ないはずだった欠落が生じて
なだれおちたのが周辺となり
そのように偏在が生じた途端
あちらこちらがなだれおちて
巻き込まれたのが欠落だった
減るはずのないものが減って
生じた空隙に身震いする欠落
なだれる欠片を纏って渦巻き
インフレーションを起こした
宇宙は原初の欠落の虜となり
その上辺に生命などを宿した
欠落は欠落ゆえに気にかかる
欠落そのものを我慢できない
そのような欠落を埋める毎日
だが欠落こそ自身の主人だと
気付けぬままに 脅えている
書き連ねた日記帳に紛れ込む
空隙の日に自分は何者なのか
一瞬の分断もなく自分だと?
足元が不安で仕方がないなら
血でも唾でも擦り付けておけ
欠落には 過去も未来もない
欠落には 自分も他人もない
欠落には 主義も主張もない
欠落には 教義も罰則もない
欠落には 欠落の痕跡もない
ないものがあることを支える
(暗黒)