罫線に囚われない 行列は乱したい
書式は登録しない 雛型は作らない
順番通りにしない 起承転結はない
輪郭は無視してる だからはみ出す
はみ出す理由なら はみ出れば解る
はみ出す是非なら 善悪をはみ出せ
はみ出したあんこ その甘さを知り
クッキーを型抜き 不定形な広がり
輪郭の内外は同じ だけど全然違う
濃さと厚みと密度 結びつきの強度
そこに顕れる関係 それこそが存在
外から見ている目 見上げている目
事件は輪郭にある 会議室にはない
有限距離の輪郭が ∞の宇宙を囲む
輪郭は常に振動し 定型を保たない
はみ出したいのは 破りたいからだ
私は肉体の縁、肉体の辺境と精神の辺境だけに、いつも興味を寄せてきた人間だ。深淵には興味はなかった。深淵は他人に委せよう。なぜなら深淵は浅薄だからだ。深淵は凡庸だからだ。
(三島由紀夫『太陽と鉄』「エピローグ―F104」第二段落より)
(遁走)