこそあるからだ。右するか左するか、選ぶのはわしらであって神ではない」
(中略)
「あそこでひとが生命を失おうとしている、わしらがこのまま手をこまねくならばだ。まして、彼らが誰であるかなどこのさい問題ではない。(中略)話はもうこれで充分。ボートを選びに、わしはこれから南の入江へ行く。そのつもりのある者はついてくるがよい。その他の者についてはーー地獄に堕ちるがいいわい」




ふたりめ。みなと @minato_nozomu さん の持ってきた本
『諸葛孔明(上・下)』陳舜臣 中央公論社
三国志好きのみなとさんが持って来てくれました。
先日(2015年1月21日)、亡くなられた陳舜臣氏の作品です。
三国志、蜀の名宰相兼軍師の諸葛孔明が主人公。

『諸葛孔明』陳舜臣

『諸葛孔明』陳舜臣

ワタシは陳舜臣氏モノは、ほとんど紀行エッセイくらいしか読んでいなくて。やー、聞くこと全て新鮮でした!
陳舜臣氏、話すことが苦手だったそうです(文章は、ものすごくながれるように読みやすいのですが)。
そんで多作。このひとだけの作品で図書館が作ることができる、と言われるくらい。
司馬遼太郎氏の親友で(知らなかったー!)、大阪外国語大学で1年違いとか。
もともとは、大学で研究をしていた方だけど、戦争が終わって『中国人』というポジションになってしまい、教授にはなれない、ということで家業を継いで。そんで、その頃、ミステリを読んで「これなら自分にも書ける!」となったそうです。
(なので、デビュー作はミステリ『枯草の根』)

この『諸葛孔明』は、みなとさんが最初に読んだ陳舜臣氏作品だそうです。
語り口が優しいふんいき、読みやすいんだそうです。
(ですが「全作は読めない。多過ぎ」だそうです)

諸葛孔明が主人公なので、その生涯を追っています。
父親が亡くなったこと、兄が呉に仕え、弟を養うために働きーー

本にふせんが何枚か貼ってあったんですが。
孔明が叔父と戦場跡を行くシーンに貼られていました。
戦場跡の死体を見て、孔明が叔父に尋ねます。以下引用。

「どうしてこんなことになったのでしょうか?」
孔明は叔父をかえりみて言った。十四歳だが、背丈はもう叔父とほぼ同じである。叔父は黙ったままであった。どんなことばをもってしても、この地獄図を説明するのは不可能であろう。
「曹操は詩人だ」だいぶたってから、諸葛玄はぽつりと言った。ーー「感情がはげしすぎる。良いことにはげしくなってもいけない。まして、こんなことに……」
「詩はひまな人がつくればいいのですね」
と、孔明は言った。
「そうだ」

しずかなシーンですが、ちょっと鳥肌が立ちました。
陳舜臣版孔明、すごい。

そして。
孔明が劉備玄徳に仕えてから。
映画『レッドクリフ』などで有名な『赤壁の戦い』
これも出てくるのですが、風を呼ばない、とか、ただ高潔な人物として書かれているのではなく、ちょっとイジワルなところがあるとか。
(そんで、幕僚のオヤジたちがカワイイんだそうです)
(三国志はオヤジの宝庫だからねー)

そしてこれまた見せ場、南蛮行。
これももう、話を聞いてびっくりしたんですが、南蛮王孟獲が!なんと!(ネタバレにつきナイショ)。
これは本当に驚きました。陳舜臣版南蛮行すげえ!(て、ゆーか、こういう解釈、せら好み!超好み!)

そして秋風、五丈原。
孔明が亡くなったところで、すぱっ と終わりだそうです。
三国志演義では最後の最後の見せ場、『死せる孔明、生ける仲達を走らせる』んですが、走らせないそうです。
後記にまとめられている程度だとか。本当に『孔明の人生』の物語。

みなとさん、孔明兄の顔立ちのエピソードのところを話してくれました。
孔明兄、呉に仕えた諸葛瑾というのですが。
史書に書かれるくらい、顔が長かったそうです。
そんで、呉主が、ロバの首に『諸葛瑾』と書いた札を下げさせて連れて来させ、諸葛瑾をからかった、というエピソードがあるんだそうで。
さらにおまけとして、諸葛瑾の息子が、そのロバの札に『のロバ』と書き足して『諸葛瑾のロバ』とし、その賢さを讃えられたとか。

他にも。孔明の奥さんについても話してくれました。
えー、ミセス諸葛は、なんというか、その、あまり綺麗な女性ではなかった、といわれているそうですが。
陳舜臣版では、美醜云々の話ではなく、背が高い、という設定だとか。

そして。せら大喜び。
赤壁の戦いの前、長坂(橋?)の戦い。
徐庶! 陳舜臣版では、この頃まで、徐庶は劉備に仕えていた設定なんだそうです! 徐庶! 徐庶!!(もういい)
がっぷり四つに孔明と徐sh(もういい)。

本を実際に見せてもらって、読んでみたのですが。
本当に、静かで、穏やかな文章でした。
その話もしてもらいました。
三国志の悪役、曹操ですが、陳舜臣氏は曹操を高く評価していて、別の本では主人公として書いているそうです。
曹操が親を殺されて、徐州で大虐殺を行なったシーンが、ものすごく淡々としていて、血湧き肉踊《らない》らしい。
このへんが、戦記ものではなく、人物伝だなあ、と思いました。
あと、ものすごく印象に残ったのが、ちょうど、この時代に仏教が入ってきたのだそうです。
なので、仏教徒のことも少し書かれているとか。
(そして、陳氏の別の三国志作品では、戦争の後、死体を仏教徒と五斗米道の信徒が弔うエピソードがあるんだそうです。その衣が黒と白で〜〜とか)

そして三国志の話になり。
えー、もうひとりの参加者さん、たらこさんが三国志をあまり知らないということで、たくさんの作家さんが三国志を書いているので、どれがどうなのか、という話になり。
まとめると。
横山光輝版:初めて読むならコレから。わかりやすい、入りやすい。やっぱりマンガなので、ビジュアルから入ると登場人物の区別がつきやすい、などなど。
北方謙三版:とにかくカッコイイ。エンターテインメントを求めるならコレ。
吉川英治版:三国志演義に一番近い。王道ぶっちぎり。

一番お好きな場面はコチラだそうです。

「旗を、反(ひるがえ)せ。……鼓を、鳴らせ。……」
それが最期のことばであった。




三人目 たらこさん の持ってきた本
『黄昏に眠る秋』 ヨハン テオリン ハヤカワ文庫

たらこさんは、他にも絵本を持ってきてくれまして。
えー、『おじいちゃん』というテーマまで考えてきて頂きました。

『黄昏に眠る秋』
スウェーデン推理作家アカデミー賞と英国推理作家協会賞受賞作品。
舞台は北欧、スウェーデンのエーランド島。
作者テオリンが、子供の頃、住んでいたところで、四季をベースにしたミステリ四部作の一作目だそうです。
エーランド島というのは、夏にバカンスへ行く場所だそうで、秋になるといきなり淋しくなるらしい。

元船長のおじいちゃん、イェルロフが主人公。
30年前に、まだ小さかった孫が別荘から抜け出して、行方不明になり。
事故なのか事件に巻き込まれたのか、と思いながら、娘とも折り合いが悪くなり、家族がバラバラになり。
そんな時、孫がはいていた靴が届き、これがきっかけで、おじいちゃん、事件を洗い直し始めます。

おじいちゃん、イェルロフも、その奥さんも、娘も、もちろん心に傷があり、折り合いがつかないまま、30年の月日が流れます。
たらこさんは、そういう悲しさや、心の翳に引かれるんだそうです。
ミステリというには、地味で、動きも少なく、評価としてもあまり高くないそうですが、イェルロフの、孫を亡くした悲しみや、娘とのすれ違いが描かれていて、そしてまた、娘との絆を取り戻す、目を背けていた過去をもう一度見つめ直し、前を向いて、動き出す、そういうトコロがお好きなんだとか。
いいなあ、ミステリだけど、ドラマ。『ひと』が描かれている『ドラマ』いいな♪

たらこさんが繰り返し話されていたのが。
このイェルロフ、年齢80代、リューマチ持ち、歩く時には杖が必要で、老人ホームに住んで、なにかする時に人の手を貸してもらわないといけないんですが、そういうじーちゃんが、それでも「自分でやろう」とする、街へ出かけて行って、船長時代の知恵や人脈を使って(派手なアクションはないけれど)謎をひとつひとつ丁寧に解いていく、その心の動き、そして頭の働きと体の不自由さのギャップ、が、シミジミといいんだそうです。

あと、言葉、文章の訳し方。
じーちゃんのエーランド島のなまりなのか、話し方がやさしげなのも好きポイントだそうです。
こんなの。

「手伝う?」ユリアは訊ねた。
「いや、大丈夫さね」

エーランド島は、ゴブリンの伝説や幽霊譚があるらしく、そういった土地にまつわる不思議な話を、作者テオリンは、子供の頃に聞いて育ち、それらをエピソードとして織り込んでいるのもお好きだそうです。
そして、以下引用から。じーちゃんの心の痛み、傷、それに向き合う姿勢など。

「歳をとれば、死は少しばかり友人のようになる」イェルロフは言った。「とにかく、知人にはなるさね。それをおまえにはわかってほしいんだよ。わたしがこの……エルンストの死とむきあえないとは思ってもらいたくない」
「それならよかった」ユリアは口では言った。
だが、父がどう思っているか考える余裕などなかった。
「人生は続く」イェルロフはそう言い、お茶を飲んだ。
「どんな人生にしてもね」ユリアは言った。

30年前、島にいた問題児のバイストーリィなどもあるそうで。読んでみたくなる一冊でした。

そして絵本についても話して頂きまして。
映画になり、オスカーをもらった『つみきのいえ』の絵本版。
『黒ねこのおきゃくさま』
そして!せら超このみ!の『ルリユールおじさん』!!
本のお医者さんの物語です。

ルリユールおじさん

この水彩の色調!!滲み方とか、色と色のあわいとか!!

ルリユールおじさん2

なんてカッコいいんだ!

さらにもう1枚!!

ルリユールおじさん3

本を作り直しているシーン。

ルリユールおじさん、本のドクターで、えー、おじさんのお父さんも本のドクターだった、という設定です。
表紙の折り返しのトコロに、こういう一言があり。

ルリユールおじさん表紙見返し

泣きそうになりました。

たらこさん曰く
「こういうひとになりたい」
「こういうおじいちゃん好き」
だそうです。
多分、ですが、『黄昏に眠る秋』『ルリユールおじさん』『つみきのいえ』『黒ねこのおきゃくさま』、この四冊に出て来る、すべてのおじいちゃんに向けられた言葉だろうな、と思います。





今回の読書会で、すごく思ったのが、そのひとの好きなことの話を、それぞれ1時間、みっしり聞くことができて、ものすごく満たされた、というか、それは転じて、きっとワタシの力にもなるのだろうなあ、と。
架空の人物だけど、その中に(や、史実のひともいますが)、見るもの、見つけるもの、魅せられた何か、というのは、そのひと(読み手)でなければ見れないものであり、見つけられないものであり。
その視線、見方というのは、とても新鮮で、やっぱり、ひとと会って、話をして、そういうことを聞きたい、知りたいと思います。
去年は、読書会、あんまり開かなかったから、今年はもう少し、マメに開いていきたいと思っています。
話の流れで、次の読書会は、5回目にして! 初めて! 課題本について語ろう!な読書会をしたいなあ、と。
その! 記念すべき最初の課題本読書会の課題図書は!(ヘンな日本語だ…)満を持して!!

『百年の孤独』ガルシア=マルケス

5月頃に開催しようと思っています。
3月と4月、2か月あるので、えー、『百年の孤独』400ページほど、ダイジョウブ、読めます。
毎日読んで、1日7ページほどです。
えー、ぜひ、ご参加下さいませ。お待ちしております。
(ダイジョブ! わかんなかったら、ツイッターでも、コチラのサイトでも、質問、書いてくれたらいいから! どの世代のアルカディオなんだ! とか、このエピソードはなんだ! とか、わからなくなったら、ぜひご一報下さい! ワタシもわかんなかったら、タカヤさんに丸投げするから!!)



毎度、同じ締め方ですが。
参加して下さったみなとさん、たらこさん、お忙しいのに来て下さったゲスト氏、
ツイッターでRTなど、回して下さった皆様、
興味有り、不参加表明して下さった皆様、
読書会の記事、楽しみにしてるよと言って下さっている方、
そして、この記事を読んで下さった方に、
お礼申し上げます。いつも、本当にありがとうございます。



【おまけ(ぜんぜん写真を撮っていなかったの)計50〜60枚くらいステッカー切った気がする】





【追記】2015/03/14
読書会のリトルプレスを作りました。
この記事に【書いていない】話題を少し取り上げています。
本文2枚、おまけを1枚、計3枚です。
おまけは、これから作っていきたいなあと思っている本の紹介の、えー、そういう1枚です。
タイトルは “leabhar” リャウル と読みます。
よろしければ。
ローソン、ファミリーマート、セブンイレブン、サンクスなどで印刷できます。
《手順》
1)コピー機のネットワークプリントを選択
2)お金を投入(カラーでなくてもダイジョウブ。すごく地味な紙面で。文字びっしり)
(万年筆で書いてます。神戸ボルドーと石丸さんブレンドのブルーグレイのインクです)
3)約款の同意
4)ユーザー名(24PXM1EAXY)を入力、文書ファイルから選択で。
3月22日までです。
読んで頂けると嬉しいです♪
よろしくお願いします♪

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Profile: あなたと一緒に歩く時は、ぼくはいつもボタンに花をつけているような感じがします。

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