今書こうとしている話の話
死ぬ前に見る現実を語る話

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参考文献からの抜書と評価
採用文体のバリエーション
テーマとモチーフのリスト
思い浮かんだことを自由に
それらの全てを手書きする
思考は筆記に引き留められ
キーボードの速度を渇望し
置いていかれる口惜しさに
肉体の重さと不自由さとを
嫌というほど実感するのだ

だがテーマが死である以上
観念と身体との邂逅の間で
思念が肉体に肉体が思念に
拘束されている閉塞を感じ
その間接的不自由さこそが
生きる死ぬ物体の重力の証
だから肉体が打鍵によって
チートする怠惰が導入する
形而上学的で値打ちのない
上滑りを綿密に排除する為
とにかく手書きにこだわる
肉の抵抗値を測る為である
