人間には行方不明の時間が必要です〜サインペンを捨てる時

Posted on 18 3月 2018 by

えば、本を読んでいて、その本に挟んでいる新刊紹介のリーフレットとか、その本のあとがきや解説に書かれている別の本とか。あと、映画館などで(ミニシアターなどは特に)次の上映の予告などを見ると(本も同じなんですが)あー、次はこれを見よう(読もう)と思うことを、わたしは『新刊リーフレットアリジゴク』『ミニシアターアリジゴク』と呼んでいるんですが、いかがでしょうか。

前振り終わり。
確か大橋鎮子さんのエッセイ? ドキュメンタリー? 『暮らしの手帖とわたし』だったと思うんですが。
暮しの手帖刊行初期の頃を書かれたもので、その中でとても印象的なエピソードがありました。
例えば、いくつかのフライパンを1日何時間と決めて、野菜くずを炒めてみて、焦げつきなど、それぞれのフライパンの状態を比べる、とか、キッチンクロス(シャツ?おむつ?布製品だったと思います)を何回か洗濯して、生地の傷み具合を調べるとか、そういう実験をしていた、と読みました。
(そんで、野菜クズを提供してくれた八百屋のおじさんがほんとーにいいひとで、ほろりとしました)
これを Notebookers.jp でするなら、例えば、ボールペン1本で、ずーーーっと線を描いて、何メートル描けるのか、とか、一定の濃さが保つことができるのは、何メールとまでか、とか。
万年筆なら、どこのメーカーのコンバーターなら、1回の注入で何メートル描けるのか、とか。
そういうことをうっすら考えていたんですが、先日、職場で、ちょっと思いつきました。

職場のペン立てに赤のサインペンがたくさん差さっていました。
仕事で赤のサインペンをよく使います。案件がすんだら、その書類に 済 と大きく書いて、シュレッダーにかける箱に入れる、忘れてはいけない用件などを赤で大きく丸で囲む、アンダーラインを入れる、日付、時間など、間違えないように赤で大きめに書く、などなど。
その何本かのサインペンをとって、試し書きをしてみたところ、どれもこれも、
◎それなりに書ける
◎ただ、ちょっと長めの文章になると掠れる
◎丸、線、くらいなら問題なく書ける
◎じゃあ、使うか、とふつーに使おうとすると掠れる
──どうすればいいのだ。
ボールペンの「インクがなくなったよ! もう書けないからね!」という All or Nothing のわかりやすさって、ありがたいなあと思ったり。
それで、聞いてみたいなあと思いました。
文具好きさんたちは、サインペン、どのくらいで捨てますか。
ノート01

ノート02

4と4’ は、1本のサインペンで、両端に太い芯と細い芯がついているタイプです。

ノート3

8は、新品の赤サインペン

1、2、7くらいなら、ちょっと日付と時間を書いたりするくらいならOK、
3は、もう捨てもいい(むしろ、なんで捨ててないんだと思う)、
4、5、6くらいが一番中途半端で、特に4は、太い方ならまだ1や2、7レベルで描けそうなんだけど、細い方はもう全然出ないからなあ、と。
なんでこんな7本も中途半端にためてしまったのかと考えたのですが、これはやっぱりリフィルを交換できるボールペンと違って『本体ごと捨てる』ことになるからだろうなあ。
「ずっと使ってきたペンを、インクが出にくくなったから、ペン本体丸ごと捨てる」
愛惜、というか(とかゆっても、ほぼ見分けがつかない同じよーなペンに愛惜もなにも)。

こういう「何かアクションを起こす時の判断」というのは、ほんとうにそれぞれだろうなあと思います。
例えば(地域にもよりますが)今、三月中旬なら、コートをクリーニングに出す、お布団を冬仕様から春秋仕様へ代える、そして、コタツを片付けるタイミングなどなど……

いかがでしょうか。皆様のペンケース、ペン立てには「書けるけど、ちょっとかすれるサインペン、マーカー」などは入っているでしょうか。
それはふつーにお使いになっているでしょうか。
なにか思い出があって、捨てられない一本として、タリスマン的にお持ちになっているんでしょうか。
一本くらいなら、そういうペンがあってもいいなあと思います。

(ちょっと考えたのですが、両端に太さ違いの芯があるサインペン、これなんですが、両端、太さじゃなくて色違いのサインペンてできないかなあ。赤と黒とか、赤とブルーとか)(あればすごく便利だけどなあ)

赤サインペン

こういうカンジで。




■おまけ
人間には
行方不明の時間が必要です
なぜかはわからないけれど
そんなふうに囁くものがあるのです
三十分であれ 一時間であれ
ポワンと一人
なにものからも離れて
うたたねにしろ
瞑想にしろ
不埒なことをいたすにしろ

『行方不明の時間』茨木のり子

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Profile: あなたと一緒に歩く時は、ぼくはいつもボタンに花をつけているような感じがします。

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