こんにちは、neokixです。
ずいぶん昔になりますが、私は壁一面の本棚を捨て去り、もう本は買わないぞ、本は図書館で借りるぞ!と無謀なことを考えました。そのころちょうどミニマリストが自分の中でブームになっていて(今もそれなりにブームですが)、もう私はミニマルに生きるんだ!と思っていたわけです。職業柄そんなことをできるはずもないのに、です。その際、大量の本を裁断し、スキャンしました。その時はちょうど、僕には時間がたくさんあったのです。
しかしまあ本というものは不思議なもので、やはり増えるわけです。増殖する。そして、隠れたところから出てきたりもする。そんな折に、ちょっと引越しをすることになったこともあって、また裁断の日々がはじまったわけです。
手順としては簡単です。まず、本を選びます。そして、OLFAのロータリーカッターと、アルミニウム製の定規と、これまたOLFAのカッターマット(A4)を使って、本の背表紙部分を取り去ります。そして、Brotherのやっすいドキュメントスキャナにそれをぶち込むわけです。(このコンボは非常にお勧めです)
しかし、本の選定もなかなか難しいものがあります。もちろん、もう読まない、いらないという本については、ある程度の失望感なんかがありますので、捨てるとか、ブック・オフに売りに行くとか、そういうことができます。それは容易。
しかし、絶版の研究書などはさすがに裁断できません。保存するなら裁断でしょ、という向きもあるかもしれませんが、それはそれ、これはこれです。
一方で、教科書なんかはすぐ裁断できます。あと、古典的な研究書や、私的に時期が過ぎたもの、再購入が可能な小説もたいていは裁断できます。シュッツとか、ジンメルとか、村上春樹とか、そのあたり。フーコーなんかももう容赦なく裁断してスキャンされます。ヴィトゲンシュタイン先生には、もう少しお付き合いいただくので、ステイです。
そうこうしているうちに、どんどんと今度は、裁断された哀れな本の残骸の紙の束ができてきます。これもまた、紐でくくる必要があります。そうすると、どんどん哀れな元・本たちがたまっていく。それを見ていると、あぁ、残念だな、悲しいな、となるわけです。罪悪感すら感じるわけです。こんなことなら、私の元に来なければよかったんじゃないか、とかそういう風にすら思うわけです。
これまたノートもたまっています。たぶんまるまる燃やしてしまっても困ることはないのでしょうけれど(自分ノートを読み返すことはごくまれにありますが、ごくまれですので)、それでもやはり場所は取ります。たぶん30冊ぐらいのノートはあるんじゃないかな、と推察します(連番をつけるべきですね)。
そういう具合で、本を切り刻んで01000100100にしても、ノートを横目に睨んでも、どう頑張っても引っ越しというのは大変なものです。この時期、引っ越しで悩んでいる方も多いでしょうなぁ、とそんな人々に想いを馳せます。スキャナが一定のリズムを刻んで、どんどんとインクの染みをせっせと 0100010101101に置き換えていきます。
いったい私はどこで、道を誤ってしまったのでしょうか。