Tag Archive | "コトの断面にモノが顕れる"

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絶対に忘れてはならないノートの話

Posted on 08 4月 2018 by ピース・メーカー

書き留めておかないと忘れてしまうから
忘れたいことばかりを書き留めたノート
ふとしたひょうしに思い出してしまって
気付かないままその思い出に微笑んだり
懐かしくなってもう一度戻りたいなとか
感じちゃったら取り返しがつかないから

忘れたいことそのものを思い出させずに
それでいて忘れたいことを思い出させる
そんな索引を工夫するのは案外楽しくて
忘れたいことよりもその見出し語の方が
ずっと大事だなんていい気になっている
そんな風にして忘れたいことを記録する

忘れたいことがこんなに分厚いノートを
びっちりと埋めていることに安心したり
何だかほっとしている自分がいたりして
忘れたいことを忘れ続けるためのノート
忘れたいことばかりでできているノート
絶対に忘れてはならないノートの話です

(拘泥)

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plaintext

Posted on 11 3月 2018 by ピース・メーカー

「本当に、言葉は短いほどよい。それだけで、信じさせることができるならば」                                      太宰治『晩年』より

事実は3Dでノートは平ら
よって書き記すのは等高線
すなわちノートとは地図だ

事実は知りえた世界であり
世界は衝撃波の波紋だから
等高線は自分の波紋の相似

ノート書くのは難しくない
自分が受けた衝撃の凹凸を
ひたすら平文で書けばいい

うれしいたのしいだいすき
ちがうきらいそうじゃない
ここを過ぎて悲しみのまち

難しいことも平明に書ける
微妙な機微も細密に写せる
何一つ誤魔化したりしない

プレーンテキストの立体視
そこへ分け入っていく能力
書くより読む方が難しいよ

「なんにも書くな。なんにも読むな。なんにも思うな。ただ生きて在れ!」                                      太宰治『晩年』より

(無理)

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スプレッド/形式の諸問題(バレットジャーナル考)

Posted on 29 10月 2017 by ピース・メーカー

※記事二本分まとめてみました

スプレッド

ノートという場に広げる 断片の時間

ひとつひとつをまさぐる だけでなく
ひとつひとつをひとつに 編み上げる
時間を空間に移しかえて 展開させる
最適化効率化有用化して 時間に返す

ケルト十字 スプレッド

人は時間に生きるに非ず 空間に在る
ノートという広場でこそ 人は自在だ

(読解)

 

形式の諸問題(バレットジャーナル考)

こだわったとたん、その形式に縛られたことになるからだ。縛られてはいけない。さまざまな形式を、例えば音符のように使いこなさなければいけない。音符のように、自在に組み合わせることが出来なければ、形式の意味はない。(後藤明生 『この人を見よ』p.184 幻戯書房 2012年8月12日 初版)

1.PoIC(Pile of Index Card)

GTD(Getting Things Done)という方法が日本の情報カードと出会って生まれた方式。詳しくはこちらを
 PoIC : 情報カードの積み重ね(2007年9月7日 Hawkexpress) http://gihyo.jp/lifestyle/serial/01/poic/0001

もともと、GTDは、日々のタスクをいかに効率的に処理していくかを追求した方法論でした。従って「何かを蓄積していく」というタイプのものではなかったのです。
一方、日本に根付いていた「情報カード」術は、日々の気づきを蓄積しておいて、必要に応じてそれらを取り出し、並べ替え、新たな気付きを見出そう、というものであり、効率的なタスク処理のためには、別の方式の導入が必要でした。
タスクは、時系列順に並べられるべきであり、未処理のタスクは次々と相応の未来へ送っていかねばなりません。また同時に、締め切りを厳守しなければならないものについては、リマインダー機能が必要不可欠です。

2.デジタルとアナログ


PoICをEBT light for zaurus上で運用するためのスタディ(2013年8月)

ノートとペンによる方法と、電子端末でソフトウェアによって運用する方法との、最も大きな差は、「一覧性」であり、これは「検索性」と「リマインダー機能」に現れると思います。
GTDでは、カレンダーという(紙的)フォルダがあり、締め切りがあるタスクについてはそこで一括管理します。これは、卓上カレンダーなどへ「転記」することによって、一覧性(リマインダー機能)を補完します。
PoICにおいては、このカレンダー機能が実装されていなかったため(原則として全てはカード作成の時系列順)、なんらかの、カレンダー的ドックを導入することになります。

参考1 Re:PoIC~ライフハッカーのためのPoIC入門 第4回 GTDとPoIC~相補完する思考第4回(2008年3月13日 野ざらし亭)http://gihyo.jp/lifestyle/serial/01/re-poic/0004?page=2
参考2 Poic マニュアル v3.5 http://pileofindexcards.org/wiki/index.php?title=%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8 より「43TABの実装について」

これらをデジタルで行う場合には、以下のソフトが有用でした。

PoIC+43Tab風運用→EBT light for zaurus  http://seesaawiki.jp/irrational/
GTD(リマインダー機能)+PoIC→howm for linux  https://howm.osdn.jp/index-j.html

しかし、現在はほとんど活用できていません。やはり、ノートとペンという方法には、汎用性と安心感があるのです。(バッテリー問題や、端末への依存度に不自由を感じてしまいます)

3.マーク(バレット)と転記による補完

では、アナログ派は「検索性」「一覧性」「リマインダー機能」をどのように補完すればよいでしょうか?
参考 100円ノートの「超メモ術」 http://www.kirari.com/amz/note/

バレットジャーナル

最近バレットジャーナルがシェアを広げているようです。これは、タスク特化型の方式として、カード運用されていたGTDをノート上で運用する方法論の一つだと思います。

『「ラピッドロギング」では、バレットを用いて箇条書きしていきます。箇条書きの各項目は全て、客観的な短文で描いて下さい。』
(バレットジャーナル公式サイト「入門ガイド」日本語訳 2017年07月28日 2017年08月22日)http://bujo-seikatsu.com/2017/07/28/getting-started/

GTDでは、気になることを書き出したら、それらひとつひとつを、実現可能な小さいタスクに分解してから「整理」する(各処理へ振り分ける)ことになっています。
参考:はじめてのGTD 田口元 ITmedia  http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0606/27/news003.html

 


GTDが定める厳格なフローチャートのスタディ(2013年8月)

GTDではこれらのタスクをいくつかのフォルダに分類し、処理した後、定期的に「収集」という方法によって進捗状況を更新します。
一方、ノート上で完結させるバレットジャーナルでは、各バレットに付加する・×(完了タスク)、・>(移動タスク)、・<追加タスク、などの記号と、これらの「見返し」による「転記」によって、この処理を実現します。
カード式とデジタル式には不要で、ノート式の場合に必要となるのが、この「転記」作業です(「インデックスページ」の準備も、ここに含まれます)。

これを手間ととるか、「一覧性(銘記性)」と「リマインダー機能」の強化作業ととるかで、好みが分かれるのだと思います。

4.「タスクの書き出し」こそが最大のポイント

GTDにおいて、もっとも重要なものは、「収集」で、今頭の中にあることを、週に一回、1時間以上かけて100個位は書き出すことが推奨されています。そのための「トリガー」も用意されており、とにかく、頭の中のもやもやを空っぽにすることが第一の目的なのです。
タスクの効率的実行を目的とするバレットジャーナルの「基本マニュアル」では、この工程が弱い気がしました。タスクとなる以前の塊を広げる場が、用意されていないからです。

イベントは、例えば「チャーリーの誕生日」や「リースの契約日」など、日付が重要となる項目で「○」で表します。イベントは、ラピッドロギングが可能になるように客観的&手短かに書かなくてはいけません。それがどんなに主観的・感情的で厄介なことでもです。もしそのイベントについて詳しく書きたいのなら、別ページに好きなだけ書いてください。ここではあくまでも「ラピッドロギング」方式でシンプルに書きます。(同上 バレットジャーナル公式サイト「入門ガイド」日本語訳)

GTDでは、「収集」した項目を、「整理」する過程で、「タスクの細分化」と「タスクの性質の判断」を同時に行わなければならない点がネックとされています。

その点、バレットジャーナルは、いきなり「整理」から始まっているように思われ、その根本となる「箇条書きすべき内容」を確定すること自体に、困難を感じるように思います。
もちろん、バレットジャーナルでは、無数のモジュールが可能なので、GTDにおける「収集」的モジュールを、別の場に設けることで、解消できるでしょう。

5.アイデアの収集と蒐集

PoICは、「収集内容を情報カードとしての蓄積」します。日々の気づきも重要ですが、集中的に行いたい場合に強力な「トリガー」となるのは、ブレインストーミングの諸方法、「マインドマップ」や「マンダラート」といった、発想法などです。

情報は蓄積され、相互に関連付けられた時に「知識」となります。

前述したEBT lightの、「無階層の双方向リンク機能」や、howmの往復リンク+wikiタイプリンク機能は、作者さんの「知識」に関する深い洞察によって組込まれたものです。

ブックタイプのインターフェイスでこの機能を担うのはさしずめ「索引」でしょうか。しかし、この機能をアナログノートで実装するのはひじょうに困難です。

日付、ページ数、行番号などの記載を徹底化し、>>や、<<や、==などの記号欄をもうけ、その内容を「索引ページ」に記していく。それはまさに、「私家版ビブリオマシーン」の制作といえるでしょう。

書いたことを覚えておけばいい、というのでは、頭を空っぽにした意味がありません。

一覧機能やリマイド機能や索引機能。これらはみな、「検索」にかかわるテーマです。ノートの検索性の向上する形式とは何か?これは今後も課題でありつづけるのではないかと思います。

参考 MIDORI検索ノート http://文房具大図鑑.com/note/midori-kensaku-note/

(前略)こだわらないための形式。縛られないための形式。その矛盾こそ自由だからである。その自己矛盾こそ、そもそも形式というものだからである。(同前書 p.195)

 

おまけ(2013年のトラベラーズノート)

1)今回掲載した2013年のトラベラーズノートの図版では、ジェットストリーム0.7をメインに使っていた。時間がたつと、ページ全体が油紙のようになり、裏抜けは致命的となる。
2)当時の利用状況としては、余白もおおく、横書きメインで使用していた。PoICを導入しようとしていて、タイムスタンプと、PoIcマークを義務付けていた。この後から、「リンク記号」を赤のuni signo 0.28で書き込んだりしている。
3)ノートの読み返しは、頻繁に行っており、EBT light や、howmへの入力(転記)も積極的に行って、全文検索などによる検証を繰り返していた。

 

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とりま

Posted on 16 4月 2017 by ピース・メーカー

とめどなくとどめない世界を
とどめないままとどめるため
とりあえずはとどめておいて
とりとめもなくとりまとめる

言葉を重ねて
記号を連ねて
図版を入れて
数式も駆使し



まどろこしいほど慎重に
キュビズムのように
デイヴィッド・ホックニーのように
現場を再構成する



空間を重ねる
時間を重ねる
因果を重ねる
相関を重ねる

まとめたはずがまとまらず
とどめたものがとどまらず
あつめたものが消え失せて
まとめぬものがあらわれる

                          (生体)

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注釈

Posted on 09 4月 2017 by ピース・メーカー

「今」といってもそれは「永遠」ということです

「昔」といってもそれは「現在」ということです

「私」といってもそれは「状況」ということです

「器」といってもそれは「中味」ということです

「命」といってもそれは「身体」ということです

「脳」といってもそれは「臓物」ということです

「罪」といってもそれは「法律」ということです

「国」といってもそれは「戦争」ということです

「魂」といってもそれは「教育」ということです

「愛」といってもそれは「慈悲」ということです

「絶対」といってもそれは「相対」ということです

「仲間」といってもそれは「許諾」ということです

「経済」といってもそれは「収奪」ということです

「自由」といってもそれは「拘束」ということです

「知性」といってもそれは「契約」ということです

「欲望」といってもそれは「存在」ということです

「写生」といってもそれは「抽象」ということです

「存在」といってもそれは「渦巻」ということです

「自我」といってもそれは「境界」ということです

「言葉」といってもそれは「比喩」ということです

「情報」といってもそれは「生身」ということです

「集団」といってもそれは「一匹」ということです

「感情」といってもそれは「反応」ということです

「意思」といってもそれは「後付」ということです

「違う」といってもそれは「違う」ということです

「理解」といってもそれは「誤解」ということです

「誤解」といってもそれは「理解」ということです

「理解」といってもそれは「隔離」ということです

「隔離」といってもそれは「感化」ということです

「交流」といってもそれは「破壊」ということです

「破壊」といってもそれは「創造」ということです

 

 

(無終)

 

 

 

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濁り

Posted on 02 4月 2017 by ピース・メーカー

透明→不透明 のまえに
非有→透明 という段階
があるというのは間違い
非有→不透明 だと思う



不透明なのは この世界
世界は当然透明じゃない
不透明なのは この身体
身体はとことん  不透明

透明の塊と不透明の塊を
ほどよいカオスで配合し
見えたり見えなかったり
見せたり見せなかったり

そういうところが面白い
透明だったらつまらない
時に薄くて時には濃くて
その匙加減がいいところ



願望の濃度は人それぞれ
欲望の強度は人それぞれ
善悪の境界は人それぞれ
幸福の基準は人それぞれ

透明な魂と不透明な魂を
ほどよいカオスで配合し
解りあえたりなかったり
悲喜こもごもを謳歌する

                                                  (○●)

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No.138 & No.119

Posted on 01 4月 2017 by ピース・メーカー

以前、盆と正月に『昼行燈』という同人誌を発行していた。その通し企画として「Inter_view 5 minutes」というコーナーがあり、寄稿者の持ち回りで、インタビュー記事を掲載していた。

大学2年の梅雨の頃、寄稿者の一人が急きょ帰郷することとなり、同人活動の継続が難しくなるとの封書が届いた。「インタビュー記事の担当だったが、時間がとれそうになくもうしわけありません」と書いてあった。私は「また時間がとれたら、寄稿してください。ずっとやってますから」と返信をし、以下のインタビュー記事を用意した。
入稿日の前日、遠方の消印のついた封筒が届いた。棚田の保存活動を行うNPO代表の方へのインタビュー原稿だった。以下はその時私が用意しボツにした原稿である。


No.119 パントマイマー 寺崎丸疎氏

Before Minutes
饒舌な無言、沈黙の共鳴。寺崎氏の表現の場に立ち会った私たちは、交流というものに対していかに臆病で、ぎこちない回り道をしてきたのかに気づかされます。自分の事が相手に伝わらない、もどかしい思いの理由を、知ることになるのです。119回目のI5Mはパントマイマ−寺崎丸疎氏をお招きしています。

FIRST MINUTE
P:パントマイムの神様といわれている、マルセル・マルソー氏の下で厳しい鍛練をなさったとうかがっております。そんなに短期間で舞台に抜擢されたのですね。
それなのに、といいますか、寺崎さんのマイムには、マルソー氏のものと違った、饒舌さを感じるのです。
そうですね、例えば、マルソー氏は魂の解放、根源的な衝動、人であることの「悲しみの喜び」、といった非常に静謐で内面へと向かうマイムを完成させたのだと思うのです…… それ以降、パントマイムは、内面奥深くへ沈降していくマルソー氏の系統と、もう一つは、もっと素朴な、「階段があるように見える」とか「本当に傘が飛びそうだ」とか「あんなに走っているのに一歩も動いていないなんて……」という驚きを与えてくれる、いわば技術の披露に終始するものとに別れたような気がするのです。
パントマイムの公演を見るという姿勢を、私たちは、マルセル・マルソー氏の公演鑑賞から学んだような気がします。そして、その姿勢で寺崎さんの公演を見にいった時の心地よい裏切られ方といいましょうか、そんな所にまず衝撃を受けるのです。

SECOND MINUTE
P:いえ、本当に私は特別パントマイムについて勉強したわけでもありませんし、あらゆる公演にかかさず足をはこんでいるわけでもありません。まして、自分でパントマイムの稽古に通っているわけでもなくて、その私がこんな風に強引にまとめてしまうのも僣越だとは思ったのですけど……
今までに私がお話をうかがってきた皆様も、啓蒙でも迎合でも無いやり方で理解を生み出す方法について、苦心なさっていらっしゃる方が多かったように思いますし、それは必要な事だと思います。受け手は受け手の立場に甘んじていてはいけないわけです。理解というのは、相互間で作りだすものだと、思いますから。
はい。世阿弥です。しかし、その姿勢こそが「迎合」に陥る危険とうらはらなのですね。商業主義の現代にあっては特に。だからこそ、表現者の皆様にはそこから超越した何かを求めてしまうのかもしれません。
マイノリティーを指向するのは、暗にマジョリティーが行ってきた「媚」を排除したいという意識なのかもしれないですね。寺崎さんの表現がマイノリティーだということではないのですけど。
はい。そうですね。マイノリティーはマジョリティーがなければ存在できない…… でも、なんだか「感受性」という言葉は使いたくありません。私はなんだかその言葉は誤魔化しているような気がしてならないんです。

THIRD MINUTE
P:素人なりの理解の浅さや狭さも、もしかしたら何かを映し出す基点になるのかもしれないと、これは編集の意見です。私自身は、いろいろな方にお会いして、未知のことや、価値観の転換の衝撃を受ける快感だけで、続けているんです。
確かに、私もこの場では、送り手に立つことになるんです。とても難しいです。
いえ。難しいです。
実際、寺崎さんはその向こう側へ既に到達していらっしゃるのではないですか?
やはり言葉の問題を……
マイムは声を発しない表現で、その中で伝えたいものを限定していくとどうしても感情ということになるのでしょうね。感情は万人に共通のコードだということでしょうか? しかし、それは寺崎さんの求めるものではない……

FORTH MINUTE
P:では、音の無い表現で伝えられるものとは一体なんだとお考えですか?
ふふ。そうです。この質問は自家撞着していますものね。
私は本当はこの質問を最後にしようと思っていましたけれど、お会いした時からもう、この質問が無効だということは分かりました。それは、お会いしたからこそ、そうと分かったんだと思います。
私がこうしてお話を伺っていて不思議なのは、何故伝わってくるのか? 交流が成立するのか? という事なんです。

今回のインタビュー記事には、寺崎さんの言葉は一言も掲載されないでしょう。

読者の皆様に説明しておきますと、もう四分が経過しているのですが、寺崎さんは全く言葉を発しておられないのです。にもかかわらず、コミュニケーションは成立しているのです。
寺崎さんはゆったりとソファーに腰をおろされています。その身体の一つ一つの本当に繊細な部分の動きや角度、それは決して大げさなものではないのです。ボディランゲージとも違います。テレパシーというのがあるなら、そんな感じなのかもしれません。

LAST MINUTE
P:私は全く苦労することなく、寺崎氏の意思や感情を読み取ることが出来ているし、寺崎氏の公演にいかれた方に後から感想を聞くと、発せられなかったはずのセリフが、記憶の中では付け加えられているのです。あたかも、洋画を字幕で見た記憶の中では、セリフが日本語に入れ代わっているのと同じように。
ふと、目の前の寺崎さんの姿が朧になってくるんです。それは、言葉が映像を結ぶ、または強化するという従来の方法で寺崎さんを脳に留めることが出来ないからなのかもしれません。
ええ。分析は言葉の罠、でしたね。
しかし、言葉にどっぷりと使っている私たちには、意識的な苦行となるのでしょうね。
違うものがあるのだということを、理屈で無く知らしめてくれる寺崎さんの存在は、世界に大きな波紋を広げて居ると思います。
今の世界では、そういう立場にならざるを得ないのではないでしょうか?
天才。
私はこの名前の余分な点をみんな洗い流した上で、寺崎さんをそう呼びたいと思います。私はこちらがわの人間なんです(笑)
本日は貴重な経験をいたしました。また、お会いできますか? 楽しみにしております。

AFTER MINUTES
「言葉でなければ何だ? という質問そのものが、言葉を前提しています。感情も表情も、根源的と思われる食欲や性欲ですら、すでに言葉によって作られたものになっているのです。私は何によって、何を伝えられるのでしょう。私は家族を持ちません。故郷もありません。漂泊の中でただ、他人と自分との間での繋がりだけが、全てでした。そして知りました。大切なのは繋がりであると。自分とか他人とかいう区切りですら体系の一つだったのです。あるのは繋がりだけです。そして繋がったあちら側とこちら側という位置関係として自己があるのです。
私は何を伝えられるのか? 何をもって伝えられるのか? それを問い、それを考える事は、問題を変質させてしまいます。言葉は避けられない、と仰います。しかし、私は言葉無しでやっています。世界中を放浪しながら既存のマナーやコードに縛られることなく、それでも生きつづける事ができました。
師のマイムはしゃべれない者の嘆きでした。私はそのことに気づいて師の下を離れたのです。私は言葉から自由になり、そして『今』になりました」

現実なのです。寺崎さんの公演を見ていない人、そして寺崎さんと対面したことのない人には信じられないかもしれません。ですが、私は寺崎さんから、言葉を媒介せず上記のようなメッセージを受けとりました。
家に戻ってテープを起こしながら、再度驚いたのは、私は寺崎さんからのメッセージを受け取っている間は黙って耳を傾けていたと思っていたのにも係わらず、テープでは、私は途切れることなく喋りつづけていたのです。記事上の段落分けは、便宜上のことにすぎないのです。私は五分間、今までに感じたことのないテンポと、どこか遠いところから戻ってくるかのような声質で、とつとつと語り、息を継ぎ、笑っているのです。
私の耳にははっきりと寺崎さんの声が残っているような気がしているのです。言葉も思い出せます。しかし、それは誰の声だったのでしょうか。この記事だけでは皆様には届かないでしょう。とても歯がゆい……

次回は フォーラム2000Another Way to TOMMOROWの会場から、子比可学園主宰  索果幹夫さんです。


以上だ。
その後『昼行灯』は5年間継続した。その後、寄稿者の皆様とは音信不通である。

※
 No.119. さて、エイプリルフールがやってきます。今年もエイプリルフール的記事を楽しみにしています★
 No.138. インタビューしてみよう。その人が何者か書いてみよう

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遁走曲

Posted on 26 3月 2017 by ピース・メーカー

ノートを書けば ブックになり
ブックを読めば ノートに記す

筆者の立場と読者の立場を
ぐるぐるぐるぐる巡るうち
答えは問に 問はヒントに



昨日の続きにいるなんて退屈だ
自分が自分でいるなんて窮屈だ

因果関係より相関関係の世界へ
自分の周りにある未知の世界へ

読むことは奏でること
止むことのない遁走曲

                  (多声)

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筆耕 ―泡立てるノート

Posted on 19 3月 2017 by ピース・メーカー

ノートをペン先で耕す
掘り起して混ぜ返して
肌理細かい泡を立てる

キッチリをグズグズに
コチコチをフワフワに
アワアワと膨らませる



豊かに美しく輝く生命
映し映される世界は泡
確かなものは何もない

辺り一面に薄くて軽い
現を映した虚ろな泡沫
はじけとぶまでの愉楽

                             (息吹)

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M

Posted on 12 3月 2017 by ピース・メーカー

あなたのしたいようにしてくださいと
晒された襞を本能のままに押し拡げて
ペン先でまさぐりインクで汚していく



血のたぎりに我を忘れて一心不乱に
常識にも倫理にも道義にも縛られず
奔放に繰り広げられる密室での痴態

完膚なきまでに蹂躙し尽くされて
きちんと綴じ合うことも出来ぬ程
共に精根尽きて事後に睦み合う時

ノートはしどけなくページを捲る



どうぞあなたのしたいように
私はどうなってもかまわない
私はあなたの全てが知りたい

ルール無しをルールと成して
縛られ身悶える Mのノート
TRAVELER'S notebook;003 Blank Notebook/無罫 

                      (挑発)

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薄暮の世界

Posted on 05 3月 2017 by ピース・メーカー

欲望ぎらぎらむき出しにして
世界を鮮明に捉えようとして
囚われてしまった光の囚人達

光が産み出した闇に脅えて
ライトを闇雲に振り回して
光で継接ぎした要塞に潜む



全てを照らせる光はないの
照らせる部分は本当に少し
しかも上辺をなでてるだけ

ライトに期待なんてしないで
物騒なもの振りまわさないで
かたまりを頑なに固めないで

薄暮の世界はやさしい世界
きまった色もきまった形も
なんにも決まってない世界

                            (発光)

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真新しい朝に嫉妬する

Posted on 26 2月 2017 by ピース・メーカー

ノートをめくると乳白色の混沌が 寝ぼけたように拓ける
それまでのページが耐えている重さなんて 知らない
真新しい朝を 真新しいまま 味わいたいのなら
歴史になんて かまってられない


真新しい朝 真新しい昼 真新しい夜
自分が自分であることに縛られなければ いつだって
一瞬一瞬が初めての場所になる
昨日を持たない今日だけが 今日を離れた明日になれる

理解するだけでは足りない 理解したことを忘れなきゃ
忘れるだけでは足りない 忘れたことを覚えていなきゃ
くりかえしくりかえし新しい朝を迎えるために なすべきこと
きちんと昨日を埋葬し お参りだけを欠かさぬように

乳白色の混沌が 理路整然とひび割れるとき
照らし出された陰翳が 織りなす忘れがたい景色
綴じたノートが耐えているのは この景色への想い
問わず語りを始めないよう ノートに綴じ込めていく

(放流)

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虎落笛

Posted on 19 2月 2017 by ピース・メーカー

心は躰のエコー



虎落笛
引ッ掛カッタ風ハ
カルマン渦ヲ成シ
垣根ヲ振動サセテ
エオルス音ヲ発ス

カイロウドウケツ
吹き鳴らされる穴

外敵から身内を護る柵
身から魂を逃がさぬ柵
目の粗い穴だらけの柵
振動を留め響かせる柵

振動は存在の気配
躰は心のエコー

(帆場)

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穴だ(ら)け

Posted on 12 2月 2017 by ピース・メーカー

人間なんて穴だ(ら)け
穴では音が渦巻いて
体の中でピンボール



人間だけのことでなく
動物だって植物だって
石ころだって空だって

みーんな みーんな
穴だ(ら)け
穴の周りは渦だ(ら)け



渦の中には穴がある
穴の中には穴がある
世界は穴の中にある

                             (同穴)

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ここではないどこかなら

Posted on 05 2月 2017 by ピース・メーカー

自分をとりまくこの世界
自分の妥協に妥当な世界
それなりの世界が嫌なら
片時も休むことなく漂え



目に映る文字を読むな!
耳に届く言葉を聴くな!
思いつきを反芻するな!
去来する感情に拘るな!



ここではないどこかなら
ほかでもないここにある
名指さぬ世界の静けさを
記憶で埋めることなかれ

                            (禁則)

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背中渡りリレー(うわばみ-の-象)

Posted on 29 1月 2017 by ピース・メーカー

大地が時限式だったら恐ろしい
墜ちる溺れる引き込まれる恐怖
重力にしばられたものの宿命だ



地球が丸いのは大地の敗北宣言
何十億年というフィクションに
人の一生はあまりにも短すぎる

外部をもてなかった書割の世界
うわばみに呑まれた象の前後に
空間ともいえない紐のような闇

ぐるぐる回転する背中に送られ
やがて排泄されるはずだったが
ウロボロスの輪に外部はなくて

ループした象はうわばみになり
うわばみは中毒して弱り果てて
互いを吐き出しボメロオの輪に

果てしなく敷き詰められた背中
というフィクションを受け入れ
自由だ。とつぶやきながら前進



渡る足と支える背中の頭は同じ
渡る側ではなく支える側として
やはり時間に追い立てられてる

           (三位)

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いつもの迷路を散歩する

Posted on 22 1月 2017 by ピース・メーカー

限りなく遭難に近い足取りで いつもの迷路を散歩する



見えない目標になんて むかったりしない
目の前の分かれ道の他には 目もくれない

出口を求めてるわけじゃない / 入口もわかんなかったんだし
宝を探しているわけじゃない / 迷い家なんて邪魔なだけだし



進んでもいいし 進まなくてもいいし 泣いてもいいし 泣かなくてもいいし
迷ってもいいし 迷わなくてもいいし 笑ってもいいし 笑わなくてもいいし

この世界に現われた私という襞の形状そのものが迷路として現われた世界の襞
をたどって迷路が匿っている何かとばったり出会ってしまったらどうしよう?



はずかしいけれど せめて きちんと あいさつだけ は しよう やっぱり

                                (隠匿)

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一滴の川

Posted on 15 1月 2017 by ピース・メーカー

川は流れるから川なんだ
川と水とは分けられない
水がない川は大きな轍だ



一つの川の無数の経路を
互いが互いを掻き分けて
それぞれ個々に進んでる

いいえ 川の流れはただ一つ
だから 流れる水はただ一滴
それ故 個なんてものはない



降り注ぐ一滴も
海に注ぐ一滴も
全て同じ一滴だ



川は生命であり
川は世界であり
川は存在である

               (ポー)

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NOTE-TONE

Posted on 08 1月 2017 by ピース・メーカー

あらわれた粒は
うねりただよい
風景を加減して
消え去ってゆく

日没を恐れない
なまけもの達と
夜の王国に住む
臆病ないきもの



まっさらな朝の
原野を測量して
作った見取図を
片時も放さない

あらわれた粒は
消え去っていく
なまけもの達は
片時も放さない



うねりただよう
臆病ないきもの
日没を恐れずに
原野を測量して

あらわれた粒は
夜の王国にあり
まっさらな朝に
風景を加減する



Sogni d'oro!
一つのノートの
沢山のトーンが
うねりただよう


Sogni d'oro!
沢山のノートが
一つのトーンに
溶け合っていく

    (未来)

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以心伝心

Posted on 01 1月 2017 by ピース・メーカー

私の身体(=経験)が
楽器となって奏でた音

私の音色を録音させる
私の演奏を鑑賞させる



伝えたいとは思うけど
伝わったとは思えない

私の心に広がる顫えを
伝えるために書き記す



私が書き記すのは楽譜
伝えるのはこの楽譜だ

サインなんていらない
顫えは私のものだから



あなたが私を奏でる時
私はあなたの中にある

あなたの私は私と違う
そんな私に出会いたい

       (転調)

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1×1

Posted on 25 12月 2016 by ピース・メーカー

大きなことだと 緊張する
小さなことだと 油断する



遠くの大きなもの / 近くの小さなもの
近くの小さなもの / 遠くの大きなもの
大小なんてみかけでかわる
相手はいつも Hit & Away



こころの厚みを自在に変えて
いきたい世界に焦点を定めて
ノートにかき写してるそれは
{望遠鏡 / 顕微鏡} の景色?



二十角錐のレンズが創る遠近法
描いているうちに見失う1×1


                    (抱擁)

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(獏)⇒象獏⇒(象)獏

Posted on 18 12月 2016 by ピース・メーカー

獏とは一つの獏であり 無数の獏は同じ獏である 全ての獏はみな違い 獏の眠りには夢が無い
象が見る獏は夢であり 象とはこの世の獏である 夢に住む獏つくる象 獏はただただ獏である



象は瞑想に生きる/象は労働する/象は運ぶ
獏は夢を生きる/獏は労働しない/獏は眠る

象は獏の内にあると知り
獏は象に支持されている

獏は象に獏から取り出されて獏となった
象は自分の内にある獏の伝道者となった



象が大きく重たいのは「苦」を一身に背負い運ぶため
象の「苦」は大きいが獏と一緒だから受け止められる


獏無く現無く
象無く夢無し


獏は直接 現 に働きかける術を持たないから象に感謝して託す
象は直接 夢 に働きかける術を持たないから獏に感謝して依る



獏とは現実という逆光が映し出す影 ホログラムみたいなものです
光の束であり 重力の歪みであり 量子的状態の収縮であるところの
影を放つ光 重さをもった時間 そう すなわち象のことなのです


象と獏とは 同じ存在の 別の相である (Q.E.D)

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言葉は羽織るくらいで丁度いい

Posted on 10 12月 2016 by ピース・メーカー

心が言葉を羽織る時
纏う言葉が心に代る
心にもともと形なし
what-you-should-decorate-is-not-words
言葉はみんな墓の下
心はその墓暴いては
似合う骸を探してる

どれも寸法違いだが
もともと心に形無し
誂えた様に潜り込む

言葉は心の過剰包装
隙間を埋める緩衝材
所詮現世の賑やかし
avec-ceci
言葉が心を表す…嘘
言葉で心を隠す…無理
a-community-illusion
虚飾の羽織列を成し
窮屈に身を屈めた心
死臭を放ち狂い舞う

乱筆乱文ご容赦の程
はためく極彩色の裾
そこに見た!生の塊

刹那の邂逅に興奮し
乱暴にページを捲り
意気揚々と墓を暴く

                               (共同)

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耳は凝視する

Posted on 03 12月 2016 by ピース・メーカー

うるさいときには 耳をすます
無電技師のように 頭を垂れて
爆発の中に静寂を 聞き分ける

quietness-in-the-explosion

うるさいときには 耳をすます
鼓膜から意味までを 延長して
意味から感情までを 凍結する

うるさいときには 耳をすます
中心を二つ持つ 楕円の宇宙で
今の私にふさわしい 今を探す

the-artificial-man

うるさいときには 耳をすます
重ね合わされた 別の時空へと
流れ出るインクが 奏でる音色

a-fact-and-truth

うるさいときには 耳をすます
そうすると うるさくなくなる

           (深淵)

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ノートはみんな種にする

Posted on 27 11月 2016 by ピース・メーカー

種の中味 それは
原初の 「もつれ」
躓きの 「かけら」

私と世界とは同じ
綿菓子製造機の中
一本の割りばしに
絡み合ったきづな

the-shopping-memo-is-surrealism

摘み取った花は 押し花に
拾い集めた葉は 栞替りに
唇で堰き止めた 心の痛み
忘れえぬ経験を 挟み込む

書き付ける 整理する
種を植える 水をやる
見つけ出す 読み返す
手入れする 収穫する

seed-in-the-notebook

ノートの中身  それは
種をもたらす 花であり
種を宿した 果実であり
それらを包む 種である

fragrance-of-the-taisyo-romance-yumeji-takehisa

種だけが 垣根を超える
超えた先が 新しくなる

(変種)

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譜面は演奏しないとね

Posted on 20 11月 2016 by ピース・メーカー

黙読はしたことない 声をださずに読んでいるだけ
黙考もしたことない 声をださずに考えているだけ
つまり 二十四時間日常生活脳内ミュージカル状態

note-of-what-i-says

話し言葉をきちんと記録したいのなら五線譜がいい
口伝は リズム テンポ ハーモニーが大切だから
あらゆる符号を駆使 絶対音感ある人うらやましい

ボーカロイドメイコで 日記を書こうとしたけれど
気分と声とが ぴったりこないと のらないからね
譜面があれば 好みの声で 指揮者冥利の脳内演奏

the-world-is-a-one-story-house

書き留めたいのは 知識じゃなくて 気持ちだから
いつ どこにでも もっていけるモノ じゃなくて
いま ここでしか 巡りあえないコト なんだから

時を移ろいゆく音楽のように 寄せては返す感情を
天日干ししたり 塩漬けにしたり 煮詰めたりして
いつどこででも取り出せるようにしては いけない

譜面は変わらないけれど演奏は変わる 指揮者次第

                      (仕掛)

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むきだしとむきあって

Posted on 13 11月 2016 by ピース・メーカー

ノートの中でくらい 意地はったっていいじゃない
ノートの中でくらい 棚にあげたっていいじゃない
ノートの中でくらい 嘘で固めたっていいじゃない

make-bare

被りたかった帽子被って
着たかったコート纏って
持ちたかった鞄を提げて
会えなかった人に会おう

inferno-and-paradise

ノートの外では大事にしていた
正しさも誠実さも責任も理想も
ノートの中には持ち込まないで
むきだしの自分と対峙するんだ

cannot-exchange-time-and-the-money

ノートの外では生きたまま埋葬される感情ばかり
ノートの中でくらい 本当の自分なんて忘れよう
ノートの中でくらい 本当の自分になってみよう

                         (放流)

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とりあえず

Posted on 06 11月 2016 by ピース・メーカー

流れは単純で流れることも簡単だけれど
あまりにも多くのものが流れているので
それらがてんでに浮きつ沈みつするので
息をするのさえ難しいくらい

the-life-game

泳ぎ疲れて川から上がり夕陽にきらめく
目の前の流れをゆっくり眺めた幻をみる
川面を流れた今日という心象風景の一日
掬いとるように書き写す夕べ

a-lens

終わったことを振り返っている身振りで
安全地帯にいるつもりだったのだけれど
終わることなんてない渦中にずっといて
岸辺なんて見当たらなかった

the-city-is-a-factory

とりあえず ノートに漂着して 暖を取る
                            (暴流)

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こわす

Posted on 30 10月 2016 by ピース・メーカー

捨てたって なくならないから
なんだか分からなくなるくらい
壊してしまおう

the-dismantling-is-liberation

作るのは困難 壊すのは簡単
そういうモノは放っておいて
作るのは簡単 壊すのは困難
そういうモノを壊していこう

何かに気づいて書き付ける
気づきは何かを壊した証拠
そうして何かを築いた証拠
ああ また壊さなきゃ……

                   (シバ)

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獏園(借)

Posted on 23 10月 2016 by ピース・メーカー

他人の夢を移植するノートで栽培するの
夢は混ぜるものだからいろんなのを埋めて
逃げ出さないように蓋をして石で重しするの
青々とした草原になって風がふくと波のように
食欲をそそる香りなんか辺り一面に広がるからね

tapir-eat-dreams

夢は絡まりあって現実になろうとするから気をつけて
夢は夢のままにしておかないと固くて筋張って胃もたれ
よい夢はよい現実から収穫される夢のためによい現実って
そこに暮らす人達にとってはよくない現実のこともある
良い夢が収穫できさえすれば獏園はいつものどかなの

ball-jointd-doll

長い鼻大きな耳と力持ちの体をした象が横切る時
すこしだけ後ろめたい気分になるから下を向く
象は確かな足取りで多くのノートを運んでく
私は鼻も短くて耳も小さいし力もないから
ノートの上に繁茂した夢を喰んでいるの
                                               (渋澤)

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