世界を相手に闘える能力のコト
最近、魚屋と八百屋に行く機会が多いのだが、店員さんはとても親切である。ちょくちょく行くので、やたらとオマケしてくれてとても嬉しい気分になる。
CRM(Customer Relationship Management)を忠実に実行し、釣りをもらうときに彼らのまぶしいまでの笑顔を見ていてCS(Customer Satisfaction)が向上すると同時に、ふと僕の頭の中に別な妄想が走る。
「あ、このお兄さん、実は科学の道に進んでいたら今頃ノーベル賞獲得」
と、脳の片隅に浮かんでしまうのをなぜか止められないでいる。僕は彼の笑顔から「あ、この人仕事を楽しんで、輝いているなぁ」と考えると同時に、なぜか「ノーベル賞を獲得する姿」が見えてしまうのである。
文字に色がついて見えるとか、音に匂いを感じるとか、汗が赤いとか、次に入るCMが何かわかるとか、ほうき(細長い棒状のもの)を指の上に載せて20分以上うまくバランスをとれるというような感覚と似たようなモノかもしれない。
最近オリンピックが行われていたこともあり、日常生活でやたらと「世界を相手に闘える能力」というのを意識していた。
皆が知っているとおり有名なニュースだが、先日7月13日にモナコで行われたバックギャモンの世界大会で日本人が見事優勝したのである。2003年でもラスベガスで行われた大会で頂点に立ったのも日本人で、ジャックポットも含め莫大な賞金を獲得したのである。
世界を相手に通用する能力というのは、誰しも本当は何か持っているのではないかと僕は考える。こういった感覚が、「ノーベル賞を実は獲得できる」という僕の妄想につながっているような気がする。
僕のヒーローことウォーホル師匠は、「誰もがどんなことでもできる、という考え方がポップの考え方だ」と言っていた。誰もが世界を相手に闘えるのである。
以上の経緯により、あなたの世界を相手に闘える能力は何ですか?と最近人に聞いて回っていた。
とある人物Aは、「下唇を吸い込んだときにブルブル言わせる音」で世界を狙えると言っていた。確かに彼の奏でるその音は、精密な楽器やエンジン音のように美しい音色であった。文字で表現するのは難しい、バルバルバルに近いかもしれない。その音色は病床の少女を癒すことができるかもしれない。
とある人物Bは、「カンガルーの折り紙早折り」で、しかもやたら小さく折ることが可能だった。ふと下を向いたかと思ったその瞬間、彼の神速の手が織り成した僕に提出されたそのアイテムは、まさに芸術品であった。やろうと思えば病床の少女を思いながら、千羽カンガルーを折ることも彼は可能なのである。
とある人物Cは、「重力を感じさせたら右に出るものはいない」とのこと。椅子に座り、背もたれ側にぐっと後ろに傾けることにより彼は地球が回っている感覚を感じることができるらしい。特に日本の南方面で行うと地球の自転の遠心力を強く感じることができるらしい。病床の少女にはジェットコースター気分でも味合わせてやることができるかもしれない。
他にも様々な人物が、それぞれ世界を意識できる能力を僕に申し出てくれたのである。皆が高みにいることが実感できた。チームを組んで、世界を狙えることに僕は興奮したのであった。
僕も実は、昔から誰にも負けたことがないことが一つだけあるので紹介する。
「缶コーヒーを股間に挟んで走ること」である。
昔実家に住んでいた若き頃、冬の寒い日に僕は近所に住んでいる幼なじみと、缶コーヒーを買いに行くのが日課であった。あまりに寒いため、購入した「あたたか〜い」の缶コーヒーを股間に挟んだところ、なぜか普通に歩くことができたのがキッカケである。疲れることもなく、自然とトコトコと長時間キープすることができた。そこで、互いに缶コーヒーを挟みあい、その幼なじみと競争をしてみたところ、まさに瞬間、缶コーヒーのリングプルがキラっと輝いた刹那、僕は音もなくゴールのテープを破っていたのである。スタンドは大歓声であった。圧倒的な差をつけゴールをし唖然とした幼なじみを尻目に、そのとき僕はスピードの向こう側を見たのであった。
以来、僕は人とこの競争をして負けたことがない。どなたでも勝負しますので申し出てください。泣かしてやります。
病床の少女に暖かい缶コーヒーを持っていくという使命を僕は背負っているのである。そう簡単には負けられない。僕には正しいと信じる夢がある(?)。
※「あたたか〜い」よりは「なまぬる〜い」という感じのほうがスピードが出やすいらしい。「つめた〜い」ではあまりチャレンジをしたことが無いので要練習。
「ノーベル賞」は無理でも、「金メダル」は取れることは間違いない。皆さん僕とチームを組んで世界を狙いましょう。皆さんの「世界を相手に闘える能力」をお知らせください。