えー。
関西も寒くなり、本格的に冬っぽいです。嬉しい。
今回のタイトルは、バートン版『チャーリーとチョコレート工場』で、チャーリーがウォンカさんに訊ねる台詞
「初めてチョコレートを食べたときのことを憶えていますか」
から。
わたしは、この原作を、えー、読むのがだいぶ遅く。多分、二十歳より少し以前、くらいに読んだ覚えがあります。
初ダールが、15、16歳くらいで、何を読んだかとゆーと『あなたに似た人』でした。
かの、クウェンティンタランティーノ監督のゆかいな楽しい『フォールームス』の中の一話の原作、名作『南から来た男』などが収録された、えー、ありていにゆーとバクチ小説を含むミステリ系短篇集でして。ホントに楽しい。面白かったです。はい。
もちろん、今回の記事とはあまり関係のない前振りです。
えー、でも、ダールは、ホントにバクチ、ギャンブル小説、楽しいです(せらイキイキ)。
そして、今回の記事は、初めて書いたモレスキン、です。
モレスキン派じゃない方もいらっしゃるかと思いますが、どうぞおつきあい下さい。
もともとは、わたしは、モレスキン、仕事でカイエを使っていました。
それより以前は、無印のリングメモを使っていたんですが、もう少し大きいのがいいなあ、と探していたら、(多分、ジュンク堂さんだったと思います)本屋さんの、特に文具コーナーでもなかったんですが、回転式書架にモレスキンとカイエとヴォランがありまして。
えー、クラフト紙好きとして、カイエのクラフト表紙を見て一目惚れし、さらに、無罫もある! と、好きなモノ×好きなモノ、ということで即買いしました。その時はポケットサイズを使っていました。
角丸なので、上着のポケットに入れていても引っかからないし、ミシン目が入っているので、きれいに千切ってひとに渡せるし、と、ものすごく便利に、かつ、ざくざくと日常的に使っていました。
職場で使っていたので、表紙にコラージュなどはしませんでしたが、2センチ四方くらいの小さい花の浸透式スタンプを『その案件は完了』印として使っていまして、その花のスタンプを表紙右下に押して、ウラオモテ上下の印にしていました。一冊目はひとつ、二冊目はふたつ、と、ひとつずつ増やしていって、結局、五、六冊は押したような…
この頃、何でも帳として、トラベラーズを使っていました。
多分、トラベラーズは、発売されてすぐに買ったんじゃないかなあ。
そのざっくりした造り、デザイン、そして中のリフィルも好みで、「どうしようかなー、高いかなー」とちょっと迷っていたんですが、悩んでたら誕生日が来て、「じゃー、誕生日のじぶんプレゼントに買えばいいやー」とさらっと解決しました。
そのトラベラーズに、マンスリーと無罫の二冊を入れて使っていて、日々の予定、本や映画の感想、ラクガキ、行きたいお店の情報や旅の記録など、ほんとーに何でもごりごり書いていました。
トラベラーズを使うようになって、そういう『文具のお店』に行くようになって、そして、気になり始めたのがモレスキンでした。
カイエを使っていた頃、一緒に並んでいたがっしりしたノートブック、表紙はシンプルに黒と赤のみ、サイズも大小と二種類のみ、ページは罫線、方眼、無罫の三種類、使ってみようかなーと思うことは何度もあったんですが、やー、でも、いまわたし、トラベラーズ使ってるしー、何種類もノートブック使えないしー、と、もう、わたし、この頃の自制心、褒めてあげたいです。
その自制心が振り切れたのが、限定版ピーナツ、スヌーピーのモレスキンが発売された時でした。
「あ、これだ」と、これまた、ほぼ迷いなく、ポケットのプレーンを二冊買いました。
買うことは迷わなかったんですが、何を書こう、と思い、そーだ、と思って『モレスキン』で検索してみました。
で、これで初めてモレスキナリー、Notebookers.jpの前身である +++blanq_txt+++ を知りまして、過去記事をいくつもさかのぼって読んだ覚えがあります。
たぶん、モレスキナリーで、モレスキンに『ノンブルを振ってみたらいいんじゃないか』というようなことが書かれていて、じゃあ、そこから始めてみよう、と、だから、わたし、モレスキンに初めて書いたのは、数字の『1』でした。
と、順に数字を書いていったのですが。途中、何ページだったか、何十ページだったか、何気なく見直してみたところ、えー、どんどん無造作に書いていったため、ペンのインクが乾いていなくて、なので、ノンブルのあたりには、てんてん とシミが。
「そりゃー、汚れるよね」
と ぷつん と何か切れたような気がしました。
そこから、ノンブルは、(一応)紙で押さえて余分なインクを吸い取りつつ書きはしたのですが。
それで(吹っ切ることができたと思ったのですが)やっぱりモレスキンなのでキンチョウしてたのかな。
2ページ目と3ページ目、わたし、迷走してました。
ゴーカイに角度90度もの書き間違い。
こんなのも作っています。
ホントに何でもノートブックとして書いてま(す)した。
ペンとの相性、万年筆は裏抜けするとか、どこのメーカーのコレというボールペンは抜けないとか、品質がビミョウにばらついているようですが、わたしのピーナツは、シグノとの相性がものすごく良く、その感触、「あ、違う」と思った瞬間は今も憶えています。
そのペン先に対する、紙面の受け止め具合、というか、紙面のやわらかさ、というのか。
高級ノートブックだから、ということで、最初に書き込むハードルが高いとの意見を ちらほら 聞くことがありますが。
なんだろう、最初に『やらくらかしてしまう』これかなあ、と思います。
イキナリ、最初のひと文字を間違える、とか、(わたしのように)ゴーカイに書く方向を90度間違えるとか、そういうのをやらかしてしまって、『やっちゃったー』と、何かが ぷち と、切れるその瞬間を得てしまえば、あとは書くだけになりーー、なるんじゃないかなあ、と。
そして『何を書いたらいいのかわからない』という意見も ちらほら 聞くことがあり。
これは、ご自分の好きなものを書けばいいんじゃないかなあ。
好きな歌詞の一節とか、ぜんぶ好きなら全フレーズ書いても。書いていくうちに、なにか思い浮かぶことがあるかも知れないので、それも書いてみる、とか。
「何を書いたらいいのかわからないなあ」と書いてみるとか。
思い切って『暑い日に湖に潜る』カンジで書いてみる、そうしたら『後は泳げばいい』。
上記、『 』内の、この原典を探してみて、その記録を取るのもいいかも知れない。
他なら
『月と火星には行くよ、一緒に行くかい?』
『火星に住む人たちの話を書いています』『彼らが幸せであるように祈ろう』
の原典とか。
ネットで検索しても多分、出てこないかと。
これで思いつきました。
最初に何を書くか、提案してみます。
わたしが提案するので、えー、そういうアイディアですが、よろしければ。
・最近見た映画の台詞など。
「V8! V8!!」(もちろん、組んだ手の画像をプリントして貼る)
「ルール1 契約厳守」
「ブルーはベータの代わり、Cはチャーリー Dはデルタ、Eはエコー、アルファは俺だ」とか。
・スターバックスの、出来るだけややこしいカスタマイズを書いてみる。
・素数を順番に書いてみる。
・神戸INK物語、色雫のシリーズなどの名前を順番に書いてみる。この際、わざと万年筆で書かない。
・フリーハンドで、できるだけ美しく円を描いてみる。
・モレスキンのベルトに、たいやきやあんまんを挟んでみて、ツイッターなどにフォトアップし、それで来た@をメモしてみる。
・フリーハンドで、できるだけ美しく楕円を描いてみる。
・日本地図を、何も見ずに描いてみる。
・タピオカが、なぜあんなに綺麗な球体をしているのか、想像して書いてみる。
あの形で実がなるのか、なにか調理の手順の途中であの球体になっているのか。この際、ネットで検索しない。
・倍数接頭辞を順番に書いてみる。
・Lopadotemachoselachogaleocranioleipsanodrimhypotrimmatosilphioparaomelitocatacechymenocichlepicossyphophattoperisteralectryonoptecephalliocigclopeleiolagoiosiraiobaphetraganopterygon この単語を一文字も間違えずに写してみる(なにかわかんない方は、管理人のたかやさんに聞いてみよう。「たかやさーん、テリゴンてなんですかー」)
・天の川の外国での呼ばれ方、その伝説を調べて書いてみる。この際、ネットで検索しない。
・ポーカーの役を順番に書いてみる。
・タロットカードの名前をゼロから順番に、カードの意味も併せて書いてみる。小アルカナも一緒にドウゾー。
・円周率を書いてみる。
・オーブントースターでのごはんの炊き方を調べて書いてみる。これはネットで検索してもいいかも知れない。
・最寄りの美術館、博物館へ行って、展示物をイチから順に書いてみる(その施設のスタッフさんに、メモをとっていいかどうか、聞いてみて下さいねー。ダメなところもあります)
・世界地図を、何も見ずに描いてみる。
・最寄りの駅から、あなたの家までの地図を、オススメのお店とか、カワイイ犬がいるところとか、通ってた学校とか、余計なものをいっぱい盛り込んで描いてみる。
・”May the force be with you.” (スターウォーズ『フォースの覚醒』もうすぐ公開記念に)(スターウォーズモレスキンにいかがでしょう)
・”And I name you elf-friend and blessed.”(これはホビットモレスキンにいかがでしょうか)
「ではわしは、あなたをエルフの友とよび、幸せをいのろう。」
原作のエルフ王から、ビルボへの挨拶なのです。原作のエルフ王は、えー、どっちかというと戦いを回避させたい、なんとか和議にもっていきたい、とそういう方向に考えている方でして。バルドに言うのです。
「黄金をめぐって戦いをはじめるのは、できるだけひかえたい。(中略)さもなくば、考えもつかぬことをやらねばならぬが、それができるはずもない。仲なおりにもちこめる道が何かあろうではないか(略)」
原作もすっごくいいです。ぜひ。
・”CALL me Ishmael.” 名冒頭と言えばこれでしょう。書いてみて下さい。「イシュメイルと呼んでもらおう」いいなあ、カッコイイ。
・あなたが子供の頃に遊んだカードゲーム『大富豪』のローカルルールを書いてみる。
・理想とする最高の朝ごはんのメニュー(和風、洋風、どちらでも)
・タイの首都の正式名称をタイの言葉で書いてみる。
・あなたがふらりと入ったバーのバーテンが、モーガンフリーマンだったとして、どんなことを言ってくれるか想像して書いてみる。
・ベネチアの歴代元首の名前を原語で書いてみる。
・世界一短い数学ジョークを書いてみる。『let ε<0』
(コレ、わたしもわかんないので、ご存知の方は教えて下さい)
・『貴婦人と一角獣』の画像をプリントして貼って、『わがひとつの望み』とは何か考えて書いてみる。自分の『ひとつの望み』も書いてみる。
・歴代のローマ皇帝 or ローマ教皇の名前を原語で書いてみる。
・世界で一番長い名前の駅名を原語で書いてみる。
・あなたがふらりと入ったバーのバーテンが、ジェラールドパルデューだったとして、どんなことを言ってくれるか想像して書いてみる。
・あなたが見た最も怖い映画のタイトルを書いてみる。
・コレを読んでみて、あなたが男性なら、姫はどちらを指すか、あなたが女性ならどちらの扉を指すか、考えて答えを書いてみる。
・最も怖いホラー映画をはじき出す公式を書いてみる。
(es+u+cs+t) squared +s+ (tl+f)/2 + (a+dr+fs)/n + sin x – 1.
< es = 緊張感を高める音楽 , u = 未知要素 , cs = 主人公らが追われるシーン ,t = 罠にハメられそうな予感 , (squared = 二乗) , s = 衝撃度 , tl = 現実味 , f = 虚構性, a = 主人公の孤独さ , dr = 暗闇かどうか ,fs = 映像の雰囲気 , n = 登場人物数 , sin = 血や内臓 , 1 = ステレオタイプ度 >
だそうです。考えたのはロンドン大学の研究チームだそうで。何の研究なんだ、何の! とツッコミも一緒にメモしてみて下さい。
・きんぬき鶏の話とは、どういうものなのか、想像して書いてみる。
・井上靖と井上ひさしの違いを書いてみる。
・フラナリーオコナーとフランクオコナーの違いを書いてみる。
・キッシュのレシピを想像して書いてみる。タマゴと具とチーズは入れるとして、他に何を入れればあの味になる? どうしたら厚く焼ける?
・せっかくモレスキンなので、ヘミングウェイの言葉を書いてみる。
『海のことを考える場合、老人はいつもラ・マルということばを思い浮かべた。それは、愛情を込めて海を呼ぶ時に、この地方の人々が口にするスペイン語だった。海を愛するものも、ときにはそれを悪しざまにののしることもある。が、その時すら、海が女性であるという感じは彼等の語調から失われたためしがない。老人はいつも海を女性と考えていた。それは大きな恵みを、ときには与え、時にはお預けにするなにものかだ。月が海を支配しているんだ、それが人間の女たちを支配するように。老人はそう考えている。』(老人と海)
・せっかくのモレスキンなので、チャトウィンの言葉を書いてみる。
『人類学者のリチャード・B・リーが算出したところでは、ブッシュマンの子供は、自分の足で歩くようになるまでに、4,900マイルの距離を運ばれるという。そのあいだ子供は、親の歩くリズムをつねに感じながら、自分の土地にあるものすべてに名前をつけていく。そんな子供が詩人にならないわけがない。』(ソングライン)
・せっかくのモレスキンなので、ゴッホの言葉を書いてみる。
『もうひまわりの季節が終わってしまう、まだ32枚しか書いてないのに』
・「あなたは、何をもってご自身の存在を正当となさいますか?」この質問に答えてみる。
・コレを読んで、盗賊、男、その妻、三人のうち、誰の意見を真実だと思うか、書いてみる。
・4世紀のローマと中国と日本と、あなたの興味のある国で、何が起こっていたのか、並行して書き出してみる。
・状況として必要ないときでも笑顔を浮かべるみる。怒りを感じているとき、みじめな気持ちのとき、世界にすっかり押しつぶされた気分のときに笑顔を浮かべることーーーそれで違いが生じるかどうかを書いてみる。
・誰か笑顔を返してくる人がいるかどうか見てみる。それぞれの日に受けた笑顔の数をたどって、その数を書き留めてみる。
・あなたが笑顔を送ると、声をかけてくる人もいるはずなので、その声に応えられるように、友好的な言葉を書き溜めておく。
話すことが尽きてきたら、天気を話題にする。冷めた連中は天気なんて陳腐だとけなすが、実は話のきっかけとしてこれほど役に立つテーマはない。ちょっと考えてみれば、風速冷却指数、セントラルパークの降雪量といった問題への関心に隠れた哲学的、さらには宗教的次元が見えてくるはずなので、天気の話題を書き留めておく。
・Your guess is as good as mine.
・fino de la mondo.
と、こんな具合で、いかがでしょう(後半。だってわたしだから。ゴサムハンドブック好きだから)。書いてみたいと思う項目があったでしょうか。
あと、In case of loss… は、いきなり書かなくていいと思います。
このノートブックは失ったら困る、と思った時、書けばいいんじゃないかなあ。
で。これと並行して、ラージのモレスキンも使っていました。
ラージは、ふつーのブラック プレーンのモレスキンで、これもまた忘れられないノートブックの一冊でして。
えー、なんと、ありがたいことに『モレスキン 人生を入れる使い方』に掲載して頂きました。
トラベラーズを使っていたとはいえ、二冊め(というか、その時点では一冊目のピーナツモレスキンも終わっていなかったのですが)のモレスキンのページを取り上げて頂けて、本当に嬉しかったです。
上述の、初めて使ったのはカイエ云々〜というのは、こちらの本にも書いて頂いています。
えー、慣れないなあ、とか、何を書いたらいいかわかんないなあ、と思うのは、多分、ホントに一時期かと思います。
すぐに、ノートブックを持っていないと、「あ! 忘れた!! どうしよう!!」と慌てるくらいのあなたの半身となるかと思います。
■ □ ■ □ ■ □ ■ □
もひとつオマケに。
最初の一文として。コレなどいかがでしょう。
“How many miles to Notebookers.jp?”