今、わたし、ベケットを読んでいるのですが。
もう、すばらし過ぎて何度も電車の中で(通勤読書なのです)、涙ぐんでおります。
そのたびに、ポケットにあったレシートなどを千切ってはさんでいるのですが。
わたしの本を見たことがある方はご存知なのですが、そういうレシートやストローの袋を千切ったものをふせん代わりにしています。なので、落としたりすると、ふせんじゃないので粘着部がないので、ちょっと悲しいことになります。
ところであなたの人生の話をしてくれませんか、それからなんとか考えましょうや。
これも『考えるのは後』なんだ。わははー。
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2013年のアドベント企画で、サンタクロースの起源だとか、変遷などについて記事を書きました。
二年経って、さらに情報が更新されまして。
サンタクロース、モデルになったのは、トルコ、ミュラのニコラウス司祭と書いてましたが、えー、別の本などを読んだところ、他に、トルコのピナラ、シオにも、同名のニコラウスという聖職者がいて、それが混ざって混ざって色んなエピソードができたんだそうです。
聖ニコラウス、基本的には子供の守護聖人と言われていますが、他にも、船乗り、商人、質屋、パン職人、肉屋の守護聖人でもあるそうです。それぞれにエピソードがあり、それだけ人気の聖人なんだろうなあ。
Notebookersなら「サンタさん! ぼくたちわたしたちNotebookers、今年一年イイコにしていました! だから」「プラチナ蒔絵万年筆、タキサンスイ下さい!」とか「ぼくは木軸黒檀加賀高蒔絵万年筆(尾長鳥)でいいです!」とか、ご希望はあるかと思いますが。
そういう、各国のサンタクロース事情を読んでいるうちに、ものすごく興味がわくキャラクターがいました。
(聖ニコラウスの周りにいる)彼らです。
#ドイツ #オーストリア、西洋版“なまはげ”『#クランプス(鬼)の儀式』11月下旬~1月初旬 聖ニコラウスのお供だったというクランプスの群れが街を練り歩き、悪霊払いをします。
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— ヨーロッパ旅行✈情報部 (@euro_tour) 2015, 12月 5
彼らです。
#スイス #レッチェンタール『#チェゲッテ の祭り』2/4・6 雪の中を歩き、夜中に家々を訪ね歩いて子供たちを驚かすという様子が、日本のナマハゲに酷似していることから良く話題にされる。
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— ヨーロッパ旅行✈情報部 (@euro_tour) 2015, 12月 5
ヤツらです。
クランプス、ドイツ南部から、オーストリアのチロル、ザルツブルクにいるキャラクターで。
この辺りの地方では、11月後半から1月初めにかけて、聖ニコラウスのパレードがあるそうです。
聖ニコラウスは白い服を着て司教冠をかぶり、右手には羊飼いの杖を、左手にはエンマ帳(子供たちがイイコだったかどうかが書かれているらしい)(エンマ様じゃなくてニコラウス先生だけど)を持ち、ロバを連れているそうです。
そして、そのお供がクランプス。頭にはヤギのような角があり、手にした鞭をびしびし鳴らしながら悪い子を脅かすのだそうです。
クランプス、総称として『おどかしオバケ』をいう名前を持っているそうで。
他の地域でも、聖ニコラウスのパレードにはそういったオバケがいるとか。
スイスでは『シュムッツリ』という黒いオバケが聖ニコラウスに付き添い、悪い子に墨を塗る。
フランスのロレーヌ地方では『鞭打ちおじさん』と呼ばれる気味の悪い男が聖ニコラウスのお供をする。
ドイツのベルヒテスガーデン地方では、8人のブットマンドルという全身麦ワラで覆われた穀物の精霊が聖ニコラウスのお供で、やはり鞭を持ち、びしびし鳴らす。これは悪霊を祓い、地霊を目覚めさせ、来年の豊穣を祈る意味を持つのだそうです。
だいたい、聖ニコラウスのパレードをする地方で、共通するのが
1)村の若者が正体を隠して、企画、仮装をしてパレードを行う。
2)聖ニコラウスには、必ずお供のオバケがいて、鞭を鳴らす、鎖をがちゃがちゃ鳴らして、騒ぐ。
これは悪霊を祓う意味を持ち、来年の豊作を祈るという意味。そして子供たちを脅かす。
あと、おどかしオバケは、見た目はほとんど悪魔ですが、冬の怖さ、寒さを擬人化したもの、その地方の習俗がキリスト教に添うように形を変えて残ったものである、などの説もあるようです。
(先日、Notebookers、少人数で集まった時に少し話してたのですが、やっぱり共通するのが山間部、そして雪が深い地域なので、言うことを聞かない子供、というのは、大げさではなく『生命にかかわる』のだろうなあ、と。その子自身も、ご近所、村全体などの共同体としても。なので、いつも顔を合わせている大人、親、先生ではなく、『クランプス』であり、『鞭打ちおじさん』である、より高次の存在が「悪い子はいねがー」と脅すのかなあ、と)
クランプス、鞭打ちおじさんなど、おどかしオバケは、先祖の霊であり、ハロウィンの流れをひいているとも言われているそうです。
これはキリスト教のお祭り、パレードですが、先祖の霊が帰ってくるお盆のような、キリスト教以前のお祭り、信仰などの名残もかすかにあるようです。
3)聖ニコラウスが、各お宅を訪ね(個別訪問しないトコロもあるようですが)、子供たちの様子を聞き、祝福を与える。
(ですが、クランプスくらいコワいのに「悪い子はいねがー!」て言われて、さんざん怖がらされたあと、どれだけ聖ニコラウスが優しげでも、…焼け石に水では)
(聖ニコラウスのお宅訪問として、親御さんが教会に「希望の訪問日時、子供の名前、年齢、今年悪い子だったポイント「妹をいじめた」とか「家のお手伝いをしなかった」などの詳細を伝え、申し込む。>当日、聖ニコラウスとクランプスがやってきて、クランプスが「妹をいじめたハンスはお前だなー!」と怖がらせる。>「なんでクランプス、そんな詳しく知ってるんだ」とハンス泣く。>さんざん怖がらせたあと、聖ニコラウスが「次の年はいい子にするんだよ」とプレゼントをあげる、と、こういう流れのようです)
この気合いの入ったクランプスの仮面を見て思ったのですが。
雪の深い地域、木で細工物を作る職人さんたちは、冬の間は手持ち無沙汰で、「より怖いお面を」「もっと怖く」「想像するんだ、もっと生命の通ったクランプスを」と、えー、物作りとしての情熱を傾けて彫った、その結果じゃないかなあ、とか。
先年、ザルツブルクの司祭(? 司教? とにかくカトリックの偉い方から)「親御さんたちは、クランプスを子供たちの躾に使うのをほどほどにするように」とのお達しがあったとか。
(子供たちから涙に濡れた手紙が届いたんじゃないかなあ。「しさいさま、ぼく、今年一年、いいこにしていたからクランプスを家にこさせないでください」とかさー)
これ、ぜんぜん知らないひとが見たら、お子さんじゃなくてもびっくりしますよね。
東欧地域のなまはげKlaubaufe/Krampus。12月前半の行事だが、オーストリアでは国内のシリア難民たちを怯えさえないように周知や祭りへの参加を呼びかける、とか
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— ゆきまさかずよし (@Kyukimasa) 2015, 12月 4
そして本朝、日本にも。
ここで紹介されている「東欧地域のなまはげKlaubaufe/Krampus」と信州の「芦ノ尻の道祖神」はとてもよく似てるよなあとか。
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— 『蚕』畑中章宏 (@akirevolution) 2015, 12月 8
こういう比較、オモシロいなあ、まとめた本があったらぜひ読んでみたい。
えー。
男鹿地方のナマハゲは、大晦日や小正月に「悪い子はいねがー」と各おうちを訪れます。
悪い子は連れて行かれるんでしょうか、いい子にしていても、ナマハゲは何もくれないんだそうですが、「えー、何もくれないのー、やだー」とか言うと連れてかれるのかな。
(Notebookersなら、サイン欲しがりそうだなあ。「サイン! サインして下さい!」「ペンは何を使ってるんですか!?」「あ、シグノですか! 俺もシグノ派です!」とか)
他には、鹿児島県の甑島(こしきじま)のトシドンという神様も同じように、各おうちを訪ねて子供たちがいい子にしていたかどうかを聞き、いい子には歳餅(としもち)というお餅を与えるのだそうです。
(こちらも、クランプスと同じように、事前に親御さんが、トシドン様に子供の今年の悪い子だったポイントを伝えていて、「おとーさんおかーさんの手伝いをしなかったのはおまえかー!」と子供を叱るそうで。
子供としては、ドイツ、オーストリアのお子たちと同じく「なんでトシドン様、そんな詳しく知ってるんだー」と怖がり、かつ反省する)
こういった聖ニコラウスのパレードも、変わってきていて、映画やアニメのキャラクターたちもお供になっているそうです。
梅棹センセイが「変わること、刷新されることが宗教が生きていることの証」というようなことを書かれていて、時代と一緒に変化することが、今、リアルタイムで『在る』宗教なのでしょうが。
やっぱりこのクランプスや、その他、おどかしオバケたちはこれからも、子供たちに「おとーさんおかーさんの言うことを聞かないハンスはお前だなー!」と叱り、反省を促す、そういう活躍をしてほしいなあ。
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サンタさんへ。
せらも今年一年、すごくいい子で、Notebookers.jpで一、二を争う良識派でいました(棒読み)から、右と左を瞬時に判断できる俊敏な感覚を下さい(切実)。
(東西南北が瞬時にわかる感覚は、来年でいいです)