旅にはノートだよね。
旅先で友達2人に会うことになり、打ち合わせ段階で、モレスキンのカイエジャーナルを1人1冊ずつ持つことになった。
クラフト表紙のカイエを見て、私はモレスキンイベントで、カイエにスタンプを押したことを思い出した。
たくさんある英単語や旅などに関係ありそうな絵柄のスタンプを押して、「一つしかない小さなノートブックを作る」イベントでの興奮状態を今でも鮮やかに覚えている。
友達の1人が、この夏の終わりから字を書き始めた。
最初は恐る恐る書き始めたのだが、自分で筆記用具を試し、がんがん裏紙で練習し、どんどん上手くなっていった。
最近では毎日のようにネットに上がる彼女の作品を見て、溜息しか出ない。
そこでふと思いついたのが、「その彼女にカイエに字を書いてもらうこと」だった。
というのも、彼女が字を書き始めるきっかけの瞬間に立ち会っていたのが、私ともう1人の友達だったからだ。
そっとおねだりしてみると、彼女は快諾してくれた。
しかし、練習がしたいので事前に何を書いたらいいか教えてほしい、と言われた。
私は「ILYA」をお願いした。
テツガクのことはよくわからないのだけれど、フランス人のテツガク者が言ったことばで、意味は “There is …”
「存在する」「ある」
だからなんなんだ、と言われても、私がちょっとカッコつけたかったのかもしれない。
早朝から歩き回って、おやつ休憩で入ったカフェで書いてもらった。
好奇心満々の私たちをよそに、彼女はインク漏れ対策のためビニール袋に入れ布に包まれた筆ペンを取り出し、練習用の紙に何度も素振りのように線を書いたり文字を書いたりして、さささーっとカイエ2冊に「ILYA」と書き上げた。
渡されたカイエを「かっちょえぇ~!!!」と思いながら受け取った。
冒頭の写真の左が私のカイエ。
これ、自分じゃ作れない。
旅にカイエを持っていったのは初めてで、この軽さと薄さを改めて楽しんだ。
たっぷりとページ数もあるし、実際、旅の途中は楽しすぎて、なかなかノートブックを開く時間がないので、旅の準備メモも含めこれ1冊でまかなえそうだった。
私はカイエにスタンプを押し、旅の出来事をメモし(どこにいったか、くらいしか書けなかった)、友達にメッセージを書いてもらい、着物を着た時のバッグにも潜ませ、入場券をマスキングテープで貼りつけた。
絶対、3人のカイエは使われて全然違うものになっていく。
書き込まれ、あるいは空白のまま、汚れ、あれこれを受け留め、持ち歩かれ、放置される。
不思議だなぁ。
最初はただのクラフト表紙の方眼罫の糸綴じノートだったんだよ。
いつかまた3人で会うとき、「あのときのカイエ、どうなった?」と持ち寄って見せあいこしたいなぁ。
そのときは、ぐっちゃぐちゃになったカイエを私は持っていくと思うよ!
だって、私はいつでも一緒にいて、雨に打たれ、あれこれ書き殴り、私の気持ちをぶつけてよれよれになったノートブックが大好きなんだから。