映画『パターソン』見てきました。
ジャームッシュカントクの新作(というか、もう次の作品の予告をしてたので、準新作くらい?)
バスドライバーのパターソンが、毎日をルーチンワーク的に過ごす中で、ノートブックを開き、心に浮かぶ詩を書き留める、という水が流れるような物語でした。詩とノートブックと犬とチェスとマッチ箱。
「詩の翻訳は、レインコートを着てシャワーを浴びるようなもの」
堪能しました。第69回カンヌ国際映画祭 パルム・ドッグ(ドールじゃなくて、dog)賞受賞。
パターソン公式サイト
以上、前振り終わり。
12星座紹介、9月は乙女座です。
(4月5月の牡羊座と牡牛座、6月のふたご座、7月のかに座、8月の獅子座があります。よろしければ)
乙女座、春の星座です。
乙女座の中でも、スピカという白く明るい星が目をひきます。
和名では「福星(ふくぼし)」「真珠星(しんじゅぼし)」などと呼ばれているそうです。
(そして、どの本でも「福井県のあたり」と強調されていました。福井県の方で伝説や謂れがあるのでしょうか)
スピカ、英語では「スパイカ」という発音になり「とがったもの」「とげとげしたもの」を意味するそうです。
(靴のスパイクとかそういうの)
和名のほんわかしたイメージに比べて、なんでとげとげしたものという名前なのかというと、最初の最初、バビロニアで星座が作られた時は、単なる麦の穂が星座のモチーフでしたが、これがギリシャに伝わって神話や伝説と結びつき、乙女の姿になったらしい。
(その麦の穂先がとげとげしている)
この結びついたギリシャの乙女座の紹介です。
ギリシャの豊穣の女神デメテル(※1)は、娘であるコレー(※2)と一緒に、シチリア、エンナという谷に住んでいました。
このコレーに死の国の神ハデス(※3)が懸想しまして。
ハデスは兄(※4)である最高神ゼウスに「あの子、ぼくのお嫁さんにしていいー?」と聞きます。
コレーはゼウスの娘なので、娘が死者の国の王妃になることはやぶさかではない、と、あっさり「いいよー」と答えます。
ある日、コレーは友達の妖精たちと一緒に、野原で花を摘んでいたところ。
とても美しい水仙が咲いているのを見つけ、これに手を伸ばしたところ、地が割れて、馬車に乗ったハデスが現われ死者の国へ連れ去られてしまいました(※5)。
行方不明になった娘を女神デメテルは探し歩きます(※6)。
えー。
豊穣をつかさどる女神が、仕事を放り出して娘を探しに歩いているので、地上はエラいことになりました。
作物は実らず、飢饉となり荒れ果て、ゼウスを含め神々は「ちょっとやばくね?」と思いました。
太陽神ヘリオス(※7)は、そのデメテルの様子を気の毒に思い、ハデスがコレーをさらったと教えます。
デメテルはゼウスに抗議し、コレーを返すように伝えました。
地上の荒廃を見かねたゼウスは、伝令の神ヘルメスに死者の国からコレーを連れ戻すように命じます。
ハデスは、ゼウスの命令を聞き、コレーを地上へ返します。
その時、ハデスはコレーにザクロの実(※8)を渡し、食べるようにと言います。
ハデスは、コレーを無理矢理連れて来た割りには、紳士的に振る舞っていたらしく、コレーは「最後の頼みくらいは聞いてもいいかもー」と12粒のうち4粒を食べて、地上へ戻ります。
デメテルは、戻ったコレーに死者の国でザクロを食べたことを聞かされます。
死者の国の食べ物を口にすると、その支配下に置かれるという掟があったのです。
この取り決めは、デメテルも従うしかなく、コレーは、1年のうち(※9)4か月を死者の国で王妃として暮らし、残りの8か月はデメテルのもとで暮らすことになりました。
デメテルはコレーがいない4か月は、嘆き暮らすため、地に作物が実らなくなりました。
この期間が冬となり、四季が生まれた、といいます。
星座の乙女は、コレーの姿だとも、デメテルが麦の穂を持った姿だとも言われています。
==以下、注釈==
※1:「デメテル、馴染みある名前ですよね!洋菓子のメーカーと同じ名前!」と思ったら、あちらはデメルでしたハハハ。
※2:コレー。比較的、読みやすい名前かと思います。えー、ギリシャ神話では別名としてペルセフォネ(ベルセフォネとも)、ローマ神話ではプロセルピナがあります。わたしがこの「コレー」という響きが好きなので、今回はコレーで統一します。
※3:ローマ神話ではプルートーといいます。
※4:兄とも弟とも、いろいろな説があるようです。わたしが読んだのはゼウスが末っ子とか…
(海神ポセイドン、死者の神ハデス、大神ゼウスの順番だったような…)
なんで兄弟、この順番で末っ子が一番エラい神様なのかというと、治める領地をくじで決めたというのを読んだ覚えがあります。海と天上界と冥府を分けて治めよう、と決めて、くじ引きでゼウスが天上界をひいた、と)
※5:馬車に乗っていなくて、ハデスが単身、地上に姿を現し、コレーをひっさらった、という説もあります。
そこで。
お待たせしました(何をだ)。
この場面の彫刻を紹介しようと思います。
ベルニーニセンセイの渾身の! えー、彫刻史のひとつの新しい流れを作ったという名作。
「プロセルピナの略奪」ローマのボルゲーゼ美術館収蔵
※6:探し歩いている間に、あちこちでデメテルは伝説を残しています。このあたりの余計な話がとても好きです。「俺の村にもデメテル様、来たんだぜー!」みたいな。
※7:ヘリオス、イイヤツ。
※8:ザクロは婚姻の象徴なのだそうです。実が多いので子孫繁栄というような。
あと、日本の神話でも死者の国で何かを食べたら、そこに縁ができて地上には戻れない、という話があったような。
※9:ギリシャ神話の時代に、1年を12か月としたユリウス暦があったとも思えませんが。なんか、その、そういうことでしょう(あいまい)。
10月はてんびん座? 来月もまたよろしくお願いします。
そして、えー、その10月にトラベラーズノートミーティングを開催しようと思います。
9月11日か12日に、こちらNotebookers.jpでまた記事をあげますので、皆様、よろしくお願いいたします。
日程は10月9日(月)を予定しております。場所:大阪梅田近辺
>前回のトラベラーズノートミーティング募集記事
>前回のトラベラーズノートミーティング報告記事
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